年末になってようやく冬らしい寒さになってきた。
見渡せば花も紅葉もなかりけり…鴨川の冬の夕暮れ
毎年恒例の振り返りである。
今年の卓球をめぐる状況を振り返って、まず思い出されるのはなんといってもオリンピックでの日本選手の活躍である。水谷選手と伊藤選手が金メダルを取り、女子団体は銀メダル、男子団体と女子シングルスの伊藤選手が銅メダルと、なかなかの結果だった。
さらにアジア選手権では中国が不参加ということもあり、日本選手の活躍が目立った。早田ひな選手の、シングルス、混合ダブルス、団体の三冠をはじめ、芝田沙季選手、安藤みなみ選手がシングルス3位、男子は戸上隼輔選手がシングルス3位、ダブルス優勝、混合優勝という結果だった。
ヒューストンの世界選手権では、戸上・宇田選手のダブルスが銅、早田・伊藤選手のダブルスが銀、早田・張本選手の混合が銀という、やや物足りない結果だった。
他にもWTTやジュニアの国際大会など、今年は大きな大会が集中していたが、ここ10年ほどで日本が卓球強国としての地位を確実なものにしたといえる。若い学生にとっては日本の卓球が強いというのは当たり前のことかもしれないが、80年代の日本の低迷から2010年前後までは、日本が国際大会でメダルを取るというのは難しいことだった。そう思うと感慨深い。
愛好家レベルで考えると、相変わらずコロナでいろいろなことが制限され、大会なども多くが中止されてしまった。しかし、Tリーグは存続し、来年の全日本は最終日を有観客で行うなど、現在、コロナの影響から脱しつつある。
次に拙ブログの振り返りである。
今年も、私にはいろいろな技術的な発見(上級者にとっては当たり前のことだが)や意識の変化があり、私の卓球も、少しずつではあるが、着実に進歩している。以下に拙ブログでのこの一年の発見・変化を振り返り、忘れかけていたことを思い出すよすがとしたい。
例によって卓球に対する意識、および技術的な「発見」(私のレベルでの)についての記事のみを対象とし、用具や試合観戦、その他の雑文は省く。
--------------
1月
01「張りと脱力――ランニングと卓球」
空気圧が甘いタイヤで走行すると、エネルギーのロスが起こり、燃費が悪くなるように卓球でも身体をダランとさせていると、エネルギーのロスが起こるのではないか。
02「卓球の物理――引っ張る力と押す力」
ボールを飛ばすには押す力と引っ張る力のバランスが大切である。ドライブを打つ時、飛んでくるボールの外側を捉えると、力を逃がせず、すべて押す力となってしまい、ボールが持てないのに対して、ボールの内側を捉えると、適度に力が逃げて、押す力が適度になり、ボールを持ちやすい。
03「セットフレーズと卓球の定石」
英語のセットフレーズのように卓球でも、ドンピシャの場面で迷わず強打できる。このようなセットプレーをいくつか持っていれば、試合で勝ちやすい。
04「「上手いレシーブ」とは?」
うまいレシーブとは、低くて鋭いレシーブとは限らない。相手の待ちを外し、3球目を厳しく打たせないようなレシーブこそうまいレシーブである。
05「レシーブ修行――ストップの位置づけ」
見渡せば花も紅葉もなかりけり…鴨川の冬の夕暮れ
毎年恒例の振り返りである。
今年の卓球をめぐる状況を振り返って、まず思い出されるのはなんといってもオリンピックでの日本選手の活躍である。水谷選手と伊藤選手が金メダルを取り、女子団体は銀メダル、男子団体と女子シングルスの伊藤選手が銅メダルと、なかなかの結果だった。
さらにアジア選手権では中国が不参加ということもあり、日本選手の活躍が目立った。早田ひな選手の、シングルス、混合ダブルス、団体の三冠をはじめ、芝田沙季選手、安藤みなみ選手がシングルス3位、男子は戸上隼輔選手がシングルス3位、ダブルス優勝、混合優勝という結果だった。
ヒューストンの世界選手権では、戸上・宇田選手のダブルスが銅、早田・伊藤選手のダブルスが銀、早田・張本選手の混合が銀という、やや物足りない結果だった。
