しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




タグ:グリップ

ダーカーから「アルバ ALBA」というラケットが発売されるらしい。
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スペイン語かイタリア語で「暁、夜明け、始まり」という意味だそうだ。ときどきこの名前の人を見かける。

こだわりの会社ダーカーから、新開発の接着剤という武器を引っさげて、期待の新製品が発売されるとなると、注目しない訳にはいかない。きっと心地よい打球感に違いない。だが、残念ながらこのアルバにはあまり心惹かれなかった。これはどういうことなのか。

同様に、SK7はとても評価が高いラケットだが、私はあまり心惹かれない。
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グリップのカラーリングも、レンズのデザインも私の趣味ではないからだ。冒頭のアルバも性能的には満足の行くものかもしれないが、グリップのデザインがちょっと素朴すぎる。

今月、ヤサカから「スウェーデン・エキストラ」というラケットが発売されるらしい。

来た!
…来たっ!


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このラケットのグリップデザインはモロ、好みなのだ!もう用具は替えまいと思ってはいても、かっこいいラケットが発売されると心が揺れる…。

同様に、ギャラクシャ・カーボンとか、スプラインとかはちょっと買って試してみたいという誘惑にかられるときがある。
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ギャラクシャ・カーボンは板が硬くて、上級者向け(TTI-LABOによる)らしいし、スプラインD1は守備用ラケットだから、私には使いこなせないと分かってはいるのだが、ちょっと使ってみたい気になってしまう。グリップのデザインが好みなのだ。

ようするに私はラケットを選ぶ際にグリップデザインを重視するのだ。いくら評判のいいラケットでも、グリップデザインが気に入らないと、買おうという気が起こらない(前記事「ラケットの命名」)。

グリップが私的にイマイチなためにあまり食指が動かない名ラケットというのがある。そういうラケットのグリップを自分で交換・改造というのもリスクが高い。それならメーカーのほうでグリップの違うバージョンをたくさん出してはどうか。STやFLといったグリップ形状だけでなく、ブレードはそのままでいろいろなバリエーションのグリップデザインを用意してくれるメーカーがあればいいのにと思う。

SK7の2014年モデルとか、ファッション雑誌とのコラボモデルとか、世界卓球やインターハイ限定グリップとか、そんなグリップなら、多少高くてもほしいと思う(インターハイに出場した人なら、記念に買っていく人は多いだろう)し、用具マニアの人なら、グリップのデザイン違いの同じラケットを数本買ってくれるだろうから、メーカーにしてみればいいことずくめではないか。最近、コンビニでよくやっているようにアニメとのコラボで、バタフライが廃盤のカット用ラケット、カトラスを復活させ、「ソード・カトラス」という新作として発売するのもおもしろい。グリップにはもちろんドクロとカトラスが彫刻されているのだ。

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「ブラック・ラグーン」で有名な「ソード・カトラス」。ドクロとカトラスの彫刻が施された象牙製グリップだという。

スウェーデンエキストラはガシアンエキストラのグリップを換えた焼き直しバージョンにすぎないと噂されているが、私は大歓迎である。

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ガシアンエキストラの地味すぎるグリップよりもスウェーデンエキストラの高級そうなグリップのほうが所有して楽しい気分になる。

いっそのこと、グリップサイズを統一してもらい、グリップは別売りにしてもらえないだろうか。そうすれば汚れてきたり、デザインに飽きてきたら買い換えることができる。接着剤でくっつけるだけ、あるいは螺子で留められるなら素人にもできそうだ。

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グリップに焼き印や彫刻が施してあれば、愛着が湧く


【付記】
グリップの交換・改造については以下のページが参考になる。ただ、板への負担が大きそうなのでおすすめできない。

ラケットを煮るといいらしい。
1、ラケットのグリップ部分だけ鍋に突っ込んで煮ます
2、5分くらい煮たら鍋から出してグリップを横にスライドさせるようにして取ります
スライドさせても簡単に取れない場合は、まだ煮たりませんので、もっと煮てください(無理矢理取ろうとするとグリップ折れます)横にスライドさせると凄く簡単にとれます

グリップを煮るとあるが、それが合板の接着剤のほうも溶かしてしまわないのだろうか?板の反りなどが起こらないかも気になる。また、木工用ボンドで貼り付けるとあるが、「貼り付けたグリップが何度もとれてしまう」という記事を散見した。

下の、手間はかかるが、より安全なやり方のほうがよさそうだ。

グリップ交換

・コップに熱湯を入れてグリップを浸すと熱と水分で接着層がはがれやすくなる
・グリップをカッターではがす

・接着はギターのリペアに使っているタイトボンド

この記事ではシェークSTのグリップを中国式に短くするというやり方である。シェークの別のグリップをシェークに貼り付けるというのもできると思うが、グリップ幅がぴったり同じものでなければ不格好になってしまう。

卓球ラケット加工
シェークを中ペンに改造してくれるサービスもあるらしい。
しかし、そんなことをしてほんとうに大丈夫なのだろうか? 

