水谷隼選手がレシーブの時にシャツの胸元を引っ張っているのをよく見る。たとえば以下の動画なら02:36のところでその仕草をしている。02:52でも、03:18でも、している。



水谷選手特有の癖かと思ったが、丹羽孝希選手もときどき引っ張っている。日本選手の間だけで流行っているのかとおもったら、海外の女子選手も引っ張っていた。一体シャツの胸元を引っ張る意味は何なんだろうか。

これは「条件づけ」を利用したテクニックらしい。パブロフの犬が有名だが、餌をやる前にベルを鳴らすようにして、慣れさせると、ベルを鳴らすだけでヨダレを垂らすようになる、というあれだ。

たとえば集中する前にシャツの胸元を引っ張るようにして、身体が慣れたら、胸元を引っ張れば(刺激)、自動的に集中できる(反応)という仕組みである。集中だけとは限らず、リラックスかもしれないし、闘争心を高めているのかもしれない。また、刺激のほうもシャツを引っ張るだけでなく、勇壮な音楽を聞いたり、コーヒーの香りなどでもOKかもしれない。まぁ、卓球の試合中には音楽やコーヒーは使えないので、サービスの前にボールをラケットの上で転がすといった刺激が使われることが多いようだ。

これは心理学の中でも「行動心理学」という立場の心理学で強調された考え方だという。

この「刺激」と「反応」の「条件づけ」というのが本当に有効だとしたら、いろいろな場面で役に立つテクニックかもしれない。条件づけというのはおそらく2つの行為で終わるものではないだろう。

「長いサービスを出す」(刺激)→「一歩下がる」(反応・刺激)→「フォアハンドで打つ体勢に入る」(反応・刺激)→

のように2つめの「反応」が「刺激」となり、3つめの「反応」が起こり、それが同時に「刺激」になる、のように4つや5つの行為の間にも条件付けが使えるに違いない。これを上手に使えば無意識に4つや5つの行為が流れるようにミスなく行えるようになるかもしれない。多球練習も2つのアクションだけでなく、4~5つのアクションで条件付ければ試合で役に立つかもしれない。

このような条件づけを自分の体に覚えさせるには「リハーサル(繰り返し)」を何度も行わなければならないが、同じ事を黙々と機械的に繰り返すよりも、声を出して繰り返した方が心に深く刻まれるようだ。
たとえば

1.相手のサービスをつっつくときに「チャー」と叫び、
2.相手が突っ突き返してきたら、回りこんでループドライブをするときに「シュー」と叫び、
3.一歩下がってミドルに戻ってきたボールをスピードドライブで決めるときに「メーン」と叫ぶ。

このように何かのアクションに特定の音声を添えることで脳により深く刻み込まれる。これは『あした天気になあれ』でも実証?されていることだから、かなり効果があるだろう。特定の技術に特定の音声を与えることによって、ミスが少なくなるのではないだろうか?


ツッツキ:「チャー」 フォアループドライブ:「シュー」 フォアスピードドライブ「メーン」
フリック:「ワン」 バックハーフボレー:「タン」

「ハーフボレー+ハーフボレー+フォアスピードドライブ」で担々麺になる。

他にもスマッシュを「ドン」にして、丼物のバージョンを作ってもいいかもしれない。