遊澤亮 驚異の卓球上達法(←このサイトをクリックすると、しつこく購入を勧められるので注意)を途中まで観る機会があったので、その感想などを記したい。
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いろいろなサイトでこのDVDのバナー広告がしつこく表示されているので、胡散臭く思っていたのだが、「これぞ四つのかなめなりける」で紹介した「試合に勝つための”必須”スキル」の紹介ページを見て、考え方が変わった。

もしかしたら『遊澤亮 驚異の卓球上達法』も遊澤氏の長年の経験を余すことなく伝えた動画であり、トップ選手の技術を紹介した非常に価値あるDVDなのではないか。そう思ってDVDを観てみたのだが、これはまったくおすすめできないシロモノだと感じた。

この商品はDVD1枚と解説書が付いている。解説書にはDVDの中の説明と、その場面の写真が収録されており、DVDを観なくても、解説書の説明を読めば、すべて分かる。

全体は6章に分かれており、各章のトピックは以下のとおりである。

1章 グリップと基本スイング
2章 ボールの回転と基本打法
3章 サービス
4章 レシーブ
5章 3球目攻撃
6章 効果的な練習法

端的にどんな内容かを紹介するために3章の「サービス」の解説を紹介しよう。なお、引用符の中の語句はそのままの説明ではなく、要約した説明である。

サービスの注意点としてまず

“ボールを持つ手のひらを丸めず、開いて平らにしましょう”

とある。そして次の注意点は

“16センチ以上、トスを上げましょう”

これは卓球の技術以前の問題である。これで卓球が「上達する」と言えるのだろうか。ただのルールの説明ではないか。

さらに

“トスした後に手がそのまま体の前にあると、フォールトになるので、トスしたらすぐに手を体の後ろに移動させるのがオススメです”

のような説明があった。解説の語句はこの文言そのままではないのだが、おおざっぱに言うと、こういうことを言っていた。サービスの時にトスしたあと、非利き腕を後ろに回す人を見たことがない。明らかにおかしい。

私はこれ以上観ても時間の無駄だと判断し、4章以降は観るのを止めた。福原愛選手のDVD「超ビギナーズ・レッスン」と同じか、それ以下のレベルが対象なのである。

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解説書の説明にざっと目を通してみたが、目を引くような説明は何もなかった。「基本スイング」については「手だけで打たず、腰を使って打つ」だの、ペンホルダーのショートのコツは「ブレードを真横にする」(真横よりもヘッドをやや斜め上にしたほうが安定しないか?)だの、よくある入門者向けの卓球本の付属DVD以上の技術は何もない。

それが500円ぐらいで売られているのなら理解できるが、12700円である。これは何かの間違いではないだろうか?ネットでこのDVDの評判を確認してみたのだが、「伸び悩んでいる方には最適」だの、「よいところはたくさんありました」だの、そんな評価ばかりなのだ。私が観たDVDと、みんなが観たDVDは別物なのだろうか?あるいは私の評価の基準がおかしいのだろうか?

なんだか狐につままれたような感じである。私は頭がおかしくなってしまったのではないかと不安になってくる。
遊澤氏のDVDを批判するのは卓球界ではタブーなのだろうか。どう考えても『遊澤亮 驚異の卓球上達法』には12700円もの価値はない。これは、全くのゼロ初心者向けDVDで、これを観てもせいぜいドライブが打てない人が打てるようになって、横回転サービスが出せるようになる程度にしか上達しないだろう。

【結論】
このDVDの値段こそが「驚異」である。

【付記】
このDVDの評価を探していて、卓球DVDが582円でレンタルできるというページを発見した。バタフライ、卓球王国、WRM等の3000~5000円ぐらいのDVDが不特定多数にレンタルされているのだ。各社から許可を得ているとはとうてい思えない。

卓球ラケット激安中古販売

この店でもDVDレンタルをしている

球楽

こんな違法なことをおおっぴらにやっていて許されるのだろうか。これでは発展途上国と同じではないか。義憤にかられる。私は法律に疎いのだが、法律に詳しい人がいたら、ぜひ糾弾していただきたい。

【追記】140502
グリップの握り方とか、下回転サービスの出し方とかの指導をどうして元日本代表レベルの人がしなければならないのか。大学生の卓球部員どころか、高校生の卓球部員で十分ではないだろうか。自らの部の宣伝にもなるし、いい経験にもなるので、大学生や高校生が初心者向けの指導動画を作り、youtubeにアップロードして公開してみたらどうだろうか?