男と女は同じ種でありながら、理解しあうことが難しい。いや、もしかしたら永遠に理解し合えない存在なのかもしれない。幼いころから異性と接してきた時間はとても長いはずだが、にもかかわらず異性を知れば知るほど分からなくなってくる。どうして大半の女性はおしゃれなカフェが好きなのか。どうして卓球に興味がないのか…(男でもそういう人はたくさんいるが)

卓球を始めて、数か月もすれば、下回転との付き合いが始まる。昔は下回転なんて大して難しいボールではないと思っていたが、上達するにつれ、下回転は私の意に反した行動をとるようになってくる。「こうすれば持ち上がるはず」と思って打ったドライブがあえなくネットにかかったり、ふつうに切れてると思っていたサーブをつっついたら浮かせてしまったり。
こんなに長い間付き合ってきても、いや、付き合いが長くなればなるほど分からないことが見えてくる。考えてみれば、私が苦杯をなめさせられるのは、たいてい下回転やそれをめぐるボールであり、下回転との付き合い方さえ理解できれば、卓球はこれほど難しいスポーツではなかったはずである。反対に下回転が卓球に深みを与えているということもできる。


下回転打ちは卓球の基本であり、これが上手にできるかどうかで戦績が大きく変わってくる。
練習で下回転を打つのは簡単なのだが、実戦では非常に難しく感じる。どうしてだろうか。
おそらく私の中で下回転との付き合い方が曖昧だからだろう。今まであまり真剣に考えてこなかったが、下回転打ちはもっと研究しなければならないと思われる。

下回転を返球する一般的な方法はボールをこすりあげるドライブである。

こすりあげるのだから、下から上にスイングするのは当然…なはずなのだが、不思議とそれでボールを落としてしまうことが多い。「絶対落としたくない」と力めば力むほど下回転はよく落ちる。

下回転が強ければ、上方向にこすりあげる。下回転が弱ければ、前方向にこする。これが私の常識だった。しかし、世間の常識はどうやら違うようだ。

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村田さんが教える!力のない人でも下回転を簡単に撃ち抜ける方法!
https://www.youtube.com/watch?v=IY45jOxwchY

下回転を真下から真上にこすり上げようとすると、回転量が合わず(?)、落としたり、あるいはオーバーさせたりしてしまう。村田氏の下回転打ちはあまり上方向に振らないらしい。うすうす感づいていたことなのだが、スイングは横方向ぎみに、面の開き具合によってはほぼ水平でも大丈夫だというのである。そして打点は、おそれず頂点前で当てる。

同じ、森田氏のチャンネルでゴブリンズのヤンマ氏がバックドライブを指導していた。
ここでも私の常識が打ち砕かれた。ドライブはボールはこするのではなく、当てる、あるいは乗せるのである。

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面を垂直ぎみに立てて、弾くように下回転のボールに当てれば、ボールはネットを越える。

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この角度のままで上ではなく、横に振るのである。

バックドライブ「ヤンマ砲」を子供達に伝授してもらった
https://www.youtube.com/watch?v=XEh7Do0J7xw

この打ち方は…私が以前「ペタっと当てる」と言っていた触り方である(前記事「この当て方で何かが変わる」)。これが「乗せる」ということだったのか。おそらく村田氏もこの「乗せる」打ち方を実践していると思われる。
ボールをこすり上げるというのは、言葉の綾であって、現実はボールがラバー上を転がるわけではなく、ボールがラバーに触れるのは一瞬、一点である。それは知識としては知っていたのだが、なんとなくボールをこすってラバー上で転がすように打っていたのだが、そのイメージで打つのがそもそもの間違いだったらしい。
なお、打点はヤンマ氏も頂点前を勧めていた。

横に振るというのは、ドライブだけでなく、ミート打ちでも有効だと思う。
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塩見真希のカウンターミートスマッシュ
https://www.youtube.com/watch?v=IMOR12-Zuzg

琉球アスティーダのフォア表の塩見選手のスマッシュの練習動画を見ていると、後ろから前に振るというより、明らかにラケットが横方向に抜けるように打っている。これが縦回転に影響されにくい打ち方なのだろうか。
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早めの打点で乗せることを意識して、ぶつけるように横方向ぎみにスイングする。
これが上述のまとめなのだが、私の下回転に対する認識は確実に進歩しているのを実感する、にもかかわらずおそらく下回転はまた新たな疑問を私に突きつけることだろう。知れば知るほど別の一面を見せる下回転。その奥深い魅力が多くの卓球人を惹きつけてやまない。