しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




卓球

当ブログでは皆様からの寄稿を募集しております。卓球について意味のある主張を発表したい方はshirono.tatsumi◯gmail.comまで原稿をお寄せください。

コメントについて:
コメント欄は他の読者が読んで意味のある情報交換の場としてご利用ください。当ブログの方針(察してください)に沿ったご意見は公開します。返信しにくい場合は公開のみとさせていただきます。指導者ではないので、技術的な質問には答えられません。中傷等は論外です。なお、メールアドレスは公開されません。

低いは正義!…か

「力は正義!」とか「かわいい(イケメン)は正義!」とか、そんな言葉があるが、卓球においてはどうだろう。

sakurai
卓球界のイケメンとして名高い櫻井コーチ

私は「低いは正義!」だと思っていた、最近までは。

ツッツキは言うに及ばず、ドライブもブロックも低いのがいいに決まっている。

*************

最近こんなことがあった。

ゲーム練習でこちらから相手のバック深くに低くて速い順回転横下ロングサーブを出してみた。全力のスピードで出したので、相手は案の定強く打てない。角度を合わせてツッツキ気味に返してくれればこちらの思うつぼである。バックドライブで待ち構えていて、強打し、完全にこちらが主導権を握ることができる。しかし、相手のFさんはバックへのロングサーブをバックドライブでこちらのバック側に返球してきたのだ。といっても速いロングサーブである。あちらがカウンター気味にバックドライブ強打を打つのはリスクが高い。そこでFさんはチョリっと山なりにゆっくりしたバックドライブで応じてきたのである。ツッツキよりはスピードがあるが、スピードが遅く、打ちごろのボールである。こうなると、こちらのバックドライブ強打でほぼ決まるはずのボールだった。が、私のバックドライブは空振り。相手のボールの伸びが激しく、頂点付近でグンと伸びてきたのだ。

「落ち着いてタイミングを合わせなきゃ」

次のサーブも同じようにバックへのロングサーブ。Fさんは強く打てず、やはり同じようにバックでチョリッとドライブをかけてくる。今度こそ決めてやる!しかし今度はラケットに当たったものの、オーバーミス。

なんだかイヤなボールだなぁ。スピードも遅いし、弾道も高いし、打てないはずはないのだが。

その後も何度も同じ展開になるが、私はミスが多く、なかなか気持ちよく強打できない。そしてゲームが終わるころにようやく気付いた。Fさんはエンドラインの白線を狙ってゆっくりとした高いドライブを送ってくるのだと。

こちらもサーブでギリギリまで深いところを狙っているのだが、あちらもレシーブでギリギリまで深いところを狙っていたのだ。こうなると、ふだんの立ち位置ではつまってしまい、いいボールが打てない。それに加えてFさんのバックドライブは私の胸ぐらいの高さでゆっくりと飛んでくる。これをバックドライブのカウンターで狙うと、(比較的)低くて深いボールよりもさらに詰まりやすくなる。

低さ一辺倒ではなく、時には高いボールでも深くさえあれば、効果があるんだなぁ。というか、私がもう半歩後ろに下がって待てばよかっただけの話か。

また一つ勉強になった。

思ふどちして戯れむ

久しぶりに卓球台の前に立ち、気心の知れた相手とボールを打ち始めるとき。

相手と近況や世間話をしながら徐にボールを打ち始める。

といっても試合の前の3本の練習のようにガシガシと打つのではなく、じゃれ合っているようなボールである。親しい相手なので、私はフォア打ちもせず、いきなり短い逆振り子サーブを出してみる。ボールの軌道は高く、ポテンポテンと弾んでいく。相手はバックハンドでパシンと払うこともできるのだが、あえて角度を合わせただけの返球をする。返るボールはふわーッと高い。私はゆっくりと回り込んで、おどけた大げさな大きなフォームで軽くバック側へループドライブ。相手はブロックでフォア側へ。私はそれをまたゆるいループで返球すると、今度は「これはどうかな?」とばかりに私のバック側へブロックを送る…。

練習でらしい練習が始まる前のこういうゆるいラリーが好きだ。こういうラリーは延々といつまでも続けることができる。
buriki

音楽にたとえれば、R&Bというのだろうか、ユニクロなんかで流れている、落ち着いた曲のイメージである。こういうときは身体全体の力が抜けている。足取りが軽い。普段の私はフロアに根が生えたように足が動かないのに、こういうときは自ずと足が動き出す。練習って本来こういうふうにやるのではないだろうか。

「フォア前にショートサービスをください。それをフリックでフォア側に払いますから、そこから全面で」

などとコースをある程度指定して練習するときにはフリックから0.1秒でも早く後方に移動して、厳しいボールを打とうと必死になってしまい、足がなかなか動かない。

ラケットは前に振らない、横か上に振る。

これが私が最近心がけていることである。こうするとボールが飛ばず、ボールがラバーに引っかかって安定するし、ボールのスピードも遅いから足も動きやすい。速いボールでの練習は足が動くようになってからでいい。

ただ、こういう練習は同じ意識の人でないと成り立たない。私はゆっくりしたラリーが練習になると思っているけれど、相手によっては速いボールでパシパシ打ち合うことこそが練習になると思っているかもしれないからだ。

buriki


いろいろなタイプの人と打つと練習になるというのも真理だと思うが、気心の知れた同士でじゃれ合うような練習をするのもいい練習だと思う。


レシーブの耐えられない単調さ

私にとってイヤなサービスというのは、ドカンと足を踏み鳴らして、身体全体を使って出されるサーブである。
それでこっちが身構えて迎撃姿勢をとると、びっくりするぐらい遅くて短いサーブを出されて、手を伸ばしきって力ないレシーブをするしかなかったりする。
それで今度は短いサーブを警戒していると、同じモーションでとんでもなく速くて深いサーブが来たりする。

次はどっちだ? 長いサーブか、短いサーブか…。こういうサーブは的が絞れず、どうしても受け身になってしまう。

これまではショートサーブを出されたら、私はいつも低くて切れたツッツキなりストップなりでレシーブしようと心がけていたのだが、この間の練習で、とにかく早くボールに触ることを試みてみた。もう、バウンドと同時ぐらいに触ってやろうという気持ちで相手のショートサーブをできるだけ早く返球してみたところ、相手がすごく崩れて甘い返球をしてくれたのだった。

打点が早いあまり、こちらもあまりサーブの回転を吟味する時間がないので、30~40センチほど浮かせてしまうこともしばしばだった。しかし、その早さとボールの飛んでこなさに相手は困惑していたようだ。たとえ浮かせてしまっても、そうそう厳しいボールは来なかった。そうやって相手が早くて浅いストップを警戒してきたら、今度は普段の打点で低くて深いツッツキをお見舞いするのである。

つまり、私がもっともイヤなサーブ――短いか深いか分からないサーブを、レシーブでやってみたわけである。私が身体全体ですばやくボールに突っ込んでいくので、相手は「すわ!速いツッツキがくるぞ」と少し下がって身構えるのだが、予想に反してちょっと浮いた浅いボールが来るので、打とうにも打てない(上手な人にはそこで簡単に打たれるだろうが)
receive

レシーブは低く短くということばかり考えて慎重に返球していたので、これまでの私のレシーブは相手からすれば単調にすぎたのではないだろうか。そのような単調な打点でのレシーブなので、相手からすればリズムを取りやすかったのだろう。しかし、たとえ浮いてしまっても、緩急さえつければ相手は簡単には打てないというのは発見だった。

これを逆の立場で考えてみると、3球目を待っているサーバーとしては、長ければ打つし、短ければつっつくつもりではいるものの、早い打点で2球目を打たれると、打てるかどうか吟味している時間がない。ギリギリ出るかもしれないボールでも、安全につっついてしまいがちである。そうすると、こちらは4球目で長いツッツキを待てることになる。

多彩なレシーブというのは私には難しいが、単に打点に緩急をつけるぐらいなら、私にもできそうだ。これでチャンスボールが来やすくなるなら、これからレシーブに積極的に取り入れてみるべきだろう。

残念な個人レッスンーーとある卓球教室にて

先日、とある卓球場(教室)で2時間台を借りて友人と練習をした時のこと。

初老の男性が個人レッスンを受けに来た。
若いころに部活などで打った経験が少しだけあるといった感じの人だった。

卓球場には大学生のアルバイトと思しき若い男の子が一人だけいた。黙々とケータイをいじっていたのだが、時間になったので、無表情で立ち上がり、初老の男性に対応していた。

「何か練習したいことはありますか?」

初老の男性はドライブの打ち方をリクエストしたようだ。
ドライブを打って、バイトの大学生が無言でブロックする。ときどき思い出したようにアドバイス。

「順回転のボールを打つ場合、ボールの後ろをとってドライブをかけると、飛びすぎてしまうんで、ボールの上のほうとか、斜め上とかを触ってこすったほうがいいですよ。」

初老の男性も無口な人のようで、しばらく沈黙のままボールを打つ音だけが聞こえてきた。

練習はいつのまにかレシーブに移っていたらしく、大学生は横回転や下回転など、いくつかのサーブを出して、それを男性がレシーブしていた。

「打点が遅すぎるので、ボールがバウンドする瞬間に当てるような気持ちで、早めに打った方がいいです。」

またしばらくボールを打つ音だけが響き渡る。

途中で数分の休憩が入る。

大学生はレジのカウンターの前に座ってケータイをいじり始める。男性は汗を拭いたり、素振りをしたりしている。

その後練習は再開され、何かの練習をしていたのだが、私も自分の練習に夢中になっていて、どんな練習をしていたのか分からない。

1時間の個人レッスンが終わって、男性は静かに料金を払い、去っていった。
大学生は相変わらず無表情で一言「ありがとうございました」と述べて、またカウンターに座り、ケータイをいじりはじめる。

*******************

個人レッスンというのは、私はあまり受けたことがないが、こういう指導もよくあるのだろうか。

私が受けた個人レッスンは指導者がハキハキしていて、ふだんどんな練習をしているかやどういう卓球を目指しているかなど、笑顔でいろいろ話しかけてくれた。指導中も常に声掛けがあり、

「手で打たないで!胴体を回して!はい、そう!今のはよかった!」

などと励ましてくれたりした。水分補給のための休憩には世間話や共通の知り合いがいないかどうかなどを聞いてくれたりして、1時間を楽しく過ごすことができた。

sidou
イメージです

上の卓球教室の指導役の学生には熱意が感じられず、淡々と指導していたように感じた。必要最低限の交流しか持ちたくないといった感じで、対応時間以外はずっとケータイをいじってバリアーを張っている。彼はもしかしたら実力的には非常にレベルが高い人かもしれない。関西学生リーグの1部校のレギュラーかもしれない。また、指導も的確なのかもしれない。しかし、バイトとはいえ、こんな対応をされたら、二度と個人レッスンなど受けたくないと、私なら思うだろう。

東京に行ったときにいつか卓球の個人レッスンを受けてみたいと思うのだが、いくら安くても、また有名な教室でも、ちゃんとコーチを選ばなければダメだなと思った一日だった。



日本の(推定)卓球人口

「東洋経済」の記事で「卓球「Tリーグ開幕」に漂う大ブームの予感 日本の卓球人口「1000万人」も夢物語ではない」という2017年12/25の記事があって、笹川スポーツ財団のデータやJリーグとの比較で「2030年には卓球人口が663万人の約1.4倍、958万人に増える」可能性があると述べている。

ただし、この「卓球人口」というのは年に1回以上卓球を楽しんだことのある人の数なので、卓球に興味がない人が、温泉でたまたま卓球を楽しんだという人も含まれる。

この記事は卓球に対して非常に好意的に書いてあるので、文句を言いたくはないのだが、663万人という数字は実質的な卓球人口ではない。

結論を前もって述べると、私の推定した日本国内の卓球人口は以下の通りである(追記:中学生の扱いを変更し、数字を大幅に変更した)

A:卓球人口最大41万人
B:熱心な卓球愛好者11万人
C:卓球依存症3000人

Aは実際に定期的に卓球をやっている人の数。Bは卓球が本当に好きな人の数。Cは卓球に取り憑かれている人の数。

私は数字が嫌いである。自慢ではないが、高校時代に数学で赤点を取ったこともある。年をとるにつれて数字に対する不信感は深まるばかりである。

特に「客観的」な統計データというのは、パラメータを調査者が作為的に変えることによって、全く正反対の結果が出ることも少なくない。コーヒーを飲むと癌にかかりやすいとか、かかりにくいとか、あの手の医学的?な調査はスポンサーの意向によってどうにでも変えられるように思われてならない。数字も科学も扱う人によって薬にもなれば毒にもなる。

たとえ悪意がなかったとしても、非卓球人が機械的に出した卓球人口の推計よりも、卓球を肌身で感じている私が推定した卓球人口のほうが実際の人数に近いはずである。卓球人の推定した卓球人口というのは意味のある数字だと思われる。

なんでこんなことを考えたかというと、Tリーグにどのぐらいの人が入るか気になったからである。

Tリーグを観に行く人は、8割がたは卓球人だと思う。9割かもしれない。

非卓球人が会場にわざわざ足を運んでルールもよく知らない卓球を観戦するとしたら、職場関係でチケットをタダでもらったとか、友人・恋人に連れられて観戦に来たような人じゃないかと思う。

現時点でTリーグを観に行く人は相当な卓球好き(つまりBとC)か、つきあいで見にいくような人だろう。

バドミントンの桃田賢斗選手が世界ランク1位の選手を破ってジャパンオープン優勝を成し遂げたのだという。賭博事件のスキャンダルから立ち直り、素晴らしい戦績を残した桃田選手は世界でも有数の実力らしいが、桃田選手と世界トップレベルの選手を集めたバドミントンのプロリーグが仮にできたとして、果たしてどれほどの人が観戦に行くだろうか。私は卓球以外のスポーツでも、卓球の参考になるなら観たいと思うが、電車賃と入場料を払ってまで観に行くかというと、たぶん行かないと思う。タダでチケットをもらって、京都で開催される試合なら、時間の都合がつけば行ってみたいと思うが、それでも行くかどうか微妙である(気が向いたら行くかもしれない)

そう考えると、Tリーグにどれぐらいの客が入るかの推計は実質的な卓球人口からなされなければならない。

以下に上記の数字の根拠を記す。

卓球人口を測る指標として日本卓球協会の加盟人数(H29)がある。これを見ると、348,195人ということである。これは中学の部活で自動的に加入している部員の数字も含まれるので、それほど卓球に熱心でない人も含まれる計算である。35万弱。その一方で協会に登録はしていないので公式戦には出ないが、地方で卓球を楽しんでいる社会人の数も少なくないと思われる。