他にもWTTやジュニアの国際大会など、今年は大きな大会が集中していたが、ここ10年ほどで日本が卓球強国としての地位を確実なものにしたといえる。若い学生にとっては日本の卓球が強いというのは当たり前のことかもしれないが、80年代の日本の低迷から2010年前後までは、日本が国際大会でメダルを取るというのは難しいことだった。そう思うと感慨深い。
愛好家レベルで考えると、相変わらずコロナでいろいろなことが制限され、大会なども多くが中止されてしまった。しかし、Tリーグは存続し、来年の全日本は最終日を有観客で行うなど、現在、コロナの影響から脱しつつある。
次に拙ブログの振り返りである。
今年も、私にはいろいろな技術的な発見(上級者にとっては当たり前のことだが)や意識の変化があり、私の卓球も、少しずつではあるが、着実に進歩している。以下に拙ブログでのこの一年の発見・変化を振り返り、忘れかけていたことを思い出すよすがとしたい。
例によって卓球に対する意識、および技術的な「発見」(私のレベルでの)についての記事のみを対象とし、用具や試合観戦、その他の雑文は省く。
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1月
01「張りと脱力――ランニングと卓球」
空気圧が甘いタイヤで走行すると、エネルギーのロスが起こり、燃費が悪くなるように卓球でも身体をダランとさせていると、エネルギーのロスが起こるのではないか。
02「卓球の物理――引っ張る力と押す力」
ボールを飛ばすには押す力と引っ張る力のバランスが大切である。ドライブを打つ時、飛んでくるボールの外側を捉えると、力を逃がせず、すべて押す力となってしまい、ボールが持てないのに対して、ボールの内側を捉えると、適度に力が逃げて、押す力が適度になり、ボールを持ちやすい。
03「セットフレーズと卓球の定石」
英語のセットフレーズのように卓球でも、ドンピシャの場面で迷わず強打できる。このようなセットプレーをいくつか持っていれば、試合で勝ちやすい。
04「「上手いレシーブ」とは?」
うまいレシーブとは、低くて鋭いレシーブとは限らない。相手の待ちを外し、3球目を厳しく打たせないようなレシーブこそうまいレシーブである。
05「レシーブ修行――ストップの位置づけ」
「台上ではツッツキが基本。たまにストップやフリック」という態度よりも、「台上ではストップが基本。たまにツッツキやフリック」という態度のほうが強打者との試合では有効である。
2月
06「10時から11時の間――裏面インパクトの位置」
威力のあるドライブを打つには、スイング中のヘッドを返す辺りでインパクトをするように心がけるべきだ。
07「「意識的なプレー」と「無意識のプレー」」
意識的なプレーとは、相手の狙いや考えを読んで、その裏をかくようなプレーであり、無意識のプレーというのは、予測ができず、その場で反射的に行うプレーのこと。前者の占める割合が多い人は試合で強く、弱い人は後者の割合が多い。
3月
08「バック前ショートサーブから――戦術うひ山ぶみ」
同じようなサーブをあまり散らさずに同じような場所に出すことで、自分のサーブに対する相手の返球パターンが見えてくる。
09「スキマ時間の有効活用――バックドライブの安定性のために」
足を踏み出した位置がほんの10センチ足りなかっただけで打球が安定しない。身体の真正面でインパクをしていないからである。卓球はプレー中の時間的な余裕がないように感じるが、実際にはレベルの低いプレーヤーは打球と打球の間に足を止めていることが多い。そういうスキマ時間をポジショニングのために有効活用すべきである。
10「対戦で大切なこと――格闘ゲームとの比較」
格闘ゲームでは、技が出るまでの発動時間と、技を出した後の硬直時間と、技がヒットする当たり判定があり、格闘ゲーム上級者はこれらを考慮しながら、その場面で可能な技を組み合わせて対戦を有利に進めている。卓球に共通する戦い方も多い。
4月
11「バックスイングを引いたら最後――ポジショニングとの関連」
