しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2014年03月

1週間以上練習していないので、前回の練習で掴んだ感覚を忘れつつある。これではいけないと思い、シャドー・プレーというのをしてみることにした。単なる素振りではなく、実際のシチュエーション――たとえばサービスから相手のレシーブをフリックで起こし、ラリーにつなげるというシチュエーションで素振りをするのだ。今風に言えば、「エア卓球」である。「脳内ラリー」とともに、台に着けないときには効果のある練習法だと言われている。

そんな練習をしていて、自分のスイングスピードがかなり遅いことが気になった。理由は分からないが、なんだかラケットが重く感じる、スイングに力が入らない…ような気がするのだ。この気持ちの悪い状態をなんとかしたいとむやみに素振りをしてみたのだが、やっぱり何かが狂っている。

そんなとき、目に止まったのが2kgのダンベルだった。それを握って素振りをしてみると、重すぎてとてもまともに振れない。スイングの終点で腕が引っ張られる。しかし、これだけ重いと、腕だけで振れないので、身体全体で振ることになり、もしかしたらスイングにいい影響をもたらすかもしれない。

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見目剛廣氏も「超効くコツDVD」の中でダンベルの素振りを勧めていた。スイングを楕円にするのに効果があるとのこと。

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100円ショップでもこんなスタイリッシュなダンベルが売っているらしい

しばらくダンベルで素振りをしてから、ラケットに持ち替えて素振りをしてみると、驚くほど軽い。力を入れずに速いスイングスピードで振ることができる。これはもしかしたら使えるかもしれない。

マラソンで高地トレーニングというものがある。酸素濃度の薄い高地で身体に負荷を与えてトレーニングし、身体を高地の環境に慣れさせてから、平地でレースに出ると、驚くほど身体が軽くなるのだという。最近はわざわざ高地に行かずとも、酸素濃度を薄くしたトレーニングルームがあって、そこで手軽に「高地トレーニング」ができると聞いたことがある。競技によっても効果は違うと思うが、持久力に結果が左右される競技なら、平地でトレーニングを続けたときよりも好成績が出るに違いない。またもや私の思い込みかも知れないが、同様に試合の直前にダンベルによる素振りを1時間ほど続けたら、試合でラケットが軽く感じ、スイングスピードが速くなるのではないだろうか。

【追記】140510
これで完ぺき!卓球』(ベースボールマガジン社)によると、ダンベルはラケットハンドだけでなく、フリーハンドにも持ったほうがいいのだという。そうしないとバランスが崩れてフォームが歪んでしまうようだ。 

東京に行く機会があったので、以前から訪れてみたかったWRMに行ってみた。今回はその感想などを書いてみたい。

WRM高田馬場店はJR高田馬場駅を出て左に曲がったすぐ近くの路地裏にあった。あたりには一癖ありそうな店が。
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改札口正面のBAR 信「美人半額 ブス無料」 オッサンなら何割引なのだろうか?

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WRMの近くにある野郎ラーメンのイチオシメニュー「豚野郎」

WRMは普通の卓球屋と違うのだろうか?WRMのウェブサイトにはこんな宣伝文句がある。

「ラケットにラバーが張って試打できて嬉しいぃぃ!」
「こんなラバーみたことねぇぇぇ~」
「見てるだけで楽しいぃぃ~~~~~~~」

来て見て触って楽しいお店です

「ラケットにラバーが張って試打できて」というのはどういう意味だろうか?「ラバー張って試打できて」という意味だろうか。現実的に考えると「ラバーが張ってあって試打できて」という意味だろう。 いや、もしかしたら試打用のラバーが用意してあって、ラケットを持って行ったら、貼って打たせてもらえるのかも?とにかく「楽しい」店にはちがいない。

そんな期待を胸に高田馬場店の入り口をくぐった。6畳一間のワンルームマンション、そんな感じの店内にラバー、ラケット、DVD、雑誌、小物などが売られており、中央に小さな卓球台が置いてあった。そして若い男性の店員さんが1人いた。WRMのネットショップと比べると、それほど在庫は多くないように感じられた。そこで、上の疑問――自分のラケットにラバーを貼って打たせてもらえるかどうか聞いてみたところ、そういうサービスはないとのこと。残念。そうではなく、王道シリーズに店で販売されているラバーが貼ってあり、試打させてもらえるという。そんな試打用ラケットが10本強あっただろうか。どれもラバーフィルムが貼ってあり、きれいな状態が維持されている。

私は現在、特に用具を必要とはしていなかったが、せっかくWRMに来たので、ここでしか買えないような中国ラバーを記念に買っていこうと思った。実店舗でラバーを買うのは久しぶりだ。私は指導者から柔らかく、それほど弾まないラバーを使って基礎を固めるよう言われていたので、一般的な硬い中国ラバーではなく、柔らかい中国ラバーを買ってみようと思った。ヴェガのようなシートの柔らかい、粘着なしの、安価なラバーがあればよかったのだが、そういう製品は扱っていない。安価なラバーはあるのだが、「シートが柔らかい」と「非粘着」を兼ね備えたラバーは中国ラバーではほとんどないらしい。私の示した条件に近い製品として土星PROというのがある。スポンジが柔らかく、2500円ほどで、なかなか安い。ただ、微粘着である。試打させてもらったところ、なかなか扱いやすかったので、購入しようと思ったが、あいにく在庫切れだった。MAZE PROというのも比較的柔らかめだったのだが、私の基準では硬すぎた。
せっかくWRMに来たのに、何も買わないで帰ったら、もったいない(?)ので、ラケットでも買っていこうと思い、店員さんに相談してみたところ、天王星Uranus3【スタンダードな7枚合板】 が3000円ほどだったので、これにしようと思った。

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ウラヌス3 中国式 2980円!

店員さんイチオシとのこと。いまどき、信じられない価格である。
ただし、過剰な期待はしないほうがいい。品質的にはそれほど高いとはいえない。

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写真中央(上板に亀裂が入っている)に注意

信頼性を考えるなら、実売4000円ほどになるが、スワットのほうが間違いがないかと思われる。

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私はラケットはたくさん持っているし、ウラヌスは気分転換用ラケットとして購入したので、値段を考えれば不満はない。3000円のラケットに5~6000円のラケットと同等の品質を期待するほうが間違っていると私は思う。
それよりも、店員さんに聞いたラケットの話のほうが値打ちがあった。

当たり前のことかもしれないが、店員さんによると、「いい」ラケットというのは、つまるところ、人それぞれだということなのである。
高級ラケットというのは素材や品質が「いい」というだけで、使う人に合うかどうかまでは保証していない。2万円近い高級ラケットよりも、5000円ほどの入門者向けラケットのほうが、気持よくボールが打てるというのは十分あり得る話なのだ。現に、さまざまなラケットを試してきたであろう店員さんのお気に入りラケットはスティガのオールラウンド・エボリューション(実売6000円ほど)だった。

また、ラケットは木材を使用しているため、どうしても個体差が出てくるのだという。同じラケットでも重量が重い個体と軽い個体があることはよく知られているが、打球感にも私が思っていた以上に幅があるらしい。
店員さん曰く
「海外で売られているスティガのラケットは、自分にとって60点の個体もあれば、120点の個体もある。一方、バタフライのラケットはどれも80点ほどの個体ばかりである。」
だから、海外のスティガのラケットは「おもしろい」のだという(国内に出回っているものはそれほどの個体差がないという)。
1つのラケットに惚れ込んで、何本も同じラケットを買って、それぞれの個性を比べてみるぐらいの執着がなければ、真に満足できるラケットには出会えないということなのかもしれない。私の購入したウラヌスは傷やひび割れといった細かい問題点はあるが、そういった小さな瑕疵を帳消しにしてくれるような、私好みの打球感であることを期待する。

ラケットの「しなり」についても質問してみた。私は「しなり」というのが分からない。あれは気のせいなのではないかと。
店員さんの答えは「しなりは確かにある。それは否定しようがない」ということだった。ただ、ペンホルダーの場合は、中指で支えてしまうため、それが感じにくいとのこと。しなりとは、打球時のブレードの反発の遅れであり、ボールのインパクトの力をそのままストレートに伝えて反発するのは「しならない」ラケット。ボールのインパクトを柔らかく受け止めて、やや遅れて反発するのが、「しなる」ラケットなのだという。しなるラケットは反発までに微妙なタイムラグがあるため、球持ちがよくなり、ボールをコントロールしやすいというメリットがあるという。そうすると、上板が硬いタイプのブレードはしなりにくいということになるだろうか?

