卓球について言葉で説明しようとすると、ときどき違和感を覚えることがある。
打法について
たとえば「ドライブを打つ」という表現である。
「カットを打つ」とか「ツッツキを打つ」というと、飛んでくる下回転のボールを相手がドライブなどで返球するという意味になるのだから、「ドライブを打つ」というのは飛んでくる上回転のドライブボールをスマッシュやドライブなどでカウンターするという意味になるはずである。
そうではなく、ツッツキなどをドライブで返球することをどう表現したらいいのか?
「ドライブを放つ」? 「ドライブをかける」?
「放つ」はやや文学的な雰囲気があって、使いづらい場面もあるし、「かける」は回転を生み出す意味に焦点があり、ボールを飛ばす意味で使うには不適切な場合がある。
じゃあ、「3球目をドライブする」だろうか?
「ロビングする」「ストップする」「カットする」「ブロックする」「チキータする」「ショートする」「スマッシュする」「プッシュする」
のように「○○する」というタイプの表現は定着しているが、カットマンが「ハーフロングする」とか、バックハンドで「ハーフボレーする」はどうだろう?「ドライブする」「ループする」も微妙だ。「バックドライブする」「ナックルドライブする」には違和感がある。では「バックドライブ」を表現するときはどうすればいいのか?やっぱり「バックドライブを打つ」だろうか?
こういうことを表現しようとするとき、モヤモヤするのは私だけだろうか。
「~打ち」について
「~打ち」という表現もあいまいで、「カット打ち」と「ミート打ち」はそれぞれ客体が異なる。
カットの場合は「カットを引く」という表現がある。それなら「ドライブを引く」「ツッツキを引く」と言ってもいいのだろうか?「ドライブを引く」はときどき耳にするが、「ツッツキを引く」は聞いたことがない。「つっつく」が無難だろう。
類義語について
「サービスを出す」のようにポイントを始める意味は「出す」で問題ないが、「サービス」と「サーブ」の意味に違いがないのが気になる。語形が違うのだから、意味にも違いがあってほしい。
「ポイント」というのも曖昧な表現である。
「むやみに強打を打つのではなく、ポイントになるような攻撃をしないとダメだ」と
「さっきのポイントの4球目のコースは絶妙だった」
の「ポイント」の意味は異なる。後者は「ラリー」の意味に近いが、レシーブミスで得点した場合は「ラリー」は使えない。この「1点を取るためのボールの打ち合い」を表す別の表現がほしい。
相手のスボンの右ポケットあたりを「ミドル」と呼ぶが、相手の位置にしたがってミドルの位置は移動する。それに対して台のセンターのことをミドルと呼んだりする。「フォア・ミドル・バックの3点に返球してください」などという場合がそれである。しかし、ペンドラのようにかなりバック側で構えている相手に「ミドルにサーブを出せ!」と言った場合、ある人はバック側に、ある人はセンターに出せという指示だと解釈するだろう。
「コート」と「エンド」というのも使い分けが曖昧である。コートというと、テニスやバスケなどで走り回る場所を指すような気がする。卓球では台の上を走り回らないのだから、エンドのほうが卓球台の半面を指すのに適切だろうか。では、卓球でプレーヤーが動き回る場所は何と呼ぶのだろうか?ルールブックによると「競技領域は、長さ14m、幅7m以上の長方形で、高さ5m以上なければならない。」とあるので、「競技領域」というのが正式名称らしいが、普段の会話では使いづらい。
漢字のよみ方について
ウラメンとリメンはどちらも通用しているが、私はウラメン派である。ペンの表面をオモテメンと呼ぶなら、裏面はウラメンと呼ぶほうが筋が通っている。
同様に「戦型」はセンガタとセンケイのどちらも通用しているが、私はセンガタ派である。「守備型」「カット主戦型」はガタとよむのだから、「戦型」もセンガタのほうが筋が通っている。
カットマンとドライブマン
女子選手を「カットマン」と呼ぶのがモヤモヤする。なので私は「カット型」と呼ぶことが多い。同様に「ドライブマン」というのもモヤモヤする。片面ペンでドライブも打つが、スマッシュも多い選手はどう呼べばいいのか。昔は「ロングマン」という言い方もあったが、最近はあまり使われない。ザクッと「攻撃型」がいいと思う。「攻撃マン」という言い方もよく聞くが、これを使うとモヤモヤがぶり返してしまう。
ペンホルダーグリップとペンホールドグリップ
英語ではpenhold gripのほうをよく見かける。ペンホールドグリップを使う選手をペンホルダーと呼ぶのがいいのかなと思うが、よく分からない。モヤモヤする。
シングル・ダブル
一般的に「シングルス」「ダブルス」と呼ばれるが、あの「ス」は一体なんなんだろう?トーナメント表などで、ダブルの試合がたくさん並んでいるなら「男子ダブルス」と表現するのは理解できる。「ダブル」が複数あるから、「ス」は複数の意味である。しかし、団体戦で「次の試合、俺はダブルスに出たい!」などという場合、「ス」の意味はなんだろう?ITTFの英語のサイトなどをみてもdoubleはほとんど使われておらず、doublesが使われている。その"s"の意味はなんなんだ!?