ちなみに加盟人数の内訳は以下の通りである。中学生が圧倒的に多く、50%近くを占めている。

小学生: 14,630
中学生: 171,893
高体連: 73,694
日学連: 7,712
日本リーグ:190
教職員: 534
一般: 62,553
役員・教職員: 8,116
役員・役員: 8,873

中学生のうちなんとなく部活に入っている人で、卓球なんかほとんどしない人もいるかもしれないが、そういう人も数のうちにいれておく。

一方、社会人で地域のクラブとかで練習しているけれど、協会に加盟していない人はどのぐらいだろうか。
私が地域のクラブに行って、協会に登録していない社会人の割合を考えると…半数は登録していない気がする。高齢者は特にその傾向が強い。都市部には協会主催の社会人リーグがあって協会加盟者も多いが、地方では社会人の協会加盟者の割合はもっと少ないかもしれない。上の内訳のうち、「一般」は62553人ということだが、この倍以上の社会人卓球愛好家がいると思われる。仮に「一般」非加盟者の割合を5割、加盟者の割合を5割としておくと、合計は125106人となる。

協会加盟者に非加盟者の「一般」62553人を追加して410748人。この潜在的な「一般」をどのぐらい取るかで数字が変わってくる。

実質的な卓球人口最大約41万人

といっても、41万人のうち、部活に入っているだけでやる気のない中学生や、やるのは好きだが、観るのには興味がないという人もたくさんいるだろう。このうちTリーグを観戦に行く可能性のある卓球の大ファンと言える人はどのぐらいだろうか。

本当の卓球好きの多くは、youtubeのWRMーTVのチャンネルを登録しているだろう(もちろん登録していない人もいるだろうが)。WRMーTVの登録者は約10万人。ただし、家族で卓球をやっている人なら1世帯で1つのアカウントの登録かもしれない(小学生1.5万人はアカウントを持っていないだろう)。その一方で、一人が複数のアカウントで登録しているかもしれない。さらにWRMのチャンネルは海外の登録者も多いだろうから、それらを考慮すると…国内でWRMの動画を見ている卓球大好きな人は8万人ぐらいだろうか。

ネット利用する卓球愛好家8万人

年配の人でyoutubeなどは見ないけれど、卓球が好きでたまらないという人がたくさんいる。そういう人がTリーグを観戦に来るかもしれない。定年退職して時間に余裕のある人ならなおさらである。こういう人はどのぐらいいるだろうか。

youtubeで卓球動画をほとんど見ないけれど、卓球が大好きな人…これは難しい。地方によってずいぶん雰囲気が違うかもしれない。ネットを利用する愛好家が7万だとすると、思い切り主観になってしまうが、社会人の練習場に10人いたら、3~4人は卓球動画をチェックしていない人がいそうな気がする。8万人の30~40%で、ざっと2~3万人ぐらいいるとすると、実質的な卓球人口の合計は8万+3万で11万人ぐらいだろうか。それを47都道府県で割ると、1県あたり110000÷47=2340人ほど。

熱心な卓球愛好家数約11万人

こういう人は日時や場所などの条件さえ都合が付けば、観戦に行くかもしれない。ただ、電車で片道2時間かけて、3000円近いチケットを購入するとなると、きっかけがないことにはなかなか足が向かないのではないだろうか。

さらに多少遠くても観戦に行く、卓球を愛してやまない、卓球こそが人生、卓球がアイデンティティーになっている最もコアなファンはどのぐらいだろうか。

xia氏のブログのアクセスカウンターを見ると、特別なイベントがない、平常時は1500人ほどが閲覧しているようである。古いデータだが、伊藤条太氏は自身の2009年横浜大会の速報を読んでいた人について「おそらく多くて500人程度だろう」と述べている。

ここから想像するにいつも卓球のことばかり考えている、ピンキチと言えるほどの熱心な卓球人(卓球の実力は関係ない)の人数は全国で3000人程度ではないかと推定するが、あまり自信がない。

卓球依存症3000人

明けても暮れても卓球のことばかり考えている卓球バカ(上級者は案外卓球に対して冷めている人もいるかもしれない)が1県あたり、平均64人ほど生息している計算になる。もちろん人口の多い県なら100人を軽く超えるだろう。人口ランキングではちょうど中間の23位が熊本県176万人、24位が鹿児島県162万人である。これらの県で64人ほど卓球依存症の人がいれば、私の推計が大きく間違っていないことになる。

以上、私が卓球人口をはじき出した道筋を示した。

1県あたり110000÷47=2340人ほどと述べたが、東京や愛知、兵庫のように卓球人口の多い県ではこの倍の4700人ほどの潜在動員数があると思われる。さらに近隣の県の潜在動員数を同数の4700人ほどと試算すると、大都市圏の潜在動員数は9400人ほどとなる。このうちの何割が会場に来るだろうか。

観戦しやすい日時、会場までのアクセス、チケット代などの条件を最高にしたとして、実際に会場に足を運ぶのは2割の1880人としてみよう。一人で行く人は少ないだろうから、非卓球人の友人などを連れてきてくれるかもしれない。小学生は親を連れてくるだろうし、それプラス、スポンサー企業などの社員で半強制的に応援にいかなければならない人もいると考えると、2500人ぐらいはコンスタントに集められるだろうか。3000人収容の体育館というのは少ないから、これだけ入れば大成功だろう。これが沖縄や東北といった地方都市になると、これほどの人数は集まらないかもしれない。ピザ屋のように「2人目は入場料半額!」とすれば、非卓球人の入場が増えるかもしれない。いや、2人目は無料のほうが誘いやすいかもしれない。観客の大半は中高年なので、若い人を惹きつける工夫も必要である。

ちなみに、ウィキペディアなので数字の信憑性は高くはないが、全日本卓球の観客動員数の平均は「2015年度は25300人(7日間、一日平均3614人)」ということである。伊藤氏のスポーツ新聞の記事で今年の全日本は「史上最高の2万8450人」とあったので、今年の平均は4064人ということになる。最終日やその前日は東京体育館のキャパ1万人近く入ったかもしれない。

zennnihon
昨年度?の全日本決勝。張本選手対水谷選手

卓球の熱心な愛好家の2割に訴えることができれば、Tリーグは成功するに違いない(見込みが甘すぎるか?)

なお、BリーグやVリーグの1試合の観客動員数の平均は公称3000人前後らしい。

数字のことばかり考えたので頭が痛くなった。計算ミスがないことを祈る。

Tリーグは盛り上がってきたか――24時間卓球などとからめて

前記事「Tリーグ・プレミアと庶民感情」でツイッターでのTリーグへの危機感について触れたが、Tリーグ開幕をひと月後に控えた現在、Tリーグに対する関心が急激に強くなってきたように感じる。

琉球アスティーダの早川氏とT.T彩たまの坂本氏を中心にTリーグを盛り上げようという熱意が伝わってくる(逆に言うと、それ以外のチームの監督は、顔が見えてこない…)

先日は「24時間テレビ」ならぬ「24時間卓球」というイベントが開かれたのは、卓球人なら知っている人も多いだろう。今までこういう場がありそうでなかった気がする。

このイベントの果たした役割は大きい。というのは、24時間都合がつかない人というのは少ないから、都心の交通の便利なところで行われるイベントなら30分とか60分だけなら参加できる人はけっこう多いと思う。それであのイベントには卓球関係者が多数参加することができたのだと思う。こういう場を定期的に設けることができれば卓球関係者の交流が密になり、卓球界が大きく発展することになるだろう。ちょうど今回はナショナルチームの合宿とかぶってしまったが、日にちを調整すれば、Tリーガーも参加してくれたかもしれない。

私も録画された動画をyoutubeで見てみたのだが、卓球有名人が多数出演し、おもしろかった。
主催者のかたがた、お疲れ様でした。このようなイベントが毎年の恒例行事となることを期待しています。

ただ、少しだけ要望を言わせていただくと、
年をとると耳が遠くなるので、音量を上げなければ声が聞こえにくかった。しかし、大音量にすると、カメラの近くで大拍手や歓声がしばしば起こり、耳に悪かった。
来年はこの点の改善をおねがいします。

さて、だんだん盛り上がってきたTリーグだが、世間の注目度はどうだろうか?

調査方法の詳細はわからないのだが、グーグル・トレンドで過去30日の検索数の統計を見てみると次のようになる。

Tleague
おお! T.T彩たま坂本氏のツイートが8/17、Lili村田氏のツイートが8/26。8/24あたりから徐々に検索される件数が増えてきたように思う。

だが、残念な結果についても触れなければなるまい。例の大坂なおみ選手との比較である。


大坂なおみ


卓球界ではTリーグは盛り上がってきているが、世間的に見ると、注目度は大坂なおみ選手の1%未満なのである。

数字は数字に過ぎないといえば、それまでだが、世間でTリーグに注目が集まるのはまだ先のことになるだろう。それまで卓球人の地道な努力でTリーグを成功に導きたいと思う(私も職場でさりげなくTリーグを宣伝している)




「打てない」ってどういうことだろう?

「Aである」と「Aでない」を分けることが Aが分かるということなのだと

世間で言われるけれど

私は「打てる」ボールと「打てない」ボールが分からない

相手のストップがネットよりもボール2個分浮いた

台から出るロングサーブが来た

どちらも打てるように思える

ストップは下回転がかかっているけれど こういうのを厳しく打つのを見たことがある

ロングサーブはあっという間に私のミドルをえぐるけれど 大丈夫、間に合うはず

思い切り打ってみると なぜかボールはネットにかかったり、オーバーしたり

現実はいつも私に教えてくれる

「それはあなたには打てないボールなんだよ」と

でも私は現実を信じない

何か小さな行き違いがあっただけで ホントは打てるはずなんだ

「根本的に間違っているんだよ」というささやきは 私の耳には届かない

何度も何度も同じミスを繰り返す 私はあきらめず試みる

だって練習の時は入るのだから

「あんなボール打てるわけないだろ」 上手な人に言われて

私はやっと気づく 現実が教えていたことは掛け値なしの本当だったのだと

でも浮いたストップをツッツキで返すのは地味だ

「台から出るサーブは打て」と聞いたことがある

やはり打てるんじゃないか?

現実はいつも私に教えてくれる

「それはあなたには打てないボールなんだよ」と

私は打てるボールと打てないボールが分からない

どうすれば打てるのだろう?

でもこのボールはきっと打てるはず

花はくれない、やなぎは緑――アープ卓球通信のPVから

前記事「しっとりした打球」で山中教子氏の主唱するARP理論の動画をとりあげたが、ARP理論というのはどういうものなのだろうか。あまり販促に興味がないのか、情報が少なく、たとえば高島規郎氏や平岡義博氏のような著名な卓球指導者と比べて卓球界であまり話題にのぼらない(私が知らないだけ?)が、私にはゆかしく感じられる。

adjust

力を抜いてリラックスした自然体での卓球を推奨するのは、体力の衰えた中高年に合っているように思われる。中高年が体力のある若い人と同じような豪快な卓球を目標としていたら、身体を壊してしまう。中高年初中級者の卓球というのは、全国大会を目指している限られた人たちの卓球と同じであるはずがない。勝つための卓球理論や練習法というのがあってもいいとは思うが、それは厳しい練習を必要とし、週に最低5日は練習しなければならないだろう。そういう全国を目指す卓球ではなく、週に1~2回しか練習できない中高年の、楽しむための卓球理論というのも必要だと思う。アープ理論はそういう楽しむための卓球に適しているのではないか(と私は勝手に思っている)

とはいっても、私はアープのDVDを持っていないので、サンプルビデオを見てこの理論の要点を想像してみようと思うのである。それにDVDなりを購入していきなり「正解」を知ってしまったらおもしろくないではないか。ビデオ中の断片的な映像や言葉から、アープ理論がどのようなものか想像するのがおもしろい。

というわけで、ここで私が考えたことはあくまでも私の思い込みであって、「正解」ではないことをお断りしておく。また、引用も私なりの補足・要約があり、正確ではない。

ビデオ(1)

フォアドライブ連打。十分引き付けてから打球し、腕の力も抜けており、ボールとラケットが「ケンカ」していないのが分かる。
山中氏は連打中に動きが止まっていない点がポイントだと言っているようだ。

ビデオ(2)


「頭がボールを追うのではなく、骨盤と床が水平移動するように重心を移動させる」
身体の中心軸が傾いて、頭から先に動き出すような移動の仕方を戒めているようだ。そういえば私はフォア側の遠いボールを打とうとしてとっさに頭を先に出してしまうことが多いが、そうではなく骨盤から先に動かすのがいいということである。上半身から動かして、下半身はあとからついてくるという理論もあるかとは思うが、身体の中心である骨盤を先に動かそうという意識は納得できるものである。

「無意識に中心軸に乗って失敗している人がいるかもしれない」
骨盤をまず移動させる意識でということなので、中心軸をつねに意識して移動するのかと思ったが、軸がずっと中心ではなく、重心を左右に移動させるのがいいということだろうか?