バックスイングを引いてから足を動かすことは難しい。つまり、バックスイングのスタートをできるだけ遅らせれば、その分、移動できる時間が稼げるということである。
12「体ごとぶつかっていけ――ボールを押し付ける力」
バックハンドで手打ちを避けるには、ボールに対して胸からぶつかっていく動いて、遅れて腕がついてくるような打ち方が良い。
13「野生の卓球思考――ラバーの押し付け方再考」
下回転をドライブで持ち上げるときに、あるときはボールが落ち、あるときはボールが持ち上がる。両者を分けるのは、ボールをラバーに押し付けているかどうかが関係するのではないか。
5月
14「雨に想う――2段階の予測」
飛んでくるボールの深さは、バウンド位置の予測をしてから、打球点の予測をしなければならない。前者をすっ飛ばして後者の予測をするから、つんのめったり、詰まったりするのである。
15「技術向上の方向性」
ショットのパラメータを制限して、練習中に5本中、ほぼ5本入るようにしなければ、実戦で5本中、3本入れるのも難しいだろう。
6月
16「小さく変えて深める」
うまく行かないときにやり方を大きく変えてもうまくいくとは限らない。小さく変えて、何が変わったかをつぶさに観察し、考えることが着実な前進につながる。
17「指月の譬え――当て方と打ち方」
ラケットの面の角度よりも、ボールの当たる場所を意識したほうがいい。
17「ふりだしに戻る」
できるはずの技術がコースを変えると、入らなくなることもある。新しい技術に次から次へと手を広げるのではなく、できるはずの技術がちゃんとできるかどうか点検するのも前進である。
19「オジサン卓球の醍醐味――ミート打ちに挑戦」
ミート打ちは、面をしっかり開いて頂点前を横方向に滑らすように弾くと安定する。
20「初対面の人との会話に譬えると――対戦の相性について」
試合では対戦相手のタイプによって自分の態度を変えられるのが老練な卓球である。
7月
21「感覚を言葉に――フリックとツッツキの仕組みについて」
フリックは横方向(あるいは上方向)にスイングしてボールを前に飛ばしている。ツッツキは前方向にスイングしてボールを斜め上方向に飛ばしている。飛ばしたい方向からズレた方向へスイングする。
22「技の発動時間」
プレー中に大きなスイングをしている時間的余裕はない。それでは振り遅れて詰まってしまう。下半身でしっかりと地面を踏み、小さなスイングで間に合うように打つべきである。
23「のけぞり気味に前傾姿勢」
サーブ後の戻り、あるいはツッツキ後の戻りを早くするために過度な前傾姿勢をやめ、打球時に軽くのけぞるような姿勢がよい。
8月
24「攻め方が分からない――打たれる前に情報処理」
3球目が打てないという人は、相手の打球以降にボールのコースを予測しているのではないか。相手の打球前に、不完全であっても、だいたいのコースを予測しなければ3球目には間に合わない。
9月
25「この当て方で何かが変わる――ラケットをペタっと当てる」
ボールの飛んでくる方向に対して、垂直交わるような角度でスイングして、下回転のボールを持ち上げる――ボールをこすらずに、押すと安定する。
26「練習の8割が自動操縦?――練習メニューの見直し」
1球目を球出しにして、打ったボールをラリー練習につなげると、いろいろなバリエーションの練習ができる。
27「1/50の荻村伊智朗――続ける練習の効能」
フォームや身体の使い方に問題があっても、5本や10本、連続してカット打ちすることはできる。しかし、50本や100本となると、問題のある打ち方では不可能である。連続して続ける練習は、自分の打ち方や動き方の問題点を知るのに有益である。
10月
28「卓球は位置取りのスポーツ――打つ前に意識すること」
相手にいいショットを打たれても、良い位置で待つことができればこちらのチャンスになる。卓球でいいショットを打つためには、まずポジショニングを正確にすべきである。
29「対下回転でツッツキとバックドライブ、どちらが得点につながるか?」
