しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




タグ:ラケット

高級ラケット初体験という題名だが、本当はエバンホルツとか、劉詩文とか、アコースティックとか、ちょっと試打したことはある。ただそれは数分に過ぎなかったので、今回のように購入して数時間使ってみるのは「初体験」である。

以前、ラケットをとっかえひっかえ買い換えるのではなく、一つの高級ラケットを長く使おうと決心した(「ラケットの品質」)。それでナケナシのヘソクリから2万ほど捻出したのだが、、ラケットに1万以上もかけるのは本当に意味があるのだろうか?定価5000円と1万円のラケットは違いがあると思うが、定価1万のラケットと、2万弱のラケットに価格に見合うだけの性能差があるのだろうか。ここまで高価格になってくると、単に好みの問題なのではないだろうか…。さまざまな思いが脳裏をよぎったが、ともあれ今回はケチらず、本当に気に入ったものを買おうと決心した。
予算が2万近くあると、よりどりみどりである。最近は中ペンを使っているので、中ペンの高級ラケットのなかで以下の候補を考えた。

スティガのインテンシティカーボン 中国式
バタフライのインナーフォースZLC-CS
ニッタクのアコースティック 中国式
ヤサカのギャラクシャカーボン 中国式

結局選んだのはバタフライの中ペンラケットの最高峰インナーフォースZLC-CSである。

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実売15000円前後もする超高級ラケット。ブレードサイズが158☓150ミリとちょっと縦が短いのが気に入らないが、グリップのカラーリングやデザインもカッコイイし、バタフライというブランドの信頼性もある。
インテンシティ―はちょっと打たせてもらったら、打った感じが軽く(ポコンといった打球感)、あまり気に入らなかった。貼ってあったラバーが薄かったのかもしれないが。
アコースティックの中国式もほしかったが、10/20の発売日まで待ちきれなかった。

ラケットのレビューというのは私程度の実力では力不足である。それでインプレッションである。使い込んだ末の評価ではない。第一印象といった程度の評価である。

グリップ
驚くほど手にフィットする。私はかなり手が大きい方だが、吸い付くように手に合う。握った時点で早くも高級感が漂い始めている。

素振りをしてみた感じ
ずっしり重く、中身が詰まっている感じ。ラバーはうちに余っていたF:ラウンデル(厚)、B:V>01(特厚)を貼ってみた。ラバーを含めた重量は180g弱あった。ラケット単体の重量は測っていない。

削ってみると
カーボンで黒ずんでくる。カーボンって炭なんだなぁと気づかされた。

打った感じ
よく飛ぶが、飛び過ぎない。ちょっと重いが、とてもいい。不思議なのだが、よく弾むけれど、オーバーミスが少ない。自分の思った通りのボールが打てる。それだけでなく、想像以上のボールも打てる。他のラケットならミスしているだろうボールも入ってしまう。
たとえば、バックのブロックをしたとき、押しが弱すぎて「あっネットにかかった」と思ったボールも入ってしまう。当てただけでボールが入ってしまう。相手がスマッシュしてきたボールを中陣からドライブしても入ってしまう。ふだんの私なら絶対入らないボールである。ドライブをかけたとき、打った瞬間、「あっオーバーしたか?」と思ったボールがネット近くのはるかに浅い位置に入っていた。なんなんだこれは?もはや魔法である。以前、「テンションラバーの不思議」でテナジーのインチキ的な使いやすさに言及したが、このラケットもインチキ的に性能が高い。速いボールが打てるというより、速いボールが入ってしまうところがインチキである。さすが入門者向けラケットの3倍以上の定価だけのことはある。
ただ、よく言われるように基本を習得するには弾まないラケットと非テンションラバーがいいのかもしれない(前記事「弾まないラケット」)。インナーフォースを使うと、まちがった打ち方でも入ってしまうので、長い目で見ると上達を妨げるような気もする。

もっといろいろな比較やコメントができればいいのだが、私には大雑把な感想しか言えない。より詳細な評価はもっと上手な人のレビューを参考にしてほしい(前記事「打球感の変貌」)。 

【追記】 131003
プッチンプリンに醤油をかけると、ウニの味に、きゅうりにハチミツをかけるとメロンの味になるという。
同じようにドライブキラーにテナジー64でインナーフォースの打球感とかにならないものだろうか。
そんなことが気になって仕方がない今日このごろ。 

【追記】 131005
やっぱりインナーフォースは私には重すぎる。せっかく買ったけれど、もっと軽い製品を探そうと決心した。私がいつの日か上級者になったとき、このラケットがきっと役に立つはずだ。 

【追記】 140105
自信がないのであまり人には知らせたくないのだが、「バンブーショット」+「V>01」で「ウニの味」に感じられた。

【追記】 140217
感覚的に喩えれば、5枚合板の打球感が「マリービスケット」の歯ごたえだとすると、インナーフォースZLCの打球感はアーモンドの歯ごたえに感じられる。 

