しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




タグ:レシーブ

テニスのサービスは時速200キロに達するのだという。
自コートのプレイヤー付近に到達するまでに0.5秒しかかからない。反応して、サービスがどういう軌道を描くか判断するのに0.25秒かかるというので、移動に残された時間は0.25秒しかない。この限られた時間で移動できるのはせいぜい1歩らしいので、ボールが外側を通った場合、その位置まで移動するのは物理的に不可能なのだという。

「アスリート解体新書」03 テニス



プロの選手はどうやってそのボールに反応しているかというと、相手の打球と同時に軽くジャンプし、上体を沈ませ、その反動を利用して大きく移動するのだという。これをスプリット・ステップ と呼ぶらしい。
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この技術は卓球にも応用できるのではないだろうか。相手のサービスのトスと自分のジャンプのタイミングを合わせ、着地の反動を利用して大きく移動すれば、回りこみや飛びつきのスピードが上がる。

そういえばレシーブ時にジャンプしている卓球選手を見たことがあるような。
テニスのテクニックを確認してみると、いろいろ発見が多い。 

【追記】 140202
足を踏み出す前に予め筋肉に負荷をかけておき、 瞬間的に移動できる状態にすることをバドミントンでは「プレローディング」と呼ぶらしい。スプリットステップとは微妙にずれるかもしれないが、かなり近い概念のようだ。どの競技でも同じような工夫がなされているのだと興味深く感じた。

フリックとはなんだろうか?分かっているようで、よく分からない。

辞書では以下のように説明されている。

flick
a(むちなどで)軽く打つこと; (指先などで)はね飛ばすこと.
bピシッ[パチッ](という音).
研究社『新英和中辞典』より
 
自分があまりフリックを使わないせいか、フリックという打法を的確に説明できない。
英語の意味から、なんとなく、台上で軽く弾く打法といった程度の認識だったのだが、実際に下回転のボールを台上で弾くというのはけっこう難しいのではないだろうか。そんな打法がそうそう安定するとは思えない。軽く弾けばネットにかかるし、強く弾けばオーバーしてしまう。回転量をしっかり読んで、適当な強さと角度(ブレード面の開き具合) で弾くのはかなり難しい。よく考えてみると、弾くだけでなく、手首を返すような打法もフリックと呼ばれていることを思い出した。フリックとは一体なんだろうか。

下の動画を見ると、フリックにはA「乗せるフリック」、B「こするフリック」、C「弾くフリック」の少なくとも3種類があるようだ。そしてこれらの習得は連続しているという。初めは角度をつけて乗せるだけのA。それに慣れてきたらボールの後ろをこするB、さらにボールの回転が読めるようになったら、より攻撃的なC、というように。

【Q&A】下回転に対するフリック
 

なるほど。台上でボールをさまざまなタッチで処理するのがフリックか。そして3者に共通するのはバックスイングをとらない点だろう。自分からボールを迎えに行かず、ボールがラケットに到達するまで引きつけて打つという打ち方である(前記事「知っているかどうか」)。

しかし、下の動画にはさらにフリックだけでなく、「流し」「払い」といった多様なレシーブが紹介されている。「横に引っ掛ける」「面を開く」「ナックルで弾く」。これはフリックとは区別されているらしい。では、フリックと「流し」と「払い」とは何が違うのだろうか。

はらたか教室 台上技術


「フリック」に近い打法として「流し」や「払い」というのがあるようだが、それらの外延は部分的に一致するのだろうか。それとも「流し」「払い」「フリック」はそれぞれ排他性を持つ独立した概念なのだろうか。
動画を見ると、「流し」というのはスイングがやや大きいように思う。しかしバックスイングをとっていないのでフリックの一種と言えないこともない。
また原田氏が「高等技術」と呼んでいる“面を開くレシーブ”はフリックの一種だろうか。「流し」だろうか。フリックとの違いが見いだせない。
最後に水谷選手が使っている「ナックルの払い」というのはバックスイングがないのはフリックと同様だが、スイングがかなり大きいという違いがある。ただ、これもフリックの延長とはいえないだろうか。

また、「こするフリック」と「台上ドライブ」というのは何が違うのだろうか。

【卓球知恵袋】回転をかけるフォアハンドフリック
 

台上ドライブというと、バックハンドなどで、バックスイングをとって、低く速いボールを打つというイメージなのに対して、「こするフリック」というのは、面を垂直に、あるいはやや上に向けてボールの後ろをこすりながら乗せる技術のように思う。ドライブは相手の下回転に自分の上回転を上書きするような打法だが、フリックは上書きというより、相手の下回転を弱めつつナックル気味に返球するボールなのかなと思う。その中間的なものが「チキータ」だろうか。 

では、「弾くフリック」とペンのバック・ショート、あるいはプッシュは何が違うのだろうか。

卓球技 フォアフリック(ペン)


卓球技 バックショート&プッシュ


下回転のボールを弾くのがフリックで、順回転のボールを弾くのがプッシュだろうか?あるいはフォア・ハンドで打つとフリックで、バック・ハンドで打つとプッシュということだろうか。

また、下の新井卓将氏の「フリッカー」というのはフリックの一種だろうか?「弾くフリック」や「プッシュ」と何が違うのだろうか?「プッシュ」はバックスイングをしっかりとって打つという違いだろうか。

