古いニッタクのビデオがyoutubeに上がっていた。しかしこれは合法アップロードなのかどうか少し怪しい…。
合法か違法か確かめるためにもぜひ見なければならないと思い、見てみた。

結論から言うと、残念ながら合法か違法かよくわからなかった。
しかし、いろいろ興味深い技術が紹介されており、思うところがあったので、コメントしてみたい。






私は孔選手よりも劉選手のビデオの方に大いに興味を持った。
劉選手のビデオは以下の構成になっている。

1.グリップと基本姿勢
2.フォアハンド
3.ショート
4.ツッツキ
5.フットワーク
6.ミート打ち
7.スーパーテクニック
8.サービス

1を除いて、劉選手のコメントを記事末尾に入れた。
 
注目すべきは太字の記述、すなわち指に関する記述がかなり多いことである。
一流選手に「フォアハンドで気をつけることは何ですか?」と質問したら、どんな答えが返ってくるだろうか。
ブレードの角度や肘・腰の使い方、打球点や打球位置、スイングの大きさ。いろいろな答えが返ってくるだろう。
しかし劉選手はまず、指に関する注意点を第一に挙げている。ということは、ペンホルダーでは指の力の入れ具合がプレーに大きく影響するということだ。
2の「親指と中指に力を入れる」、3の「親指の力を抜きます」というのはよく言われることだが、当たり前のようで、案外意識していないことが多いかもしれない。3の「中指の力で押しながらラケットを前に出します」、4の「中指の力でラケットを回転させることです」というのも興味深い。シェークハンドでもバックハンドを打つときは親指を立てたりするが、シェークハンドの選手は劉選手のような細かい指使いにあまり言及しない。しかし実際にはシェークハンドの選手も一流の選手なら、指を細かく使っているのではないだろうか。前記事「気に留めないこと」で紹介したように上級者の中にはグリップが一番重要だと主張する人もいる(そういえば最近「WRM卓球知恵袋」でも指の使い方に言及した動画が連続して発表されていた)。シェークハンドの選手でもグリップはずっと固定したままではなく、打ち方によって微妙に変えたり、指の力の入れ具合を変えたりしているはずだが、それを意識的に行なっている人は、どのぐらいいるだろうか。無意識に指を使っている人は多いが、それを「フォアハンドで気をつけること」の第一に持ってくる人は少ないだろう。それを意識的に行なっている人はボールが安定するような気がする。

指というのは体の部位の中でも最も触覚の発達しているところの一つである。
単なるラケットと腕との「接続部」ではない。
指の微妙な力の入れ具合で正確な打球が可能となり安定性が向上する。しかしこの指の可能性を私たちはうっかり忘れ去ってしまっていないだろうか。ペンホルダーはもとより、シェークハンドの選手も、もっと指の可能性を顧みるべきではないだろうか。

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【ビデオ中の劉国梁選手のコメント】

1.グリップと基本姿勢
コメント省略

2.フォアハンド
親指と中指に力を入れます」「人差し指の力は抜きます」「腰と前腕の力を主に使います」「強打の時はふつうのフォアハンドよりフォームを大きくします」「腰の力を入れ、前腕の振りを速くします」「(強打のとき)後ろの3本の指は普通のフォアハンドより伸ばします」「薬指をラケットにつけてもかまいません」「ただし、小指をつけてはいけません

3.ショート
「ショートするとき、人差し指と中指に力を入れます」「親指の力を抜きます」「中指の力で押しながらラケットを前に出します」「普通のショートは前腕と手首の力を中心にして行いますが、プッシュ性ショートの場合は、まずボールとの距離をとります」「指の使い方はショートと同じですが、上半身を右側に回転させ、ボールとの距離をとって、前腕の力を使って瞬間的に前方向に強く押します」「普通のショートは前方向に出すに対して、横回転ショートは右から斜め前方向に出します」「指の使い方はおんなじです」「普通のショートは頂点の直前を捉えますが、横回転ショートの場合は打球点をさらに早くします。特にドライブ処理の場合は(早くしないと)ミスしてしまいます」「横回転ショートはボールの左側を捉え、相手のボールの力を利用して行います」「重要なことはラケットを横方向に動かすことによってボールがラケットの面に接触している時間を長くすることです」

4.ツッツキ
ツッツキの場合は人差し指と親指に同程度の力を入れます」「重要なことはボールをラケットのヘッド寄りに当てて中指の力でラケットを回転させることです」「ボールがラケットの面に乗ってる時間が長くなるほどボールは切れます」「切るツッツキの場合は頂点を捉え、、手首、前腕の力を使います」「ストップ性の場合はバウンド直後を捉え、相手ボールの力を利用して手首を中心にして行います」

5.フットワーク
「ボールが身体に近い時は、体の回転を使って返球します」「ボールが身体から遠い時は足を使ってボールのところまで行って体の前でボールを捉えるようにします」「ボールがフォアに来たとき、間に合えば斜め前に動いて打ちます」「間に合わなければ少し下がりながら打ちますが、打ちますが下がった分だけ、フォームを大きくします」「返球は不規則ですから、重心移動をしっかり行い、足を微調整しながらボールについていくことが重要です」

6.ミート打ち
「ツッツキの後、回りこむときは、身体を十分に回転させて回り込みます」「このとき、ボールとの距離を十分とって、体の前でボールを捉えるようにします」「ラケットをボールの下から、上、前方向に振ります」「インパクトの瞬間は少し回転をかけます」

7.スーパーテクニック
「切り替えする時、大事なのは指の力の調整ですフォアの時は親指に力を入れ、バックの時は人差し指に力を入れます。指の力の入れかたでラケットの角度を調整します。」「動くときは台に並行して動きますが、フォアにボールが来たとき、間に合わなければ、少し後ろに下がってもかまいません。ただし、そのときは、前腕を使ってボールを少し弾くようにします」「(裏面は)の使い方としては、親指と中指に力を入れます」「バックスイングでラケットの先端を体の方に引くことによって打球の際にラケットのヘッドが十分に回るようにします」「ラケットを引くとき、身体もいっしょに重心を下げながら、左方向にひねります」「そして身体を右方向に回転させながら、ラケットを上前方向に振って打球します」「(3球目攻撃について)レシーバーのラケットの角度をよく見て、レシーブのコースを判断します。下回転サービスを出した場合はツッツキで返球されることが多く、その場合は裏面ドライブかフォアドライブで攻撃します」「レシーブのコース、長さ、回転量を正確に判断して、自分の身体の使い方、力の入れ方を調整します」

8.サービス
「両ハンドドライブの選手は両サイドは強いですがミドルに弱点があるので表ソフトの特徴であるスピードを生かしてミドルに攻撃します」「ペンホルダーのドライブの選手はフォアの攻撃力がありラリーに強いが、守りに弱点があるので先に攻撃を仕掛けます。攻撃できなければコースを突いて相手に強く攻撃させないようにします」「表ソフトの選手はフォアの攻撃のタイミングが早いので、バックを突いて牽制します。できるだけ先に攻撃するようにしています」「カットマンに対してはコースを突いていきます。チャンスボールの時は強く攻撃しますが、チャンスボールでなければ、丁寧にコースを突いてチャンスを作ります」