対下回転での裏面バックドライブは安定しない。バックドライブは対上回転用と割り切って、下回転に対してはツッツキを磨いた方がこちらにとっていい展開に持ち込めるのではないか。
30「なぜ卓球の技術記事や動画は身につかないのだろうか」
卓球指導は、その内容がどんなにすばらしくても、なかなか身に付かない。それは練習量や試合経験などが絶対的に足りないからである。知識と経験は相補いながら、より高い段階に進んでいくが、知識だけをいくら仕入れても、上達しない。
31「フォアフリックはなぜ難しいのか」
日本人の手の動きは、日本語の書記習慣に大きく影響される。日本語で文字を書く場合は右から左への手の動かし方が原則なので、フォアフリックの左から右への動きとは逆である。これは卓球以外ではあまり使わない動きなので、それ用の神経が発達していないのではないか。
11月
32「ふだん通り――試合での心構え」
試合の時に、ふだん以上のパフォーマンスを出そうとして、ふだんやらないことをすると、うまくいかず、かえってパフォーマンスが低下する。
33「感覚を磨く」
用具を頻繁に替えると、微妙な感覚が狂ってしまう。一定の用具を長く使い続けることで微妙な感覚が養える。
34「フットワークについての不都合な真実」
フットワークに近道はない。「動くぞ!」という意識を研ぎ澄ましてひたすらフットワーク練習に励むしかない。
12月
35「小手先の卓球」
ツッツキやブロックなどの基本技術は、自分ではちゃんとできていると思い込みがちだが、その「できている」は上級者のそれと比べると、欠けている要素が多い。
36「にくいあんちくしょう――下回転に振り回されて」
私は下回転の挙動に対する理解が足りない。下回転をもっと深く理解することでミスが減り、ラリーが続きやすくなる。下回転をうまく打つには「乗せる」「横方向に振る」というコツが有効である。
37「力を抜くってこういうこと?」
インパクトの瞬間にラケットを握る(=力を込める)と、威力が出るというのは正しいのだろうか。
むしろラケットを握る手はずっと力を抜いたままのほうがスイングスピードが上がるのではないか。
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以上、37本を駆け足で振り返ってみた。去年の振り返りよりも少し記事が増えていて、読み返すのに難儀した。
今年は打ち方の点で進歩があった。
年頭の01と年末の38がともに脱力についてだったが、腕を脱力して、下半身(股関節)を使ってフォアハンドが打てるようになった。これで威力と安定性がかなり向上した。
04と05でレシーブについて連続して取り上げたが、来年はもっとレシーブや台上に力を入れたいと思う。特にツッツキはもっと考察する必要があると感じる。
11のバックスイングを早く引きすぎるというのは、私にとって大きな発見だった。
裏面バックハンドの手打ちが今でも気になっているのだが、12の記事を読み返して、改めて手打ちにならないバックハンドの研究の必要性を感じた。
08、14、24で次球の予測について考察したが、これも今の私には不十分な点なので、より深めていきたい。
13、25、34でボールの「乗せて打つ」ということがなんとなく理解できたように思う。
09、34でフットワークについて取り上げたが、この方面はこれといった発見がなかった。23で戻りについて取り上げたが、フットワークは足の動かし方よりも、動き出しを早くするほうが中高年には効果がありそうだと感じる。
---------
これまで年末の記事に
「このブログを支えていただいた読者のみなさまに感謝いたします」
