しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




タグ:ツッツキ

WRMの動画でダブルスで有効なツッツキというのを紹介していた。



なんでも相手の回転が分からなくても、低いレシーブができるのだとか。

しかし、動画のように、引きつけて思い切って切ったとしても、ボールがあらぬところへ飛んでいってしまう人が多いのではないだろうか。ぐっちぃ氏のツッツキは底の底を薄く切っていると思われる。

従来、私の中でツッツキ系の技術は3種類だったが、最近バリエーションが1つ増えた。
1.触るだけのツッツキ(ストップ)
2.押すツッツキ(押し8:切り2)
3.底を切るツッツキ(押し2:切り8)
4.底の底を切るツッツキ

4.の「底の底を切るツッツキ」というのは、ほとんどボールを押さず、ボールの底を切って、極端に言えば、摩擦だけでボールを飛ばすツッツキである。

いや、今まで私もツッツキを切る時は、ちゃんと底を切っていたのである。そのつもりだった。しかし、それは本当は底ではなく、時計に喩えれば、4~5時ぐらいのところを切っていたわけである。

時計盤


下回転サービスの練習をしていて、ボールの6時あたりを切ると、低くて短いサービスが出せることから、「ツッツキも、もっと奥で切れるんじゃないだろうか?」と思って練習で試してみたところ、やはり私のツッツキはまだまだ浅かった。やってみると、もっと奥、6時過ぎの辺りで切れたのだ。

ただし、実際にはボールは水平に飛んでこないので、自陣でバウンドした後のライジングでは以下のようにイメージしたらいいだろう。

時計盤(

こんなふうに傾いた時計盤の6~7時の辺りを薄く切ったら、ボールが低く止まるはずだ。

私はこういう錯覚を今まで何度も犯してきている。

ちゃんと姿勢を低くしているつもりなのに「姿勢が高い!もっと腰を下げて!」などと言われたり、
自分では大きく一歩足を出しているつもりなのに、実際は20センチほどしか足が動いてなかったり、
スイングをきちんを終わりまで振り切っているつもりなのに「スイングが途中で止まってる!もっと大きく最後まで振って!」などと言われたり。

セルフイメージと実際の身体の動きにはギャップがあるものだと再確認させられた(前記事「鏡を使った素振り」)。

ともあれ、この底の底を切るツッツキは、相手の横回転系サービスを取るときにいい具合である。
中ぐらいの長さの横回転と横下回転のサービスをレシーブする時、サービスの回転が分かりにくくて困ることがよくある。私の従来のレシーブでは、結果は以下の4択だった。

・オーバー
・浮かせてしまう
・ちょうど入る
・ネットに掛ける

しかし、第4の「底の底を切るツッツキ」によって「オーバー」と「ネットに掛ける」になる割合が減って、安定するようになった。しかも、押しを極力減らしているために、返球が短くて相手が打ちづらくなる。ただ、ラケット面をかなり上にして打つため、オーバーミスは少ないものの、浮かせてしまうことが増えた。

なお、このツッツキはスピードの遅いサービスに限ってできるのであって、ギューンと迫ってくるスピードの速いロングサービスや、短い下回転のショートサービス(タタンッと低くバウンドするやつ)に対しては底の底を切ることは難しいと思う。

こんな地味な技だけれど、対戦では大きな一歩となるにちがいない。試合で勝つにはドライブの威力よりも、レシーブやツッツキの巧みさのほうが重要だからだ(私のレベルなら)

xia氏がかつて日本のトップ選手や海外のプロ選手と対戦したときの感想を述懐している。

「ラリーになったらそこまで差は感じないけど、ラリーになるまでの展開作りに差をめっちゃ感じた!」
まあ、簡単に言うと「自分がやりたいプレーをさせてくれない」ってことです。
フォアで先手取りたいけど、取らせてくれない…
先に攻めてくる…
こちらに無理させようとする…
ぶっちゃけ、いきなりロングボールからスタートだったら得意のフォアを打てば勝てた人もいるかもしれません。



強打の打ち合いではそれほどの差はなく、試合で明暗を分けるのはポイントの序盤の台上プレーだというのだ。前記事「枯淡の味わい」で相手の得意なところを少し外すというのが試合では有効だと書いたが、レベルはずいぶん違えど、xia氏も同じような経験をしたというわけだ。ツッツキはこのように相手の待ちを外すのに有効である。ツッツキを極めれば、ふだん打つレベルの相手なら、無敵かもしれない。もっとツッツキを磨かなければ。

