若いころはフォアドライブには自信があった。低く速いドライブでの一発は上級者にも褒められたものだ。
しかしその反面、戻りが遅く、連続してドライブが打てないというのが悩みの種だった。私は軽く打つのが苦手だ。

相手にバックでブロックしてもらい、こちらがフォアドライブをクロスに連続して打つ練習をする時、だんだんスピードを上げて打とうと思うとミスしてしまう。私は中途半端なスピードのスイングでは安定しないのだ。だから初めから全力運転である。そしてかなりのスピードでドライブを打つから、ブロックもとんでもないスピードのボールが返ってくる。ドライブが2回ぐらいしか連続して打てない。弱く打とうとするとミスするか、ヘロヘロ球になってしまう。その結果、ラリーが続かず、お互いにあまり練習にならない。その割に疲れる。

鬼気迫る表情でボールに渾身の力を込めてドライブするなんてスマートじゃない。70~80%ぐらいの力で涼しい顔をして安定的にドライブが打てないものだろうか。急発進、全力走行はオジサンには似合わない。

省エネ卓球という言葉がある。楽をしてあまり動かず、反対に相手を振り回すような卓球のことだろう。いつも全力で打球するのではなく、こういう卓球ができたらいいと思う。

そのためにはまず、どこで体力を無駄につかっているか、どこを「節約」すればいいか考察しなければならない。

2大浪費技術
卓球の練習の中で最も疲れる練習はフットワーク練習だろう。
多球練習などで、左右に動きながら打球するのは本当に疲れる。わずか1分 でもヘトヘトになる。

そして次にしんどいのはカット打ち、あるいはドライブ連打ということになる。これらが体力を消耗するのは腕をかなり伸ばして大きく速いスイングをする必要があるためだと思われる。

他にそれほど体力を使う動きはないので、この二つの動きをいかに「節約」するかで中高年が若者に体力で対抗できるかどうかが決まってくる。

まず、フットワークを全く使わないというのは現実的ではない。やはりある程度使わざるを得ない。
次に、スイングをせず、ブロックだけで打球するというのも現実的ではない。そこでフットワークとスイングを最小限にする工夫が求められる。ではどうやればいいのだろうか。私は以下の森田翔輝選手のプレーに手がかりを求めたい。





森田翔輝選手のプレーの特徴
森田選手の特徴は日ペン表ソフト前陣速攻型でバックハンドもガンガン振ってくる。打球点が早い。
前陣+バックを積極的に振ることで、フットワークのかなりの部分が節約できる。
そして、打球点が早いために軽い力で速い球が打てる。
さらに注目したいのはスイングの小ささと、ブレの無さだ。
肩を怒らせ、首をすくめるような構えから脇を締めてヒジをほとんど直角にし、腕を伸ばさず体全体で打球している。
シェークと比べて、ペンは身体に近いボール―いわゆるミドルに強い。シェークはミドルにボールが来たらフォアが非常に振りにくいが、ペンなら脇を締めればなんとか振れる(気がする)。日ペンのラケットの軽さと、ペンの小回りの利きを最大限に利用している。

私の卓球への応用
腕を伸ばすと、スイングが大きくなる反面、威力のある強いボールが打てる。
一方、腕を縮こませると、スイングに力が入らないものの、スイングが小さく、速くなる。

そこで考えた。
私レベルの卓球で、腕を伸ばして全力で振らなければならないほどの威力のあるボールは必要だろうか。
私が約100センチの長さの弧を描いてスイングしなければならない場面がどれだけあるのだろうか。
しかも長いスイングで放たれた威力のあるドライブはオーバーミスをしやすい。

私レベルの卓球なら、せいぜい30~40センチの弧で十分なスピードが出る。
打球点を早くすればそれほど力が要らない。
身体に近い小さいスイングなら、空振りしにくく、オーバーミスも減り、戻りも早くなる。
腕を伸ばしての回転運動は軸がブレやすく、ボールの安定性も落ちる。

決めた!私は脇を締めて、肘を曲げ、できるだけ小さいスイングで安定した卓球を目指そうと思う。
ただ、私は裏ソフトなので、森田選手のようにペシペシスマッシュを打つスタイルではなく、チョリチョリと小さくドライブを連打するタイプがいいだろう。腕を伸ばさないとすると、フットワークをより俊敏にしなければならないのがネックだが、しばらくこれを試してみて、 いずれ報告したい。
…なんだか首尾が一貫しない気持ちの悪い文章になってしまった。