…などと、店員さんにいろいろな質問をぶつけて1時間以上、長々と話し込んでしまったのだが、高校生らしき別の客が来店したため、そろそろおしゃべりは切り上げたほうがいいと判断した。高校生はあれこれラケットを触ってみて、おもむろに試打用ラケットのフィルムを黙って剥がし、弾力などを確かめ始めた(試打用とはいえ、こんな狭い店で、黙って店のラケットを触るのは印象悪いよー。一言断ろうよ)

WRM高田馬場店訪問は、お目当てのラバーを買うことはできなかったが、激安ラケット(ネットショップでは完売)を購入でき、店員さんの用具論などを聞かせていただき、とても楽しく過ごせた。WRM高田馬場店を訪問するなら、用具についての疑問を店員さんにぶつけてみれば、いろいろおもしろい話が聞けるのではないかと思う。ただ、店員さんは何も疑問を持っていない人には講釈をしてくれないと思われる。「憤せずんば啓せず。悱せずんば発せず」である。

【謝辞】
怪しいオジサンのおしゃべりに長時間付き合ってくれた店員さん、どうもありがとうございました。また機会があれば、訪れてみたいと思います。

【追記】150110
ウラヌスをある程度使ってみた感想を書いてみたい。
レビューというほど詳しいことは分からないのだが、普通にいいラケットだったと思う。
「いい」というのは、打球感に満足したという意味である。
私は用具の「味」が分からないので、その程度の感想しかない。
普通に弾むし、普通にボールが入る。高級ラケットほど心地よい打球感ではないが、値段を考えれば十分満足の行くラケットだと思う。
 

先日、ラージボール卓球用のニッタクのプラスティックボールを打つ機会があったので、打った印象を簡単に報告したい。
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・硬い打球感
ふだん打っている、ニッタクの練習球トップラージボールよりも肉厚で硬く感じた。打つと、カリンカリンという音がトップラージボールよりも派手に鳴る気がする。これはスリースターで高級なものだったからかもしれない。プラスティックの練習球が発売されたら、もっと柔らかい打球感になるかもしれない。 

・飛ばない
相手コート深くドライブを打ったつもりでも、ネット際に落ちる。
オーバーしたと思ったボールが入る。
急激に減速するためか、初めのうちは空振りが多かった。

・回転がかかりにくい?
これははっきりと意識できたわけではないが、ドライブを打っても回転がかからないように感じた。

耐久性については、よく分からないが、新品のボールが1時間ほどで割れてしまった。これはたまたま相手のラケットのB面にラージ用のラバーではなく、一枚ラバーが貼ってあり、それで何度も強打したためだと思うので、はっきり評価できない。おそらく耐久性は従来品と比べてあまり変わらないのではないか。

プラスティック硬式球の40+ボールは回転がかかりにくく、スピードが出ない傾向にあるらしい。つまりラージボールに近づいているわけである。そのためだろうか、新しいラージボールは、従来のものよりもよりスピードと回転を抑えているように感じられた。ラージの硬式化が進んでいたので、その縮まった距離を改めて広げるべく、ラージの当初の理念――スピン・スピード控えめ――に立ち返ったように感じられ、歓迎すべき変化だと思う。

高校選抜が大津市で行われているというので、観に行ってみた。京都の中心から大津までは電車で20~30分ほどで行ける。高校生の全国大会を観に行くのは初めてだった。そもそも高校選抜というのがどういうものかも分からず、会場に行ってみた。

滋賀県の県立体育館はJR膳所(ぜぜ)駅から歩いて20分ぐらいだろうか。 大津のランドマーク、プリンスホテル

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屹立するプリンスホテル。こんな立派なホテルの需要がこの辺りにあるのだろうか?

の隣にある。この辺りは琵琶湖の湖畔で、風光明媚なところである。滋賀県を代表する進学校(たぶん)、膳所高校があることから、教育環境も整っており(たぶん)、人気の住宅地である。体育館の近くにはたくさんのマンションが建っている。
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30階ほどもあるマンション。琵琶湖から吹き付ける風で寒そうだ。

会場についたのは16時頃。ジャパン・オープンのように20時ぐらいまでやっていてくれればいいのだが、もしかしたら、15時ぐらいで終わっているかもしれない…などと心配したのだが、16時の時点では、まだ試合が行われていた。

「全国大会とはいえ、こんな平日に高校生の大会を観に行く人は多くないだろう。寒々しい雰囲気のなか、高いレベルの戦いが繰り広げられているのだろうか」

などと思っていたのだが、会場は満員。しかもすごい熱狂だった。選手も応援も声を限りに叫んでおり、耳が痛くなるほどだった。高校生の全国大会を初めて観たが、多くの選手は自らを鼓舞するためか、得点するごとに両足でジャンプしながら両手をグルグル回していた。
観客で会場がいっぱいだったが、どうやらみな関係者のようだ。各チームのメンバー、選手の保護者、OBが9割以上を占めており、私のような、まったく無関係な観客はほとんどいないようだった。ちなみに入場は無料。

空いている席があったので、そこに座ってみたが、周りは東山高校の関係者ばかり。

「もしかしたら、ここは東山高校の席で、勝手に座ってはいけないのかも…」

不安になって隣の人に聞いてみたら、席は自由でどこにでも座っていいのだという。ちょうど目の前で東山高校と鎮西学院の団体戦が行われていた。

「あのぉ、今、お話ししてもいいですか?」
「はい」
「今、団体戦をやっていますけど、個人戦はないんですか?」
「個人戦はあることはあるけど、団体戦に出ている選手は個人戦に出られないんですよ。2部だけにシングルスがあるんです」

どうやら、全国トップレベルの選手は団体戦のみの出場のようだ。
2日目の今日は予選がほぼ終わり、決勝トーナメントだったはず。

「おっ!向こうでは希望が丘の女子が試合をしているぞ!」

前田美優選手がダブルスをやっていた。 じっくり観戦しようと思ったが、その手前では四天王寺の阿部愛莉選手がダブルスをやっていた。

「女子選手とは思えない派手なラリーをするなぁ。さすがインターハイチャンピオン」

と思ったら、その手前で愛工大名電の松下大星選手がダブルスをしている!

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う~ん、どれを観よう…目移りしてしまう。と思ったら、希望が丘の試合はすぐに終わってしまい、四天王寺の試合もまた、まもなく終わり、愛工大名電の試合もほぼ同時に終わってしまった。

その後、希望が丘の男子の試合と、明徳義塾の男子の試合が終わり、全試合が終わった。17:25だった。

あと1時間早く会場についていれば、もっとたくさんいい試合が楽しめたのになぁ。それから青森山田の試合が観られなかったのが心残りだ。

いまどきの高校生は日本のトップレベルを脅かすほどの実力を持っている(前記事「TOKYO OPEN 2014」)。こんな試合が無料で観られるのだから、なんだか得をした気分になった。また機会があれば、高校生や大学生の試合を観戦したいと思った。

なんとはなしにyoutubeを見ていたら、私のふるさとの社会人卓球大会の動画が上がっていたので、懐かしくなって観てみた。なんと、そこには私の中学時代の後輩が映っていたのだ。

「まだ、卓球を続けていたんだ。それにしてもどうして彼が?」

Tくん(後輩)は、当時からあまり上手な方ではなかった。一言で言えば、「イチかバチか卓球」で、ちょっと浮いたらがむしゃらにスマッシュを打ってくる卓球だった。それが高確率で決まれば強いのだが、たいていはミスだったので、あまり好成績は残せなかったと思う。あまり上手でないTくんがいまだに卓球を続けており、とても上手だったYくん(前記事「あたし、ついていけそうもない…」)が卓球を止めてしまったというのは皮肉なことだ。あれから数十年経っているのだから、卓球センスのないTくんも、さぞや上達していることだろうと思ってTくんの試合を観てみたのだが、全く変わっていなかった。あれだけ問題のある卓球をしていたのだから、伸びしろは抜群のはずだが、全く伸びていない。三つ子の魂百までというが、中学時代の卓球をそのままやっていて、懐かしくもあるが、ビックリさせられた。私はTくんの卓球人生に思いを馳せ、非常に興味をもった。彼にはこの数十年、何も起こらなかったのだ、こんなこともあるのかと。

これほどまでに上達せず、徒に時を重ねるだけの卓球人生というのはどうすれば可能になるのだろうか。想像してみると、以下のようになるのではないだろうか。

卓球が上達するかどうかは、指導者と練習相手、練習メニューに大きく左右される。

社会人になってから指導者に就く人はそれほど多くないだろうし、私の地元はずいぶん田舎だったので卓球教室等は皆無だった。したがってTくんは指導者には就かず、我流で卓球を続けていると思われる。

また、練習相手も、それほど上手な相手に恵まれなかっただろう。Tくんのイチかバチか卓球は多くの人に敬遠される卓球である。少しでも浮いたら攻撃してくるものの、成功率はせいぜい3割未満なので、相手の練習にならない。Tくんの攻撃は一発で決めに来る攻撃なのだ。もしTくんがブロック等の守備が上手で相手に先に攻めさせてあげる度量を持っていれば、相手をしてくれる人も出てこようかと思うが、Tくんはおそらく相手に攻める余裕を一切与えず、とにかく先手を取って一発で決めるか、自爆するかのどちらかだったと思われる。その証拠に上の動画でブロック等の守備技術が、とりたてて上達しているようには見えなかった。