ビデオ(3)

「軸を立てて全身を使っていけばボールが見えて腕の力が抜ける」

右利きがフォアハンドを打つ場合、右足に軸を作り、次に左足に重心を移動させる。すると、右腕の力が抜けるので、そこでフォアハンドを打つということだろうか?軸の移動を先にすれば、小さな力でフォアハンドが早く振れ、次の動きにも連繋しやすいかもしれない。

「腕のスイングが先になっていると、上手にはならない」
「手で時間を合わせる、手で打とうとする、手で加減しようとする、そうすると上手になっても悩んでばかり。(そうではなく)全身を上手に使っていこう」

本当にそうだと思う。腕でタイミングを合わせたり、力加減を変えたりしようとすると、ミスにつながる。腕の力をずっと抜いていたい!しかし現実はつい腕に力が入ってしまう。

ビデオ(4)


「(フォア前フリックは右の)かかとから入って指が効く、(右の)かかとに(重心を)移して(かかとが上がる)、(右足を後ろに引いて、左の)かかとが上がって、左へ体幹を回しながらスイング」
「右の軸に乗って、左足のかかとから左軸に移動していく」
「これがフォアフリックからフォアドライブへの連動」
「かかとという目安(基準)があれば身体を持っていくことができる」
「基準があいまいなままだと、いくらやってもうまくならない」

ここでは足の具体的な使い方が説明されている。踵という基準で身体の動きを決めるというのは分かりやすくてすぐにでも自分の卓球に取り入れられそうだ。なんとなく身体を使って打つのではなく、動きはじめの基準を作るのはいいアイディアだと思う。

ビデオ(5)


「身体の左右が連動して軸移動すること」
「右足に軸を作って、左足に軸を移動させる。当たり前だが、これができていない人が多い。」

台上では右足のかかとから着地し、つま先でふんばった瞬間、左足に重心を移動させるという基本動作がいいとされる。

「(ラリー中)必ず足は動いている。一球ごとにかかとから着地(アジャストステップ)し、つま先を利かせて打球、重心は左足へ。」
「左右を連動させると、身体の芯で打つことができる」
「どこにも力が入っていない、身体の使い方が自然体だから」

「身体の芯」という表現が興味深い。腕の力でスイングスピードを上げるのではなく、身体全体の動きでスイングスピードを上げることを意味しているのだと思う。

ビデオ(6)


「タッチが分かるとスピンが分かり、スピンが分かると軸の移動が分かる。これが本格的卓球の道筋」

タッチの優先順位が高い。これは前記事「しっとりした打球」(あるいは3hit理論)で考察したボールが当たる瞬間に力を入れるタッチを指すのだと思う。私もこのタッチが安定した卓球の基本だと思っている。ただ、上級者の中にはこれに当てはまらない打ち方をする人も多い。


ビデオ(7)


「フォームではなく、タッチこそが基本」
「フォームに合わせて身体を動かそうとするから無理が出る」
「今、『点』が見えたよね?」「はい、見えました」

フォームに合わせようとするのではなく、「点」に合わせようとするのがいいのだという。この「点」が何を指すのかはっきり分からない。

ビデオ(8)


「ラリー中心の基本練習と実戦的な練習は全く違う。時間やタイミング、作戦の要素が入ってくる」
「レシーブしたら、すぐ戻らなければいけないというのが常識。しかし、それは実戦ではできない。間に合わないから」
「(こちらが)打ったら、返球されたボールに合わせて「タッチ」する。その時にボディーワークで身体がついていく。特に足の運動をつけていってあげると、タッチで打てる」

ここで言う「足の運動」というのは、上に挙げた、かかとから着地し、つま先でふんばっておいて、左足に軸を移動させることを指すのだろうか?


----------
以上、断片的な情報からアープ理論の主張について考えてみたが、要点を私なりにまとめれば以下のようになるかと思う。

・タッチが最も重要、次にスピン(これがあいまい)、次に軸移動(下半身)
・ボールを弾き飛ばさない軽いタッチを重視
・軸移動によって身体全体を使う
・移動時は腰骨を中心に、頭はずっとまっすぐ立っている
・身体のどこにも力を入れない(特に腕)
・特定の部分に力を入れないから、体勢が崩れない

世間で注目される、勝つための卓球理論とは必ずしも同じではないかもしれないが、こういう年齢を問わず実践できる卓球理論は高齢化が進む日本では大きな意味のあることなのではないかと思う。

【付記】
北海道の停電が9日現在、ほぼ復旧したようだ。
まだ不便な生活を送っている人も多いが、ちょっと明るいニュースだった。
北海道の一刻も早い復興を願っている。


心に刺さることば――賢二選手の対談を見て

卓球大好きな読者の皆さんはすでに「むらじの部屋」(松平賢二選手との対談)全4回をご覧になったかと思う。

 
https://www.youtube.com/watch?v=RDecMXT2w00

これですよ! これこそ私が求めていたトップ選手による情報発信である。
前記事「送り手と受け手のギャップ」でトップ選手ならではの卓球観を発信してほしいと主張したが、賢二選手の動画にはそのような情報が溢れている。どういう練習をしてきたか、転機となったのはどんなできごとか、ライバル選手の強さの秘密、卓球の難しさ等など。

kenji

単に情報の価値が高いというだけでなく、賢二選手は話がうまい。頭もいい。それは聞き手の村田氏にも言えることだが、この二人の対談を多くの卓球人が待ち望んでいたのは動画のコメント欄からもうかがえる。なんならTリーグに村田氏をゲストで呼んで、「むらじの部屋」をTリーグ会場でやってもらえれば、試合に花を添えることになるのではないだろうか。こんなおもしろい対談をyoutubeで無料で配信するのは、ありがたいが、ちょっともったいない気がする。

それはさておき、内容についてであるが、私の心に突き刺さるようなすばらしい言葉がたくさんあった。そのうちのいくつかを紹介したい。

「フットワークはいつの時代も必要な練習」
「大切なのはサーブとフットワーク練習」

やっぱりフットワーク練習は大切なんだなぁ。「フットワーク練習は自己満足に過ぎない」などという意見も聞いたことがあるが、そう言う人はおそらくフットワーク練習をやり尽くして、もう練習の必要のないぐらい極めてしまった人なのだろう。賢二選手がやりこんだ練習はフットワークとサーブだという。いくらフットワークがよくても、最初のサーブがまずくて相手に主導権を握られてしまうなら、フットワークを生かすこともままならないということなのだろう。そういえば先月号の『卓球王国』で水谷選手も基本的なフットワーク練習を勧めていたっけ。

また、賢二選手はロングボールから始めてフットワーク練習をするのではなく、レシーブや3球目から始めてフットワークにつなげる練習がより効果的だと述べている。私もいつか「吐くぐらい」フットワーク練習をしてみたいものだ。

「ブロックできたらレシーブもうまくなる」
「そんな厳しいレシーブしなくてもいいという安心感が生まれると、変なミスが減る」

レシーブが下手な人はブロックに自信がない人が多く、3球目を相手に打たれるのを過度に恐れているためレシーブを厳しく返そうとしてミスしてしまうのだという。逆にブロックが上手なら、相手のサーブをとりあえず入れておけば、次でブロックできると思えるので、プレッシャーのない、力の抜けたいいレシーブができるのだという。
これはツッツキにも言えることだろう。ツッツキというのもブロックとセットなのだと最近よく思う。ツッツキはどうしても打たれてしまうので怖いと以前は考えていて、台上ではツッツキを避けてストップやフリックばかり使っていたのだが、ブロックがきちんとできればツッツキを送るのはそれほど怖くないということが分かってきた。ツッツキが深く、速ければ、あるいはコースがよければ、そんなに厳しく打たれることはまずないからである(私のレベルでは)。そう考えると肩の力が抜けて、リラックスしてツッツキができる。そうするとツッツキの質も高くなり、相手に厳しいドライブを打たれることも減る。相乗効果である。


「今の時代ストップ・ツッツキが大事」

ふつうの人のストップは入れるだけなのであまり切れていないが、馬龍選手のストップは非常に切れているので、それをネットにかけまいとこちらがちょっと余裕を持って面を開け気味にして返すと、回転のかかり具合によっては、ほんのちょっと浮かせてしまう時がある。それを一発で持って行かれるのだという。先手を取るというのはこういうことなのだと気づかされた。相手の台上が上手く、なかなか先手を取らせてもらえないとき、相手のちょっと浮いたボールを台上でドライブできるというのは私のレベルでも練習する必要があるかもしれない。
馬龍選手はチキータやフリックをあまりせず、ストップやツッツキでオーソドックスな卓球をするので隙がないのだという。まず相手に軽く打たせて、それを待ち構えて強打でしとめるらしい。こんな卓球を私もやってみたいが、そのためにはストップとツッツキの質を高めなければならない。

他にも岸川選手の天才的なボールタッチや中国選手の用具の「仕上がり」、「ボールを食ってる感覚」など、興味深い話題がいくつもある。まだ見ていない人にはぜひ視聴をおすすめしたい。

送り手と受け手のギャップ――卓球選手のツイッターから

アジア大会2018が終わった。
日本勢は残念ながらメダルなし。男子団体ではインドチームに敗退するという番狂わせもあった。
アジアは卓球のレベルが高いので、一軍の選手を欠いたメンバーならこの結果もやむを得ないところだろう。そうでなくても大きな大会というのは何が起こるか分からないものだ。

-----------

私は上田仁選手が大好きである。

京都府出身というのもあるが、性格的にも浮ついたところがなく、実力的にもきちんと結果を残してくれるので、日本代表の精神的な支柱といっても過言ではない。

その上田選手のツイートにこんなものがあった。

bikkuri

「インドツイート」というのは下のツイートを指すのだろう。

indo

「思いのほか反響があって」というのはどういうことなんだろう。
私は全く「思いのほか」ではないと思う。
格下のインドチームに敗退するのは何かわけがあるはずだ。しかし、一般人はどうして日本チームが負けたのか分からない。その、いわば種明かしをしているのが「インドツイート」ということになる。

”インド人は子供の頃にまずブロックを学び、ミスせず台に入れることを重んじるため、ブロックの質が高い。ブロックがインド卓球のおいては基本であり、攻撃はそれができた上で身につける技術である。”

敷衍すればこうなるだろうか。

こんな意味のあるツイートが反響を呼ばないわけがない。呼ぶべくして呼んだ反響なのである。

このツイートを見た一般卓球愛好家は、「攻撃よりも、まずミスせず入れることが大切なんだ。その意識で練習を積めば、格上の日本代表にさえ勝ててしまうんだ」ということを学んだだろう。あるいは自分の卓球にもこの意識で臨もうと決心した人もいるかもしれない。こんな有意義なツイートはなかなかお目にかかれるもんじゃない。さすが上田選手である。

しかし、上田選手はなぜ「思いのほか」だと思ったのか。私は想像をたくましくしてこんなことを考えてしまう。

トップ選手は、自身のどんな情報発信が歓迎されるか知らないのではないかと。

前記事「もしかして卓球に飽きちゃった?」でトップ選手のブログのトピックにイライラするという記事を書いたが、こう思うのは私だけだろうか?みんな卓球選手のおススメの店とか、卓球選手の週末の過ごし方に興味があるのだろうか?私なら、「きのう××ちゃんと飲みに行った」「最近のマイブーム」といったツイートには全く興味がない。読もうとも思わない。郵便受けに毎日入っている不動産広告のようなものである。そうではなく、私は上田選手のツイートのように卓球の奥深さを教えてくれるようなツイートを切望している。

なんなら、終わった試合を振り返って感想戦をやってもらえるなら、これにすぎた喜びはない(前記事「本人による解説」)。

末を見ればこそ事はゆゑあれ――バルサミコ氏の分析から教わったこと

年配の女性と卓球をしていたとき、ミート打ちを多用して安定しないので、思わずアドバイスしてしまった。

しろの「そんなに速いボールを打つ必要はないですよ。ドライブをかけてゆっくりと山なりのボールを打てば、相手に打たれることはそうそうないですよ。弾いてミスを連発するより、ドライブで安定性を重視したほうがいいんじゃないですか?」

女性「私、ドライブってかけられへんねん。こすって打とうとしても、どうしても弾いてまうんやわ。」

中高年から卓球を始めた女性の中にはドライブがかけられないという人がけっこう多い。それで何の不足も感じておらず、卓球を楽しんでいるようなので、それはそれでいいのだが、こする感覚が分からないというのはどういうことなんだろう?

そういえば、表ソフトを使っている人も同じようなことを言っていた。

「お前はこする感覚がないから、表ソフトに転向せい言われて、表ソフトになったんです。」

最近、卓球の「感覚」ということがよく言われる。やみくもに長時間練習するより、まず「感覚」を身につけるのが先決なのだと。

私も最近フォアドライブの打ち方を変えて、新たな感覚を覚えたように思う。それは言葉では説明しにくいが、小さな力で速いボールを打つ感覚なのである(前記事「しっとりした打球」)。バルサミコ氏の3hit理論に近いものかと思い、氏に指導を乞い、氏のドライブに対する考え方を伺ったのだが、お医者さんだけあって非常に鋭く、分析的であり、いろいろな発見があった。

使われる用語が難解で、中年の衰えた脳では正確に理解できたとは言い難いのだが、簡単?に説明すると以下のようになる。

・腕は直角ほどに曲げたまま
・バックスイングは小さく(もちろん体幹のひねりをつかって)
・肩につながっている腕の骨をほんの少し回す意識で
・ボールをギリギリまで引き付けてから力を入れる
・スイングの円運動がボールに対して横方向に向かうところでインパクト(前方向への力をできるだけ加えない)
・ラケットの当てる位置は下半分
・スイングは水平気味に(バックスイングでラケットを台より下げない)
・ラケット面はあまり伏せない
・フォロースルーは小さく


以上は上半身。下半身のほうは…割愛。

細かい…。

下半身も同じぐらいの情報量があるので、よほど打法に相当興味のある人でなければ、頭の中でイメージしようとは思わないのではないだろうか。

私はこれが「感覚」の正体だと思った。

冒頭の年配の女性がこれらのチェックポイントをすべて満たして打った場合、おそらく私の感覚とかなり近い感覚でドライブが打てるに違いない。「感覚」というものは、言葉で説明すると細かすぎてかえって混乱してしまうことをあえて説明しないで学習者の主体的な気づきに委ねることだと思うのである。

「どうすれば人間関係がよくなりますか?」
「相手に対する『愛』を持つことだ。」

というときの「愛」に似ている。人間関係をよくするためのルールを挙げればキリがない。言葉遣いに気をつけるとか、いつも笑顔で接するとか、約束や時間を守るとか、相手をむやみに否定しないとか…。そういうものをルール化しようとすれば、膨大な情報量になるので、あえて説明せずに「愛」とだけ言って、具体的なことは自分自身で探させるわけである。同様にドライブを打つにはどうすればいいかという初心者の問いに対しては言葉で細かく説明せずに模範を示して「『感覚』を身につけなさい」と、自分自身で気づかせるような指導が行われているのかと思う。

自分で模索しながら身につけるわけだから、紆余曲折がある。人によってはなかなか正解にたどり着けないこともあるだろう。しかし、それを20ぐらいのチェックポイントを設けて指導すれば、誰でも最短距離でゴールにたどり着くことができる。長い間、卓球を休んでいて「『感覚』がない」という社会人がいる。「感覚」を取り戻すために基本練習を長期にわたって繰り返し、やっと「『感覚」を思い出してきた」となる。しかし、その20ぐらいのチェックポイントを一つ一つクリアしていけば、長期間の基本練習や「感覚」のことを考えなくても、かつてと同じようなドライブが打てるようになる。卓球の「感覚」という言葉は必要なくなる…?