などと形式的な挨拶を書いてきたが、感謝とは何か。今年はそういうことを考えさせられる一年だった。パンデミックで経済が停滞し、世界中で生活が困窮している人も少なくない。「生活できるのは当たり前。もっと余裕のある生活を送りたい」などと思っていた私たちにとって、生活できるのは当たり前じゃないという現実を突きつけられた一年だったのである。住む家があって、三食食べられて、仕事もある。こんなありがたいことがあるだろうか。このありがたい生活がどんな縁によってもたらされたのかをつらつらかえりみるに、自分とかかわるあらゆることがその原因だったのである。自分が住んでいる場所、自分の仕事、自分と付き合いのある人…私はそれぞれに少なからず不満を抱いていて、できることなら別の、もっといい選択があったのではないかと思ったりもしたが、つまるところ、今の自分を取り巻く環境の総体が、今のありがたい生活をもたらしてくれていたわけである。どうして人は恩恵には目を背け、不満な点にばかり目が行くのだろう。これを逆にして、不満な点には目を背け、恩恵にこそ感謝すべきである。
今年一年、このブログが存続できた縁をどこに求めるかというに、卓球場、練習相手、卓球仲間、卓球選手、卓球メディア…そして読者のみなさんのおかげである。これらのすべてに感謝しないわけにはいかない。
今年一年ありがとうございました。来年も拙ブログ「しろのたつみ」をよろしくおねがいします。
なんともない なんともないが わしがしやわせ なむあみ太ぶつ (浅原才市)
2月
06「10時から11時の間――裏面インパクトの位置」
威力のあるドライブを打つには、スイング中のヘッドを返す辺りでインパクトをするように心がけるべきだ。
07「「意識的なプレー」と「無意識のプレー」」
意識的なプレーとは、相手の狙いや考えを読んで、その裏をかくようなプレーであり、無意識のプレーというのは、予測ができず、その場で反射的に行うプレーのこと。前者の占める割合が多い人は試合で強く、弱い人は後者の割合が多い。
3月
08「バック前ショートサーブから――戦術うひ山ぶみ」
同じようなサーブをあまり散らさずに同じような場所に出すことで、自分のサーブに対する相手の返球パターンが見えてくる。
09「スキマ時間の有効活用――バックドライブの安定性のために」
足を踏み出した位置がほんの10センチ足りなかっただけで打球が安定しない。身体の真正面でインパクをしていないからである。卓球はプレー中の時間的な余裕がないように感じるが、実際にはレベルの低いプレーヤーは打球と打球の間に足を止めていることが多い。そういうスキマ時間をポジショニングのために有効活用すべきである。
10「対戦で大切なこと――格闘ゲームとの比較」
格闘ゲームでは、技が出るまでの発動時間と、技を出した後の硬直時間と、技がヒットする当たり判定があり、格闘ゲーム上級者はこれらを考慮しながら、その場面で可能な技を組み合わせて対戦を有利に進めている。卓球に共通する戦い方も多い。
4月
11「バックスイングを引いたら最後――ポジショニングとの関連」
バックスイングを引いてから足を動かすことは難しい。つまり、バックスイングのスタートをできるだけ遅らせれば、その分、移動できる時間が稼げるということである。
12「体ごとぶつかっていけ――ボールを押し付ける力」
バックハンドで手打ちを避けるには、ボールに対して胸からぶつかっていく動いて、遅れて腕がついてくるような打ち方が良い。
13「野生の卓球思考――ラバーの押し付け方再考」
下回転をドライブで持ち上げるときに、あるときはボールが落ち、あるときはボールが持ち上がる。両者を分けるのは、ボールをラバーに押し付けているかどうかが関係するのではないか。
5月
14「雨に想う――2段階の予測」
飛んでくるボールの深さは、バウンド位置の予測をしてから、打球点の予測をしなければならない。前者をすっ飛ばして後者の予測をするから、つんのめったり、詰まったりするのである。
15「技術向上の方向性」
ショットのパラメータを制限して、練習中に5本中、ほぼ5本入るようにしなければ、実戦で5本中、3本入れるのも難しいだろう。
6月
16「小さく変えて深める」
うまく行かないときにやり方を大きく変えてもうまくいくとは限らない。小さく変えて、何が変わったかをつぶさに観察し、考えることが着実な前進につながる。