ずいぶん古い記事だが、グリップ交換はルール上、認められているという。

しかるべき人(全日本卓球選手権副審判長)に直接聞いたところ、グリップ交換に関しては、日本・世界共にトップ選手でも結構やっているとのことでした。反転式ペンなどは、市販品ものに自分でグリップを作成し、くっつけていると聞きました。

ネット上でも、グリップ交換はシロということになっているが、本当にそうだろうか?根拠は上記の出処の不明な伝聞なので、全国大会などに出場するような選手はグリップ改造はやめておいたほうがいいだろう。

 

卓球の基本中の基本というと、グリップではないだろうか。
以前にもグリップについて触れた(前記事「指使い」「クナイ持ち」)が、本稿で改めて触れてみたい。
なぜグリップについて触れるかというと、多少打てる初中級者でも「間違った」グリップの人が多いと感じるからである。初中級者は安定しない原因をストロークやフォームに求めがちだが、グリップを改善することによって案外簡単に安定性が増すこともあるのではないだろうか。



中村氏(ペンホルダーのコーチ)の説明によると、どんなクセのあるストロークであってもインパクト時に面の角度さえ正しければ、ボールは入る。言い換えればストロークの美しさよりも面の角度が優先されるということである。たしかに日本のトップ選手でも大矢英俊選手や高木和卓選手のようにクセのあるフォームでも強い選手がいる(個人的にはクセのあるフォームで強い選手のほうがかっこいいとさえ思う)。逆に効率の悪いグリップでラケットを握っていると、面の角度がうまく「出ない」。したがって卓球においてはラケットをオデコの前で止めるとか、腰を使って打つとか以前に「うまく面が出せるかどうか」が問題になってくる。

中級者なら効率の悪いグリップの人はあまりいないと思うが、初級者には効率の悪いグリップで握っているがためにミスが多い人が結構いるのではないだろうか。フォア面での威力や安定性を重視するあまり、シェークで人差し指を立て気味にしてしまう女性に数人出会ったことがある。「この人はどうしてバックが安定しないのだろうか」と思っていたら、そういうグリップだったのだ。

効率の悪いグリップは面の出し方に直接影響してくる。

シェークのグリップは浅いか深いかだけであまりバリエーションがないと思っていたのだが、施氏によると、テニスやバドミントンで言う「ウエスタングリップ」は効率が悪いらしい。卓球で言うと「一本差し」(あるいは、それに近い、人差し指を斜めに立てたグリップ)がそれに近いだろう。

そうではなく、人差し指と親指に力を入れて、下の図の「コンチネンタルグリップ」のように握ると効率がいいらしい。

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一方、ペンホルダー(中ペン)のグリップはかなりバリエーションがある。
大きく分けると親指・人差し指の握りの部分(人差し指を深く入れるか、人差し指と親指を浅く握る「わしづかみ」等)と、残り三本の支えの部分(まっすぐ伸ばすか、軽く斜めに曲げるか、かつての中国選手のようにクルッと丸めるか)という要素をどう組み合わせるかで面の出しやすさが変わってくる。

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ペンホルダーの「一本差し」。こんなグリップもあるのか

そのような組み合わせの中で、中村氏(中ペンのコーチ)が初中級者に勧めるのは親指と中指でブレードを挟む握り方である。ポイントは人差し指を浅くして、力を入れないことである。日ペンのグリップに慣れている人は人差し指をしっかり握ってしまうためにフォアハンドでは面を伏せにくくなり、面が起きてしまう。そうすると、フォアでのオーバーミスが増える。ペンホルダーはフォア面を上に向けて水平にすることはたやすいが、裏面を上にして水平にするのは難しい。つまり、上の図で言うと、「イースタングリップ」がデフォルトであり、人指し指に力を入れてしまうと、さらに裏面を使いにくい「ウエスタングリップ」になってしまうのだ。「ウエスタングリップ」になると、裏面バックハンドでは面をまっすぐ縦にしにくくなり、裏面ブロックが安定せず(裏面が寝てしまう)、裏面バックハンドのコースはストレートに打ちにくくなる(クロス側に向きがち)

