しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




タグ:用具

『卓球王国』最新号に興味深い記事が載っていた。ゆーき氏の「今月の自腹買い」という記事である。
タキファイア・DRIVEの特厚を取り上げていたのだが、ゆーき氏は「トレーニング用」というユニークな発想から従来の用具に新しい光を当てていた。

「トレーニング用」というのは、自身の不調の原因を探るためにあえて弾まないラバーに替えることによって、ラバーの性能に頼らず、ボールを自分の力で飛ばすトレーニング――フォームの見直しをするというものだ。ゆーき氏はじっさいにタキファイアに替えた当初はボールが弾まず戸惑ったが、次第に打ち方が分かってきて、テンションラバーと遜色ないスピードのボールが打てるようになり、その結果身体を使って打つフォームも獲得したのだという。

このエピソードを読んで、「トレーニング用」という新たな用具のジャンルがあるのではないかと思い至った。

以前にも弾まない用具の良さについて書いた(前記事「諸刃の剣」「弾まないラケット」)が、この路線をさらに推し進めて、

A 弾まないラバー
B 引っかからないラバー
C 重くて弾まないラケット
D 小さなブレードのラケット

という組み合わせでふだんの練習をしてみたらどうだろうか。

A’ 弾まないラバーを使えば、身体全体を使って打球しなければ飛ばせないので、身体を使うフォームが身につく。
B’ 引っかからないラバーを使えば、当て方の厚さなどの調整に役に立つ。たたきつけずに上手にラバーに引っ掛けてこする訓練になる。
C’ 重くて弾まないラケットを使うことによって腕力が付き、かつA’の効果も期待できる。
D’ 小さなブレードのラケットを使うことによってスイートエリアにボールを当てる訓練になる。

問題は低性能用具を使い、それに慣れた感覚を最新用具に戻した時に不具合が生じないかどうかだ。
弾まないラケットを使っていた人が急に高性能なラケットに替えたら、替えた当初はオーバーミスを連発すると思われる。しかし、感覚が慣れてきたら、身体全体を使う理想的なスイングで、ブレードのスイートエリアのど真ん中に当てられ、ラバーの食い込みも適切なボールが打てるようになるかもしれない。

カット用のラケットを小さく削り、コントロール系ラバーを貼ったら、とりあえずそんな「トレーニング用」のラケットができるだろうか。しかし、あまりにも低性能すぎて、ふだんの用具とのギャップが大きすぎると、元の用具に自然に戻せなくなるかもしれない。カット用ラケット等の極端に弾まないものとコントロール系ラバーという組み合わせではなく、初心者用のラケットにマークVやスレイバーあたりの組み合わせがいいのかもしれない。
 
ふだんはこのトレーニング用ラケットで練習し、試合が近づいたら、元の高性能ラケットに戻す――こういうことができないだろうか?もしこういうことが可能なら、打球の威力を数割増しにできるのではないだろうか。しかし、台上処理が下手になってしまうおそれもあって難しそうである。しかし、よく考えたらラージボール卓球でもいいのかもしれない(前記事「相対化するということ」)。

【追記】131227
JTTAやITTFの登録料というのはどのくらいなのだろうか。
トレーニング用なら、ITTFやJTTAAの刻印は必要ない。試合では使えない非公認のラケット、ラバーの組み合わせで価格を抑えることができないだろうか。
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TSPの新しいサインラケットミニが500円ほどで作れるのだから、これのもう少し大きいバージョンを1000円ぐらいで、ラバーもスレイバー程度の性能の無地のものが1枚500円ぐらいなら、需要もあるかと思うのだが。ついでに接着剤も非公認で安く作れないものか。

【追記】140103
今日、5枚合板のラケットにニッタクのマジックカーボン(厚)を貼って打ってみたところ、ボールが飛ばずにびっくりした。ちょっと台から離れて打球すると、ネットに引っかかってしまう。それでしっかり厚く当てながら回転をかけるように気をつけたら、ちゃんと入るようになった。木材の打球感をしっかりと感じることができて、心地よかった。このような低性能用具の使用がフォームの改善に役立つかどうか、まだ分からないが、初心者には低性能のほうがいいかもしれないと思った。 