バルサミコ氏の解剖学に基づく打法の考察というのは、「感覚」という概念であいまいに捉えていたものを、論理によって洗いざらい明らかにすることかなと思う(徹底的にやろうとすれば相当な情報量になる)

同様に「調子」というあいまいな概念も、論理によって白日の下にさらされることになる。「なんか今日はフォアドライブの調子が悪いなぁ」というとき、やはり数十のチェックポイントのうちのいくつかが満たされていないためにミスが起こったということが分かる。「今日は調子が悪い」ではなく、「ポイント3,6,8が今日はうまくできない」となる。結果があれば、当然、原因がある。不思議なことは何もない…。

ナウシカの地下室
そういえば東京に行ったとき、ジブリ美術館に行けばよかった

ただ、文系の私としては、もし卓球の打法の全てが解剖学的に記述され尽くしてしまうとしたら…一抹の寂しさを覚えるのである(単なる感傷であり、もちろん、氏の姿勢に批判的なわけではない)

Tリーグ・プレミアと庶民感情

今、私は自分と戦っている。
このラケットに一目ぼれしてしまったからなのだ。
nostalgic alround
ノスタルジック・オールラウンド PAC

スティガの中ペンって、ブレードが大きくて、グリップがぶっとく、日本人の手には大きすぎるんじゃないかと思って敬遠していたのだが、このPACというグリップは細くて握りやすそうではないか。
ブレードの大きさも極端に大きいわけではない。国際卓球のページによるとブレードの大きさは160mm×150mm。私はアコースティック・カーボン・インナーCを所有しているが、それよりもブレードが1ミリずつ小さい。SK7-CSやインナーフォース・レイヤーALC-CSよりも縦が1ミリ小さい。むやみにブレードが大きいわけではない(ちなみにアコースティック・カーボン・インナーの打球感は、手に響かず、最高である)

そして色遣いのなんと上品なことよ。実物は分からないが、写真で見る限り、実売8000円ほどのラケットには見えない。実売1万円以上の高級ラケットに見える。しかも、ネットの評判や試打動画などをみると、このオールラウンドは好評である。さらに卓球応援団で28日までセールをやっているではないか。スティガのラケット4割引き!これはチャンスである。

待て待て!今まで何回これを繰り返してきたんだ?うちにどれだけラケットがお蔵入りしていると思ってるんだ!アコースティック・カーボン・インナーCも4~5回打っただけじゃないか。和の極み蒼だってそうだ。インナーフォース・レイヤーZLCにいたっては一度もラバーを貼らず箱に入ったままだぞ!他にも何本ラケットが眠っていると思ってるんだ!

それはそうなのだが、ちょうどF面のラバーを買い替えたいと思っていたし、接着剤ももうすぐなくなるし…ついでにノスタルジックを買ったらお得なんじゃなかろうか。ラバーも白茶けてきたし、接着剤とかラバークリーナーはどうせ要るものだし…。

卓球人の物欲は果てしない。ラケットが10本あれば実用的には十分すぎるほどだが、それでもカッコいいラケットが出れば買ってみたいというのが人情である。ラケットが1本5万円とか、10万円となると、それほどたくさんほしいとは思わないが、1本数千円~1万円という手の届く価格帯なら庶民の物欲を大いに掻き立てる。

-------------

前記事「俺たちのTリーグ」では、地方の社会人の動画を取り上げたが、今回は本物のTリーグ・プレミアについての記事である。ツイッターを見ていると、Tリーグについて心ある人は警鐘を鳴らしている。

たとえば、LILIの村田氏
murata

https://twitter.com/yuhei25lili/status/1033630981670887424

たとえば、坂本竜介氏
sakamoto
https://twitter.com/ryusukesakamoto/status/1030381012549685249

Tリーグが初年度で大いに盛り上がり、メディアに注目され、観客がたくさん入れば、今様子見をしている選手やら企業やらも雪崩を打って参入してくるに違いない。逆に初年度で鳴かず飛ばずだったら、様子見している人は興味を失うだろう。

もし、Tリーグの興行が失敗した場合、誰が責任を取るんだろうか。

「がんばったけど、うまく行かなかったね。」

で終わり?

結局誰も責任を取らないままフェードアウトしてしまうのだろうか。

前記事「卓球プロリーグについて」でも述べたが、私は一流選手を集めただけで観客が呼べるかどうか疑わしいと思っている。多くの卓球人は自分の卓球に役立つものなら興味を持つが、雲の上のトップ選手の試合にはさほど興味がないという人が多いのではないかと思う。初めは物珍しさで1~2回観に行く人も多いかもしれないが、3回以上会場に足を運ぶ人がどれほどいるのだろうか。というか、村田氏の言うように卓球人以外の層を取り込まなければ成功したとはとても言えないだろう。

「なんとかなるさ」

でいいのか?

今、日本は卓球ブームだというが、この程度で満足していていいものだろうか。もしTリーグがこけたら、卓球ブームも頭打ちになり、これ以上は盛り上がらないだろう。逆にTリーグがうまくいけば、卓球ブームはさらに広い層にまで浸透するに違いない。このチャンスを逃したら、この先30年はプロリーグなんてできないだろう。今がチャンスなのである。これに乗らずしてどうする、卓球メーカーさん!

私は資金援助はできないが、アイディアで支援したいと思う。

もし、会場に卓球メーカーのブースが並び、「全品40%引き!」となっていたら、どうなるか。

「そういえば、欲しいラケットがあったんだよなぁ。ラバーもくたびれてきたし。Tリーグを観に行くついでに用具を買ってこよう。」

という人も多いのではないだろうか。庶民は「ついで」とか「お得」という言葉に弱いものである。Tリーグに3000円(と交通費)を払っても、欲しい用具が4割引きで買えるなら、「お得」だと感じるはずである。そうやってとにかく観客に足を運ばせることができれば、定着するファンも増えるかもしれない。卓球メーカーさんとしては4割引きというのはいろいろ厳しいかと思うが、先行投資だと思って卓球界を挙げてTリーグの盛り上げに協力してほしいものである。

でも、これだけでは、卓球人には訴えることができるかもしれないが、非卓球人には訴えることができない。非卓球人に訴えるために会場内で全農が国産野菜格安セールをするとか、スヴェンソンが無料育毛診断をしてくれるとか、村田氏の言うように人気グループに司会を任すといった「お得」があれば、「ついで」に卓球を見てもいいという人も多いだろう。

以上、私なりにTリーグの成功のためにまじめに考えてみたのだが、いかがだろうか。

俺たちのT(Tochigi)リーグ――ローカル卓球の魅力

ブルガリアオープンに続いてチェコオープン。全中も熱い戦いが繰り広げられているという。そこへアジア競技大会も続き、卓球の大会が目白押しである。

youtubeを見ていると、これらの大会の動画がたくさんアップされている。
有名選手の試合は、たしかにレベルは高いのかもしれないが、どれも同じような試合なので、それほど見たいという気にならない。10年以上前は国際大会の動画はそれほど多くなかったが、今のようにひっきりなしに国際大会の動画がアップされていると、誰か特別にひいきの選手でもいなければ、毎試合チェックしようという気にはならない。ITTFの実況のアダム氏などはいつもハイテンションで、”Unbelievable shot !!”などと必死に叫んでいるが、ああいう仕事も大変だなと思う。

日本人選手の動画のダイジェスト版を2本見て、「もうこれ以上はいいや」とyoutubeから去ろうとしていたとき、一本の動画が目に留まった。

「栃木県8位対決」

という動画である。どうやら栃木県の高校生の8位と、社会人の8位の試合(※コメント欄参照)ということらしい。
栃木県8位…ってどのぐらいのレベルなんだろう?栃木って卓球が盛んだったっけ?

栃木県は、女子は平野早矢香氏の出身地だし、レベルが高いイメージがあるが、男子はどうなんだろう?
そもそも、栃木県というのがどこにあるか、みなさんはご存じだろうか(関西の人はかなりの確率で位置を間違って覚えている)。

北関東
東京や神奈川は言うに及ばす、埼玉や千葉といった南関東の位置関係は知られているが、北関東は「どっちが群馬でどっちが栃木だっけ?」という人が多い。鳥のような形のAが群馬県(鶴舞う形の群馬県)で、ジャガイモのような形のBが栃木県である。

「めしだ会長」という人がこの動画のアップ主で、栃木県社会人ランキング?で8位の人らしい。

棒立ち

坊主頭で「無職」。第一印象はちょっと怖い人だった。

片面ペンドラの戦型だが、前傾姿勢で必死にフットワークを使って回り込むというスタイルではない。というか回り込みはあまりせず、ツッツキや遅いループドライブでまず相手に打たせてからラリーに持ち込むというスタイルのようだ。


https://www.youtube.com/watch?v=D-Pd-1Q6G0I

国際大会の動画の後にこの動画を見たら、そのレベルの差に驚いた。

めしだ氏の我流のフォームと、ゆっくりとした高いボール。それを今風のスタイルのシェークの男の子が低い速いボールで攻める。

サーブ→ツッツキ→ツッツキ(浮かす)→スマッシュ(ネットミス)

あっ、これは私たちがよく知っている卓球である。トップ選手たちの無駄のないフォームと低くて速いボールの応酬ではなく、空振りもすれば、打ちミスもする、そういう私たちの身近にある卓球である。

レシーブ失敗
回転を見誤り、ボールを浮かしてしまうめしだ氏。

動画の字幕でユーモアを交えながら戦術の説明などをしてくれている。

「サーブが甘くなってきたので、先にブロックさせてからオープンになったクロスを狙っていきます」
「(相手の)ロングサーブにも慣れてきたのでコースを散らしてレシーブ。なるべく強いボールは打たせないようにミス待ち」

この人、見かけによらず上手いぞ…。

なんとか先手を取って積極的に攻撃し、力で相手をねじ伏せるような卓球は強そうに見えるが、めしだ氏は自分からガンガン振っていくというタイプではなく、とりあえずミスせずボールを入れて、チャンスが来るのを待ち強打、あるいは相手のミスを誘って点を取るという戦い方である。しかも片面ペン。一見するとあまり強そうには見えない。

こういう戦い方で今風の若い人のイケイケ卓球といい勝負ができるというのは、相当頭を使った、繊細な卓球をしなければならないはずだ。

まず、サーブがうまい。よく切れていて深くて速いので相手が強打しにくい。さらにバックのブロックが固く、ミスが少ない。またボールのコントロールがすばらしい。そして台上での棒立ち姿勢からは想像できないほど、ラリーになると前後に大きく動く。そして時には豪快なフォアドライブ。

馬林ばりの回り込み
馬琳ばりの回り込みドライブを放つめしだ氏。

さすが栃木県8位である。私よりもはるかに強い。



https://www.youtube.com/watch?v=x2zW8uaKFjM

次の対戦は栃木県では知らない人はいないというムラムラムーラン氏との対戦。なお、ツイッターでの名前はペロペロペロンチョだそうである。
「ムラムラ?」「ペロンチョ!?」
一体どんな卓球をするのか。どうしても見てみたい。

 
https://www.youtube.com/watch?v=myzGCvqkUrg

さらにいくつか動画を見てみたのだが、どれもおもしろかった。

たとえば、栃木県の高校生の全国大会予選というのはどのぐらいレベルが高いのだろうか。
みな、整ったフォームでダイナミックな卓球をしているに違いない。おそらく、めしだ氏の動画のプレーよりもレベルが高いと思われる。しかし、私が観戦するなら、レベルの高い高校生の卓球よりも、めしだ氏(と、その仲間たち)の卓球を選ぶだろう。めしだ氏(と、その仲間たち)の卓球には個性がある。もっと見たいと思わせる何かがある。

上級者、ひいては国内トップ選手の試合というのはレベルが高すぎて、どこがどうすごいのかさっぱり分からない。見ていてあまり参考にならない。一方、めしだ氏の動画は、プレーのレベルは高いものの、手の届かない高さではない。私たち初中級者が見ても、いろいろ参考になる。

「あっ、今のミスは打点がちょっと低かったな」
「おぉ、ああいう戦い方をすれば強打者に強打を打たせずに主導権を握れるのか」
「こういうミス、私もよくやるなぁ」

自分よりレベルの低いプレーを見るのはあまりおもしろくないが、自分の手の届くレベルのうまい人のプレーを見るのはすごくおもしろい。

Tリーグ・プレミアの開幕が近づいてきて、Tリーグに話題が集まってきているが、そういう高いレベルの卓球だけでなく、地域の社会人の個性的な卓球も非常におもしろいと思う。こういう草の根ユーチューバーがもっと増えてくれるとありがたい。

哀愁のピアノ

なお、めしだ氏は現在国家試験の準備のため、動画投稿を控えると宣言している。無事合格して、動画投稿を再開してほしいものである。


筋書きのある展開――サービスの前に

上手な人と練習するときは、1球でも多く打ちたいと思うあまり、ボールを手にするそばからサーブを出してしまう。ゲーム練習のときも、気がせいて、ついサッサとサーブを出していると、

「サーブを早く出しすぎや。サーブを出すときはちゃんと静止せなあかんで」

もう、ルール違反の域に達してしまっている。

サービスを出す時は、フリーハンド(ラケットを握っていないほうの手)の「手のひら」の上にボールを置き、いったん静止させます。卓球王国WEB 卓球初心者ナビ」より

練習の時は何も考えないで、適当にサーブを出してしまうが、試合の時はさすがにちょっと考えてからサーブを出すようにしている。

「さっきはフォア前にサーブを出したから、次は…バック深くにロングサーブ、というのは分かりやすすぎるかな。じゃあ、ちょっとひとひねりして、相手のフォアミドルにロングサーブを出してみよう。」

こんなことを考えてからサーブを出すのだが、それでも「よく考えてからサーブを出せ」と言われることがあるので、一般的な人に比べて試合でもサーブを出すのが早いほうなのだろうと思う。だから私は丹羽選手が恬淡とサーブを出す気持ちがよく分かる。考えたからといって相手の意表を突くサーブを出せるとは限らないし、私がじっと考えている間、相手だって考えることができるのだから、サーブの前にじっくり考えることにそれほどメリットがあるとは思えない。

サーブを出す時にじっくり考えてから出す人の気が知れない。あれは相手をじらすという効果を狙っているのだろうか。

miu service
以前、平野美宇選手がサーブの時に時間をとりすぎて審判に注意されたことがあった。

サーブを出す前に頭の中で3球目攻撃をイメージしてからサーブを出すようにすれば、実際に頭で思ったことが現実になった時のミスは大きく軽減できると思います。

あっそういうことだったのか。サーブを出す前にどんな展開になるか頭の中でシミュレートしているというわけか。

「こちらが低い、下回転のショートサーブをフォア前に出したら、どんなレシーブが返ってくるか。一発で抜かれることはないだろう。相手は慎重なタイプだから、フリックではなく、ツッツキかストップにちがいない。ツッツキだったら…そうだなぁ、今までのレシーブの傾向からこちらのフォアサイドを切ってきそうだ。ではストップだったら?こちらのバック前かミドルあたりだろうなぁ。フォアサイドへのツッツキだったら、待ち構えて相手のバック側へドライブしてやろう。ストップだったら、相手のバック深くにつっついてやろう。まとめると、

フォアサイドを切るツッツキなら、ストレートにドライブで対応
ストップならバック奥へツッツキで対応

これで準備は万全だ!」

なんという情報量。さらに5球目や7球目までシミュレートする人もいるかもしれない。

そうか、上手な人はサーブを出す前にこんなふうにあり得る展開を頭の中でリハーサルしていたのか。こんなことをサーブのたびにやっていたら、時間がかかるわけだ。
もしリハーサルどおりに相手がレシーブしてきたら、こちらの対応は無駄なく、流れるように進むはずである。必然的にミスも減る。そうではなく、私のようにサーブを出す場所しか考えていないとしたら、レシーブが返ってきたとき、その場で対応を考えなければならないので、時間をロスしてミスしてしまう。私の3球目の成功率が低いのはこれのせいかもしれない。

卓球は頭を使うスポーツだなどと言われるが、ラリー中に頭を使う余裕はあまりない。最も頭が使えるのがサービスを出すときだろう。私もこれからはサーブの前にリハーサルをしてからサーブを出すことにしようと思う。


しっとりした打球――ラケットの当て方

試合での一コマ。

-----------

相手の横下回転ロングサーブを回り込んでドライブしたが、持ち上がらない。

「たぶん手打ち気味だったので、スイングスピードが遅くて持ち上がらなかったんだろう。次こそは!」

今度もまた横下ロングサーブ。今度は万全の態勢で回り込んで、渾身の力でガッと思い切りフォアドライブ!
明らかにさっきよりも力がこもっているはず…なのにネットをかすめてギリギリイン。

「ネットを越えたのはよかったけれど…。なぜだ?あれだけ力を込めてドライブしたのに。スイングスピードだって前のドライブよりも速かったはず。練習の時ならあのぐらいのロングサービスは簡単に持ち上がるのに、どうして試合になると持ち上がらないんだ?」

-----------------

youtubeでなんとなく卓球動画を見ているとき、「アープ卓球通信」のプロモーションビデオが目に留まった。なんとなく見てみたら、腑に落ちたので紹介したい。


実戦に強くなる!