最後に練習メニューだが、効率のいい練習メニューをこなすには、どうしても指導者や、決まったパートナーの協力が必要になってくる。地域のクラブなどで、いきあたりばったりの練習相手に「フォア側2/3で回してください」などという細かいシステム練習等は頼みづらい。なんとなく、フォア打ちをして、バック対バックで打ち合って、ドライブ対ブロックとか、切り替えのような練習をして、じゃあ、2本ずつのサービスから試合形式でやりますか、となってしまう。Tくんの練習メニューもこの想像とさほど変わらないのではないだろうか。指導者に就かず、上手なパートナーにも恵まれないとしたら、こういう工夫のない練習メニューになる可能性が高い。
また、効率のいい練習をするには、まず自分の卓球のどこに問題があるかをつきとめなければならない。自分の弱点をシステム練習で集中的に改善するのだから、練習メニューを作る前に、まず自分の卓球を省みなければならないだろう。Tくんにはその反省と工夫が欠けていたのではないか。

こう考えてみると、指導者・パートナーの存在が練習メニューの前提になってくるのが分かる。効率のいい練習メニューをこなすにはパートナーの協力が必要だ。しかし決まったパートナーがいなくても、指導者がいれば、適当に相手をみつくろってくれるから効率のいい練習メニューをこなすことができる。

十年一日のごとく、進歩のない卓球になってしまう原因はパートナーの存在にあると思われる。卓球が上達する最短ルートは上手な人に定期的に相手をしてもらうことだというのが私の持論である。しかし、上手な人はもっと上手な人に相手をしてほしいと思っていて、下手な初中級者には目もくれない。初中級者はミスが多く、打ったボールが返ってこない。しかも切れたサービスも出してくれないし、打ってくるボールのスピードも遅いので勘が狂う、練習にならない。切れたボール、速いボールにふだんから慣れておかないと、試合で勝てないので、上級者はそういう相手を求める。さらに社会人のように練習時間が限られている人なら、1分でも多く、切れた速いボールを受けたいと思うに違いない。週にわずか2~4時間の練習時間は萬金に値する。ミスばかりで、ムチャクチャに強打してくるだけの初中級者の相手などしている暇はない。

私は上級者に相手をしてもらえる幸運にめぐりあったら、いつもこう云うことにしている。

「好きな練習をしてください。指定の場所に返します。私は受けるだけでいいです。」

と。自分が打つ練習はせず、ひたすら上級者に打たせてあげる練習をするのである。上級者のボールを受けさせてもらえるだけでも、こちらは練習になるし、上級者のボールを受け続ければ、守備技術やコントロールが向上する。こちらの守備技術やコントロールが向上すれば、上級者も最低限の練習にはなる。ミスなく上級者の打つボールを止めることができれば、上級者に相手をしてもらいやすくなる。

他にも上級者の相手をしてもらえるいい方法があればいいのだが、私は他にいい方法を知らない。Tくんも、自分から先に打つイチかバチか卓球ではなく、ひたすら相手に打たせてあげる「お先にどうぞ」卓球に徹すれば、いいパートナーにめぐりあえる可能性が高まり、わずかながら、上達する目もあったのではないかと思う。

オレがオレがの我(が)を捨てて、おかげおかげの下(げ)で生きろ!

人生は長い。何歳まで卓球ができるか分からないが、60代までなら競技的な卓球も十分できるように感じる。70代で競技的な卓球は難しいかもしれないが、それでもピンポンではなく、卓球らしい卓球ができると思う。

卓球を生涯にわたって楽しむためには、数十年先を見越した長期的な計画が必要だ。私はまずパートナーに嫌がられない(できれば好かれる)卓球こそが着実に上達するための第一歩だと信じている。


【付記】
反対に上級者にとっての先を見越した卓球計画というのはどういうものだろうか。
私のような下手な人間には想像もつかないが、世間の上級者の多くは、学生時代が競技力のピークで、それからはどんどん弱くなっていくという。
学生時代に全国大会に出場したような人も

「社会人になってからは、往時の強さは望むべくもありません。それどころか今の実力を維持することさえも難しいんです。落ちることは避けられません。だからできるだけ落ちるスピードを緩やかにしたいと思っています。」

というようなことを言っていた。 
私のように学生時代にちゃんと卓球をやっていなかった人間は、社会人になってから上達することもありうるが、学生時代にバリバリやっていた上級者で、社会人になってからも上達する人は少数派だろう。大半の人は30代以降、急激に弱くなっていくのだ。

卓球のリズムの取り方として、ボールのバウンドと打球に注意してリズムを取るというものがある。

相手の打球→バウンド→自分の打球

という3拍子でリズムを取るやり方だ(前記事「リズムのとりかた」 「感覚を味わう」)。

しかし、これを徹底しようと思ったら、どうしても下半身を使わなければならないということがわかってきた。上半身だけでこのリズムをとっていたら、棒立ちで抑揚のない卓球になってしまう。

プロの動画等を見ていると、基本的には

自分の打球(バン)→位置・姿勢の調整(トン)→ 身体の沈み込み(グッ

という3つの要素を繰り返してラリーをしているように思える。ただ、ボールのスピードに応じて、トンが1回のときもあれば、2回になるときもある。ピッチの早いラリー中なら、トンは基本的に1回ではないだろうか。



下の動画の森田翔樹選手は、森田選手自身のピッチが早いためか、「バン・トン(1)・トン(2)・グッ」の4拍子が多いようだ。トン(2)は相手の打球にリズムを合わすための単なる「休みステップ」なので、本質的ではない。トン(1)が重要だと思われる。



このようにバンとグッの間に上手にトンを入れてリズムをとることが卓球のリズムの取り方の基本ではないかと思われる。

しかし、このトンは私には難しい。バンのあとに、その位置のまま、すぐグッを入れてしまうのだ。バンで前に踏み込んだりした後、トンで少し後方に下がり、相手の打球を見て、グッに入らなければならないのだが、「バンの位置のままグッ」になりがちだ。トンを入れないと、タイミングが狂ってしまう。3要素で成り立つリズムを2要素にしてしまうと、リズムが破綻してしまうのだが、どうしてもトンを忘れてしまう。

演劇で感情を込めて抑揚をつけながらセリフを言える人と、それがうまく言えず、棒読みっぽくなってしまう人がいる。セリフを言う自分を客観視してしまうため、照れが出て、うまく「芝居がかれ(没入でき)ない」のだ。カラオケでも歌唱に没入して大げさに抑揚をつけながら歌える人と、平坦に音程だけを合わせて歌う人がいる。ダンスでも同様だ。気合を入れてその行為に没入していないと、「棒読み」になってしまう。

こういうことが卓球にも言えると思う。卓球の下手な人は棒立ちで上半身だけを素早く、小さく動かすが、そうすると、リズムに乗れず、「バン→グッ」の2拍子になってしまう。そうではなく、下半身を十分に活用することを意識し、芝居がかって大げさに身体全体を動かさないと、うまくリズムに乗れないのではないだろうか。もっとも、そのようなリズムがすでに身についている上級者はそれほど大げさに動かす必要はないだろうが、リズムが身についていない初中級者は大げさすぎるぐらいに身体を動かしてリズムを身につけるのが先決ではないだろうか。

【付記】
ジャズでスウィングという術語がある。正確で機械的なテンポよりもほんの少し遅らせて鳴らすことだそうだ(もちろん私は全くの音楽の素人)。卓球でもジャズのスウィングやグルーヴという概念が上達に関係があるのではないかと、この記事を書きながら思った。

swing

先日、地方のラージボールオープン大会に出場してみた。ラージボールの試合に出るのは今回が初めてである。

地方の小さな大会なので、出場者は年配の人だけ、半分は部活での硬式卓球経験者、半分は未経験者といったところだろう。もちろんレベルの高い人もいるだろうが、大半は健康増進と親睦のために出場しているはずだから、私のような下手な人間でも1/3ぐらいは勝てるのではないか…

という思惑は全く外れ、1勝もできなかった。
想定していたレベルが全く違っていた。

「たくさん動いて、楽しみましょう!」という雰囲気ではない。「殺るか…殺られるか…」という雰囲気だったのだ。

若い人(20代、30代)がいないというのはそのとおりだったのだが、出場者はみな相当やりこんでいて、おそらくほとんど全員が硬式卓球を部活で経験していた(人によっては硬式でもかなりの成績を残したのではないか)ように感じた。

一般の部のダブルスのみの出場だったのだが、驚いたことに2球目攻撃がデフォルトである。2球目はツッツキとか、つなぐということはなく、2球目からいきなり決定打を狙ってくる。硬式で言えば、ほぼすべてのサービスを台上バックドライブで抜きに来るようなものだ。

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ソフトボールの体感速度は野球のピッチングのそれにも匹敵するという。ラージと硬式の関係に似ている。