ここまで読んでいただき、「気にしすぎだ。どんな表現を使っても、通じればいいではないか。」と思われる方が多いと思う。私もこんなことを気にするなんて神経質すぎやしないかとは思うのだが、気になってしまうのだから仕方がない。
そういえば「クラブチーム」ってなんなんだろう?楽しむためのクラブなのか勝つためのチームなのかどちらかはっきりしてほしい…というようなモヤモヤが絶えず湧き上がってくるのが私の頭の中なのである。
打法について
たとえば「ドライブを打つ」という表現である。
「カットを打つ」とか「ツッツキを打つ」というと、飛んでくる下回転のボールを相手がドライブなどで返球するという意味になるのだから、「ドライブを打つ」というのは飛んでくる上回転のドライブボールをスマッシュやドライブなどでカウンターするという意味になるはずである。
そうではなく、ツッツキなどをドライブで返球することをどう表現したらいいのか?
「ドライブを放つ」? 「ドライブをかける」?
「放つ」はやや文学的な雰囲気があって、使いづらい場面もあるし、「かける」は回転を生み出す意味に焦点があり、ボールを飛ばす意味で使うには不適切な場合がある。
じゃあ、「3球目をドライブする」だろうか?
「ロビングする」「ストップする」「カットする」「ブロックする」「チキータする」「ショートする」「スマッシュする」「プッシュする」
のように「○○する」というタイプの表現は定着しているが、カットマンが「ハーフロングする」とか、バックハンドで「ハーフボレーする」はどうだろう?「ドライブする」「ループする」も微妙だ。「バックドライブする」「ナックルドライブする」には違和感がある。では「バックドライブ」を表現するときはどうすればいいのか?やっぱり「バックドライブを打つ」だろうか?
こういうことを表現しようとするとき、モヤモヤするのは私だけだろうか。
「~打ち」について
「~打ち」という表現もあいまいで、「カット打ち」と「ミート打ち」はそれぞれ客体が異なる。
カットの場合は「カットを引く」という表現がある。それなら「ドライブを引く」「ツッツキを引く」と言ってもいいのだろうか?「ドライブを引く」はときどき耳にするが、「ツッツキを引く」は聞いたことがない。「つっつく」が無難だろう。
類義語について
「サービスを出す」のようにポイントを始める意味は「出す」で問題ないが、「サービス」と「サーブ」の意味に違いがないのが気になる。語形が違うのだから、意味にも違いがあってほしい。
「ポイント」というのも曖昧な表現である。
「むやみに強打を打つのではなく、ポイントになるような攻撃をしないとダメだ」と
「さっきのポイントの4球目のコースは絶妙だった」
の「ポイント」の意味は異なる。後者は「ラリー」の意味に近いが、レシーブミスで得点した場合は「ラリー」は使えない。この「1点を取るためのボールの打ち合い」を表す別の表現がほしい。
相手のスボンの右ポケットあたりを「ミドル」と呼ぶが、相手の位置にしたがってミドルの位置は移動する。それに対して台のセンターのことをミドルと呼んだりする。「フォア・ミドル・バックの3点に返球してください」などという場合がそれである。しかし、ペンドラのようにかなりバック側で構えている相手に「ミドルにサーブを出せ!」と言った場合、ある人はバック側に、ある人はセンターに出せという指示だと解釈するだろう。
「コート」と「エンド」というのも使い分けが曖昧である。コートというと、テニスやバスケなどで走り回る場所を指すような気がする。卓球では台の上を走り回らないのだから、エンドのほうが卓球台の半面を指すのに適切だろうか。では、卓球でプレーヤーが動き回る場所は何と呼ぶのだろうか?ルールブックによると「競技領域は、長さ14m、幅7m以上の長方形で、高さ5m以上なければならない。」とあるので、「競技領域」というのが正式名称らしいが、普段の会話では使いづらい。
漢字のよみ方について
ウラメンとリメンはどちらも通用しているが、私はウラメン派である。ペンの表面をオモテメンと呼ぶなら、裏面はウラメンと呼ぶほうが筋が通っている。
同様に「戦型」はセンガタとセンケイのどちらも通用しているが、私はセンガタ派である。「守備型」「カット主戦型」はガタとよむのだから、「戦型」もセンガタのほうが筋が通っている。
カットマンとドライブマン