「レシーブしたら、早く戻らなきゃいけないっていうのが常識的に言われてたんですが、実際にゲームになったら、それはできません。」
「ほんとに基本的なラリーは(フリックを)打ったら、飛んでくるボール(相手の返球)に合わせてもう一回タッチするんです。そのときボディーワークで身体がついてくる。」
「レシーブしたら、相手のボールが返ってくる。返ってくるのを見ながら、タッチして、そこから全身を特に足の運動をつけていってあげると、間違いなくタッチで打てちゃう。」
「ボディーワークも無理にガッと構えてないから力が入らない。流れてる。ボールに乗っかってくような感じで打ってけるでしょ。」

arp
このように次球に備えてガッと身構えると、ミスするのだという。

前記事「ARP理論」で山中氏の卓球理論を紹介したが、あのときはただ「リラックスしてて楽しそうだなぁ」程度にしか考えていなかったのだが、今なら山中氏の言わんとすることが理解できるような気がする。なお、私はARPのDVDを見たこともないし、講習会に参加したこともないので、山中氏の理論を正確に理解しているわけではない。あくまでも私なりの理解であることをお断りしておきたい。

山中氏は力を抜いて打つということを勧めているのだと思うが、「タッチして」から「全身」の動きを伴わせると流れるように、楽に打てるのだという。

そういえば、前記事「ボールをいたわってあげなされ」で羽佳純子氏の講習会のエピソードを紹介したが、羽佳氏も「ボールとケンカしちゃダメ」と言っていた。これも山中氏の主張に通じるものがあるのではないだろうか。つまりボールに触れる瞬間はやさしく「タッチ」するように触れるのがいいということである。

バルサミコ氏の提唱する3hit理論というのも、これに近いものかと思う。3hit理論というのを私が正しく理解しているのか怪しいが、氏の言葉を借りれば「ボールとラケットの距離が3cmになるまで待つ」「しっかり待ってちょっと振る」ということである。

相手の下回転のボールが飛んできた。それを頂点をちょっと過ぎたあたりの打球点でドライブしようとタイミングを測るのだが、ボールから30センチ、いや40センチ以上離れた距離からガッと力を込めてしまうと、ボールを弾き飛ばして、あるいはボールが滑ってしまう。

そうではなく、ボールがラケットに触れるか触れないかの瞬間にスイングを加速させると、不思議とボールは落ちない。当て方によってはインパクトの音もピシィと鋭い音がする。このような感覚を喩えて言うなら、「しっとりした打球」である。ボールがラケット面に貼りついて飛ばされていくように感じるからである。逆にボールと離れたところから加速を始め、ボールと「ケンカ」してしまう状態は言わば「乾いた打球」である。力を入れてもボールが落ちるからである。

ARP理論でいう「タッチ」してから「全身」を伴わせるというのは、言い方を変えれば、「当たってから全身で打つ」ということではないだろうか。ただ「足の運動をつけていってあげる」というくだりは何を指すのかよく分からない。


ARP理論についての記事を書いたのが2013年。
そしてそこで言われていることが最近になってようやく理解できたように思う(たぶん)。あのときと比べると、私の卓球の実力も近所の中学生レベルから近所の高校生レベルぐらいには進化したと思う。しかし、上級者への道はまだまだ遠い。

僕は切り替えができない――切り替えにおける「寄り」

先日、久しぶりにじっくり練習をしたのだが、案の定、調子が悪かった。
1球1球を自信をもって打てないので、ボールをじっくり吟味しながら、おそるおそる打球した結果、おのずと次の打球への反応が遅れ、振り遅れ気味の、詰まり気味の、力のこもらない打球ばかりになってしまう。前の練習で次に試してみようと思ったことは、ほとんど試せなかった。それどころではなかったのだ。フォアとバックの切り替え練習で特にそのような傾向が顕著で、満足にラリーが続かなかった。

いや、待てよ。よく考えてみたら、私はもともと満足に切り替え練習ができないのだった。

フォアハンドをずっと打ち続けるとか、バックハンドをずっと打ち続けるとか、そういうのはまぁ、なんとかできるのだが、1球1球、いや、2球ずつの切り替え練習でも、ラリーが続くうちにだんだん間に合わなくなり、よくミスをする。上級者のように速いボールで打つからではない。力を抜いたゆるいボールで打っていても、切り替え練習というのは難しい(前記事「転換」)。

なぜ私は切り替えができないのだろう。

振りが大きいのかもしれない。
しかし、振りが大きいというのはどういうことか、自分ではよく分からない。回転半径が大きいということなのだろうか。いろいろ考えてみた結果、私の場合、振りが大きいというのは、バックスイングが大きいことだという結論に達した。
威力のあるショットを打とうとして、フォアハンドを打つとき、どうしても自分の体側を超えてバックスイングを取ってしまう癖があるのではないかと見当をつけている。

それから腕を伸ばしてしまうというのも振り遅れる原因なのではないだろうか。たとえば張本智和選手のフォアドライブは腕を畳んでいて、非常に速く鋭いスイングである。私もああすればスイングが素早くなるのではないか。

…などと、原因をいろいろ考えること数か月。今では私は切り替え練習ができるようになっていた(この記事は1年ほど前に書き始めたものの、うまくまとまらず、お蔵入りしていた記事である)。今ではなんでこんな簡単な練習ができなかったのかと不思議なぐらいである。私は一体どんな勘違いをしていたのか。
私が切り替えができなかった原因は上に挙げたものもあるのだが、一番の原因は足を有効に使っていなかったからである。

切り替え練習はフォア・バックを切り替える練習なのだから、当然上半身に問題があると考えがちなのだが、実際は下半身のほうに問題があったのである。



かつての私の切り替え練習のイメージは上の動画のような感じでほとんど動かずにやるというものだった。

しかし、実際には手を伸ばせば届くところに常に返球が来るとは限らず、手が届かないところに返球されたときは小さいフットワークで位置を微調整をしなければならない。そうやってチョコチョコ動きながら切り替えをするのだが、それでもだんだん間に合わなくなってくる。

そして到達した結論は、私の切り替えには「寄る」という動作が欠けていたということである。
「寄る」というのはどういうことか。ボールを打つのに適切な位置にポジショニングする前に、とりあえずだいたいの位置に移動するという動きのことである。
つまり、

・フォアを打った瞬間に、相手がボールを打つ前にとりあえずバック側に寄っておく
・バックを打った瞬間に、相手がボールを打つ前にとりあえずフォア側に寄っておく

ということなのである。



上の安藤みなみ選手も動画では相手がボールを打つ前にとりあえずフォア/バック側に10センチほど移動している。

minami

私は切り替え練習というのは相手が打ったボールがどのあたりに落ちるかを予測してから足を動かすものだと思っていたのだが、そうではなくて、フォアを打った瞬間、バック側にある程度寄っておかなければ、次のボールに素早く対応するのは難しいのである。

以前の私の認識
・打球→相手の打球を確認→ポジショニング

今の私の認識
・打球→おおまかに反対側へ移動→相手の打球を確認→ポジショニング

ここから分かることは、相手の打球を確認してから足を動かしても間に合わないということである。これを前記事「転換」で言及した「ニュートラルへの戻り」ととらえることもできようが、この練習の場合「戻り」よりも「寄り」と言った方が適切な言い方ではないかと思う。フォアもバックも打てるニュートラルの位置に戻るというより、フォア側、あるいはバック側に立ち位置が片寄るからである。このように相手の打球を確認する前にとりあえず動くというのは実戦の中でも重要だと思われる。

他の原因を考えてみると、体の向きも問題だったと思われる。
フォアハンドを打ちおわったとき、きちんと相手に対して正面が向けていない――最後まで微妙に台に対して正面を向いたままであるため、次にバックに来たボールがうまく打てなかったのだと思う。これもポジショニングできちんと相手に対して正面を向くように意識しなければならない。

切り替え練習というのをずっと上半身だけの練習だと考えていたため、私はうまく切り替えができなかったのだが、上半身と下半身を同時に使う練習だと考えればすぐにできるようになるのである。

切り替え練習なんて、誰でもできる簡単な練習だと思われるかもしれないが、私のように長い間、それがうまくできずに悩んでいる人もいるに違いないと思い、いわずもがなの記事をまた書いてしまった。

【付記】
最近「切り替え練習」と「切り返し練習」という2つの言い方があって揺れている。
たぶん「切り替え」のほうが古い言い方だと思うのだが、車の運転や剣術での「切り返し」という言葉のイメージが「切り替え練習」の内容と重なるので「切り返し練習」という言い方の使用が増えつつあるのかなと思う。どちらでも私は構わないが「切りえし」には違和感を感じる。

ボールの威力を上げるために――低性能ラバーでの卓球

卓球で威力のあるショットを打つにはラバーにこだわらなくてはいけないのだろうか。

--------------

私の裏ソフトラバーに対する認識は、いたってシンプルである。

A 高性能ラバー:テナジーやファスターク、ラクザXといった各社の看板ラバー
B 中性能ラバー:ベガやファクティブ、ライガンといった比較的低価格のラバーや柔らかめのテンションラバー
C 低性能ラバー:スレイバーやマークVといった高弾性ラバー
D その他のラバー:中国ラバーや入門者向けラバー(オリジナルとか、レトラとか)

用具に詳しい人にとってはAの高性能ラバーとBの中性能ラバーは全く違うだろうし、高性能ラバーの中でもいろいろ違いがあるのかもしれないが、私にはAとBの違いがあまり分からない。特に使い古して引っ掛かりが弱くなってくると、その傾向はますます強くなる。

今、私が使っているラバーはフォア面がAの特厚、バック面がCの中である。Aは表面が白茶けてきて、ずいぶん引っ掛かりが弱くなっている。こういう状態になったら、以前なら早めに新品に替えていたのだが、今回はしつこく使い続けている。というのはドライブの打ち方を変えたことによって、引っかかりが弱くなってもあまり打球に影響がなくなったからなのだ。以前は薄くこするような打ち方だったので、引っ掛かりが弱くなると、滑るような気がして心もとなかったが、最近はぶつけるような打ち方のドライブを打つので使い古したラバーでも最低限のひっかかりがあれば打球にあまり影響がない。そしてバック面にはCの高弾性ラバーの、中を使ってみた。これはたまたまうちに保管してあったのを、使わないままだったら、もったいないと使ってみたのだが、なんだ、全然いけるじゃないか。

rub_markv-200x200
Cのラバーの代表格「マーク・ファイブ」。
30年以上前だったら、今のテナジーのような位置づけだったのだが。


初めてAやBのテンション系ラバーを使ってみたときは、その許容度の高さに驚いたものだ。Cのラバーなら落としてしまうボールもテンション系なら入ることが多いし、打点を問わずビュンとスピードのあるボールも行きやすい。それ以来、Cのラバーを顧みることがなくなってしまったのだが、今、あえて低性能ラバーを使ってみると、勉強になる。打ち方が正しければ入るし、正しくなければ入らないというのがはっきりしているからである。下回転打ちやブロックをする場合などはそれが顕著で、早すぎる打点でドライブなりブロックなりをしたとき、AやBのラバーなら入っていたボールがCのラバーだとネットにひっかけてしまうことがよくある。それで打点をしっかり意識しながらドライブやブロックをするようになる。裏面ドライブを打つ場合でも頂点前の相手のボールの威力が残っている間に(つまり、軽くカウンターのように)当てると、CのラバーでもAのラバーと遜色ないスピードのボールが打てる(前陣なら)が、打点を落としてから打とうとすると、あまりいいボールが出ない。相手のボールの力を借りるのを「借力」と、中国卓球で言うらしいが、Cのラバーを使えば相手のボールの力を借りた時と、借りない時の違いがはっきりと感じられる。Cのラバーというのは適切な打点を知るのに非常に有益だと再認識した。

前記事「ボールの生き死に」で「生きたボール」について考えてみた。そのとき私は試合で打たれるような「スピンや勢いのあるボール」を「生きたボール」としたのだが、今回は向かってくる勢いの強い、頂点付近までのボールを「生きたボール」とし、頂点を過ぎて、勢いを失いつつあるボールを「死んだボール」と考えることにする。

性能の低いラバーで威力を出すためにはどうしてもボールが生きている間にボールの勢いを利用して打たなければならない。AやBのラバーを使うようになってから、このボールの生き死にについてあまり気をつけなくなってきたように思う。しかし、Cのラバーを使うようになってから、どうしてもボールの生きているうちに打球しなくてはと思うようになった。

ラバーの性能というのは、諸々の条件で変わるので、常にA>B>Cの順にいいボールが打てるというわけではない。Cのラバーでも、全身を使って最適の打点でドライブを打てば、Aのラバーで下手な打ち方をしたときよりもよほどいいボールが出る。最近、打球タイミングのシビアな中国ラバーを好んで使う人が増えているが、もしかしたら、そういう人の中にも私と同じ意識の人がいるかもしれない。