上級者は自分のプレーが安定しない場合、自己修正ができる(前記事「安定性と自己省察の関連について」)が、初中級者には自分の卓球が安定しない原因を自分で突き止めることが難しい。そんなときグリップに目を向けてみると、それをきっかけにプレーが大きく改善することもあるかもしれない。


最近の私の関心事はペンホルダーの裏側の指の配置についてである。

卓球入門書でペンホルダーの「正しい」グリップが紹介されているが、裏側の指の配置はだいたいこんな感じではないだろうか。

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次のようなグリップは「悪い」グリップである。
 SN3B0343_0001

こんなに指をベタッと開いて握ると、フォアハンドは打ちやすいが、バックハンドはからきしダメということになる。バックショートをしようとすると、表面がせいぜい90°ぐらいの角度までしかかぶせられない。しかし、表面バックハンドはツッツキ限定で、あとはすべて裏面バックハンドで処理するとしたらどうだろうか。つまりワンハオスタイルのペンホルダーである。

さらに表面の親指も少し深くして、こんなふうに握ったらどうだろうか。

SN3B0604

そうすると、人差し指がほとんど使われなくなる。人差し指は添えるだけ…。

イメージ的にはこうである。

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「焼き鳥を焼く団扇グリップ」という名前は冗長なので、忍者のクナイの持ち方というイメージで「クナイ持ち」と命名する。

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この持ち方のメリットは以下の点である。
フォアハンド
・「正しい」グリップに比べて、ホールド感が強く、力が入る。
・カーブドライブの角度が作りやすい。
・シュートドライブの角度が作りやすい。
・ツッツキがヘッドから入りやすく、ボールを切りやすい。アイスピックで氷を砕いているイメージ。
・ボールを乗せながらのフリックがしやすい

バックハンド(裏面)
・もろ、フリスビーを飛ばす感じで非常に安定する。
・ボールを乗せながらのフリックがしやすい

デメリットとしては
・表面バックハンドが使えない。

驚いたことに、表面バックハンドを犠牲にすれば、私にとっては欠点らしい欠点がないのだ。
逆に忍者がクナイを卓球の「正しい」ペンホルダーのグリップで握って戦ったとしたら、攻撃力がかなり落ちると思われる。それほどクナイ持ちは力を入れやすいグリップである。
中国ラバーは硬すぎてインパクトが強くないと使いこなせないというが、クナイ持ちなら、力が入りやすいので、ガーンと当ててラバーに食い込ませやすいのではないだろうか。
ペンホルダーの正しいグリップはラケットの細かい操作や手首を使ってサービスをするときにメリットを発揮すると思われる。が、それほど微妙な操作が私の卓球に必要だとも思えない。それよりは面が安定し、力の入れやすいクナイ持ちのほうがメリットが多いと思われる。表面を捨てれば、より効率のいいグリップが手に入るのではないだろうか。

なぜ多くのペンホルダーは表面を捨てないのだろうか。私はにわかペンホルダーなので、表面のバックショートができない。したがって表面バックハンドのメリットがあまりよく分からない。裏面を使えば全て事足りると思う。実際ワンハオはそうして長い間世界のトップレベルで戦えている。ペンホルダーにとって表面は基本という固定観念があるからだろうか。よくわからない。

どうしてこんな、いいことずくめのグリップが普及しないのだろうか。このグリップの優位性に今まで誰も気づかなかったとは思えない。おそらく何らかの重大な欠点があるためにこのグリップは普及していないのだと思われる。現に今まで裏側の指をベタッと広げた選手を見たことがない。表面を使わないワンハオもこのグリップを採用していない。このクナイ持ちをしているのは初心者・初級者に限られる。
世間の上手な選手はこんなグリップを試していたら、指導者にこっぴどく叱られてしまうことだろう。しかし、私は変なことを試してみるのが好きなので、このグリップをしばらく試してみようと思う。

【追記】130920
今日、久しぶりに卓球をして、このクナイ持ちを試してみたところ、フォアが打ちにくかった。シュートドライブでボールをこすりにくい。前の使いやすさは何だったんだ。というわけでまた普通の「正しい」グリップに戻してしまった。 

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