最近のウクライナ情勢についての情報を総合すると、どうやらロシア軍はもっと容易くウクライナを掌握できると思っていたらしい。だが、頭で考えた作戦と実際の戦争はかけ離れたものであり、不測の事態が続出。ロシア軍は作戦の大幅な修正を余儀なくされているようだ。

rosiagun

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久しぶりに試合に出ることになったので、より実戦的な練習を行うことにした。

「私ぐらいのレベルではつまるところ、ラリー力よりも、サーブとレシーブが勝敗を決する鍵になる。とにかくレシーブを強化しなければ。」

と、フリックやチキータの練習を重点的に行った。

「なかなか安定してきたぞ。あとは、ロングサーブに対するこちらのバックドライブに不安が残る。これも徹底的に練習しなければ。」

下系ロングサーブをバックドライブで迎撃する練習にも余念がなかった。そんな感じで数週にわたってレシーブを強化した上で試合に臨んだのである。この特訓で自分の実力の7~8割程度は試合で発揮できるはずだった…。

1試合目。試合前のフォア打ちの時点で相手の方が格下だと直感した。相手のフォームがあまりきれいではなかったのである。あのフォームでは厳しいボールを安定して打ってくることは、まずないだろう。片面ペンで、回り込む足もなさそうだし、相手のバック側にボールを集めれば、たぶんなんとかなる。よし!まず台上から積極的に攻撃してバックを狙っていこう。

相手のサーブは大して切れていない、ナックルに毛の生えたようなショートサーブが主体だった。特訓した私のフリックやチキータが火を吹くはずだった。が、吹かなかった。なぜか。ふだんの練習で打ち慣れているボールとはかなり違うのである。練習のときはそこそこ回転のあるきれいなボールをフリックやチキータで練習していたのだが、ほとんど回転のない、飛んでくるタイミングも不揃いの浅いボールに対すると、打っても入る気がしない。何度かフリックを試みたが、いずれもミスしてしまった。いや、もちろん練習のようにフォア前にストップが来ると決められていれば、ボールの質が違っても、余裕でフリックできたはずだが、これは試合なのである。相手はいかにもバックのほうへサーブを出しそうな素振りをして、フォア前に切れていないショートサーブを出すのである。私はとっさにフォア前に来たボールを落ち着いてフリックできる自信がなかった。フリックやチキータはこの試合では封印するしかなかった。結局試合で頼りになる台上技術は、フリックやチキータではなく、地味なツッツキとストップだったのである。

日ペンだからバックにボールを集めれば、厳しいボールは返ってこないというのも私の見込み違いで、バックに軽く返球すると、鋭いバックプッシュが返ってきて、全く対応できなかった。バックを狙うのはやめておこう。

そんなこんなで情けないミスを連発しながらも、なんとか勝つことができた。それにしてもあの特訓はいったい何だったのだろう…。

2試合目。相手はこちらのバック側に速いロングサーブを多用してくる人だった。特訓したバックドライブが火を吹くはずだった。が、案の定、吹かなかった。私がふだん受け慣れているロングサーブとスピードも深さも違っていたのである。その上、ちゃんと入るかな?という不安が体を縮こませてしまい、思い切りバックドライブが振れなかったのである。こんなバックドライブでは使い物にならない。結局ロングサーブに対してはツッツキで返球し、それを相手に打たれたらブロック。そして機会を窺ってフォアドライブ。試合で頼りになるのはバックドライブではなく、ブロックとフォアドライブだったのだ。この試合ではいいとこなしで、無様に負けてしまった。

練習と試合は違う。それは頭では分かっていたつもりだったのだが、実際の試合では私が思っていた以上に使える技術は限られていた。初めて戦う相手に、慣れない球質。緊張で足も止まるし、どんなボールが来るか予想がつかない。そんな状況でもある程度の余裕を持って安定して使えるのはツッツキ、ストップ、ブロック、フォアドライブであった。練習でこれらの技術に絞って精度を上げていたら、もっと有利に試合を進められたに違いない。

昔、宇宙刑事ギャバンというヒーロー物のドラマで魔空空間という設定があった。

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悪者がギャバンを異次元の魔空空間に引きずり込んで、そこで戦うことになるのだが、魔空空間内では敵の能力が3倍にパワーアップするという設定だった。卓球の試合でも同様に「試合空間」とでも呼ぶべき異次元空間にいるかような錯覚を覚える。そこでは自分の能力は1/3程度しか出せず、練習時にできていたことの多くができなくなってしまうのである。もっと試合での場数を踏まないとダメだ。練習だけでは自分に何が欠けていて、何を強化すべきかが分からないのである。

全日本でスーパーシードが初戦敗退したり、先週末のWTTスマッシュという大会でも、張本選手が格下相手に敗れたりということをみると、プロの選手でも「試合空間」では思うように実力が出せないのかもしれない。