そういうことを思い出させてくれたCのラバーをこれからもしばらく使い続けたいと思う。

もちろん、どのように打てばいいボールが出るかという基準がはっきり分かっている中上級者なら、わざわざCのラバーを使う必要はないだろうが、基本のできていない初中級者はCのラバーをあえて使うのもアリだと思う(前記事「諸刃の刃」)。

毎年いろいろなラバーが各社から発売され、世間でも「ラバーXよりも、ラバーYのほうが威力が出る」「いや、回転はYよりもZのほうがかかる」などとかまびすしいが、本当にそうだろうか。絶対的な性能でいえば、そうかもしれないけれど、初中級者にとっては、ラバーをより「高性能」なものに変えるよりも打ち方や打点を改善したほうがよほど威力が増すのは明白である。初中級者の打ち方は未発達で伸びしろが大きいからである。マークVを全日本に出るような上級者が使えば、テナジーを使っている初中級者よりもずっと威力のあるボールが出ることは想像に難くない。上級者は用具を性能の限界近くまで使い切れるだけでなく、全身の力を効率的にボールに伝えられるからである。

初中級者がラバーの絶対的な性能によってボールの質を上げようとすると、自分の打法の改善のほうに目が向かなくなりがちで、かえって上達が遅れてしまうことにもなりかねない。


東京方面へ

今日(7日)から東京方面へ出かけます。
コメントへの返信などはしばらくできませんので、ご了承ください。
何か有意義な経験ができたら、みなさんにご報告したいと思います。
お楽しみに。
----------------
帰ってきました!帰省ラッシュの真っただ中に。

宝の山に入りて、手を空しくして帰ることなかれ

と、昔の偉い人は言った。
だが、私はまさに手をむなしくして帰京することになってしまったのだった。

はたらく細胞

東京…どこにいっても人だらけ。駅には次から次へと人が流れてこんできて、みんな早歩きで歩いている気がする。片時も心が落ち着かない。

しかし、その人の多さが東京の魅力というのも分かっている。地方ではめったにない有名人との出会いがあちこちにある。観光名所には乏しいが、有名な卓球教室や卓球ショップはたくさんある。

私が訪れてみたいところは、まず


だった。なぜかというと、卓球教室(とは言えないかもしれないが)の新しい形なので、どんなところかこの目で確かめてみたかったのだ。24時間使い放題で月8300円。これを高いと考えるか安いと考えるかは微妙な所である。月に2~3回飲み会に行くような人にとっては高くはないだろう。こういうタイプの店はいずれ他の地域にも出てくるのではないか。卓球はやりたいけれど、相手がいないとか、忙しいという人にはもってこいである。私は常々女性のフィットネスクラブ「カーブス」に注目していたのである。カーブスのように中高年が毎日手軽に身体を動かす(ボールに触れる)ことができる環境がこれからは求められるのではないか。山手線の大塚駅から徒歩2分という立地の良さもすばらしい。個人的には1日に何度も来る人は少ないだろうから、1日の利用時間を2時間ぐらいに制限し、その代わり利用料を下げてくれたらなぁと思う。

ウェブサイトで、利用の条件をいろいろ調べてみたのだが、ビジターという資格で一日体験するのに4000円弱かかるというのは、ちょっと高すぎる。先週はちょうどキャンペーン期間ということで一日体験が1500円強になっていたのだが、支払いがネットでのクレジットカードのみ(私はスマートフォンでのネット環境がない)なので、残念ながら利用を断念した。

次に有名な卓球教室を訪れて、個人レッスンを受けてみようと思った。
有名な卓球教室…卓球三昧とか、タクティブとか、Liliとか、礼武とか。他にも岸川聖也卓球スクールとか、YOYO卓球とか、ゼオスとか、中国卓球とか。シェークハンズは以前訪れたことがあるので、他の教室にしよう。しかし、この中でなじみがあるのは、Lili卓球スタジオだけである。なじみがあるといっても、youtubeの動画をよく見るので、私が一方的に知っているというだけである。その中で村田コーチとか、櫻井コーチとか、そういう人たちはどんな人柄かイメージできる。他人のような気がしない。他の教室のコーチはどんな人がいるのかイメージできないので、二の足を踏んでしまう。こう考えると、youtubeの動画等でコーチが顔を売っておくというのは、卓球教室経営において大きな意味があるのかなと思う。

ホテルの無料Wi-Fiで予約を確認してみたところ、けっこう埋まっている。私の都合のいい時間帯は全部予約が埋まっているではないか。村田コーチの個人レッスンは1時間、7000円である。この値段にして予約がひっきりなしというのはどういうことだ?人気コーチのレッスンを受けるには最低でも1週間前から予約しておかないとレッスンが受けられないらしい。

どうしよう?せっかく東京まで来たのに有意義な経験が何もできないなんて。

そうだ! Liliの動画でMI青春卓球CLUBという教室の伴コーチという人が紹介されていて、その人の裏面バックハンドがすごい迫力だったので、実物を拝んでみたいと思っていたのだった。



残された時間は限られている。MIへ電話で問い合わせてみる。が、当日のレッスンはすべて埋まっているとのこと。残念。私が東京に滞在できる時間はもうわずかである。個人レッスンはあきらめるしかない。

個人レッスンなんてかなり高額なので、そうそう受ける人はいないと思っていたのだが、さすが東京である。個人レッスン花盛りである。東京で有意義な経験をしたいと思ったら、行き当たりばったりではなく、事前に計画を立てて、予約などをしておくことをおすすめする。



舞はる舞はる――低姿勢卓球を検証

ツイッターを見ていたら、こんな動画を見つけた。
継科腰

韓国オープンでの張継科選手のプレー。身長178センチの張選手のヘソの位置がちょうど台と同じ高さになっている。私は張選手よりも身長が低いが、プレー中のヘソの位置は台より高い。178センチといえば、日本人なら長身の部類に入るだろう。この身長にしてこの低さ。意識的に訓練しないとこうはならないだろう。

身長177センチの吉村真晴選手の動画もあったので、それを見ると、やはりヘソの位置は台の高さと同じか、それよりも低い位置に見える。
真晴腰
手前が吉村選手


ヘソの位置が台と同じ(かそれ以下の)高さというのは、おそらく卓球に適した姿勢なのだろうが、年を取ると低い姿勢がしんどくなってくる。170センチ以上の身長でヘソの高さが台と同じというのは想像以上に足を開き、ヒザを曲げなければならない。
卓球では低い姿勢が推奨されるが、本当にこんな低い姿勢が必要なものなのだろうか。私は納得できない。棒立ちはよくないと思うが、台とヘソが同じ高さというのは成人男性には不自然な姿勢である。台が腰(ヒップ)ぐらいの高さでもいいではないか。

そもそもペンとシェークでは力の入る位置が違うと思う。シェークはヘッドが上を向いているので顔の高さあたりでボールを打つと力が入りやすいが、ペンはヘッドが下がっているので、胸の高さあたりでボールを打つと力が入りやすい(と思う)。そうするとペンはシェークに比べてやや高い姿勢のほうが力が入りやすいのではないか。

たしかにヘソの位置が台の高さだと、台上プレーで台の奥深くまで入れるというメリットがあり、素早く動くのにも適しているのかもしれないが、オジサンの草卓球のレベルでそんなに姿勢の低さにこだわることはないのではなかろうか。

とはいうものの、卓球の上手な人はたいてい姿勢(あるいは背)が低い、気がする。姿勢が低いとメリットが多いのだろうか…そんなことを考えて、台の高さをヘソの高さにする低姿勢卓球を私なりに検証してみた(最近忙しくてあまり練習できないので1~2回の練習で試した感想である)

フットワークの素早さは…う~ん、ちょっと速くなったかもしれない。
フォアドライブの威力は…あまり違いが分からなかった。
台上のやりやすさは…これは予想していた通り、やりやすかった。

それよりも大きな違いを感じたのは、姿勢が低いと、スイングが横方向に振りやすいということである。姿勢が高いとどうしてもラケットが下から上に出がちである。もちろん横方向にも振れるのだが、低いボールの時は上下方向の動きが大きくなるので、身体が斜め方向へ動きがちである。一方姿勢が低いと自然とヒジが横に張り出し、スイングの上下方向の動きが小さくなり、左右方向の動きが大きくなり、より水平に近いスイングになる。

そして姿勢を低くするためには足を大きく開かなければならない。

開脚の大きさ+スイングの左右方向への動きの大きさ=体幹の回りやすさ

なのである。

今までは足の開き方が肩幅よりやや広いぐらいだったのだが、姿勢を低くするために足をガバッと開き、肩幅の倍ぐらい(たぶん)にしてみたところ、体幹がまわるまわる。

他にもメリットがあるのかもしれないが、私が低い姿勢を試してみて一番大きなメリットだと感じたのはこの体幹の回しやすさである。

【付記】
「回る」というのは「舞う」の自発の意味なのではないかと思って辞書で調べてみたところ、「まわる」と「まう」は同語源とのことである。「おどる」が上下運動を意味するのに対して「まう」は旋回運動を意味するのだという。「めまいがする」というのは「目がグルグルまわる」という意味である。
英一蝶

【追記】180818
今週の練習でフォア側・バック側をフォアハンドで大きく動くフットワークの練習をした。
ブロックで回してくれる人が、かなり広角にボールを送ってくれるので、ゆっくりしたボールでも間に合わないことが多かった。こんな大きく動き回る練習は最近あまりしていなかったのだが、自分のキャパを超えるフットワーク練習をすると、自然に姿勢が低くなることが分かった。低い姿勢でないと間に合わないのである。低い姿勢は大きなフットワークにも有効だと分かった。

守備練習のありがたさ

連日の猛暑で熱中症で倒れる人が続出という報道をよく耳にするが、3~40年前と比べて日本の気候はそんなにも変わってしまったのだろうか。たしかに数字の上では現在のほうが暑いのかもしれないが、私にはそういう実感があまりない。3~40年前の日本だって夏の暑さは相当なものだったと思う。おそらく昔と違ってあちこちにエアコンのある環境が当たり前になってしまったので、肌寒い部屋から急に炎天下の屋外に出るといったことを繰り返した結果、人体の体温調節機能が未発達な子供が増えているのではないだろうか。昔の子供は暑いのが当たり前の環境の中で鍛えられていたので、暑さに耐性ができていたように思う(もちろん昔も熱中症で倒れた子供はいたが)
長刀鉾
今年の祇園祭(前祭)も暑かった
--------------

今日はお世話になっているNさんのお宅にうかがって、昭和の東山高校の練習についていろいろお話をうかがった。

しろの「Nさんが高校1年のときはどんな練習をしていたんですか?」
Nさん「7月までは球拾いとトレーニングしかやらんかったんや。先輩が練習してる台の後ろで中腰になってな、ボールが飛んできたら、それをサッと動いてキャッチして、すぐに先輩に渡す。キャッチし損ねたりしたら、部活が終わってから正座で説教や。それで7月までに部員の半分がやめてしもた。」
し「つまり3年生が引退するまでボールを打たせてもらえなかったということですね。」
N「そうや。厳しかったでぇ。今の高校生だったらとても続かんわ。」
し「じゃあ、夏休みになって、台でボールが打てるようになったらどんな練習をしたんですか?」
N「ずっと先輩の打つボールを止めたり、3点に回したり、先輩のサーブをつっつく役や。自分の練習なんか全くでけへん。おかげで守備がうまくなったけどな。送るボールが指定された位置から10センチもずれたらめちゃくちゃ怒られたんや。」
し「それでよくインターハイに行けましたね。」
N「守備がうまくなると、卓球が底上げされるいうんかな…。こういう技術を早い段階で身につけとかんといくら練習しても伸びへんで。」

--------------

非常に耳の痛い話である。
私は守備技術――とりわけブロックが苦手である。
というのも、上手な人のドライブをブロックする練習をほとんどしていないからなのである。オジサンになると、周りに強烈なドライブを打ってくれる人が非常に少なくなる。しかも10分ごとに課題練習をするということになると、私はいつも攻撃系の練習を選択してしまう。試合で即効性があるのが攻撃の練習なので、つい守備の練習をおろそかにしてしまう。しかも社会人になると、上手な人はたいていこちらに合わせてこちらに練習させてくれる。上手な人が全力で攻撃して、それをこちらに止めさせるなどという場面がほとんどない。下手な人はやたらと攻撃したがるが、そういう人の攻撃は安定もしないし、威力もないのであまり守備の練習にならない。

1年生の夏から2年生の夏(3年生の引退)までの丸1年間、来る日も来る日も体力的に充実した若者の全力の攻撃をミスなく止め続け、しかも厳しいボールコントロールを要求されていたら、いやでも守備技術が上達することになるだろう。それだけ守備力が高くなれば、上手な人から練習相手を申し込まれることも増えるだろうし、結果として質の高い練習もできるようになる。私は守備が未発達なのでよく分からないが、守備が上手くなると、試合でもこちらから攻撃できるチャンスが増えてくるのではなかろうか。

社会人になって守備を徹底的に練習する機会のなんとありがたいことよ。こういう機会の豊富にある学生は幸いである。


中国ラバー豆知識

中国の方に中国ラバーについていろいろ教えていただいたので、紹介したい。

まず、このラバー。一般的に「国狂」と言われているナショナルチーム向けのラバーである。

国套

というか、そもそも「狂飈」という字を中国語でどう読むか知らなかった。「キョウヒョウ」と言っても、中国人には通じないに決まっている。中国語の発音を知りたいと思い、聞いてみた。

kuang biao

2声と1声である。「クァンビャオ」。カンピョウにちょっと近い発音である。「キョウヒョウ」のほうが私にはかっこよく響く。変に通ぶって中国語の発音をするよりも、「キョウヒョウ」と発音するほうがかっこいいという結論に達した。

次に上の「国套」という文字についてである。「国」はもちろん国家代表チーム用という意味である。では「套」とは何か。これは、ラバーという意味なのだが、漢字の意味としては「重ね」という意味である。なぜ「重ね」がラバーの意味になったかというと、いにしえはラバーのシートとスポンジが別々に売られていて、それを自分で貼り合わせなければならなかったのだという(このへんの情報は中国の方の話を正確に伝えられているか自信がない)。そして「套」というのは、スポンジとシートを予め貼り付けて売られてるものという意味なのだそうだ。たしかに現在のラバーはスポンジとシートが予め重ねてある。それで「套」が「ラバー」の意味になったのだという。

「重ね」が「ラバー」の意味になるなんて、そんな無茶な!

