新井卓将氏のブログ「たくしょーの裏ブログ」に非常に興味深い記事があった。
「卓球療法協会準備会」
http://ameblo.jp/tac-show/entry-11542919565.html

卓球はリハビリや老化の予防に効果があり、卓球を医療に利用しようということらしい。
この流れが卓球の社会的な位置づけを大きく変えるかもしれない。

医療と結びつけば、卓球にビジネスチャンスが生まれるだろう。しかも卓球に効果があるとされるのは高齢者に対する医療である。これからは高齢化社会である。ゆえにこれからは卓球社会である。
卓球と医療との関係はよく分からないが、卓球が高齢者の健康増進やリハビリに役立つだろうことは経験からよく分かる。

「卓球は楽しい」「卓球は手軽に取り組める」「卓球は運動量が調節できる」

老人が取り組めるスポーツは限られてくるが、卓球が肉体への負担が軽く、しかも楽しいことは疑いない。その負担の軽さと楽しさのバランスという観点からすると、地球上のスポーツの中で奇跡ともいうべきバランスの良さだ。
野球やサッカー、バスケやバレーボールなどを老人がするのは無理がある。老人が取り組めそうな一般的なスポーツを取り組みやすさの順に並べれば次のようになるだろう。

ウォーキング>水泳>ジョギング>卓球>ゴルフ>バドミントン

しかし、ウォーキング、水泳、ジョギングに無我夢中になるというのは考えにくい。泳いだり走ったりしているとき、何も考えずにひたすら身体を動かすというのはあるかもしれないが、卓球の場合は頭を最大限に使いつつ、無我夢中になれる。ウォーキングや水泳は楽しくてたまらないというタイプのスポーツではないだろう。その点で卓球に軍配が上がる。ゴルフは老人でも取り組んでいる人が多いし、移動の運動量を考えると、なかなか魅力的なスポーツではあるが、手軽にはできない。1回ホールを回れば1万はかかってしまう。移動や用具にかかる金もかなりのものだし、経済的なスポーツとは言えない。バドミントンは卓球に近く、運動量と手軽さを兼ね備えているが、コートが広く、移動距離が大きいために、ある程度体力のある老人にしか取り組めないだろう。卓球なら80代の老人でもそれなりのラリーができる。

それとは別に生涯スポーツ(高齢者でも楽しめるスポーツ)というのがある。
ラージボールやゲートボール、グラウンドゴルフ、ペタンク、ラケットテニス、パドルテニス、ソフトバレーボール等だ。これらは大きく二つの方向に分かれる。運動量が少なく、かなりの高齢者でも取り組みやすいスポーツ(ゲートボール、グラウンドゴルフ、ペタンク)と、かなりの高齢者が取り組むにはやや負担が大きいスポーツ(ラケットテニス、パドルテニス、ソフトバレーボール)である。前者は取り組みやすいものの、運動量が少なく、健康増進に対して有効性が低い。後者は運動量が多いがそのため、70代以上の高齢者には難しいだろう。その中でラージボールは取り組みやすさと運動量を兼ね備えており、年齢に応じて運動量を調節できるという、理想的な生涯スポーツとなっている。高齢者とスポーツという矛盾した命題を見事に解決した奇跡のスポーツともいうべきものだ。
なお、私はグラウンドゴルフ、ペタンク、ラケットテニス、パドルテニスの経験がないので、特に後者のテニス系のスポーツは、あるいはラージボールに匹敵するようなバランスを備えたスポーツかもしれないが、バドミントン並みのコートの広さは70代以上の老人には負担が大きすぎると想像している。もしかしたら、私の認識は事実と異なっているかもしれない。

これからはすごい時代になるかもしれない。国民の半分ほどが卓球およびラージボールに親しむような社会である。

「60代からのラージでは遅い!50代から始めれば、みんなの尊敬の眼差し!」

なんていう雑誌記事の特集も組まれるかもしれないし、「卓球療法士」という国家資格も登場するかもしれない。

「カリスマ卓球療養士」

なんていう人が登場し、マスコミで注目されて、「いつ始めるの!?今でしょ!」なんて言ってくれたら、日本で卓球がさらに盛り上がるかもしれない。

卓球およびラージボールは日本の医療保険料を大きく減らし、高齢者の健康増進に大きく貢献するはずである。高齢者の元気な社会は文化も豊かになるに違いない。

ネットで「卓球療法」を調べてみたところ、以下のページが見つかった。

「卓球と温泉」
http://www.ne.jp/asahi/takkyu-to/onsen/onsen1-takkyu-to-nou.htm 

このページに『卓球レポート』の2000年1月号の卓球医療の記事を紹介してあった。
その記事とは、医師の森照明氏がスポーツ医療の大きな学会で卓球の高齢者医療への有効性について発表したとのことである。次のような結果が出たらしい。私は実際の論文等は読んでいない。このページにはポイントだけ挙げてある。

卓球選手3000人へのアンケートから
1.卓球選手は明るく、好奇心が強い
2.「かな拾いテスト」で「卓球をやっている人の数値は一般人と比較して明らかに高い。40代、50代の女性の高成績は特筆される。」
3.年齢が上がるにつれて、成績は下がる「ボケの傾向」がみられる中、卓球をしている人の低下のスピードは遅く、60代、70代の比較では一般の人との差が極端に開いている。

 
 
1はアンケート結果だというが、どのようなアンケートだったのだろうか。
「あなたは卓球選手は明るいと思いますか?暗いと思いますか?」
そう聞かれたら、「暗い」と答える人は非常に少なくなると思うのだが…。私の経験から言って、卓球部の人は「暗い」人が多いと思う。「暗い」の定義はよく分からないが、自分から何かを積極的に発信するような人は多くないような気がする。というか、おとなしい人が多いと思う。このアンケート結果は私の実感とはズレている。それから「好奇心が強い」というのはどうやって実証できるのだろうか?普通の人が興味を示しそうなものに興味を持たないからといって、好奇心が弱い人とはいえないだろう。「レスリング」とか「爬虫類」とか「バス」のような、一般的にあまり興味を示しそうもないことに強烈な好奇心を示す人だっているのだから。

2と3は「アンケートから」ではないだろう。おそらくある程度の人数を対象に実験したのだと思うが、「一般人と比較して」というのが気になる。「一般人」がどのような人を指すのかはっきりしないので、このポイントだけをみると、あまり説得力がない。どうせ比較するなら「ゲートボールをやっている人」などと比較してほしかった。

そして1と2・3とをどうやって関連付けるかどうかもよく分からない。明るく好奇心の強い人は脳の働きが活発だと言いたいのかもしれないが、陰気で一つのことに執着するような人が脳の働きが活発じゃないとは言えないような気がする。

ともあれ、この卓球療法には大いに期待している。21世紀を卓球の世紀にできるかどうかは卓球療法の成否にかかっていると言っても過言ではない。

【追記】2013/06/23
大病院はぜひ院内に卓球場を設け、指導者を招いて老人のリハビリや医療に卓球を活用してほしい。この記事をご覧になっている医師のかたがた(いるかどうか分からないが)、卓球は老人の健康維持に効果があることは、私の経験から疑いありません!