たとえば、下回転を持ち上げるときに、ボールをネットにかけてしまったり、相手のドライブをブロックするときにオーバーさせてしまったり。これらのミスは、スイングスピードや、面の角度の問題ではない。振り遅れによるものである。
だから、どうやったら振り遅れないかをずっと考えてきた。それで私が出した結論は、こちらに向かってくるボールのスピードに合わせて、同じスピードでバックスイングを引くということである。ゆっくり飛んでくるボールには、バックスイングをシンクロさせて、ゆっくり引き、速いボールには、素早くバックスイングを引く。もちろん、速いボールの場合は大きくバックスイングを取ったら間に合わないので、バックスイングを小さめにとる。
しかし、私は間違っていた。
バックスイングをボールに合わせてはいけなかったのである。
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前記事「スキマ時間の有効活用」で、移動するしないにかかわらず、打球前にとにかく細かく足をバタバタさせることで足が動きやすくなり、立ち位置の微調整が容易になるはずだと述べた。ここ数週間ほど、このバタバタを試してみたのだが、どうもうまくいかない。気づいたら足が止まっている。フォアミドルにつっつかれたとき、左方向に素早く移動しなければつまってしまうのに、気づいたら体とボールの間に十分なスペースがなく、詰まってしまう。「あ!」と気づいた時には、もうボールが目の前に来ている。そこからバックスイングを引くが、もう間に合わない…。
しかし、後から考えると、おかしな点がある。バックスイングを引いているときに、時間的な余裕がけっこうあるのである。バックスイングを引いて、少し時間が経ってから、ボールが懐に入ってくるような感じなのである。
あれ?さっきのボール、素早く横に移動していれば、間に合ったんじゃないか?
練習中、同じようなシチュエーションが再びめぐってきた。
「よし、今度は詰まらないように、素早く横に移動…できない!」
興奮で体が震えた…。すごい発見をしてしまった。
「バックスイングをとる体勢に入ったら最後、そこから足を微調整するのは不可能」なのである(特にフォアハンド)。
もちろん、飛びつきや、ロビング打ちのような、大きな動きのときは、移動しながらバックスイングを取ることも可能である。しかし、通常の小さな動きの中で、バックスイングを取ってしまったら、もうそこから動けなくなってしまうのである。
ということは、バックスイングのスタートをできるだけ遅らせれば、その分、移動できる時間が稼げるということである。今までのように向かってくるボールに合わせて早い段階からバックスイングを引きはじめるというのでは、足が止まってしまう。もっとボールをギリギリまで引き付けて、「これ以上は無理」というところではじめてラケットを引き始め、最高速度でバックスイングを止めずに、フォワードスイングにつなげなければならなかったのである。
言葉での説明は分かりにくいが、要するにバックスイングは、ボールが自コートにバウンドしてから引くぐらいがちょうどいい。それ以前に引き始めると、足を動かす時間がなくなってしまう。もちろん、引き付けて、振り遅れないためにはコンパクトにバックスイングを取らなければならない。
たとえばフォア打ちで相手の打球が自コートにバウンドするまでバックスイングを引かず、足をバタバタ動かし微調整しながら、バウンドを待ち、そこからバックスイングを引くようにすると、ワンコースのラリーながら、フットワークを十分使うことができる。
私は振り遅れを恐れるあまり、早めに準備を始めすぎたのである。打球の準備はギリギリ打球に間に合うぐらい、直前のほうがいい。

10月からラバーの色が増えるそうだが、私のお気に入りの黄緑(明るい緑)が不採用になったは残念である。
【付記】
ゴルフではバックスイングの初動段階をテークバックと呼ぶようである。今回取り上げたテーマはテークバックと呼んだ方がぴったりかもしれないが、ゴルフのことはよく知らないので、バックスイングという用語だけを用いた。