と思われる方もいるかも知れないが、日本語でも「表ソフト」や「裏ソフト」のように「ソフト」がスポンジとシートを合わせたラバーの意味になっているので、人のことをとやかくいえた義理ではない。

ちなみに「国套」の発音は

guo tao

2声と4声である。日本語で読むなら「コクトウ」。やはり日本語よみのほうがかっこいい(私には)



卓球の緻密さについて

「私は、年下の美誠(伊藤)ちゃんや美宇(平野)ちゃんたちの中にいて、彼女たちに追いつこうと必死にやってきたんです。強い選手、勝ち続けている選手は緻密ですし、総合力が高い。私はひとつが飛びぬけているけど、ダメなものも多い。…」森園美月選手インタビューより)

「緻密」という言葉が目に留まった。強い選手は卓球が緻密なのだという。

緻密というのはどういうことなのだろうか。

私がまずイメージしたのは戦術の緻密さである。「フォア前に切れていないサーブを出して、クロスへのフリックを誘い、それをフォアドライブでストレートかミドルにカウンターで狙い打つ…」のようにサーブから3球目、5球目の展開を計算しておき、相手の打球を先回りして待ちかまえているといったふうに緻密なのではないかと想像していた。

しかし、もしかしたら、それ以外の緻密さのことを指しているのかもしれない。

 
Q. なぜ、ボルは強いのか? vol.1
https://www.youtube.com/watch?v=JVaYNWj2how&t=0s

たとえば、上のティモ・ボル選手の衰えない強さを解説した動画の中で、こんなことを言っていた。
「数cmの差にこだわってサービスを出すのが私のサービス戦術でそれが自分の最大の長所だと思います。」
Boll selfcommentary

数センチといえば、ボール1個分以下(おそらく)である。第一バウンドなら誰でもそれぐらいの精度で出せるかもしれないが、回転量を変えながら第二バウンドまでコントロールするのは難しいだろう。さらにボル選手はコースをあちこちに変えながら数センチの誤差で出すというだから、一般愛好家がそうそう真似できるものではない(当たり前か)。

次に最近見たWRMの動画である。やっすん氏の動画はいつも内容が深く、教えられることが多いが、今回も非常に有益な動画だった。
やっすん氏がフォア側2/3の範囲のフットワーク練習で意識しているポイントを公開してくれた。


やっすんが大切にする、フットワーク練習の意識とは
https://www.youtube.com/watch?v=SGSmVs3iSCA&t=132s

「どこからどこまで動くのかという基準をはっきりさせることですね。」

たとえば、フォア側2/3の範囲をオールフォアで動くというフットワーク練習の例でいうと、


フォアの身体の位置
「フォア打つときはこの辺」

ちょうどセンターラインのあたり(ややフォア寄り)に身体の中心がくると、フォア角にラケットが届く。
そして今度はバック側のボールをフォアで打つときなのだが、

バック側の身体の位置(悪い例)
「動いているつもりで、(実際は)腕を伸び縮みさせながら打っている方がいる」

あ…これはまさに私のことだ。
バック側に動くとき、下半身のことを忘れてしまい、まずラケットをボールに当てることばかり考えた結果、十分移動できず、中途半端な状態でラケットを振ってしまい、詰まりながら打ってしまうのだ。

バック側の身体の位置(良い例)
「同じような(身体の)ポイントで打つには、この辺まで動かないといけないんですよね。」

うすうす感づいてはいたが…詰まらないでバックサイドのボールを打つためには、やはり身体が台の外側に出るまで動かないと、ダメなのである(成人男性の場合)

やっすん「これすごい意識してます。」

私はバック側に来たボールを打つとき、どこまで身体が移動すれば(足を動かせば)打てるかなんてことは意識せずに感覚で動いてしまい、よく詰まってしまう。上級者は、なんとなくそこまで動いているのではなくて、「ここまで身体を移動させれば、ここのボールが打てる」のようにしっかり身体の位置とボールの打てる位置の関係を意識して動いているのである。逆に言うと、そういう距離感を強く意識しないと、つい横着して十分動ききれないまま打ってしまうということなのだ。

上級者はこういう数センチ、あるいは十数センチの違いを決してないがしろにしない。しっかりと自分の中で意識している。振り返って私はどのポイントでボールをバウンドさせて、どこまで足を動かすといったことにとんと無頓着である。これでは卓球がうまくなるはずがない。

「いや、世界トップレベルの超上級者や、全日本に出場するような上級者と一般愛好家は違う」

という意見もあるかもしれないが、少なくとも一般愛好家でも一定のコースへのサービスなら第一バウンド、がんばれば第二バウンドも一定の長さにコントロールできるはずである。回り込みのときの身体と台の距離感だって愛好家でもある程度は決めておくことができる。

仕事で締め切りを守って書類を提出したり、遅刻しないで出社したりといったことは社会人なら誰でもできるはずである。こんなことだってよく考えてみたら、かなり緻密な行動である。平凡な社会人だって毎日いろいろなことが起こる。締め切りの2日前に大きな書類上のミスが発覚したとか、朝起きたら、炊飯器が壊れていたり、うっかりクロックスを履いて電車に乗ってしまったり(私も実際にこういうことがあった)とか。そんなときでもなんとか締め切りを守って書類を提出できるし、遅刻せずに会社にたどり着けるではないか。そのような仕事での精度を卓球で発揮できないことがあろうか。

冒頭の森園選手の言う緻密さというのはこのようなレベルにとどまらず、卓球のあらゆる場面をカバーしているのだと思うが、最近、レシーブしたボールをネットからどのぐらいの距離に落とすべきかということとフットワークに興味があったので、このような点のみを取り上げてみた。

ボールを当てる位置――岸川聖也選手のバックハンドから

私が卓球のすばらしさについて友人に滔々と語っていたところ、「卓球以外のことも考えたほうがいい」と言われてしまった。世の中には卓球以外にも楽しいことがあるらしい。

しかし、卓球以外に何について考えたらいいのだろう。

狼狽して天を仰いだ。

KC4D0078

雲というのはなかなか趣があるなぁ。

KC4D0079

手前は黒いのに奥は明るい白だ。白と黒のグラデーションも、いろいろなパターンがあって奥が深い。
そして背景の青。どちらが地で、どちらが図なのか…。

あ~どうでもいい!やっぱり卓球のことを考えたほうが楽しい。

***********

卓レポの動画で岸川聖也選手のバックハンドが紹介されていた。


究める!シリーズ(5) バックハンドドライブ|岸川聖也(ファースト)

岸川選手と言えば、バックハンドの安定性に定評のある選手である。何か私のバックハンドの改善に役立つことがないかと動画を観てみた。

「肘をあまり動かし過ぎないようにしっかり固定して、手首から先を使うイメージで」
「肘を先に動かしてしまうと安定しないので…手首を少し使って回転をしっかりかけて打球することが大切です」


前記事「木造勇人選手によるバックハンドのコツ」では「全身を使うこと」がポイントとして挙げられており、手首に関する言及はなかったが、岸川選手は手首を利かせることをポイントの一つに挙げている(「手首を少し使って」と使いすぎは戒めているが)。どちらが私のバックハンドに合うのか分からないが、岸川選手のバックハンドのほうがとっつきやすく、安定しそうだ。

岸川選手のバックハンドは見ていて心地いい。なんとも楽そうにボールを返球している。
ぼんやりと繰り返し動画を見ていて気になったことがある。ラケットにボールが当たる位置である。

一般的にボールはラケットのどこに当てればいいのか。もちろんラケットの真ん中にボールを当てるのがいいに決まっている。しかし常に真ん中に当てられるとは限らない。真ん中から外れるとしたら、どのあたりに当てたらいいのだろうか。私は以前はどちらかというと、ラケットの「前半」や先端に当てたほうがいいのではないかと思っていた。
「前半」というのはボールがブレード上を通過するはじめのほうのことである。つまり、下の図で言えば、以前はAの辺りにボールを当てようと意識していた気がする。あるいはスイングの最も外側、つまりラケットのヘッドのあたりのBでボールをインパクトしようとしていた気がする。これなら強いインパクトを生み出せそうである。しかし、最近私はヘッドを立てぎみにして最もグリップ寄りのCの辺りで打球するようにしている。それが私のグリップでは裏面が最も安定するのである。

kisikwaBH

岸川選手の動画を観てみると、果たしてCの辺り――いわゆる「エラ」に近い部分に当てているように見える。なんと私の打ち方と同じではないか!

バックハンドドライブではボールをブレードのエラの部分(下のほう)に当てると安定する、かもしれない。


反動――スイングスピードとバックスイングスピード

最近なんだかドライブに力がこもらない(何度目だ…)。突っつかれたボールを回り込んでフォアドライブしようとするのだが、パワー不足でツッツキが持ち上がらない。

なんてことのない打ちごろの下回転をバックドライブでよく落とす。
フォア打ちでさえ相手のボールに押されるような気がする…。

(比較的)若かったころはこんなことなかったのに。

img_06
加齢による体力の衰え? 筋力が急激に落ちているなんてことも考えられるかも。

いや、よく考えたらそんなはずはない。還暦を過ぎてもパワフルな卓球をしている人だっているし、
そもそもフォア打ち程度でボールに押されるなどというのは筋力には関係ないはずだ。
身体の使い方が悪いのか、足が止まって適切なポジションがとれないのか。そんな原因を考えてみた。
しかし、これといった対策がみつからないまま、なんとなく塩野真人氏の技術動画を見ているとき、「これだ!」とひらめいた。


「カットマンの前後の動き!」

Lili卓球スタジオのスタッフへの指導の一コマ。
フットワーク 蹴り

「前後に振られると、間に合わなくなる」というスタッフの悩みに対して「足を蹴ることがポイント」と指導する塩野氏。
私は前後に素早く動くコツは相手の打つコースを察して、そちらへできるだけ早く第一歩を踏み出すことと思ったのだが、それだけではどうしても間に合わない場面が出てくる。そこで、動く前に反対の足でグッと床を蹴って、動く方向に第一歩を踏み出すというのがいいらしい。素早い前後のフットワークのポイントは第一歩目ではなく、それ以前の「強い蹴り」だったのである。

また、高くバウンドするドライブに差し込まれて、詰まってしまい、うまく打てないという悩みには次のように答えている。

ここの速さ。バックスイングとるときの。
バックスイングスピード02

中国人コーチに「ここ速く、もっと速く」って言われてたんで。
バックスイングスピード


ここ(バックスイング)が速いと詰まっても上から振れる。
相手が強くなればなるほど、ここの速さで対応できるようになる。

理想を言えば、腰をグッと回す。
腰のひねり

これはカットを引く場合にとどまらず、ドライブを引くときにも有効である。
十分な時間があって、ボールとの距離も十分とれる場合はしっかりと力のこもったドライブが打てるが、回り込んでフォアドライブを打つ場合や、深いボールを詰まり気味でバックドライブしなければならない場合はバックスイングで意識的に力を入れるとスイングスピードが上がる。たとえば、バック対バックでしばらくラリーを続けていて、こちらが回り込んでフォアドライブをするという場面で私はよく振り遅れる。なんとなくバックスイングを引いていたのではどうしても間に合わない。直前のバックハンドを打った流れでラケットを止めず、かなり意識的にバックスイングを速くしないと回り込みのボールに間に合わない。

考えてみればスイングスピードの速さというのはよく問題になるが、バックスイングのスピードというのは案外盲点で、気づいていない人が多いのではないか。少なくとも私はバックスイングのときに力を入れて意識的に速く戻すという発想はなかった。

また、以前私はよく切れた逆振り子サーブを出せるようになったことがあったが、あれもインパクトの前に反対方向(つまり自分の方)に思い切りラケットを振ってから、逆振り子サーブを出すと、切れ味が倍増する。反対方向に一度全力で振ることによって、スイングスピードが速くなるのである。

塩野氏の解説のようにフットワークでも一度反対方向に体重をかけて(つまり、グッと床を蹴って)から第一歩を踏み出すと、素早く第一歩が踏み出せる。

ここから帰納すると、ある方向への強い力を生み出したい場合は、一度反対方向に強い力を加えることが必要なのである。もう少し詳しく言うと、逆方向に入れた力をそのまま止めることなく順方向に向けることができれば、反動によって強い力が生み出せるということになる。今までバックスイングというのはスイングの前の「助走」程度にしか考えていなかったのだが、バックスイングのスピードはスイングスピードに比例する。常にそうとは言えないかもしれないが、私が最近試した感じでは、バックスイングスピードを上げることによってスイングスピードも上がるのである。

バックスイングを思い切り振り切った反動でスイングしたときの、力のみなぎるような感覚…これなら中年でも自信を持って若い人の相手ができる。肝心なときのパワー不足に悩んでいる中高年は、バックスイングに注目してみてはどうだろうか。

【付記】
今朝は朝から大きな地震があって驚いた。
JRをはじめ、通勤時間帯の電車が軒並み運休だった(おかげで今日は仕事が休みになった)。電車に乗り込んでしまってトイレにも行けず、2時間も車内に閉じ込められ、途中の、駅でもないところで下ろされることになった同僚もいた。JRが動かず、しかたなく新幹線で神戸まで帰った同僚もいた。
震源は北大阪だったが、京都でも本棚の本が落ちたり、皿が割れたりといった家が珍しくなかったようだ。大阪に住んでいる友人も、停電したり、ガスが止まったり、部屋の中がめちゃくちゃになったりしたようだ。

災害にあった方々にお見舞い申し上げる。




現役

近藤欽司『新しい卓球の教科書』を読んで

新しい卓球の教科書

著者の近藤欽司氏は女子日本代表監督も務めた名指導者。
御年76歳。
昨今の出版事情を鑑みると、これが最後の著作になるかもしれない。

***************************

雑誌の技術記事と比べると、卓球書というのは退屈なイメージがある。
どの本も
「卓球は楽しい」
「卓球のルール」
「ラケットとラバーの種類」
「サービス、レシーブ、ドライブ、ブロック等の各打法」
「練習メニュー」
といった章段によって構成されており、目新しい発見に乏しい。雑誌記事のほうが詳しく具体的で読みがいがあるものが多い。

しかし、本当にそうだろうか。
雑誌記事というのは過去の記事が顧みられることは少ないが、著作というのは図書館などに蔵書され、数十年後まで人々に顧みられることになるし、著者の「作品」として自身のプロフィール欄に記載されるのだから、書く側としてはそれなりに力を入れて書くものである。雑誌記事の執筆よりも著作の執筆の方が多くの時間を費やし、力を入れることになるのは当然のことと言えよう。

