先日行われたカナダジュニア&カデットオープンの試合を観て、牛嶋選手のプレーに目が釘付けになってしまった。



 2013 Canadian Junior & Cadet Open - Final Day Afternoon Session

1:11:00ぐらいから牛嶋選手とルーマニアのスッチ Bernadette Szocs 選手の準決勝、3:13:00あたりからアリエル・シン選手との決勝戦が始まる。
牛嶋選手のカットには驚かされた。とにかくゆっくりなのである。リラックスして練習しているようなゆるやかなスイング。ガツガツしていない。まるで白鳥が翼を大きく広げるような優雅さがある。攻撃もかなり浮いたボールだけを選んで、ゆっくりと確かめるように打つ。
牛嶋選手のゆっくりしたスイングから繰り出されるカットボールは穏やかに相手コートの打ちやすいところに落ちる。だが、その鷹揚なスイングとは裏腹に恐ろしく凶悪な下回転なのである。相手選手は牛嶋選手のカットをおもしろいほどボトボト落とす。かなり切れているので、相手選手も気をつけているはずなのだが、それでも落としてしまう。それでツッツキで凌ぐ、あるいはなんとかループドライブで返球するのがやっとで、どうしても打ち抜けないのだ。スッチ選手がドライブで決めに行くと、ボールがネットのかなり下の方に突き刺さっている。予想以上に切れているどころではない、普通のカットとは次元の違う切れ方のようなのだ。アリエル選手も同様に通常のドライブではボールが上げられないので、極端なループドライブで凌ぐのだが、粒高面の変化に対応できず、大ホームランを連発していた。ジュニアとはいえ、国際大会でこんな大ホームラン、見たことがない。牛嶋選手のカット、すごすぎる。
同じツアーのエジプトオープンでアメリカのリリー・チャン選手とも対戦しているが、リリー選手も牛嶋選手のカットをボトボト落としていた。

どうしてあんなにゆっくり切っているのに振り遅れないのだろうか。おそらく強烈に切れているため、速いドライブを打たれないのと、スイングのスタート(あるいは戻り)がとても早いためだろう。それからあの緩慢なスイングからどうしてあれほどの強烈な回転が生み出されるのか。間違っているかもしれないが、私の見立てでは、打点を落とし、スイングを大きくして、遠心力を最大限に利用しているからだと思われる。また用具もとびっきり弾まないものを使っているのだろう。
しかし牛嶋選手のカットを観て何よりもすごいと感じたのはラケットに対するボールの接地時間が他の選手より長いことだった。長いと言っても0.1秒以下の差だとは思うが、他の選手よりも球をよく保持しているように見えた。普通のカットが「シュッ」という擬音語で表せるとしたら、牛嶋選手のカットは「ザクッ」という感じだ。ボールをラバーでしっかりと捉えて切っているように見える。

こんなふうにゆったりとした卓球ができたら楽しいだろうと思う。なんとか自分の卓球に応用できないものか。私はカットはできないので、せめてスピードが遅く、強烈なループドライブが打てたらいいなと思う。

ともあれ、将来が楽しみな選手が現れたものである。

【追記】130905
牛嶋選手のプレーをもう一度じっくり見なおした。すると、相手がミスしやすいのはバックの粒高面の打球に対してだった。 粒高の変化の分かりにくさが牛嶋選手の強さの秘密かもしれない。