しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




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世界選手権2013が終わった。
試合中、興味深かった発言を集めておこうとメモしておいたのだが、未完成である。
すべての試合の実況・解説を聞く余裕が時間的になかったので、なんだか中途半端になってしまった。
しかし、せっかく集めておいたので、下に記しておく。
引用は正確に再現できていない可能性もあるのはご了承いただきたい。

ミックスダブルス(岸川聖也選手・福原愛選手)1回戦第3ゲーム
岸川選手が巧みなプレーでポイントしたとき

近藤氏「やはり岸川くんはやるときはやりますねぇ」
アナ「そうですね、九州男児。」
近藤氏「九州男児ですから」

まるで、岸川選手はふだんはパッとしないとでもとられかねない発言だったので、笑ってしまった。そして「九州男児」というステレオタイプでまとめるのも安直で笑えた。

ミックスダブルス(吉村真晴選手・石川佳純選手)1回戦第4ゲーム
相手がサービスミスをしたとき

宮崎氏「あれはね、悩みながらサービス出してるんですね、強いレシーブが来るんじゃないかというように。そだからああいうミスをしてしまう。」
アナ「まぁ、悩ませるだけのことをこれまでやってきたということですね?」

なるほど。サービスミスは迷いながら出している時によくやってしまうものだ。ギリギリまでどっちに出そうか決めかねながらサービスを出したとき、よくミスしてしまう。言われてみれば、なるほどなのだが、言われるまで気づかなかった。

福澤アナ 「卓越した球技、略して卓球!!」

みごとなラリーを評して
福澤アナ「まるで白い糸を紡いでいくような…すばらしい!」

福澤朗氏の実況は古舘伊知郎的な熱くて饒舌な語りだ。「暑苦しい」と悪口を言う人もいるが、私は好きだ。福澤氏は卓球の従来の無難な実況に対する新たな試みとして評価できる。上手な比喩をおりまぜながらの実況は雰囲気を盛り上げる。「白い糸を紡ぐ」なんて詩的で秀逸な比喩ではないか。こんな表現はその場で生み出せるはずがない。事前にいろいろな表現を準備しておいたはずだ。その努力に敬意を表する。

対 馬琳戦。マツケンが3ゲーム目を決めたとき
宮崎「マリンに対して『オレの才能はどうだ!」と見せつけんばかりのプレーですよね」

宮崎義仁氏は特に文学的な表現を目指しているわけではないと思うが、この引用構文の性質を遺憾なく発揮した表現はどうだ。なにげに言い得て妙ではないか。引用構文の本質である実物表示をここで不意に持ってくる宮崎氏のセンスには脱帽だ。

対馬龍戦で馬龍がミスを連発していたことに対して
宮崎「丹羽選手の卓球は打ちぬく卓球じゃなくて、相手のミスを誘う卓球なんですよ」

え~~!そうだったのか。ここの引用はあまり正確ではないかもしれないが、このような趣旨のことを言っていたはず。丹羽選手といえば、早い打点でノータッチで打ちぬくイメージがあるが、丹羽選手の本領はそれではないのか…。

以上、まとまりのない、寄せ集めの引用集である。おそまつさま。
 

中国の方から聞いたのだが、中国卓球界で最高の栄誉とされるのは「全満貫」を達成することだという。
「大満貫」というのは聞いたことがあるが、「全満貫」というのは初めて聞いた。

鄧亜萍Deng Yapingは13~14歳(中国の年齢は数え年なので、あいまい)で中国の全国大会(これも複数あるらしい)で優勝したらしい(1986年?)。卓球王国の中国でわずか13歳あまりで優勝するというのはどういうことなのか。まさに天才少女と呼ぶにふさわしい。それにしても信じられない。あれほど層の厚い中国でポッと出の中学生の少女が全国優勝を成し遂げるなんて。
しかし、考えてみたら、こういうことも十分起こりうることなのだ。中国は広い。そして卓球人口が非常に多い。都市部でけっこう有名な選手たちは、みんながマークしているので、順当な結果になる。しかし中国は広い。全国津々浦々からとんでもなく才能のある若い選手が毎年現れる。彼女らは当然ノーマークだ。松平志穂選手のしゃがみ込みサービスを予備知識無しに受けたら、世界ランキング一桁の選手もかなり手こずるのではないだろうか。
それで中国では国際大会―大抵の選手は一度ぐらい対戦したことがある、あるいはある程度の情報がある―で優勝するよりも、国内大会―どんな選手が出てくるか分からない―で優勝するほうが難しいとされているらしい。「全満貫」というのは「大満貫」(オリンピック・世界選手権・ワールドカップ)を制し、かつ中国の全国大会を制することを指すという。