以前、結構上手なグループの中で練習させてもらったことがあった。
その中に私と同じぐらい下手な人(Sさん)がいて、その人が安定度ゼロのイチかバチか卓球を大開催中だったときのことだ。まわりの上級者はちょっと一息入れているところで、呆れ顔にSさんのプレーをボーっと観ていた。 

「あの人、いつもあんな感じだよな。ミスばっかで、『あれ?おっかしーな』とかいつも言ってるけど、ぜんぜん『おっかし』くないよな。あんな打ち方したら、入らないに決まってるっつーの。相手させられてる人、かわいそう。」
「でもSさんって用具にだけは詳しいんだよな。」
「…」 


この「…」に解説が必要だが、 敷衍すれば次のようになる。

「実力の方はお粗末なのに、いろんな用具をとっかえひっかえ試してるなんてカッコワル。上手なら、いろいろな用具を試してこだわるのも納得できるが、あんなヘタクソが『用具マニア』とか噴飯物だ。というか、下手なヤツに限って『用具マニア』だったりするよな。あんたのような人間はジャピエルにマークVぐらいで十分過ぎるほどだよ。その組み合わせである程度までやってみな。用具の知識よりも、実力をつける方が先だろうが。環境保護のためにも、もうその用具とっかえひっかえはやめろ!」

のような意味の沈黙だった。私は傍で聞いていてちょっと身につまされる思いだった。私は「用具マニア」というほど知識が豊富なわけでも、用具をたくさん持っているわけでもないが、実力をつけるよりも、いろいろな用具を試してみたいという気持ちが強く、結果として安い用具をたくさん持っている。

しかし、最近ついに悟ったのだ。いろいろな用具を買っても、結局十分にそれらを試す機会は一生訪れないのだということを。
「TSPやコクタクの安いラケットの中にきっとバタフライやスティガの高級ラケット以上に私に合うラケットがあるに違いない。それを探し当てたい。」
という希望を持っていたのだが、もう自宅に置き場所もないし、定価1万円以上の高級ラケットというのを決定版としてこれから10年ぐらい使っていこうと決心した。

それに、最近知人からこんな話もきいた。
ラケットの値段は何によって決まるのか。あるラケットは定価5000円ぐらいなのに、あるラケットは定価がその数倍する。何が違うのだろうか。材質が違うのだろうか。研究開発費だろうか。そうではなくて品質だというのだ。
つまり、安ラケットは品質のチェックを十分行っていないため、アタリハズレがあって、ときどきとんでもないハズレをつかまされることもあるのだという。それにたいして高級ラケットは一定の品質が保証されており、ハズレがほとんどないのだという。卓球部などで同じラケットに同じラバーを貼っているのに、かなり打球感が違うということが安ラケットにはあるのだという。とすると、雑誌のレビューとか、一流選手の用具に対する感想などはあまり当てにならないかもしれない。なぜならそういう人に使ってもらう用具はメーカーが厳選した「アタリ」の用具しかないはずなのだから。雑誌で「この値段でこんなすばらしい性能なら絶対買いだ!」などと褒めちぎってあるからといって、私たち一般人が購入するラケットが同じ品質である保証はないということになる。

もちろんこの話の信憑性は必ずしも高くはない。その知人が各社のラケット工場を見学したという話も聞いたことはないし、多分に憶測が含まれていると思う。それに私はこれまでその知人以外からこの手の話を聞いたこともない。だが、まったくのデタラメだとも思えない。安ラケットには人件費がそれほどかけられないのだから、ある程度、そういうハズレの可能性というのはついてまわるのだろう。ハズレをつかまされたらどうするだろうか。オークションなどで売っぱらう人が多いのではないか。とすると、中古でラケットをしょっちゅう購入している私の用具の多くはハズレの可能性が高いということになる。
以前、「上級者向けラケットと中級者向けラケットの違い」で安定性や中後陣からのボールの威力などが違うのではないかと書いたが、もちろん高級ラケットと安ラケットにはそういう性能的な違いもあると思う。が、それとともに、この品質の違いというのも十分考えられる。

われわれ消費者が用具の経済性ばかりを追求するなら、メーカーも慈善事業でない以上、経費削減を余儀なくされ、品質の低い製品を世に出すことになるのは必然である(「鯵のゼイゴ」)。初心者ならともかく、生涯の趣味として卓球を選んだ私はもうこれ以上用具に安さを求めるのはやめて、品質の良い、高級な製品を長く愛用するというのが正しい態度なのだということに改めて気づかされた。もちろん安くて自分にピッタリ合う、アタリのラケットに出会えた人は、わざわざ高級ラケットを買う必要はなく、それを使い続ければいいのだ。