17「指月の譬え――当て方と打ち方」
ラケットの面の角度よりも、ボールの当たる場所を意識したほうがいい。
17「ふりだしに戻る」
できるはずの技術がコースを変えると、入らなくなることもある。新しい技術に次から次へと手を広げるのではなく、できるはずの技術がちゃんとできるかどうか点検するのも前進である。
19「オジサン卓球の醍醐味――ミート打ちに挑戦」
ミート打ちは、面をしっかり開いて頂点前を横方向に滑らすように弾くと安定する。
20「初対面の人との会話に譬えると――対戦の相性について」
試合では対戦相手のタイプによって自分の態度を変えられるのが老練な卓球である。
7月
21「感覚を言葉に――フリックとツッツキの仕組みについて」
フリックは横方向(あるいは上方向)にスイングしてボールを前に飛ばしている。ツッツキは前方向にスイングしてボールを斜め上方向に飛ばしている。飛ばしたい方向からズレた方向へスイングする。
22「技の発動時間」
プレー中に大きなスイングをしている時間的余裕はない。それでは振り遅れて詰まってしまう。下半身でしっかりと地面を踏み、小さなスイングで間に合うように打つべきである。
23「のけぞり気味に前傾姿勢」
サーブ後の戻り、あるいはツッツキ後の戻りを早くするために過度な前傾姿勢をやめ、打球時に軽くのけぞるような姿勢がよい。
8月
24「攻め方が分からない――打たれる前に情報処理」
3球目が打てないという人は、相手の打球以降にボールのコースを予測しているのではないか。相手の打球前に、不完全であっても、だいたいのコースを予測しなければ3球目には間に合わない。
9月
25「この当て方で何かが変わる――ラケットをペタっと当てる」
ボールの飛んでくる方向に対して、垂直交わるような角度でスイングして、下回転のボールを持ち上げる――ボールをこすらずに、押すと安定する。
26「練習の8割が自動操縦?――練習メニューの見直し」
1球目を球出しにして、打ったボールをラリー練習につなげると、いろいろなバリエーションの練習ができる。
27「1/50の荻村伊智朗――続ける練習の効能」
フォームや身体の使い方に問題があっても、5本や10本、連続してカット打ちすることはできる。しかし、50本や100本となると、問題のある打ち方では不可能である。連続して続ける練習は、自分の打ち方や動き方の問題点を知るのに有益である。
10月
28「卓球は位置取りのスポーツ――打つ前に意識すること」
相手にいいショットを打たれても、良い位置で待つことができればこちらのチャンスになる。卓球でいいショットを打つためには、まずポジショニングを正確にすべきである。
29「対下回転でツッツキとバックドライブ、どちらが得点につながるか?」
対下回転での裏面バックドライブは安定しない。バックドライブは対上回転用と割り切って、下回転に対してはツッツキを磨いた方がこちらにとっていい展開に持ち込めるのではないか。
30「なぜ卓球の技術記事や動画は身につかないのだろうか」
卓球指導は、その内容がどんなにすばらしくても、なかなか身に付かない。それは練習量や試合経験などが絶対的に足りないからである。知識と経験は相補いながら、より高い段階に進んでいくが、知識だけをいくら仕入れても、上達しない。
31「フォアフリックはなぜ難しいのか」
日本人の手の動きは、日本語の書記習慣に大きく影響される。日本語で文字を書く場合は右から左への手の動かし方が原則なので、フォアフリックの左から右への動きとは逆である。これは卓球以外ではあまり使わない動きなので、それ用の神経が発達していないのではないか。
11月
32「ふだん通り――試合での心構え」
試合の時に、ふだん以上のパフォーマンスを出そうとして、ふだんやらないことをすると、うまくいかず、かえってパフォーマンスが低下する。
33「感覚を磨く」
用具を頻繁に替えると、微妙な感覚が狂ってしまう。一定の用具を長く使い続けることで微妙な感覚が養える。
34「フットワークについての不都合な真実」