卓球技 弾く!流す!フリッカー打法


「フリック」「流し」「払い」「バック・ショート」「プッシュ」「フリッカー」と、この辺の用語の関係がよく分からない。あるいは人によって同じものを違った呼び方で呼んでいるのだろうか。人によって微妙に用語の外延が重なっているのかもしれない。「台上」「バックスイングを取らない」というのがフリックの定義のキーワードになると思うが、その要素できれいに割り切れるのかよく分からない。

考えがまとまらず、中途半端になってしまったが、これらの打法については後の考察を俟ちたい。

【付記】
2013年最後の今日、ミュージシャンの大滝詠一氏が亡くなったというニュースが飛び込んできた。
大滝詠一氏は80年代初頭に一世を風靡したミュージシャンである。
もう30年以上も前に作られた数々の名曲は今も輝きを失っていない。
個人的な感想にすぎないのだが、私は大滝詠一氏の下の3枚のアルバムを超える作品を未だ知らない。

また、永井博氏のジャケットはwiki pedia によると、

「A LONG VACATION」は日本のジャケットデザイン史上に残る名作と言われている

そうだ。

大滝詠一氏の初期のアルバムはあまり私の趣味には合わないのだが、以下の3枚のアルバムは私のストライクゾーンだった。このアルバムの路線でのニューアルバムを数十年も待ちわびていたのだが、とうとうその完成を見ることはなかった。

合掌。

A LONG VACATION
_SS135_SL160_

EACH TIME
_SS135_SL160_


B‐EACH TIME L‐ONG
_SS135_SL160_


【追記】150112
大滝詠一氏の追悼ベストアルバムが発売されるようだ。
ちょっと気になる。



相手の横回転ロングサービスがバックに来た時、うまく迎撃できるか自信がない。
バックハンドドライブや払いで返そうとすると、ボールが落ちたり、あらぬ方向へ飛んで行ったりして安定しない。
回りこんでフォアハンドドライブという手もあるが、これもそうそう使える手ではない。ボールが速いと間に合わないからだ。
そういうミスの連発で練習相手に迷惑をかけまいと、だいたいツッツキ系の止めるレシーブを多用していたのだが、最近、指導者にバックハンドレシーブのコツを教わった。

バックスイングをとらなければよかったのだ。こんな簡単なことを今まで知らなかった私のなさけなさよ。

横回転のロングサービスがバック側に迫ってきたとき、

「ボールの回転に負けまい」
「ボールにしっかり回転をかけよう」

と力んでしまい、バックスイングをしっかりとってからバックハンドを振っていたわけだが、そうすると、ボールを押す力が働いてしまい、必要以上に飛んでいってしまう。
そうではなく、ボールがラケットに到達するまでジッと待ち、ボールが当たったら、そのままバックスイングなしでボールをこすってみると、回転がしっかりかかり、ボールが飛んでいかない、台上に収まる。

「ボールを迎えに行かずに、ボールがラケットに到達するまで待つ」

こんな単純なことだったのだ。おそらくこの「ボールを押さなければ、安定する」という原理の射程はもっと深いに違いない。他にもさまざまな打法にこの原理が応用できるのではないか。

卓球にはこのように「知っているかどうか」でプレーの安定性が劇的に改善するコツが他にもあるに違いない。

安定性だけでなく、対戦においても「知っているかどうか」が勝敗を大きく左右するかもしれない。
厳しい練習の末に身につけた技術の前に敗れるなら、本望だが、単に知らなかったがために試合に負けてしまうのは納得がいかない。

以前、Xia氏のペンドラビデオでおもしろいことをやっていた。

 

普通のストップに見せかけて、横回転を入れたストップで返球し、それを相手がさらにストップしようとすると、フワっと浮いてしまう。そこを狙って打つという戦術だった。

同じようなことをぐっちぃ氏も紹介している。「ドライブサーブ」という相手の意表をついたサービスだ。普通の試合では相手に2球目で打たせないように短いサービスや回転のかかったサービスばかり出す。上回転のロングサービスなど、相手に「どうぞ打ってください」と言っているようなものだから、誰も出さない。その固定観念を利用して相手の意表をつくサービスだ。

 

しかし、こんなのは知らないから引っかかるのであって、みんながやっていたら、誰も引っかからなくなる。つまり「知っているかどうか」が対戦に大きく影響する。ひたすら「独学」で練習を繰り返すだけでなく、大会で多くの選手のプレーを見て、どんな戦術や技があるのかを「知る」ことも大切だったのである。

このレシーブのコツを教わったことによって「知る」ということに今まであまりに無頓着だったと反省させられた。

【追記】1110
『卓球王国』の村瀬勇吉氏の連載「マジックサービスを無敵レシーブで攻略せよ!」にも同様の記述があった。
村瀬氏は「近」「短」「速」をレシーブの原則とし、「近」―つまり、バックスイングをできるだけ小さくすると安定すると説く。
近打球点の考え方は、台上テクニックだけではなく、ロングサービスなどに対するレシーブでも同じである。長いサービスが来た場合もあわてて大きなバックスイングをとるのではなく、打球ポイントにラケットを置いておき、打球と同時に振るとミスは少なくなる。

打球点の近くから振ってもまだ押しすぎてしまうという人は「ラケットとボールが当たってから振る」というイメージでスイングしてみると良い。ただ当てるだけだとコントロールは難しいのだが、当ててから振るイメージで打球すると、飛距離を最小限に抑えつつ、打ちたい方向に打球しやすくなる。


バックスイングが小さければ、必ずしもバックスイングなしで打たなくてもいいようである。

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