「テナジーとオメガVとどちらが高性能なのか。イヤイヤ、ラザントやブルーファイヤ、ファスタークやラクザ7も侮りがたい。」

このブログで「検索ワード」というのが見られる。どういう語を検索してこのブログに辿り着いたのかが分かるわけだ。ときどきその「検索ワード」をチェックしてみると、ラケットやラバーの名前で検索してくる人が非常に多い。どうやら多くの読者の関心は用具にあるようだ。

とすると、このブログで私のひとりよがりな由無し事を綴るよりも、用具をいろいろ買ってみて、その感想などを書いたほうが喜ばれるということなのかもしれない。

つらつら考えて見るに、同じ価格帯のラバーの優劣というのはどの程度なのだろうか。定価6000円ほどの最高級テンションラバーと定価3000円ほどの旧式の「高弾性ラバー」を比較すると、たしかにボールの威力がかなり変わるかもしれない。しかし同価格帯のテナジーとオメガの違いというのは、せいぜい弾みや引っ掛かりが数%違う程度なのではないだろうか(弧線がどうのということは私には分からない)。全国レベルの選手にはその差が致命的なのかもしれないが、多くの人にとっては、誤差の範囲でしかなく、しばらく使っていれば、自分の感覚がラバーに慣れてくる、あるいは経月変化で性能差は解消されるのではないだろうか。1ヶ月前に使ったときはとてもいい感じだったが、久しぶりに使ってみたら、イマイチだった、あるいはその逆ということもよくある。これは自分の打法や感覚が変わったせいだと思われる。「ラバーXはラバーYよりも高性能だ!」という中級者のレビューは、実は気のせいという要因も大いに与っているのではないだろうか。

「いいラバー」かどうかを決めるのは、結局のところ自分の打法に対する相性であり、同価格帯のラバーなら、ラクザが高性能だとか、ラザントのほうが上だといった議論は、あまり意味がないと思われる(少なくとも初中級者にとっては)。
私は用具が嫌いというわけではないのだが、最近の用具をめぐる狂騒には違和感を感じる。

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最近出た裏ソフトラバーの数々。毎年おびただしい数のラバーやラケットが発売されている。これからも毎年2~30枚ぐらいの新製品ラバーが発売されるのだろうか。一体そんなに種類を増やす必要があるのだろうか。何のためにそれほど多くの用具を発売するのだろうか。

こういう事情をみるにつけ、現在の出版業界のことが思い合わされる。私は出版業界の人間ではない(もちろん卓球業界の人間でもない)ので、以下の考察は憶測が多く含まれているので注意されたい。

現在、出版業界は非常に苦しい。長年読み継がれる本は少なく、出版各社は次々と新刊を出してはその場をしのいでいる。新刊を出せば、とりあえず人の注目を浴び、書店の目立つ棚に置いてもらえ、ある程度の売上が見込める。出版の企画や執筆期間はどんどん短縮され、質より量となってくる。新刊は2~3ヶ月もすれば書店の片隅に追いやられ、挙句の果てに返本の憂き目に遭う。店頭に並ばなくなった本は売上がガクンと落ちる。出版社は何が何でも新刊を出し続けなければならない。
最近では余った在庫のカバーだけを新しいデザインのものに替えて「新装版」などといって出しているものさえ目にする。

ラバーも同様に次々と新しい製品を出さないと、注目されなくなり、新製品を次々と出している他社にシェアを奪われてしまうという仕組みなのかもしれない。市場に問うほどの新味もないのに、新製品を出さざるをえない。こういう「出したもの勝ち」のような業界の構造が行き着く先は価格競争ではないだろうか。
私の本音は、スピードやスピン性能が向上しているかどうかはどうでもいい、したがってテナジーのような高性能・高価格ラバーを買うよりも、ヴェガ相当のそこそこの性能のラバーが2000円以下で買えるなら、銘柄は何でもいいというものである。卓球人の多くがそのように考えるようになれば、卓球業界も出版業界のように構造不況に陥るのではないだろうか。最近の極薄ラバーのような新分野の開拓ができればそれが望ましいが、こういうユニークな製品の開発はそうそうできるものではない。