女子選手を「カットマン」と呼ぶのがモヤモヤする。なので私は「カット型」と呼ぶことが多い。同様に「ドライブマン」というのもモヤモヤする。片面ペンでドライブも打つが、スマッシュも多い選手はどう呼べばいいのか。昔は「ロングマン」という言い方もあったが、最近はあまり使われない。ザクッと「攻撃型」がいいと思う。「攻撃マン」という言い方もよく聞くが、これを使うとモヤモヤがぶり返してしまう。
ペンホルダーグリップとペンホールドグリップ
英語ではpenhold gripのほうをよく見かける。ペンホールドグリップを使う選手をペンホルダーと呼ぶのがいいのかなと思うが、よく分からない。モヤモヤする。
シングル・ダブル
一般的に「シングルス」「ダブルス」と呼ばれるが、あの「ス」は一体なんなんだろう?トーナメント表などで、ダブルの試合がたくさん並んでいるなら「男子ダブルス」と表現するのは理解できる。「ダブル」が複数あるから、「ス」は複数の意味である。しかし、団体戦で「次の試合、俺はダブルスに出たい!」などという場合、「ス」の意味はなんだろう?ITTFの英語のサイトなどをみてもdoubleはほとんど使われておらず、doublesが使われている。その"s"の意味はなんなんだ!?
ここまで読んでいただき、「気にしすぎだ。どんな表現を使っても、通じればいいではないか。」と思われる方が多いと思う。私もこんなことを気にするなんて神経質すぎやしないかとは思うのだが、気になってしまうのだから仕方がない。
そういえば「クラブチーム」ってなんなんだろう?楽しむためのクラブなのか勝つためのチームなのかどちらかはっきりしてほしい…というようなモヤモヤが絶えず湧き上がってくるのが私の頭の中なのである。
コメント
コメント一覧 (7)
詳しくないですが、テニスとかバドミントンはスライスを返すことを「スライス打ち」のように言わない気がしますね。
シロノ タツミ
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私も卓球界の用語にはモノモウシタイ例がたくさんあります。
シロノ タツミ
がしました
一番気になるのは「ナックル」です。
卓球では、無回転という意味で使われます。特に、上下回転に比べて回転量がかなり少ないという意味で使われるかと思います。
しかし、ナックルという言葉に無回転という意味は無いと思います。
当然、野球の変化球のナックルボールから来ていると思うのですが、ナックルボールの語源は、投げる時のボールの握り方の手の形から来ているはずです。
そのナックルという言葉を卓球の無回転に使うことはたいへんに違和感があります。
野球のナックルは、揺れて落ちる魔球というイメージが強く、卓球でナックルというと「上下回転との回転量のギャップが重要」という性質よりも、何かすごい魔球みたいなイメージが先行してしまうのも嫌です。
…かと言って、代わりななる良い用語も思いつかないのですが(笑)。
シロノ タツミ
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コメントありがとうございます。
「○○打ち」は本当に困りますよね。かといってそれを他の言葉で置き換えると冗長になってしまいますね。「対ツッツキのドライブを打つ」とか。なんともモヤモヤします。
シロノ タツミ
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コメントありがとうございます。
「ナックル」にモヤモヤするとのこと、意外な感じがしましたが、語源を聞いて納得です。「無回転」とか「微回転」のように置き換えられそうですね。
そういえば今思い出しましたが、YGサーブがモヤモヤします。だから私は「逆振り子サーブ」を愛用しています。
シロノ タツミ
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着眼点が鋭いですね。ダブルス、シングルスが複数形なのは理由がありそうなので英英辞典で調べてみましたが、ゲームに参加する対戦者が自分側と相手側の2組いるからのようです。
シロノ タツミ
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"s"の意味を英英辞典で調べてくださったとのこと、ありがとうございます。
卓球は対人競技なので、どの種目でも"s"をつけるのが正解ということなんですね。
団体戦なら、teamsとなるんでしょうか。
となると、"s"は、もはや複数の意味ではなく、競技の種目名を表すということになりそうですね。
シロノ タツミ
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