他府県から参加している人も少なくなく、話を聞くと、だいたいこの辺で大会があると、「上位進出者の顔ぶれはいつも同じ」らしい。いつも同じメンツと対戦するのに飽きてしまい、関西だけでなく、わざわざ東海地方まで遠征に行く人も少なくないのだという。つまり、この辺でラージボールの大会に出場するのは、競技志向の人がほとんどだということである(たぶん)。

そんなことも知らず、レクリエーション感覚で出場してしまった私たちは、リーグ内で完全に浮いていた。次はもう少しマシな結果にしたい。では、どうすれば勝てるのか。用具を替えてみたらどうだろう?もしかしたら、用具で下手さがある程度補えるかもしれない。

そう思ってTSPのスピンマジックという高級ラージボールラバーを買ってみた。

私が使っていたラバーは入門者用のコントロール系ラージボールラバーだった。硬式卓球で言えば、マークVやスレイバーのようなものだろう。それをテナジーやファスタークといったテンション系ラバー相当に替えれば、もっと威力のあるボールが打てるかもしれない。増税前だし、ちょっと試してみよう!と勢いで買ってしまった。

ラージボールといえば、ニッタクだ。本当はニッタクのロイヤルラージ(実売5000円弱)やジュエルラージ(実売6000円弱)といった最高級ラバーを試してみたかったのだが、あまりにも高すぎる。テナジーと同価格帯である。買ってはみたものの、もしかしたら高級ラバーも入門者ラバーもそれほど変わらないかもしれないし…と逡巡し、やや安いスピンマジック(実売4000円強)を買ってみた。

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果たして入門者用ラバーと高級ラバーのスピード・スピン性能はどのぐらい違うのだろうか。約1.5倍の価格差に見合う性能差があるのだろうか。

まず、気づいたのはスポンジの厚さである。超特厚を選んだのだが、通常のラージ用ラバーのスポンジと比べて、厚い。その分、シートが薄くなっているようだ。ツブは一般的な小さめのもの。

spinmagic
赤いスポンジがスピンマジック。一般的なスポンジよりも厚い。

スポンジが厚い分だけフカフカで、打球時の衝撃が板まで届きにくい。よくひっかかり、低い打点からドライブをかけても安定して入る。

…とここまで書いて、やはり私には用具の性能などについて語る資格がないと思い直した。十分な時間をかけてきちんと検証する練習時間も相手もいないのだ。下手なことを書いて読者に偏見を抱かせるよりも、軽く印象を述べるにとどめたい。

【ちょっと打ってみた感想】
スピンマジックは入門者用のコントロール系ラージボール用ラバーよりも、扱いやすく、小さな力でドライブがよくかかる。スペクトル等の硬式用ラバーとラージ用ラバーほどの差はないが、バタフライのラージ44DXやニッタクのスーパーラージといった実売2500円前後のラバーよりドライブがかけやすい。入門用ラバーよりも1000円ほど高いが、それに見合う価値はあったと思う。

小ネタを少々。

練習のための練習・・・
練習はどんな時も試合に勝つために練習はするもので、ただ漫然と練習するのなら練習なんかしない方がいい。とはっきりと言われた。
どんな練習においても試合をイメージし、“相手がこうしてきたらこうする”と常にイメージする。イメージしなければ、それは練習のための練習であり、そんな練習は試合では役に立つことはない。と…。

馬琳選手の言葉だという。

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同じようなアドバイスを上級者(全中出場者)にも聞いたことがある。私はワンコースで続ける練習や切り替えなどをミスなく続けることで満足してしまうが、ある程度以上になると、それでは意味がない。試合で遭遇しそうなシチュエーションを想定して練習しなければならないのだ。

 仁義に由りて行ふ。仁義を行ふに非ざるなり。
(「離婁章句 下」『孟子通解』より)

【原文】 舜明於庶物、察於人倫、由仁義行、非行仁義也
【下線部の現代語訳】「(舜は)仁義によって行ったのであり、仁義行ったのではない。」

世の人は、仁義というものは自分の外にあって、一所懸命それを学び行うことだと勘違いしているが、そうではなく自分の内にある仁義という理念がおのずから行いとなって現れることを仁義とよぶのだという。「親孝行は仁義である」「目上の人に仕えるのが仁義である」などと感心な行いに仁義というレッテルを貼るのではなく、仁義の心をもって行動すれば、その行動は自ずから仁義と呼ばれるわけである。

上の馬琳選手の言葉にひきつけていえば、「練習する」のではない。「試合をシミュレートする」こと、それ自体が練習なのである。こういうことを馬琳選手が言っていたといっても、それほどありがたみを感じず、右から左だが、孟子が言っていたというと、とたんにありがたみが出てきて、心に記銘しようという気になる私は俗物だろうか?

 

先日の東京選手権(前記事「東京選手権大会のスコアを眺めながら」)の男子シングルス決勝戦の動画が上がっていたので、観てみた。

http://www.youtube.com/watch?v=Xavss4s-FXc
http://www.youtube.com/watch?v=gksPAvfVV8E


http://www.youtube.com/watch?v=auKCRRAgTlo
http://www.youtube.com/watch?v=UFcORsitLOw
http://www.youtube.com/watch?v=ppdqAv2lX64

決勝のカードは

三部航平選手(山形出身) 対 
sanbe02 

坪井勇磨選手(埼玉出身)。
tuboi02

青森山田高校の後輩・先輩対決を、セットオール、デュースの末、制したのは三部選手だった。三部選手は今年度の全日本のダブルスで森薗政崇選手と組んで優勝。一方の坪井選手はシングルスでベスト8と両者とも輝かしい実績を持っている。
しかし、意外な結果だった。見た目からして、農耕民族っぽい三部選手が狩猟民族っぽい坪井選手に勝つだなんて。

卓球は先手を取ったほうが有利である。台上からガンガン攻めていって、相手に攻めさせる暇を与えず、一方的に打って打って打ちまくるイケイケ卓球。これが試合では推奨されている。
逆に相手に合わせて、すぐに台から下がったり、打点を落としたり、守りに入ってしまうことは、自分を不利な形勢に陥らせることになる。

三部選手の卓球は丁寧につないでいく後者の卓球で、無理に打ちに行くことは稀だ。台上からチキータ等で先手を取るようなことはせず、無難にストップ。相手が打ってきた場合も、カウンターなどのリスキーなことはせず、台から下がって打点を下げて後ろから威力のあるドライブで大きなラリーに持っていく。


ookiku
全身を使った三部選手の大きなドライブ

そして想定外のボールが来たら、少し浮いてもいいから確実に入れていく。
普通の人はそんな「どうぞ打ってください」的なボールを打つのを潔しとせず、ちょっと横回転をかけてみたり、厳しいコースを狙ったりと、スケベ心が出てしまうが、三部選手は素直に確実に入れにいく。

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ネットにかかったボールを素直に入れる三部選手

一方、坪井選手はまず自分から先手を取って攻めていくタイプのようだ。台からあまり下がらず、台上から果敢に攻め、相手の返球に対してカウンターを狙うという、攻める気満々のスタイルである。ボールのスピードが三部選手よりも明らかに速い。

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台上から積極的に攻めていく坪井選手

こんな正反対のスタイルの卓球が激突した場合、坪井選手のイケイケ卓球が有利なはずだが、坪井選手が一方的に攻めているという印象はない。というのは、坪井選手のミスが非常に多かったのだ。

単に坪井選手の調子が悪いということかもしれないが、レシーブやカウンターのミスが著しく目立った。組しやすそうな三部選手なのに、坪井選手の攻撃は不発に終わることが多かった。
三部選手の勝因としてサービスのうまさが挙げられるだろう。もしかしたらツッツキなども回転量を変えたものを巧みに混ぜているのかもしれない。坪井選手がそれらの甘い球をガツンと強打するときのミスが目立った。そして三部選手のコースどりもうまかった。コントロールが抜群で、相手の読みを外したために坪井選手の一撃をかわすことができたのかもしれない。私のレベルでは残念ながら、三部選手のプレーのどこが奏功したのかよくわからない。とにかくあまり派手なラリーは多くなかったように感じた。

三部選手のような鷹揚なゆったりとした卓球に憧れる。無理をせず、つないで、ときには中陣から高い弧線の強打を放ち、最後に勝利するそんな卓球に。

最近よく感じるのだが、セカセカと忙しい卓球をする人(私もその一人だが)は、戻りが遅く、打球に間に合っていないことが多い。だから慌てて腕だけでボールを打ってしまい、ミスをする。余裕がない。反対に、ゆったりと打っている人は戻りが早く、打球までに時間的な余裕があるため、身体全体を使った、大きなスイングで打っても間に合い、安定するのではないかと。また、三部選手のプレーは全体的に力が抜けているような気がする。「ここで決めてやろう」という気負いがない。だから身体が無駄なくスムースに動いているように見える。