現状では、卓球メーカーはゴムづくり、板づくりに精を出しているが、消費者は早晩このおいかけっこに飽きてくるのではないだろうか。数年前に発売された製品と比べて、劇的な用具の進歩が感じられないからである。いや、仮に年々スピードとスピン量が数%ずつ向上していったとして、それに何の意味があるのか。去年と比べて、仮に2倍のスピードのボールが打てるようになったとしたら、卓球が楽しくなるのだろうか?3倍になったらもっと楽しいのだろうか?卓球人は打球スピードやスピン量を向上させることを求めているわけではない。自分の能力の向上をこそ求めているのだ。用具の性能がいくら向上しても、使う人が下手なままなら、卓球はちっとも楽しくならない。卓球メーカーが用具の性能向上にいくら血道を上げても、卓球業界が活性化するとは思えない。

私なら、次々と新しい用具を購入するよりも、自分の能力向上に投資したい。例えば仕事帰りにちょっと上手な人が相手をしてくれるような卓球場にお金をつかいたい。バッティングセンターのようなイメージで「卓球マシンセンター」でもいい。

卓球メーカーはどこへ向かっているのか。これからもスピードとか、「つかむ感覚」とか、スピン性能を追い求めていくのだろうか。もうそういうのは行き着くところまで行っており、十分なのではないだろうか。それよりも、もっと消費者が求めているものを提供したほうが業界全体の活性化にはならないだろうか。

【追記】 140101
新年早々デパートのバーゲンに多くの人が訪れるらしい。
服なんてタンスに入りきらないほどあるだろうに、多くの人はどうしてまた新しい服を高い金を払って買うのだろう?そう考えると、卓球用具を買う人も同じことなんだろうと合点がいった。
 

前回感じた王道04中国式の打球感の違和感をなんとか改善しようといろいろ試してみた。
王道04は
カチカチの粘着ラバー以外ならどんなラバーにも合う万能ラケット」
ということである。
しかし、固めのテンションラバー(オメガ4)で打ってみたところ、ドライブをかける際に違和感を感じ、気持ちよくドライブが打てなかった。
そこで今回ヴェガヨーロッパというフワフワラバーを使ってみたところ、前回よりも格段に打球感が改善された気がした。しかし純木製ラケットと比べると、しっかりドライブがかけられるような気がしない。薄く当ててドライブを掛ける場合はボールが良く伸びて、打球感も問題ないのだが、厚く当ててドライブをかけると、バチっという打球感があり、あまり気持ちよくない。

しかしこのわずか数時間の使用感から安直にに王道04はダメラケットだと考えるのは早計だ。ネットでの評判を見てみても、私のような違和感を感じる人はほとんどいない(ラザントを貼っているレビューをみたので、ラザント―比較的硬めのテンションラバーらしい―は合うようだ)。

また、私はこれまで純木製のラケットばかり使っており、特殊素材の入ったラケットを長く使った経験がない。もしかしたら、私の感覚がおかしいのかもしれない。

ところで私はニッタクのワンハオという中ペンのラケットも持っている。このラケットにF面テンションラバー厚、B面高弾性ラバー薄を貼って打ってみたのだが、カポンというか、ポコンという打球感でガッカリだった。王励勤のシェークはけっこう気に入っていたので、同じ紅双喜のワンハオにも期待していたが、完全に期待を裏切られてしまい、そのまましばらく放置してあった。今回、そのラケットにF面キョウヒョウ特厚、B面ヴェガヨーロッパ特厚(いろいろなラケットに使いまわされて大活躍)を貼って打ってみたところ、全然印象が違った。カポンという打球感はかなり影を潜め、キョウヒョウ3が想像以上に弾む。裏面に厚いラバーを貼ると、これほど印象が変わるものか。
ワンハオを見それていたようだ。