ドライブにはたくさんのバリエーションがある。
・スピードドライブ
・ループドライブ
・ナックルドライブ
・カーブドライブ
・シュートドライブ
・台上バックハンドドライブ
・チキータ
・チョリドラ

そしてそういう華々しい技術には注目が集まり、習得しようと練習に励む人は多いが、ツッツキのような地味な技術は、2~3ぐらいのバリエーションで満足してしまっている人が多い。カーブツッツキ、シュートツッツキ、ジャイロツッツキなど、ツッツキのバリエーションが10ぐらいある人は対戦でおそろしく強いのではないだろうか(前記事「ツッツキ主戦型」)。

【まとめ】
うまく文章がまとまらなかった。しかし、このトピックをめぐってかなりの時間がかかっているので、ここまでとしたい。簡潔に言うと、ツッツキのバリエーションを武器にして対戦で優位に立ちたい!


最近、あまり見かけなくなった呉家驥選手のツッツキ実演。スローモーションが多く、参考になる。

次はこんなレシーブにも挑戦してみたい。

 

前記事「伸ばしきりストップ」のコメント欄で許ッシンさんに紹介していただいた陳龍燦氏の動画がおもしろかったので改めて取り上げてみたい。

陳龍燦Chen Longcan氏はwikipediaによると、1965年生まれ。中国のナショナルチームで80年代後半に活躍。ソウル・オリンピックのダブルス金メダル(偉関晴光氏とのペア)、ワールドカップのシングルス優勝など、輝かしい成績を残している。それが現在、どうやらカリフォルニアのチームのコーチか何かをしているらしい。

下の動画は一見すると、素人のおじさん同士に見えるが、奥のちょっと髪の毛の後退したおじさんが陳龍燦氏である。2004年の録画なので、このとき38~9歳?。失礼ながら、年齢より老けてみえる。



ツッツキで遊んでいるのだが、なにげにすごい。ストップが短すぎる。0:15ぐらいからのストップは、ネットから10センチほどのところにフワッと浮かせてボールを落としている。そのまま放っておくと、ネットを越えて、自陣に戻ってくるほどの切れ味と短さ。
次はサイドスピンツッツキ。横下、横、横上の深いツッツキをすごい速さで送っている。ストップから突然こんなツッツキを食らったら、草の根プレーヤーではとても対応できないだろう。

下の動画は2007年の録画なので、陳龍燦氏が40代前半のころである。40代前半なら、まだまだ動きまわって活発な卓球もできるはずだが、陳龍燦氏はほとんど動かない(これは相手との実力差がありすぎるからかもしれない)。一人目の相手は私たちの周りによくいるような、わりと上手な若い選手。しかし陳龍燦氏は棒立ちの状態でリラックスしてプレーしており、サービス、ツッツキ、ブロックだけで完全勝利している。陳龍燦氏が絶妙のコースにボールを送ってくるため、自分の卓球を全くさせてもらえず、軽くあしらわれている。



foamae
フォア前に短いツッツキ

foamae2
ひゃ~、なんとか間に合った!

backoku
「じゃあ、これをどうぞ」バック深くにプッシュ

service
ショートサービスから
foremae3
またフォア前に短いツッツキ!

foremae4
またか!

backoku2
次はお約束のバック深くへ

次の選手は一人目の選手よりも上手そうだ。しかし陳氏が積極的に攻撃しているわけでもないのに防戦一方で自分の卓球をさせてもらえない。

tuttuki2
まず、速くて深いツッツキ

tuttuki3
打点を落としてなんとかループでしのぐ

tuttuki4
それを待ち構えてサイドスピンブロック

両選手とも、いいとこなしで、軽くあしらわれているが、実際はふつうに上手い選手だと思われる(少なくとも私では勝てないだろう)。もしこの両選手が試合をしたら、派手な打ち合いになって、しばしばスーパープレーのようなボールも見られるのではないだろうか。だが、陳氏との対戦では気持ちよく強打を放つ場面がほとんど見られない。 なぜ彼らはこんなに脆いのか。おそらく陳氏のツッツキが切れていたり、切れていなかったりして、回転の見極めが難しいのと、どちらに打つか分からないモーションで、かつ、打ちにくい、絶妙なコースにボールが来るのだろう。

このビデオを観て、卓球の上手さというのは意外と地味なところにあるのかもしれないと思った。趣味の卓球のレベルなら、両ハンドで目の覚めるようなドライブが打てることよりも、ツッツキやブロックで前後左右に自在に揺さぶることができるほうが強いのかもしれない。特に深いツッツキというのは効果がありそうだ。こういう地味な技術を磨き上げれば、社会人の趣味の卓球なら、ほとんど負けないのではないだろうか。

 

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