三部選手のような余裕のある卓球をするためには戻りの早さと力の抜き方が重要なのではないだろうか。これから練習時にその2点に留意してみようと思う。
 

先週末に東京オープンがあった。会場には行けないので、youtubeに動画が上がっていないかチェックしたのだが、残念ながら発見できなかった(今、チェックしたらtv2ne1というページにいくつか動画が上がっていた)。しかたがないので試合結果のスコアをみて楽しむしかなさそうだ。そして結果だけを卓球王国のサイトで見たのだが、

優勝:三部航平(青森山田高)
準優勝:坪井勇磨(青森山田高)
第3位:高木和卓(東京アート)
第3位:塩野真人(東京アート)

となっていた。

「あれ?これはジュニアの試合結果と間違えたかな?」

と思ったが、3位に東京アートの2選手が入っているので、一般の試合のはずだ。

「三部・坪井選手が高木和・塩野選手に勝ったのか、すごいな。でもおかしいぞ。世界卓球2014代表の丹羽孝希選手、水谷隼選手、松平健太選手、岸川聖也選手はどうなったんだろう?」
 
どうやら出場していないらしい。第一シードは、大矢英俊選手。しかし、初戦敗退。

「え~!大矢選手を破ったのは一体どんな選手だろう?強い選手同士はすぐに当たらないはずなのに。」

トーナメント表を確認してみた。トーナメント表は大きく8ページに分かれていた。参加選手は377名。全日本の男子シングルス出場者が272名、大阪オープンが320名なので、東京オープンがいかに大きな大会かということがよくわかった。

シングルス その1をみると、大矢選手を破ったのは愛工大の上江洲光志選手だった。
kamiesu

「上江州選手か、ときどき名前を聞くなぁ。しかし、実業団のトップ選手を破るとはすごい。丹羽・松平選手以外にも実業団トップ選手を破るような大学生がいたんだなぁ。」

そしてその上江州選手は先の全日本で注目された青森山田の坪井勇磨選手に敗れる。
tuboi

「坪井選手の強さは本物だったんだ。大矢選手を下した上江州選手をストレートで破ってしまうなんて。」

シングルス その2では、専修大の王凱選手がシチズンの軽部隆介選手を破ってトップで決勝トーナメントへ。
ougai

「王選手か。ときどき名前を聞くなぁ、しかし実業団のトップ選手を…【以下略】」

シングルス その3では全日本でいつもランク入りする時吉佑一選手が初戦敗退。破ったのは愛工大の森本耕平選手だった。
morimoto
「森本選手か、よく名前を聞くなぁ。しかし時吉選手を…【以下略】」
しかし森本選手は惜しくも東京アートの高木和選手に敗れ、決勝トーナメントへの進出はならず。

シングルス その4では全日本準優勝の町飛鳥選手を破り、青森大の上田仁選手が決勝トーナメントへ。
jin

上田選手は安定して強い。上田選手は京都府出身なので個人的に親近感を覚える。

シングルス その5ではエリートアカデミーの村松雄斗選手を早稲田の大島祐哉選手が破って決勝トーナメントへ。

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大島選手も京都府出身。イケメンで卓球も強いなんて、うらやましすぎる!

シングルス その6では塩野選手が順当に明治大の松下海輝選手を破り決勝トーナメントへ。
シングルス その7では韓国の徐延和選手が協和発酵キリンの下山隆敬選手を破り決勝トーナメントへ。

シングルス その8では東京アートの張一博選手が専修大の厚谷武志選手に敗れるという波乱があった。
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「厚谷選手か、聞いたことないなぁ。しかし実業団トップ選手の張選手を【以下略】」
しかし、大金星を上げた厚谷選手は残念ながら、三部航平選手に敗れ、決勝トーナメントには進めず。

ベスト8は
坪井(青森山田高)
王(専修大)

高木和(東京アート)
上田(青森大)

大島(早稲田大)
塩野(東京アート)

徐延和(大宇証券取引所)
三部(青森山田高)
 
そして坪井選手が王選手を4-3で破り、高木和選手が上田選手を4-2で破り、塩野選手が大島選手を不戦勝?で破り、三部選手が徐選手を4-1で破り、冒頭の結果となった。高校生2人が決勝を争い、実業団の2人がそれに続き、大学生は一人もベスト4に残れず、という結果になった。上位4選手の試合はいずれもセットカウント4-3のデュースにまで、もつれこむ大接戦だった。

【所感 その1】
今回出場しなかった水谷、岸川、丹羽、健太選手が出場したらどうなっていたのだろうか。もしかしたら、この一角は今回出場した高校生や大学生に崩されるということもありえたかもしれない。
三部、坪井両選手は若い選手なのでまだ十分に研究されていないという強みがあったと思われるが、それにしても現在の高校生・大学生のレベルの高さには驚かされる。もはや実業団の選手と、学生トップ選手との差はほとんどないようだ。

【所感 その2】
素人判断ながら、これらの上位進出選手が飛び抜けているということはないと思われる。つまりベスト32ぐらいの選手たちに大きな差はなかったのではないだろうか。高校生や大学生の若い選手の中には上位進出選手に準ずる技術を持つ選手も少なからずいたのではないか。しかし、惜しくも上位進出できなかった選手たちは精神力や運などで、あと一歩のところで及ばなかったのではないかと思われる。そのような選手のうち、将来卓球に無関係な仕事に就かざるをえない選手が少なくないことが惜しまれる。社会人になってからも実業団に入って選手として活躍できる選手は毎年4~5人ほどだと聞いたことがある。それ以外は選手を引退し、指導者などの道に進めるなら、今まで磨いてきた技術を活かせるが、全く関係ない仕事に就き、卓球は趣味で続けるという人も多いらしい。

【所感 その3】
スポーツ新聞に競馬の結果が細かく記してあるページがある。文字と数字ばかりのあのページを熱心に読んでいる人を不思議に思っていたが、私も今回、東京オープンのスコアを同じように熱心に眺めていたので、我ながらおかしく感じられた。


 

100%の力でボールを打つのは難しい。多くの初中級者は本当にその難しさに気づいているのだろうか。
相手のボールに合わせて打つだけなら、安定性が高く、8~9割方ミスせず返球できるが、強く打ち返してやろうと思ったとたん、ミスを連発する。
私はプレー中に自分がどんなミスをしたか振り返ってみると、半分以上は強く打とうとしたときのような気がする。つまりこういうことだ。

   振ったときボールが入る確率
100%  ■
90 % ■■
80 % ■■■
70 % ■■■■■■
60 % ■■■■■■■■
50 % ■■■■■■■■■■

※上の図は私の中のイメージなので、実際のデータに基づくものではない。ブロック等は想定してない。

多くの初中級者は恐れを知らず、100%の力で打っても、だいたいボールが入ると思いこんでいる気がする。しかしコースの決まった練習ならまだしも、試合形式の、どこにボールが来るかわからないラリー中なら、100%の力で打ってボールが入る確率は1割程度なのではあるまいか。タイミングや打球点、ボールタッチやストロークの方向などの条件が完全に合致したときにしか100%のボールは入らない。たしかにフォア前に適度な長さのゆるいツッツキが送られてきたときなどは、初中級者でも100%の力で打つことはできるだろう。しかし、試合形式でそんな甘いボールが来ることは稀だ。そうではない、予想とはちょっと違うコースに、低くて速いボールが来たとき、100%の力で打っても自爆するだけだ。だから、90%、80%の力で打つ初中級者が多いが、それでもかなり難しいタイミングが要求されるだろう。その針の穴を通すようなシビアなタイミングで上級者は安定して80~100%のボールを打つことができるが、初中級者の打球は、タイミング等になんらかの狂いを生じている場合が多いので、多くの場合ミスしてしまう。

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「俺まだ100%の力出してないしぃ」 
最近の若者はあえて本気を出さない人が多いという。


速いボールを打つと、速いボールが返ってくる。あたりまえのことだ。だからボールを打つ前によく吟味してみるべきだ。「このボールが返ってきたとき、自分は対応できるのか」と。もし自分が無理な体勢にあって、100%の強打を放ったとしても、相手の打ちやすいコースなら、それは返球される可能性が高い。そうすると、こちらは次のボールに対応できない可能性が高い。それならちょっと考えなおして、70%ぐらいの打球でとりあえずつないで、次のボールを100%の力で決めにいったほうがいいのではないか。つまり、100%の力で打つのは確実に仕留められる場面だけに限り、それ以外のボールの場合はもっと力を抑えて打つのが身の丈に合ったプレーなのではないか。

安定性と威力のバランスを考えると、私の場合、70%以下の力で打球すると、相手の強打を浴びずに最も安定したボールが打てるようだ。安定性を優先した場合、50%の力でもいいかもしれない。70%と80%の間には大きなギャップがあると感じられる。

釣り研修(双恵丸) 010

釣りをイメージしてみてほしい。魚がかかったからといって、むやみに引っ張ったら、糸が切れたりして獲物をとり逃してしまうこともある。そうではなく、慎重に少しずつ糸を巻きながら、魚が弱るのを待ち、魚が観念したときに一気に釣り上げるという戦略が卓球のラリーにも言えるのではないだろうか。
「来た!」
「来た!」