王道04にもいろいろなラバーを合わせてみた。合わないとは思うが、粘着ラバーの水星(知人にいただいた。中国で300円ぐらいで売っていたらしい)をF面に貼って打ってみた。
強烈にバチっという音がするが、当たる場所や当て方によっては非常にいい打球感で飛んでいく。

次にB面のボンバード・ゴクウスをはがして、ヴェガプロ(特厚?)に替えてみた。
B面に厚いラバーを貼ってみて、振動を抑えたら、かなり打球感が変わるのではないだろうか。
F面に水星、B面にヴェガプロ。どちらも厚いラバー。

しかし

う~ん、やっぱりイマイチ。悪くはないのだが、イマイチ。普通の5枚合板のラケットのほうが心地よい打球感を感じられる。

3つの可能性が考えられる。

「私の所有している王道04がハズレだった」 

あるいは

「私の打ち方がおかしい」

あるいは

「こういう仕様」

2番目かもしれない。この王道04で気持ちよく打てるようになれば、私のフォアドライブはよりレベルアップするのかもしれない。誰にとっても使いやすい万人受けするラケットもいいが、こういう「ジャジャ馬」的なラケットというのもおもしろい。「万能ラケット」というのが売り文句だったはずだが、「使う人を選ぶ」あるいは「打ち方の矯正になる」という特徴もおもしろいではないか。しかも、ブレードが小さいため、ボールがよく指に当たる(シェーク持ちをしているときはその限りではない)。このラケットに慣れれば、ブレードの中央にボールを当てる練習にもなるし、それから…ぐっちぃさんごめんなさい。やっぱり王道04は私には合いませんでした。シェーク持ちをしているときは、いくらかマシなんですが…。

【追記】
現在、王道04はブースターEV特厚とスペクトル厚を貼って、ラージボール用ラケットとして使用している。
これで公式球を打ってみたところ、かなりいい感覚だった。しかしやはり強打をすると時々バキンというイヤな打球感を感じる。ラージボールではそのような打球感を感じない。
このラケットは、コンパクトで軽く振りやすい。色や仕上げに高級感があって、いつも手元においておきたいラケットだ。だが、打球感だけが私には合わない。あくまでも私にだけ合わないので、みんなに合わないというわけではないことを補足しておきたい。

【追記】131225
最近、王道04を改めて使ってみた。
すると、いままで気になっていた嫌な打球感をほとんど感じなくなっていた。
これは私の打法がかなり変わったせいだと思われる。
私の打法は最近とにかく薄く当てる傾向にある。王道04は厚く当てると嫌な打球感をしばしば感じるが、薄く当てた場合は非常にいい感じである。これが開発者が想定していた打ち方なのだろう。王道04はできるだけ弾かず、ボールの表面をこするように打つのが正解なのかもしれない。記事本文にも書いたが、このラケットを使うことによって打法の矯正になるかもしれない。

【追記】 140319
改めて王道04を使ってみると、かなり硬い印象だったので、今はラージボール用ラケットとして余生を送っている。 ラージに合っていると思う。

私はぐっちぃ氏の大ファンである。ぐっちぃ氏は人柄もゆかしいし、卓球も上手いし、知識や交流も広く、熱心である。私は氏とヤッスンのWRMの「卓球知恵袋」を欠かさずチェックしている。
この動画はいつも役に立つ情報に満ちている。
いろいろな卓球指導書やDVDを買って観てみたが、卓球知恵袋のほうが上である。「知恵袋」は私たち初中級者の目線から説明してくれている。私たちが間違いを犯しがちな点に絞ってわかりやすくコツを説明してくれている。
これは本来、無料で見せるような内容ではない。1つの動画につき、100円ぐらいとってもいいぐらいだ。
こんな内容の濃い指導が無料で受けられるなんて、ちょっと大げさに言えば、日本卓球の革命といってもいいかもしれない。