フットワークに近道はない。「動くぞ!」という意識を研ぎ澄ましてひたすらフットワーク練習に励むしかない。
12月
35「小手先の卓球」
ツッツキやブロックなどの基本技術は、自分ではちゃんとできていると思い込みがちだが、その「できている」は上級者のそれと比べると、欠けている要素が多い。
36「にくいあんちくしょう――下回転に振り回されて」
私は下回転の挙動に対する理解が足りない。下回転をもっと深く理解することでミスが減り、ラリーが続きやすくなる。下回転をうまく打つには「乗せる」「横方向に振る」というコツが有効である。
37「力を抜くってこういうこと?」
インパクトの瞬間にラケットを握る(=力を込める)と、威力が出るというのは正しいのだろうか。
むしろラケットを握る手はずっと力を抜いたままのほうがスイングスピードが上がるのではないか。
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以上、37本を駆け足で振り返ってみた。去年の振り返りよりも少し記事が増えていて、読み返すのに難儀した。
今年は打ち方の点で進歩があった。
年頭の01と年末の38がともに脱力についてだったが、腕を脱力して、下半身(股関節)を使ってフォアハンドが打てるようになった。これで威力と安定性がかなり向上した。
04と05でレシーブについて連続して取り上げたが、来年はもっとレシーブや台上に力を入れたいと思う。特にツッツキはもっと考察する必要があると感じる。
11のバックスイングを早く引きすぎるというのは、私にとって大きな発見だった。
裏面バックハンドの手打ちが今でも気になっているのだが、12の記事を読み返して、改めて手打ちにならないバックハンドの研究の必要性を感じた。
08、14、24で次球の予測について考察したが、これも今の私には不十分な点なので、より深めていきたい。
13、25、34でボールの「乗せて打つ」ということがなんとなく理解できたように思う。
09、34でフットワークについて取り上げたが、この方面はこれといった発見がなかった。23で戻りについて取り上げたが、フットワークは足の動かし方よりも、動き出しを早くするほうが中高年には効果がありそうだと感じる。
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これまで年末の記事に
「このブログを支えていただいた読者のみなさまに感謝いたします」
などと形式的な挨拶を書いてきたが、感謝とは何か。今年はそういうことを考えさせられる一年だった。パンデミックで経済が停滞し、世界中で生活が困窮している人も少なくない。「生活できるのは当たり前。もっと余裕のある生活を送りたい」などと思っていた私たちにとって、生活できるのは当たり前じゃないという現実を突きつけられた一年だったのである。住む家があって、三食食べられて、仕事もある。こんなありがたいことがあるだろうか。このありがたい生活がどんな縁によってもたらされたのかをつらつらかえりみるに、自分とかかわるあらゆることがその原因だったのである。自分が住んでいる場所、自分の仕事、自分と付き合いのある人…私はそれぞれに少なからず不満を抱いていて、できることなら別の、もっといい選択があったのではないかと思ったりもしたが、つまるところ、今の自分を取り巻く環境の総体が、今のありがたい生活をもたらしてくれていたわけである。どうして人は恩恵には目を背け、不満な点にばかり目が行くのだろう。これを逆にして、不満な点には目を背け、恩恵にこそ感謝すべきである。
今年一年、このブログが存続できた縁をどこに求めるかというに、卓球場、練習相手、卓球仲間、卓球選手、卓球メディア…そして読者のみなさんのおかげである。これらのすべてに感謝しないわけにはいかない。
今年一年ありがとうございました。来年も拙ブログ「しろのたつみ」をよろしくおねがいします。
なんともない なんともないが わしがしやわせ なむあみ太ぶつ (浅原才市)