「今だ!」
「今だ!」

「今だ!」2
「ピチャ!」

「慌てちゃダメ!少しずつ、少しずつ」
「慌てちゃダメ…」

「ふぅ~!やれやれ」
「ふぅ~やれやれ」

まとめ
初中級者は自分がどのぐらいの強打を打てるかを自覚していない人が多い。むやみに強打を打つのではなく、強打のリスクをもっと自覚し、70%以下の力で安定した卓球をしたほうがもっと卓球を楽しめると思われる。

今回はまったく卓球に関係ない話。
こういう情報を求めている人もいるかと思い、記した次第である。

私の愛機は2008年冬発売のDELL XPS430である。

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Q8200というCPUを積んでおり、グラフィックボードはHD4850を選択した。マイクロソフト・エクスペリメント インデックスの評価は5.9で、動画のエンコード等、重い処理でもそれほど不満はなかった(メモリを4GBに増設済み)。

しかし、最近調子が悪く、ブート時に”$$$$”と表示されたり、マウスポインタの表示が乱れていたり、「ディスプレイドライバatikmdagが応答を停止しました」と2秒ほど画面が止まってしまったり、ウィンドウズ・メディアプレーヤーを立ち上げると、ブルースクリーンが表示されたりして、困っていたのだが、とうとう最悪の状態を迎えた。画面に斑点が表示されたり、画面が縞模様になったりしてしまったのだ。

DSC01576
この画面が私のマシンの症状に近い

こういう場合、「5年以上も使っているし、そろそろ買い換えるか」というのが多くの人の選択肢だと思うが、私はそう簡単には引退させない。パソコンを買い換えるとなると、8~10万の出費になってしまうし、まだ使えるものを捨てるのは私の主義に反する。原因はグラフィックボードらしいことが分かっているので、これを取り替えればまだ2~3年は使えるだろう。

今回の記事はグラフィックボード(グラフィックカード、ビデオカードともいう)を交換して、古いパソコンを蘇らせた顛末を記したものである。

【機種の選択】
ネットでグラフィックボードについて調べてみたのだが、2万円以上の高級なグラボは私の古いVISTAのパソコンには対応していないかもしれない。そこで1万円強の安いグラボを購入しようと思った。GTX 650というのを搭載したグラボが安くてそこそこ性能もよく、売れているらしい。私はパソコンにあまり詳しくないので、ネットでGTX 650搭載のグラボを買うのは怖い。実店舗で店員さんに相談した上で購入するのが無難だろう。

京都ヨドバシで店員さんに事情を話し、GTX 650がうちのパソコンで動くかどうか聞いてみたところ、微妙だという。というのは電源が400~500Wぐらいないと安定しないかもしれないかららしい。XPS430は375Wの電源しかない。もし高性能なグラボを買って動かなかったら、今度は電源を交換しなければならなくなる。しかし店員さんによると、電源の交換はHDDやグラボのように簡単なものではなく、多少経験が必要なのだという。私は電源を交換できる自信がない。

そこでもっとグレードを下げてGT610を搭載したグラボ(玄人志向GF-GT610-LE1GHD)を購入した。これは350W程度の電源で間に合うらしい。4400円ほどだった。懸念は電源だけだが、なんとかなりそうだ。

【グラボ交換の手順】
6pin
補助電源 6ピン ここからも電源を供給できるが、本ボードでは使わなかった。


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最大の難関 中央の青いツメ

まず初めに、予めATIのディスプレイドライバをアンインストールしておかなければならなかったのだが、それを忘れていきなりグラボを交換してしまった。ネジを1本外せば、簡単に外れるはずだったのだが、グラボを固定している青いツメがやっかいだった。

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HD4850を外したところ

青いツメを広げて(力任せに引っ張っても外れない)ボードを取り外し、買ってきたGT610を取り付けてみた。

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これが購入した新しいグラボ

そして再起動。この状態ではPCは古いグラボが認識できず、セーフモードのような荒い画面でVISTAが立ち上がる。
それから添付のCD-ROMからGT610用のドライバをインストールし、順序が前後したが、ATIのドライバをアンインストールし、また再起動。これだけである。PCは新しいグラボを無事認識した。

【GT610の性能】
安いグラボとはいえ、5年前のHD4850よりは高性能だろうと思って、パフォーマンスをチェックしてみたところ、評価が5.9から4.6に下がっていた。ネットで調べてみると、GT610のほうがHD4850よりも性能が低いらしい。まぁ、多少描画スピードが落ちたかもしれないけれど、8万円の出費が5000円弱で済み、安定しているのでよしとしよう。
ネットではGF-GT610-LE1GHDのファンの音がうるさいというコメントが散見されたが、HD4850よりも静かだったので、私は気にならない。
 

アコースティックCのブレードをなでてみると、スベスベ、サラサラであった。インナーフォースZLCのブレードもサラサラだった。木でできているはずなのに、ちょっと擦りガラスっぽい硬質な肌触りである。

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独特な形状のブレード、アコースティックC。なんだか四角い。

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写真では分からないが、ブレードの肌触りがとても良い。

安いラケットだとこうはいかない。モロ木材といった感触である。高級なラケットのブレード(上記以外のものはあまり触ったことはないが)は肌触りがよく、ラバーを剥がすときにささくれたりしにくいものが多いと思われる。これはどういう加工なのだろうか。目の細かいヤスリでひたすらこすれば安いラケットのザラザラしたブレードもサラサラになるのだろうか。あるいは特殊なニスを塗らないとこのようなサラサラ感は出ないのだろうか。もし安いラケットでも、こすれば光るということなら、仕事の合間にでもゴシゴシこすってみようかしら。ただ、そんな素人考えでブレードをこすりまくって、ブレードを傷めてしまわないか心配だ。

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烏丸三条上るに京都伝統工芸館という施設がある。平成15年開館というから、約10年前からあったということになる。地下鉄烏丸御池駅のすぐ近くという好立地にもかかわらず、その存在にまったく気づかなかった。もう少し広報活動を積極的にしたほうがいいのではないかと心配になる。

電話: 075-229-1010
料金: 一般:300円 団体5名以上:200円 学生・シニア(60才以上):100円 和服:無料
(2014年現在)
 
ここの3階にはそれらの専門を学ぶ大学生が仏像や漆塗り、蒔絵作成等の実演をしており、どのような工程で作成しているか、いろいろ質問に答えてくれる。そこで木工をしている学生さんに、ラケットを見せて木材の仕上げについて質問してみたところ、いろいろ勉強になったので、そのやりとりの一部を紹介したい。

Q このラケット(私が持参したもの)のようなサラサラ、スベスベの肌触りはどういう仕上げで実現できるのか。特殊な機械やニスでないと実現不可能か。

A 紙やすり(1000番以上)で丁寧にこすれば可能だと思われる。

Q 一般的な水性ニスをつけたほうがいいか。

A ニスがなくても可能かもしれないが、薄くニスを塗ったほうがいいかもしれない。

Q 砥石でこするのはどうか。

A 砥石は木材の仕上げを想定していないかもしれないので、紙やすりのほうが無難である。

ということで、紙やすりでもなんとかなりそうだったので、100円ショップで探してみたが、目が細かいものでも、せいぜい240番までしか売っていなかった。文房具屋で400番の紙やすりを1枚80円ほどで買ってみたが、荒すぎてブレードの仕上げには全く使えなかった。そこでアマゾンで1000番以上の紙やすりを探してみると、1500番、2000番といったものが数百円で売っていた。
しかし、ここまでの細かさなら、わざわざ紙やすりでなくともいいのではないか、と思い、メラミンスポンジというのを100円ショップで買ってきた。

meramin

前記事「卓球用具代用考(ラケットコート)」で100円ショップの水性ニスを使ってみた。後日、TSPのラケットコートも試してみたが、仕上げにそれほどの違いは見られなかった。ラケットコートの方がややサラっとした感じになるが、値段を考えると水性ニスで十分だと感じた。

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そして水性ニスを塗ったブレードをメラミンスポンジで10分ほどこすってみた(乾燥したまま、あるいは水につけて)。すると、私が求めていた肌触りにかなり近い状態になった。

【まとめ】
ラケットのブレードをスベスベの肌触りにするには、水性ニスを塗って、メラミンスポンジでこすると効果的である。市販の高級ラケットの肌触りと完全に同じというわけにはいかないが、かなりいい感触である。
まだ試していないが、グリップの黒ずみや汚れ落としにもメラミンスポンジは効果があるのではないだろうか。