昔も今も卓球が強くなるにはレベルの高い学校やクラブに所属して、上手な人と打たなければならないが、昔(インターネット普及以前)との違いは、今なら指導者や上手な人が周りにいなくても、独学である程度のレベルまでは行けることだ。昔も『卓球レポート』『ニッタクニュース』『TSPトピックス』などといった雑誌があったが、技術指導のページはほとんどなく、独学で上達するのはほぼ不可能だった。しかし、今ならyoutubeには上手な選手の動画があふれ、「卓球知恵袋」のような市井のプレーヤーのための動画も無料で見られる。とりわけ「卓球知恵袋」は日本卓球のレベルの底上げをしてくれているという点で大きな意味がある。

どうしてこんな1円にもならないことのためにぐっちぃ氏(とヤッスン氏)は毎日のように動画を作ってくれるのか。

「WRMの宣伝のためだ」

もちろんそれもあるだろう。しかしそれだけでは説明がつかない。WRMのイメージ向上のためだけに毎日パソコンの前に座ってブログを更新し、自分勝手な「教えて」コメントにコメントを返し、中高生(生意気で無理な要求をする子もいるだろう)の指導のために全国をめぐり、早朝に出社し、動画まで作ってアップしてくれるのか(しかも毎週のように試合に出場しているように思える。いったいプライベートの時間はあるのだろうか?ゴーストライターでもいるのでは?)。会社の規模のずっと大きなバタフライやニッタクなどがこれほどのサービスをほぼ無料で毎日のように提供してくれるだろうか?損得勘定抜きで卓球および卓球愛好者を愛してくれているとしか考えられない。このような奇特な人はそうそういない。若い人たちはぐっちぃ氏のような人が日本にいてくれることを当たり前だとゆめゆめ考えてはいけない。

私の知人で宗教の研究をしている人がいて、有名な神社や寺に非公開の国宝や重文の文書を見せてもらいに行ったりするのだが、そのような文書の中には出版はおろか、見せてもらうのもなかなか難しいものもあるらしい。

「別に減るもんじゃなし、学術的な目的のためなら、もったいぶらずにいくらでも見せてやればいいのに」

素人はそう考える。しかし、現実はそうはならない。
たとえば自分の寺社に縁の深い文書や絵画を何百万円もかけて購入した寺があるとしよう。その金の捻出はその寺社にとって大きな決断だったはずである。そこに東大とか京大の大学院生がフラッとやってきて、「論文を書くのに必要なのでお宅の文書を見せて下さい」といって、全ページデジカメで撮影して「ありがとうございました」。これでは、寺社としてはおもしろくない。

「うちの寺は公共の施設ではない。自腹を切って高価な文書を購入し、大切に保管しているのに、学生がさも当たり前といった顔で閲覧を要求してくるのはガマンならない。あまつさえインターネットで無断公開。これじゃこの文書の価値はダダ下がりだ」

知人はそのような社宝・寺宝の文書を見せてもらうために年に数回、寺社に挨拶に行き、その文書がどのような経緯で収められているのか、どのような由来・価値があるのか等の話を聞かせてもらい、数年それを続けて信頼関係を築き、「じゃ、ちょっと実物をみてみますか?」というご厚意に甘えて、やっと目的の文書を見せてもらえるという。いちげんさんはお断り。信頼のある人の紹介でようやく話だけ聞かせてもらえる。もちろん毎回手ぶらで行くわけには行かないし、コピーなどはさせてもらえない。見せてもらえたからといって関係が終わるかというと、そんなことはなく、その後もずっと挨拶に訪れなければならない。

卓球場で練習していたら、偶然となりの台で有名選手が練習していた。その選手にちょっとアドバイスをしてもらおうと質問してみたらどうなるだろうか?まちがいなく迷惑がられるだろう。