水谷選手の1回戦負けのニュースには耳を疑った。まさか水谷選手に限ってという思いだった。先日のワールドチームカップでブラジルのマツモト・カズオ選手にストレート負けをしたときの再来だ。水谷選手が負けたのはチェコのパペル・シルチェクという選手らしい。世界ランキングは131位。相手は当然水谷選手の戦い方を入念にチェックしてあったはず。一方水谷選手は中国との対戦ばかりを視野に入れ、世界ランキング3桁の選手のことなど眼中になかったことだろう。まさかこんな伏兵がいたなんて。マツモト選手といい、シルチェク選手といい、世界ランキングの低い選手といえどもあなどれない。

卓球というのはほんとうに相性で大番狂わせが起きやすい競技だと思う。それはそれでスポーツとして健全なあり方だ。しかしそれでも格下にほとんど負けない中国選手の強さは異常だ。未知の選手に対応するのは中国のトップ選手に必須の能力なのかもしれない。

水谷選手はこんなことで引退など考えないでほしい。まだまだ若いのだから、この敗戦を成長の糧としてがんばってほしい。

【追記】131005
上に言及した「中国の全国大会」というのは「全中国運動会」のことだという。今年の「運動会」には張継科選手が出場していないのかと思ったら、準々決勝で樊振東選手に早々と敗退したのだという。わずか16歳で現世界チャンピオン、オリンピック金メダリストを下すとは、後生畏るべし。なお、女子の李暁霞が優勝し、全満貫を達成したらしい。
 

世界選手権がはじまった。
昨日のミックスダブルスをネットでみたが、どれも危なげない試合だった。
そして今日の女子シングルス1回戦。石川佳純選手、平野早矢香選手は無名の選手と当たり、危なげなく勝利を収めた。

そして福原愛選手。相手は韓国選手ということでちょっと気を抜けない試合だ。

その頃、私は スーパーで「国産牛(うで)」と「国産牛(かた)」のどちらを買うべきか悩んでいた。それとも値段の安い豚肉にしようか、イヤイヤ、こいつは豚肉にしては高い。それなら絶対的な価格では高いけれど、牛肉を買うべきだ。しかし、「うで」と「かた」というのはどう違うのだろう?そんなことに神経をつかっていた。

そして、テレビ大阪で福原選手の試合を見てびっくりした。まさかここで負けるとは。
試合の内容はかなりあっけなかった。終始相手がリードして、結局そのまま追いつけず、2-4で負けてしまった。
福原選手のバックハンドが相手にまったく通用しなかった。プラス、福原選手の攻撃がほとんど入らない。フォアで打っても入らない。バックで打ってもミス、というか、1~2球はバックが入るのだが、それを相手がミスなく返球してくる。しかもときには強打で。

この負け方は、2~3年前の福原選手と同じだと感じた。バックハンドの打点をどんどん早くしていって、自滅してしまうのだ。相手が先にミスしてくれれば得点できるのだが、あいにく相手のバックハンドはかなり安定している。ミスがない。それで福原選手のほうが先にミスしてしまうのだ。
去年の福原選手はそうではなかった。相手の攻撃が激しい場合、攻撃で応じず、ブロックで粘って、甘い球を強打。こういう戦術に変わっていたので、自滅して負けることがなく、安心して観ていられた。
「愛ちゃんは、成長したな。相手の攻撃をじっと耐えられるようになった。先に攻撃させるというのは「後の先」っていうんだっけ」
これから福原選手は脂の乗り切った最盛期を迎えるに違いないと思わされたものだ。それがこの試合では「自滅の愛ちゃん」に逆戻りだ。 私には理解できない。

どうして相手の堅いバックにばかりボールを送るのか。 
攻撃が入らないのなら、どうして守ってチャンスを待たないのか。 

いったいどこで間違えてしまったのか。福原選手の試合後のインタビューでは「勝ちに行くつもりで攻めた」というようなことを言っていた。つまり強気で攻めようとしたようだ。