【付記】
他にも木材についていくつかおもしろいことを聞いたので紹介したい。
学生さんによると、木によって狂いが大きいものと小さいものがあって、木は水分が抜けると、反ってくるのだという。そういえば、スティガのローズウッドXOという高級ラケットは切り出してから長期間(外板を約4年間)寝かせた木材を使用しているという。これなら数十年たっても合板の板が剥がれたりしにくいと思われる。

rosewood_xo

【追記】140315
メラミンスポンジを濡らしてこすると、効果は絶大である。しかし、絶大すぎて、ラケットコートをほぼ完全に削りとってしまった。くれぐれもこすり過ぎないよう注意が必要である。 

「こちらが9の力で打ったら、相手は1の力で打たなければなりません。逆にこちらが3の力で打ったら、相手は7の力で打つようにするといいでしょう」 諸刃の剣

最近、この言葉の意味を改めてかみしめている。

ミスをした時、私がまず考えるのは「角度が合っていなかった」、あるいは「回転を見誤った」ということであった。

オーバーミスをした時は、「かぶせが足らなかったんだ」「思ったより下回転が弱かった」。
ネットミスをした時は「もっと仰角を付けて打たなければ」「思ったより下回転が強かった」。

しかし、最近、私のミスの原因の考察(ミスの原因に対する私の考察)には重要な要素が抜け落ちていたことに気づいた。その要素とはインパクトの強さである。

私の場合、とりわけドライブがオーバーするのは、角度や回転が原因というよりも、インパクトが強すぎる場合が多かったようだ。相手のドライブがかなりのスピードで迫ってきている時、普段のフォア打ちのような感覚でしっかり打ってしまうと、ボールがラバーのスポンジを完全に押しつぶして(フラットにして)しまい、ラケットの板にもろにぶつかって跳ね返り、直線的にコントロール不能なまま、相手コートを越えてすっとんでいってしまう。これがオーバーミスの場合である。
逆に相手のボールがヘロヘロで、威力(向此力)が完全になくなっている状態でこちらが打球すると、ボールがスポンジにしっかり食い込まない。したがってボールをつかんで持ち上げることができない。シートの表面をかすめるだけなので、ポトッと落ちてしまう。これがネットミスの場合である。
両者は角度の調整やスイングスピードの調整だけでなんとか相手コートに入れることも不可能ではないが、非常にシビアな角度とタイミングが要求される。そうではなく、スポンジが完全に押しつぶされず、適度にボールが食い込むように打てば、ボールは弧線を描き、かなり安定して入れることができる。

kuikomi

つまり、オーバーミスとネットミスの原因は、ブレードの角度とインパクトの強さ、ボールの回転の3つの要素を総合的に勘案して分析しなければならないところを私はインパクトの強さという要素を放念していたというわけなのだ…。こんな基本的なことを最近まで意識していなかったなんて恥ずかしくてたまらない。だからいつまでたっても上達しなかったのだ。

では、どうすれば安定してボールを返球することができるのか。
相手の強打に対してはこちらのインパクトを弱くし、相手の弱打に対してはしっかりラバーをぶつけてインパクトを強くするということである。

たとえば相手がバック側からクロスに速い横回転ロングサービスを出してきたとする。それに対してこちらが回転を上書きするつもりでガツンとドライブをかけると、ボールがすっ飛んでいってしまう。そうではなくて自コートにボールがバウンドする位置にラケットを持って行って、バックスイングなしで素早く払うとバックスイングがない分、インパクトが弱くなり、ボールをしっかりひっかけて安定して返球できる。強いボールに対しては弱いインパクトで迎え打つ。これが冒頭の言葉の意味だと思う。
しかし、上手な人は強いボールに対しても強打で応じることができる。それはスポンジをフラットにせずに上手に力を逃して打っているためだと思われる。ボールの向此力を逃がせば強打に対して強打で対抗できるのだ
(前記事「打球音が変わった」「ボールの接地時間」)
下の図の「ぶちかますドライブ」というのは、強打の向此力をモロに受けて打球する悪い例である。それに対して「板に当てないドライブ」はブレードを極端に寝かせて打つので、向此力が板に届かず、強打を強打で安定して返球できる。スポンジを適度に食い込ませているのである。

無題

「ぶちかますドライブ」は限られた場面――チャンスボールを決めに行く時だけに有効なドライブであり、それ以外の安定性重視のドライブでは「板に当てないドライブ」を使うべきだと思われる。「板に当てないドライブ」を使えば軽い力でしっかりボールをつかんでくれる。

しかし、「ぶちかますドライブ」はいたるところで見られる。これをむやみやたらに使う卓球を「ぶちかまし卓球」と命名した。ぶちかまし卓球をしているのはたいてい下手な人である。こういう卓球は上級者に嫌がられると思う。

ぶちかまし卓球をする人はTAKUZINE 14号の「ぐっちぃの卓球タイプ別診断」の中の防御力の低い「一発タイプ」に近いと思われる。「一発タイプ」とは、

アマ選手のおよそ95%はこのタイプ。ラリーが短く、次の一球を打つことだけを考えている。【中略】ボクシングに例えると、ノーガードでブンブンパンチを振り回すハードヒッター。

「ブンブン」に注意しなければならない。狙いすまして、ここぞというときに一発を打つという巧者ではない。手当たり次第に無理なボールもガンガン打ってくる困ったタイプのことである。球質に応じて、ときにはバックスイングをとらない、軽い、繊細なタッチで打つことも必要なのに、それができない。かつての私のように。

【まとめ】
安定性のある卓球をするためには打球の第三の要素、インパクトの強さを常に意識し、スポンジの食い込み具合を調節する必要があると思われる。私はこれを意識しだしてから、自分の上達(とりわけ安定性の向上)がはっきり意識できるようになった。この要素を意識していない初・中級者には効果抜群だと思われる。なお、ここでの考察の対象は標準的な裏ソフトラバーであり、表ソフトや中国ラバーは含まれていない。
 

前記事「振り遅れについての考察」では、主に認識的な観点から振り遅れないための対策を提案したが、今回は主に身体的な観点から考察したい。

卓球王国の電子ブックにe pacというものがある。過去の連載をまとめたものである。
私は試しに「なるほど卓球サイエンス」というものを買ってみた。PDFファイルでダウンロードするのだが、パソコンでも開け、印刷もできるし、電子ブックリーダーでも読めるので、購入したものの、読めないということにはなりにくいだろう。1999年4月発売vol.25~2000年5月号という、かなり古い記事だったが、いくつか興味深い記事もあり、わずか100円だったのでお得な買い物だった。

その中にプレー位置に言及した記事があった。1988年の国際大会のデータ(ボールが38ミリだったので、スピードが速めか)をもとに考察しているのだが、大雑把に言うと、サービスを除いて、相手が打球してからこちらが打球するまでの時間の平均値は、相手が前陣速攻なら0.55秒、ドライブマンなら0.64秒、カットマンなら0.78秒なのだという。台から1歩ぐらい(?)ずつ離れるにつれて0.1秒ほどの余裕ができるわけである。そうすると、振り遅れがちな人は台から少し離れると、相手の打球から0.1秒ほど余裕ができるので、振り遅れにくいことになる(同様に相手にもその時間的余裕を与えてしまうわけだが)
さらに一流選手の場合、台からの距離によってスイングの大きさを変えているのだという。前陣にいるときは小さめのスイング、中陣にいるときは大きめのスイングをするらしいのだ。つまり、例えば中陣に下がって大きなスイングで打球した後、前に移動して同じ大きさのスイングで打球しようとすると間に合わなくなってしまうということだ。
もう一つおまけに小さいスイングの時は狭いスタンス、大きいスイングの時は広いスタンスが安定すると書いてある。
こういうことは無意識にできている時もあるが、意識的に使い分けられるようにならなければ上達しないだろう。

以上のことから、ラリー中に振り遅れがちな人は、やや台から距離を取り、あまり広くないスタンスで小さめのスイングをするといいということになる。

「いいスタンス」というと、一般的に肩幅より広く、重心の低いスタンスが推奨されているが、必ずしもそのスタンスのみが「正しい」というわけではない。「正しいスイング」「正しいフットワーク」ということがよく言われるが、「正しい○○」というのは相手のボールの性質やプレー位置、コース等によって異なるので、「正しい○○」というのは一概に決められず、それらを柔軟に変えられることこそが重要だと言えようか。

mukaiduru

われわれは卓球に対してつい「型(フォーム)」を求めてしまう。「自分が下手なのは間違った型を身につけてしまったせいではないか」「正しい型はどれか」などと考え、有名選手や有名な指導者のアドバイスを本などで読み、それが唯一の正解のように思い込みがちだが、そのアドバイスはおそらくあらゆる場面で有効なわけではない。「右足前」「左足前」「並行足」という3つのスタンスのうち、「現代卓球では並行足が最も合理的である」といった説明を鵜呑みにして、どんな場面でも平行足で打とうとすると、それがかえって上達の妨げになる。型が要らないということではない。一つの型にとらわれず、臨機応変に型を使い分けることが大切だとこの本を読んで気づかされた。

「コースの決まった練習ではかなりのスピードのボールにも対応できるのに、どこにボールが来るかわからない試合となると、反応が遅くボールに対応できない。いつも振り遅れてしまう。」