「減るもんじゃなし、教えてくれてもいいじゃない。こっちは熱心に卓球の上達を望んでいるのだから」

いくら減らないからといって、人の知識や技術を教えてもらえるのが当然だなどと思うのは大きな間違いである。長い時間をかけて信頼関係を築き、いろいろな便宜をはかってはじめて上級者は

「いつもお世話になっているし、たまには指導してあげなきゃな」

という気分になるものである。あるいは教室などに通って、ビジネスとして指導してもらうのが普通なのである。

ぐっちぃ氏の場合はそのような常識からかけ離れている。自社の宣伝のためという目的も多少はあるが、それを差し引いても、これだけ惜しげもなく自分の技術を不特定多数の人に教えてくれるなんて慈善事業としか思えない。このような活動で全国に顔が売れることによって、感謝されるどころか、いわれのない誹謗中傷にさらされることさえあるのだ。私がぐっちぃ氏の立場なら、そんな骨折り損の活動などまっぴらごめんだ。

ぐっちぃさん、ありがとう。私はぐっちぃ氏の努力に何らかの形で報いたいと思っている。

前置きが長かったが、そのような感謝の念の発露としてWRM社の王道04中国式というラケットを購入してみた。
そして先日初めて打ってみたのでその報告をしてみたい。

ブレードがこんなに小さいとは思わなかった。世間で言われているように非常に小さい。中国式の中では最も小さいかもしれない。そして軽い。グリップが適度にスベスベしていて、握り心地がいい。グリップレンズがなくてソリッドな印象。高級感がある。
ラバーは以前使っていたオメガIVというラバーを貼って打ってみたのだが、
「あれ?おかしいぞ。」
何度打っても違和感を感じる。特にドライブをかけるとき、非常にイヤな打球感を感じる。ラケットが硬くて、そのビビリがモロに伝わってくる感じ。ドライブを打とうとすると、バイーンとか、ガキーンといった打球感が返ってくる。裏面にボンバード極薄を貼っているために、振動を抑えきれていないのだろうか?あるいは硬いラバーには合わないとあったので、もっとフワフワ、モチモチのラバーでないと合わないのだろうか?世間での評判を聞くと、両面にテンションラバーを貼っているケースが多いので、両面に厚いラバーを貼れば、心地よい打球感を感じられるのかもしれない。

どうも納得がいかないので、長い時間をかけていろいろなラバーを使って再検証してみたい。

ぐっちぃさん、すみません。現時点では王道04の打球感はあまり気に入りません。

【追記】
この記事をぐっちぃさんのブログで取り上げてもらいました。
ぐっちぃの卓球活動日記
大人の事情で一部修正されていました。

ぐっちぃさんには非常に感謝しているが、やっすんのことも忘れていませんよ!
最近はぐっちぃさんに代わって知恵袋を大いに盛り上げてくれていますね。腰を回して打つ動画、とても参考になりました。
「腰を回す」って一言で言うけれど、その指すところは曖昧だ。
本当に雑巾を絞るように回すのか、はたまた外見には分からないほど、微妙に回すのか。やっすんの動画では回すというよりも、一度右に傾けてから、腰を立てるという感じだった。
やっすんは地味にいい仕事をしている。WRMの模木さんともいうべきかっこよさ。

【追記】130902
先日、ある指導者が「ぐっちぃの人気は本当にすごいね。でもみんなどうしてあんなに大騒ぎすんだろうね。もっと強い人や指導のうまい人はたくさんいるのにね。」と言っていた。ぜんぜん分かっていない。だからあなたは指導者として認められないのだろうと思った。ぐっちぃ氏の真骨頂はその人間性なのだ。卓球が強い人や指導理論に明るい人はこの業界にいくらでもいる。しかしあれほど真摯に卓球および卓球人を愛している人は稀なのだ。元世界チャンピオンだろうが、元全日本代表チーム監督だろうが、卓球人を喜ばせたいという篤い志においては、ぐっちぃ氏に及ばないのだ。

「テナジー05はどうもしっくりこない。やっぱり64だな。」
こんなことを以前水谷選手が言っていた。世界レベルの選手ともなると、さすがに細かい。

しかしこんなことを言うのは世界レベルの選手に限らない。
県大会レベルの選手でさえ「5枚より、7枚合板がいいけど、シナリがちょっと」とか「このラバーでドライブをかけると、ボールが軽くなるが、弾道は…」とか言ったりする。

みんなどれだけ感覚が鋭いんだ?