【追記】140107
バタフライのラケット製造工程を紹介したビデオがあった。初心者用ラケットexstarの製造工程が紹介されている。



これを観ると、卓球ラケットの値段は木の材質と選別が大きく影響するような気がする。高級ラケットはさらに多くの工程を経ていることが予想されるので、他の要因(例えば実際に1本ずつ球撞きをしてみるとか)も値段に影響するのかもしれない。

ネットで味のあるラケットの写真を見つけた。

写真家 高橋和幸のブログ

これで現役?というのだから驚かされる。
普通の人はラケットを台にぶつけた傷が複数できて、深さが数ミリに達し、側面がボロボロになってくると、「もう寿命かな」などといってラケットを替えてしまうだろう。しかし、このラケットは数ミリどころか数センチは「減っている」だろう。
これほどの状態になってまで手放せなかった理由が何なのか知りたい。

A) 使いやすい、あるいは非常に性能がいい
B) このラケットでかつて好成績を残した
C) とくに理由はない、なんとなく

こんなところだろうか。

Aは性能的な理由
Bは個人の思い出的な理由
Cは理由がない

というもの。

私は最後の理由のような気がする。
というかこの人には

「ラケットの見栄えが悪くなってきたから替えよう」

とか

「ちょっと自分に合わないから、替えてみよう」

という発想自体がなかったような気がする。

「使えなくなったら、替えるもんでしょ?ラケットって」

とか言いそうな気がする。自分に合う、合わないとかを考え、新素材とか、独特の形状とかいうのに注目し、傷がついたとか、上板がちょっと剥がれたといった見栄えとかを気にして、しょっちゅうラケットをコロコロ変えている自分が恥ずかしい。

自分の可能性を最大限に引き出したいという人が用具に活路を見出して、模索するのなら、用具をいろいろ替えるというのも分かるのだが、私程度のレベルで、ろくに用具を使いこなしていないうちに、次から次へと替えるというのはどうなのか?私的には「何か違う」という感じがする。

もちろん、最近は「用具マニア」という人たちがたくさんいて、いろいろな用具を試して楽しんでいることにケチを付けるつもりはないし、そんな権利もない。

ただ、私は

「このコルベルは、卓球を始めたときからずっと使い続けてるんです。ラバーは両面マークV(中)で、年に一回貼り替えています」

みたいな人にどうしようもなく弱いのだ。なんだかそんなラケット見ると、やさしい気持ちになる。涙が出そうになる。

「与えられたもので満足する」
「それ以外の選択肢があるなどとは思ってもみない」


そんな人に私はなりたい。

【追記】
卓球王国のブログでゆう氏も同じようなことを書いている。

「ミスを用具のせいにするんじゃない」

もう、用具を替えるのはやめようかな。

30年近く前のヤサカのラケット、当時たしか3800円だった。それのラバーを1年ぶりぐらいに貼り替えようと思ったら、表面の板を派手に剥がしてしまった。先日の「王励勤」もそうだが、長期間ラバーを貼りっぱなしの古いラケットは表面の板が剥がれやすいようである。
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特にひどいのが中央。
このラケット、名前は忘れたが、今では珍しいコニックグリップで、6枚合板。ブレードがデカく、ズシンと重いユニークなラケットだった。
さらに中ほどの板も乖離してしまっていた。
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木工用ボンドを流しこんでみたが、うまくくっつかない。未だにペカペカしている。
これを捨てるのも忍びないので、補修してみることにした。

ネットで調べてみると、プラモ用、あるいは木工用のパテというので補修するといいらしい。
ペンホルダーグリップを削りすぎてしまった人が上手に補修しているが、あれはどうやっているのだろうか。
とりあえず、うちにある木工用ボンドでラケットの穴を埋めて、それを紙やすりで削るという安易な方法で表板を補修し、その後、中の板も同じく木工用ボンドを流し込み、厚い本を上に乗せて数日間放置しておこうと決めた。「クリッキープレス」があれば一番いいのだが。

まず表面の板に木工用ボンドを盛った。この手のボンドは乾燥すると容積が小さくなるらしいので、やや多めに盛ってみた。
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これで2~3日放置しておくことにする。
どうなるかはまた後日。

追記:ボンドが乾いたのだが、あまりヒカず、ぽっこりとふくれてしまった。

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紙やすりで必死にこすったのだが、あまり平らにならない。しかも乾いたボンドは弾力がすごく、明らかに木材の部分とは弾みが違うだろうと思われる。このラケットに手を入れる気が失せてしまい、放置状態である。

とりあえずの結論
木工用ボンドだけでラケットを補修しないほうがよい(弾力が木材と違う)。オガクズなどとボンドを混ぜて補修するのがいいのかもしれない。




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