多くの初中級者の嘆きである。

今回は振り遅れについて考えてみたい。

前記事「打球タイミング」でフォームがいくら合理的でも打球タイミングが合わなければお話にならないという結論に至った。たとえどんなクセのある歪んだフォームでも、相手が打球する前にバックスイングを取りはじめ、相手の打球時にストロークをスタートさせられれば、ボールに遅れずしっかり振り切ることができるだろう(少なくとも私の低いレベルの卓球なら)。打球タイミングを遅らせないことこそがラリーの大前提で、フォームや腰の使い方云々はタイミングが合って初めて有効な技術だったわけである。私の場合、最近フォームを点検しながら振っていたため、それが疎かになってしまい、打球タイミングが遅れがちになっていたのだった。これからはタイミング最優先で卓球をしたいと思う。

タイミングを優先して卓球する上で大切なのは認識的な観点と身体的な観点である。

まず、認識的な観点での問題を挙げると、相手が打球していないうちに(あるいは打球時に)バックスイングをとりはじめるには、少なくともフォア側に来るか、バック側に来るか――つまりおおまかなコースが決まっていなければならない。相手のボールのいろいろな特徴――回転や長さ、スピードなども自分の打球に影響するが、 それは相手の打球後に判断し、自分の打ち方を調節すればいい。それらの細かい部分ではなく、フォア・バックの判断を誤り、バックに来るボールに対してフォアのバックスイングをとっていたら、打球タイミングが致命的に遅れてしまう。また、回りこみをともなうバックスイングで逆を突かれた場合はさらにひどい結果となる。最低限、フォア側に来るかバック側に来るかを優先的に把握しておかなければならない。しかし相手の打球がまだ終わっていないのに相手のボールがフォア側に来るか、バック側に来るかをどうやって判断したらいいのだろうか。

一般的に言われているように、基本は相手の動きをよく観察することだろう。とりわけ相手のラケットの面をである。卓球では「ボールをよく見ろ」といった指導が日常的に行われる。私も数十年前「自分が打球するまでボールから目を離すな!」などと言われたりしたものだ。しかし、今はボールを目で追うのはそれほど一般的ではないらしい。姿勢を低くして、視野の端の方でボールがぼんやりと見えればよく、ボールを目で追ってはいけないというのが今の卓球のスタイルらしい。

先日の練習で私はラリー中、ずっと相手のラケットから目を離さなかった。すると、かなりの確率でフォア側にボールが来るか、バック側に来るかが素早く判断できた(ような気がする)。

 char17
見えるぞ…私にも球が見える!(若い人はこんなシーンを知らないかもしれないが)

フォア側かバック側かが判断できれば、振り遅れる確率はかなり低くなりそうだ。そしてボールの深さや回転は相手が打球してから判断すればいいのではないだろうか。

ただ、これがどんな相手・ボールにも通用するとは思えない。ストップと見せかけて深くて速いツッツキ、あるいはツッツキに見せかけてフリックなど、こういうボールが来た場合はどうしても振り遅れてしまうだろう。また早いピッチのラリーではいくらブレードの面に注目したところで、間に合わない事態もあると思われる。

さらに予測が機能すれば、判断がさらに早くなる。


卓球3S理論 スピード予測編

上のxia氏の卓球3S理論のDVDのサンプルには次のような説明がある。

・ポテポテと遅いサーブを出した場合、短いレシーブ、あるいは遅いレシーブで返球される可能性が高い。
・サイドを切ったツッツキを打った場合、サイドにドライブを打たれる可能性が高い。ストレートにドライブを打つのは難しい。
・こちらが速いボールを打った場合、クロスに返ってくる可能性が高い。
・こちらの速いボールに対して、裏ソフトのカットは切りにくい。

また、ペンドラの動画にも打球後の戻り方についての言及があった。


自分のフォア前に対して

・相手のバック側にフリックした場合、相手は自分の空いているバック側を狙ってくる。自分はバック側に戻らなければならない。
・相手のミドル側にフリックした場合、厳しい角度で打たれにくいので、自分は台の中央付近に戻るのがいい。

なお、動画には言及がなかったが、戻る位置は一歩後ろである。

このような予測のための知識を身につけておけば、場合によっては反応がさらに早くなるのだろう。

なお、前記事「卓球における予測をめぐって」で文章読解における予測の大まかな枠組みを紹介した。一つは「充足系」の予測。もう一つは「展開系」の予測である。しかし、これをどうやって卓球に応用すればいいか…思案中である。

次に身体的な点から考察してみようと思ったが、ずいぶん長くなってしまったので今後の課題としたい。

【付記】
『卓球王国』の新連載「3球目の極意」(2014年4月号)ではロングサービスからの3球目の「極意」として「相手の打球前に戻る」(つまりラケットをニュートラルにする)ことを挙げている。これが振り遅れを防ぐ一つの目安になるだろう。

【まとめ】
今回は振り遅れを防ぐためにどうやって打球タイミングを合わせるかを認識的な観点から考察した。

・フォーム等が非合理的でも、打球タイミングが遅れていなければボールは入る。
・相手の打球時(できればそれ以前に)バックスイングを始める。
・そのためにはフォアに来るかバックに来るかの判断だけはしっかりしなければならない。
・フォアかバックの判断を早くするためにはラリー中、相手のラケットのブレードから目を離さないようにする。
・予測が使えれば、より早く打球姿勢に入れる。

以下の記事は検証を経ていない、私のいつもの思いつきなので、話半分に聞いてほしい。

私はドライブをかけるとき、どちらかというとブレードの上半分でインパクトしてこするクセがついているのだが、もしかしたら、下半分でインパクトしないと安定しないのではないかと思い始めている。

brade

上半分・下半分といっても、それほど端っこを指しているわけではない。中央のスイートエリアあたりなのだが、どちらかというと上寄り・下寄りという意味である。私はどうもやや上の方で打っている気がするのだ。

「インパクトはど真ん中がいいに決まっている、どうしてあえて真ん中を外してインパクトするのか」と訝る向きもあるかもしれないが、プロの選手でも、ど真ん中ばかりでインパクトしているわけではないと思われる。私の中国人の知人が昔、北朝鮮に遠征に行った時、北朝鮮の選手はラバーが古くなると90度回転して貼り直し、3回貼り直してから捨てていたという話を聞いたことがある(中央を円形に切る等、かなり特殊な切り方をしないとそんなことはできないはずだが)。おそらくその選手はブレードの右上(ラケットを立てたときに1~2時の位置)あたりで正確にインパクトしていたと思われる。
このように人によってスイートスポットから上寄り、下寄りにずらしてインパクトするのはさほどめずらしいことではないと思われる。

上寄りでインパクトしてドライブをかけると、低く鋭いボールが打てる気がする。しかし相手のボールのスピードが 遅かったり(向此力が弱かったり)、下回転がきつかったりすると、ボールがよく落ちるので、上寄りインパクトでは思いっきりスイングして持ち上げなければならない。その際、微妙な角度と力加減が要求されるので、スイングが速すぎて、ついボールをオーバーさせてしてしまったりしてコントロールしにくい。特にバックハンドのドライブでは上寄りインパクトはコントロールが難しく感じられる。

それに対して下寄りでインパクトしてドライブすると、ラケットがボールを引っ掛けるように作用するので、それほどスイングスピードが要らず、厳しいボールでも安定して入るような気がする。
なお、ドライブのインパクト時のラケットのヘッドの向きが立っている人も多いかもしれない。そうすると、冒頭の写真のようにラケットを寝かせての上下ではなく、ややグリップ寄りでのインパクトが「下半分」ということになる。

このへんはもう少し補足が必要だ。私の場合、上寄りインパクトではまっすぐこすることが多いが、下寄りインパクトでは無意識に下半分を押し出し気味に振ってしまう気がする。
普通のドライブ
 ↑上寄りインパクト

 ↓下寄りインパクト



ひっかけドライブ



まとめると、

もちろんスイートエリアと呼ばれる中央付近でインパクトするのが原則だが、そのエリアの範囲内の、上半分でインパクトすると、ボールは落ちる傾向にあり、伸びてくるボールを抑えたい時や、チャンスボールを強打したいときに有効である。逆に下半分でインパクトすると、ボールが上がる傾向があるので、弱いボールや下回転を軽く打ちたいときや中後陣から打つときなどに有効ではないか

ということである。

これが正しいとすると、すごい発見ではないだろうか。なぜならドライブにとどまらず、すべての打球に通じる原理だからだ。カットをしたいときは、上半分に当てれば低く鋭いカットになり、下半分に当てればフワッとしたカットになる。ツッツキでもサービスでも、何でも応用できる?かもしれない。

いや、待てよ。「インパクトが下寄りだから安定する」というよりも、「下寄りでインパクトするときはブレードの下半分を押し出し気味にするから安定する」ということかもしれない。

doesu
おもしろいジャージ

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