私はラバーだったら

「かたい/やわらかい」
「引っかかる/ひっかからない」
「弾む/弾まない」

ぐらいしか体感できない。

ラケットだったら

「軽い/重い」
「硬い/硬くない」
「弾む/弾まない」

ぐらいしか体感できない。ラケットが「しなる」ってどういうことだろう?ドライブの描く弧線が高いとか気のせいじゃないの?

私は毎月のようにラケットを替えるし、ラバーの構成もしょっちゅう変える。なので「自分のボール」というのがない。毎週違うボールを打っていると思う。用具がしょっちゅう変わるので、スイングなども微妙に変わっていると思う。おそらく、世間の人は一定の構成の用具を何年も使い続け、「自分のボール」を確立しているのだろう。それで、新しい用具で試打する時、ふだんの「自分のボール」を尺度にして「回転がかかる」とか「ドライブが低く沈む」とか感じられるのだろう。

ところで、弧線を高く描くのと、低く描くのではどちらが良いのだろうか?高く描いたほうが安定性は高くなるだろうし、低く描いたほうが決定率は高くなるだろう。どちらが良いとは一概にいえない。重いボールと軽いボールなら、重いボールのほうがよさそうだが、そのためにスイングの戻りが遅くなるなら、軽くて速いボールのほうがいいのではないだろうか。

よく「○○より☓☓のほうが高性能」と書いてあるのを目にする。
同じようなドイツ製のテンションラバーを使っていたら、どちらが高性能かというのは私には分からない。
もちろん柔らかい・硬いとか、ひっかかりがいい・悪いというのは分かるのだが、柔らかいのと硬いのとどちらが「高性能」なのか分からないし、ひっかかりが悪いよりはいいほうが望ましいというのが一般的な通念だと思うが、人によっては引っかかりすぎてスマッシュが安定しないなどということもあるだろう。「高性能」というのは何を意味するのだろうか?

先日、非常に球威のある人と卓球をした。ラバーはドニックのDESTOとかいうラバーを使っていた。
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ジャスポで4000円弱

その人のボールは非常に重い。ズシッとくる。その人の打つ軽いドライブをドライブで返そうとしたら、うまくドライブできない。うまく説明できないのだが、ボールをミートしたとたん、バーンと弾かれてしまう感じで、ボールが直線的に飛んでいって、相手コートからわずかに出てしまう。うまくドライブがかけられない。気持ち悪い。そこで私なりに原因を分析してみた。もしかしたら、相手のボールのスピードと球威が強すぎて、こちらのラバーがボールをつかむ前に飛んでいってしまうのではないかと。
そこで思い至った。もしかしたら、ラバーによっては相当な球威のボールでもしっかりボールをつかめるラバーがあるのではないかと。世間で言われている「高性能」ラバーというのは、つまりこういうことなんだろうか?
「相当な球威でもしっかりボールをつかんで、回転をかけ返すことができるラバー」
とすると、私のようなヘタクソではなく、県の上位レベルや全国大会レベルのハイレベルなラリーにおいてこそラバーの性能の高さが大きく影響するのかもしれない。逆に言えば、私程度のレベルではラバーの性能が高い・低いというのはほとんど関係なく、柔らかくて引っかかりのいい安いラバー(ヴェガとか)で十分ということではないだろうか?テナジーとヴェガを打ち比べたことがある。確かにテナジーのほうが弾むし、回転もかかる気がする。しかし私にはテナジーの値段分のアドバンテージは感じられなかった。「高性能」ラバーの恩恵に与れる人は、一部の上級者だけなのではないだろうか。


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