ところで牛肉の「かた」というのはよく説明があるのだが、「うで」というのはどの部分なのかよくわからない。
お肉道場
というページにも「かた」はあるが、「うで」はない。「かた」と「うで」はやっぱりつながっているのだろうか。考えてみると、肉の部位というのはどうやって決まっているのだろうか。
当たり前だが、肉には切れ目がない。切り取り線のようなものがあって、それにしたがって切っていけば、きれいに分かれるというわけではないだろう。「かた」と「うで」も連続していて、その適当な位置で切り分けられるに違いない。その位置というのは熟練した職人が長年の経験から最適な位置で切り分けているのだろう。そのような職人芸を私は尊敬してやまない。

卓球の試合というのは、形式的な切れ目がある。ゲームやポイントだ。しかしそれはあくまでも形式的なもので、実際は連続している。1ゲーム目と2ゲーム目の間に試合の切れ目があるとは限らず、2ゲーム目の7-6のときに切れ目がある場合だってあるだろう。7-6になったときのポイントが勝負の分かれ目だったということもあるだろう。そういう切れ目が経験豊富な達人には見えるのかもしれない。

福原選手の試合には切れ目があったのだろうか。

私ごときの見立てはおそらく間違っているだろうが、あえて言うなら、福原選手の戦い方は終始あまり変化がなかったように見える。途中からフォアで積極的に打とうとするという小さな切れ目はあったが、全体的にバックハンドの強打に頼りすぎていたように見えた。その強打で相手のバックを抜けない。それでさらに強打を重ねて自滅というパターンだったように見えた。切れ目が作れなかったこと、試合中に戦術を大きく変えられなかったことが福原選手の敗因だったのかもしれない。

明日の仕事の準備を後回しにしてこんな時間までテレビ中継を見てしまった。徹夜かも…orz。

 

いよいよ今月は世界選手権である。
男女共にダブルスならメダルを狙えるが、シングルスは難しいかもしれない。
オリンピックと違って世界選手権は中国選手が大量に出場してくる。順当に行ってもベスト8がいいところかもしれない。
中国の最近の強さは異常だ。他国の選手が優勝するなんて想像できない。優勝どころかベスト4は男女共に中国選手で占められるだろう。尋常な勝負では日本選手は分が悪い。

男子なら、水谷隼選手がベスト4に届くかどうかが注目される。最近の対中国選手でもっとも結果を残しているのが水谷選手だからだ。

しかし私は丹羽孝希選手のほうに注目している。なぜかというと、丹羽選手は何か「隠し球」を持っているのではないかと期待されるからだ。丹羽選手は天才と注目を集めながらも、最近国際試合でほとんど結果を残していない。中国選手どころか、ヨーロッパの上位選手にもコロコロ負けている。
ブンデスリーガでプレーを始めた頃、「日本の快男児、ヨーロッパで大暴れ」という展開を期待していたのだが、結果はあまりパッとしない。しかしこれは世界選手権のための布石だったのではないかと考えるようになった。

中国選手に真正面から勝負を挑んで勝てる選手はいないだろう。運良く1勝ぐらいできるかもしれないが、その確率は低い。したがって搦め手から攻めなければならない。
「丹羽は中国と当たる前に負けてるだろう。日本で要マークは水谷だ。ちゃんと研究しておこう」
というのが中国の一般的な見方ではないだろうか。しかし、そう思わせておいて実は丹羽選手は「隠し球」を用意しているに違いない。丹羽選手は「これは世界選手権まで封印しておこう」と誓った技をいくつか持っているに違いない。そう考えればブンデスリーガでの残念な成績や先日のワールドチームクラシックでのあっけない敗北も説明がつく。
「俺が囮になる」と水谷選手が先輩らしいところを見せて、丹羽選手に対中国選手の秘策を授けたりしているかもしれない。丹羽選手はベスト16ぐらいまで小出しに「隠し球」を使い、中国選手と当たった時にはこの日のためにとっておいた技を惜しみなく使いきってメダルをとってくれるに違いない。伸び盛りの18歳が何の手も打たずに手をこまぬいて卓球界の檜舞台である世界選手権に臨むはずがない。
いや、実は丹羽選手も囮で、意外にも2009年の世界選手権から雌伏の期間を耐えてきた松平健太選手が大金星をあげてくれるかもしれない。

期待しているぞ、日本男子!

【追記】 5/17
私の予想通り?健太選手が馬琳をほぼ完璧な内容で下した。すばらしい!あの打点の早いカウンターはこれからも期待させられる。がんばれ、影の大本命、松平健太選手! 

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