ただ、この「力を入れる」というのは卓球でも執筆でもマイナスに働くことがままある。
処女出版のときは、自分の持つ知識の限りをあれもこれもと詰め込んでしまった結果、情報量が多すぎて主張がぼやけてしまい、読みにくくなりがちである。それが二作目以降となると、情報量と読みやすさのバランスを考えるようになり、まとまりもよくなる(前記事「卓球警句」)。そして最後の出版となると、おそらく「これだけは!」という必要最低限の厳選された情報だけに絞って書くようになるのではないかと想像される。

実際『新しい卓球の教科書』も情報量は決して多くはない。そして同じ主張が繰り返し現れる。これは著者の50年にわたる指導経験から確立された、ぶれない指導姿勢と言えるだろう。

『新しい卓球の教科書』という書名にも意気込みが感じられる。流行に左右されない、数十年の参照にも堪える、卓球の本質が書かれているという自負の現れなのかもしれない。教科書というのは参考書などと違い、やたらと詳しく書かれているわけではない。枝葉の情報は削ぎ、必要最低限の骨組みだけが書かれているものである。この本は近藤氏の考える、卓球で最も大切な核心の部分を厳選して綴ったものと言えるだろう。

前置きが長くなったが、この本を読んだ感想を記してみよう。

この本は表紙に「試合に勝てる!」とうたっているように試合で勝つことを目的とした卓球書である。

内容は非常にシンプルな主張から展開されている。
「卓球のラリーの7~8割はせいぜい6球目で終わってしまう。だからその6球目までで得点できる展開を考えましょう」ということである。こういうデータがあるのは知っている。たしか卓球部の大学生の試合を分析したものだったと思う。6球目というと、あっという間である。交互に打つわけだから、得点までに自分がボールを打てるチャンスはわずか3球である。最後に自分が強打を打とうと思ったら、残りの2球をなんとなく返球するのではなく、その2球で確実に仕掛けを入れていかなければならない。無駄な「球目」は一つもないと言ってもいいだろう。自分にサーブ権があるときは、サーブから仕掛けていかなければならない。

私の場合で言えば、試合の時は、相手のボールを返すのがやっとで、どうやって5~6球目で決めればいいのかまで考えが及ばないことが多い。ついなんとなくダラダラと行き当たりばったりでラリーを続けてしまう。しかし、名指導者にこういう現実を示されると、1~2球目に臨んだ時点で、次の展開と、さらに次の次の展開まで考えておかなければならない、一球も無駄にはできないと襟が正される思いである。

そして近藤氏は言う、「卓球は守りが難しい競技」であると。
したがって相手よりも先に攻撃することが試合を有利に進める上でのポイントになる。

では、練習はどうすれば良いかというと、点を取る部分を高める練習は当然必要です。自分のサーブから3球目、5球目で先手を取って連続攻撃をしていく。これは基本的な「得点力」ですね。それから、いくら点を取っても、それ以上に点を取られては勝てないわけですから、取られる部分を少なくする「対応力」の練習も必要です。相手も得点力がありますから、それをいかに防ぐか、失点を減らす部分ですね。

攻撃が大切だといっても、何が何でも先手をとらなければならないというわけではない。相手も先手を取ろうとしているのだから、どうしても先手を取れない場合もある。そういう場合は無理して攻撃するのではなく、「対応力」(相手に先手を取られた場合にしのぐ守備力のことか)を高めて次の攻撃のチャンスをうかがうのである。

だから、練習の基本は「得点力」を高めるか、「対応力」を高めるか、これが大きな柱になります。
単純なミスを減らして、粘り強くするというのも必要ですが、甘いコースに打って相手に打たれたらいけませんから、コースをついたり、強くは返さないけれども、安定して低く深く返すという部分も練習のテーマとして必要です。この3つが、練習の大きなテーマになります。


さらにできるだけ相手に強く攻めさせない能力――低く厳しく返球する能力も大切だと述べる。この第三の能力には名前がないが、相手の一発強打を未然に防ぐという意味で「防御力」とでも呼べようか。

以上が競技卓球に対する近藤氏の基本的な思想だと思われる。

それに4つの戦型(A~D型)、7つの「技の感覚」(こする、はじく、うけとめる、相手のボールを利用する、流す、切る、切らない)、4つの「技」(決める、守る、つなぐ、仕掛ける)、を組み合わせて卓球を論じているのである。

打点と打法

戦型について少し補足すると、A型は一発強打で勝負するタイプ。B型はラリーを続けて点を取るタイプ。C型は異質ラバーで相手を惑わすタイプ。D型はカット型である。

私の取り柄はフォアドライブなので、A型になるだろうか。

A型は3球目で強打をするため、サーブのレベルを上げることが重要で、たとえばボールの下側をこする下回転のサーブを出し相手にツッツキのレシーブをさせ強打していくわけです。

なるほど。質の高い下回転サーブを磨くことが必要なのか。

A型は一発で決めに行くわけですから、長いラリーを続けてしまうと、良さが消えてしまいます。…フォアハンドの強打を出すためには足の動きが重要になってきます。フットワークが重要視される戦型なので、「自分は動きや反応が少し遅い」という選手には向かない戦型になります。

う~ん。私はフットワークに難があるので、A型には向かないようだ。初心者はとりあえずB型を目指すべきだとある。

*******************************

この本は、即効性のあるコツや詳しい知識といったものはそれほど多くない、地味な本に見える。しかし何度も読み返すことによって基本に立ち返ることができ、いろいろな発見もあるかもしれない(私は通読しただけなので、見落としも多いことだろう)

 

台との距離――ボールを待つときの注意点

横下ロングサーブが上手い人(Bさん)がいて、その人に私はいつも苦戦させられる。
ペンホルダーで、フォアの横下ロングサーブを出すのだが、ボールを思い切り台にぶつけてすごいスピードのロングサーブが刺さるようにこちらのバック側に飛んでくる。

たぶん、回転も相当かかっているのだろう。普通にバックハンドドライブで返球しようとしても、よくネットにかけてしまい、持ち上がらない。

ループドライブにして、思い切り上にこすり上げたらどうだろうか。

そう思ってできるだけ上方向にこすり上げてみるのだが、なにしろ低くて勢いがあるので、なかなか持ち上がらない。おそらくつい厚く当ててしまっていて、十分回転をかけられていないのだろう。

打点を早くしてみたらどうか。

私は頂点でこすっているつもりだが、実際のインパクトは頂点から落ちたところで当てているかもしれない(前記事「僕らはみんな振り遅れ」)。ボール2つ分ぐらい早く当てるつもりで早めの打球点でこすってみたが、ネット直撃だった。残念ながらレシーブ成功率がさらに下がってしまった…。

ボールの真後ろではなく、横気味に触ってみたらどうか。あるいはスイング方向を真上ではなく、斜めにこすってみたら?

…などと、いろいろ試行錯誤していたのだが、最近になってようやくBさんのロングサーブに苦手意識がなくなった。なんてことはない。台との距離がまちがっていたのだ。私がふだん受けているサーブよりも、Bさんのサーブは10~15センチほど深く入ってくる。台のエンドラインぎりぎりである。そうすると、ボールが勢いを保ったままラケットに衝突してしまうし、自分では気づかなかったが、微妙に詰まってしまい、力もうまくボールに伝わらなかったのだ。ふだんよりも10~15センチほど台から離れて待っていたら、Bさんのサーブに対するレシーブ成功率がかなり向上した。

end line

こういう目でみると、私のいろいろなミスの原因がボールを待つ位置に起因していたことが分かってきた。

相手が深いツッツキを打ってきたとき、うまくボールが持ち上がらないのもそうだし、相手のドライブをブロックしようとしてオーバーさせてしまうのも、この距離を誤っているからである。私は台上で急に深いツッツキがきたら、詰まってしまい、ドライブで持ち上げることはおろか、ツッツキで返すのさえままならない。一方、上手な人は深いツッツキが来ても慌てず平然と返しているし、私がよくやるようにドライブの回転量に負けまいとボールを抑えようとして必死になることもない。

コツは簡単なのである。

相手が打つボールがいつもエンドラインの白線上に落ちると仮定して台との距離を決めるだけのことである。想定よりも浅くボールが入った時は、フットワークで割と楽に距離感を調整できる。人間は前に歩くようにできているからである。しかし、逆に想定よりも深くボールが入った時は、一瞬動きが止まってしまう。人間は後ろに歩くようにはできていないからである。つまり、エンドラインにボールが落ちると常に意識していれば、想定よりも深くボールが来ることはない。ただ、いくら前への動きが楽だと言っても、相手が絶妙のストップでネット際にボールを落としてきた場合はさすがに足元をすくわれてしまう。

上手な人にとっては言わずもがなのことかもしれないが、私はこういうことに最近やっと気づいた。

レベルが高い人ほど、エンドラインぎりぎりの深いボールを多用してくる。相手のボールは常にエンドラインギリギリまで入って来るのだと警戒することによって詰まったり、最適の打点を逸してしまうことが減り、ショットの安定性が高まることだろう。

以上である。

みどりのラバー ――ゴムの劣化をめぐって

私はよくセール品のラバーを買うのだが、中には数年前に廃盤になった商品もある。

たとえば2013年に廃盤になったラバーが半額で売られていたとすると、少なくとも5年前に製造されたラバーということになる。もしかしたら製造されたのはさらに前ということもありうる。こんなに長い期間が経つと、ラバーは劣化しないのだろうか。

おそらく製造後5年は経っているであろう新品ラバーを買って使ってみたことがあるが、性能的に特に気になることはなかった。作り立てのラバーと比較したわけではないので、経年劣化が全くないとは言い切れないが、製造後かなり経っていても違和感なく使えるようだ(耐久性はどうなのだろう?)。そういえば、うちに10年近く前に使っていたキョウヒョウ3があるが、ひっかかりがしっかりあって、今でも使えそうである。

気になってネットで調べてみたところ、ゴムは主に空気に触れることによって酸化が進むらしい。通常のラバーはパッケージのビニールにパンチで小さな穴が開けてあるから、開封しなくてもわずかに劣化が進んでいるはずである。

劣化するとどうなるのか。たとえば硬化である。しなやかで柔らかいラバーが硬くなる?ということはテナジー64を5年寝かせたら、テナジー05みたいになるということだろうか(粒形状とかは置いといて)?新しいラバーに手を出してみたものの、柔らかすぎて気に入らなかった場合には、数年寝かせるといい?のかもしれない。
緑雨のあと
画像がないとさびしいので。

また、劣化の一つにシートがとろけたような状態になることがある。自転車のハンドルのゴム部分がベタベタしたりするのがそうだ。中学時代の先輩がスレイバーを1年以上使っていたのだが、表面がサラサラになるどころか、粘着ラバーのようになっていたのを思い出した。表面がやけにテカテカしていて、ベタベタしていた。それを打たせてもらったのだが、いい塩梅でひっかかりがあって、使いやすかった記憶がある。自分でも試したことがある。ラバークリーナーが乾いていないベチャベチャの状態でラバー保護シートを密着しておくのである。そうすると、ときどきラバーが「腐って」ベタベタしてくる。どういう化学変化でこのようなことが起こるのかよく分からない。

ネットで調べてみると、こういう現象は「ブリード」というらしい。ラバーの内部にある油が表面に浮き出してとろけたような状態になり、べたべたしてくる。意図的にこういうことをやってみたいと思うのだが、うまく行くかどうかは運次第である。
さらに調べてみると、溶解パラメータ(SP値)というものがあって、その値が近いものを塗り込んでおくと、「ブリード」が起こりやすいらしい。ここまでくると、素人には理解不能である。

あまりあれこれ気にすると、頭が痛くなってくる。セール品ではなく、商品の回転の早そうな店で通常価格で買うのが無難かなと思う。ラバーも食品のように製造年月日を記載してくれたらいいのに。

仕掛けと予測――受動的な予測と能動的な予測

中学生のころ、部内戦をしたときのことをふと思い出した。

昭和trim
ちょっと昭和っぽい写真

今と違って卓球の情報などほとんどなく、レベルの低いうちの中学では、みな我流の卓球をしていた。その部の中では私は強かったが、もう一人同じぐらいのレベルのAくんがいた。Aくんはペンホルダーだったが、ミスが少なく、攻撃が安定していて、試合をして私とは勝ったり負けたりだった。

その日、Aくんと私は全勝同士で対戦したのだが、私はAくんに終始試合をリードされ、勝てる気がしなかった。私はフォアドライブが入れば勝てるのだが、その日はあいにくほとんど入らなかった。それに対してAくんのフォアドライブはガンガン決まっていた。そこで私はAくんにドライブを打たれないようにツッツキをバック側に徹底的に集めるようにした。

今の感覚ではバック側にツッツキを送ったところで相手のドライブを防ぐことにはならない、と思うかもしれないが、昭和の当時は今とは違い、バックハンドが自在に振れる人は非常に少なかった(県大会で上位にいくようなレベルは知らないが)。バック側に送られた38ミリ時代の低くて速いツッツキをバックハンドドライブで持ち上げようとしてもなかなか持ち上がらない。適切な打点で適切な体の使い方をすれば持ち上がったのかもしれないが、当時はラバーの性能も低かったし、我流卓球の私たちには打点などという概念さえもなかった。しかも完全な手打ちだったので、下回転をバックドライブしようとしても、成功率は3割以下だった。バックに来た下回転はツッツキで返すか回り込んでフォアで打つのが一般的だった。

私がAくんのバック側に早い打点でツッツキを送ると、Aくんも私のバック側につっつき返す。フォア側にツッツキを送ると、一発で決められてしまいかねないので、お互いに「早くミスしてくれ!」とばかりにバックへつっつき合い、ツッツキ合戦の様相を呈していた。そのようなラリーが2~3往復も続くと、やがてAくんは意を決して回り込もうとしては、詰まってミスをしてくれた。私はAくんに回り込ませないように早い打点で、しかもバックサイドを切るようなツッツキを送り続けていたのだ。その試合は結局私の勝利だった。後味の悪い勝利だった…。

もちろんルール上は何も問題ないし、今から考えると、うしろめたいことは何もないのだが、その時の私の認識では、その試合は正々堂々とドライブで勝負に出ずに、とにかく相手に打たせまいとする消極的な態度に徹して勝ったのが卑怯に感じられたのだ。

今から考えると、なんともこっけいな話である。

お互いバックハンドが振れない者同士の対戦で相手が執拗にバックにつっついてくる場合、いくらでもフォアで攻撃する方法があるだろうに。

たとえば深いツッツキを送ったあと、フォア前にストップしてみるかもしれない(当時の私は「ストップ」という言葉を知らなかった)。相手はバックでつっつこうと待ち構えているところへフォア前のストップである。相手は早い打点でボールにさわれず、ラケットに当てるのが精いっぱいで体勢を崩し、打てるショットといえば、せいぜいストップか、ゆるいツッツキになるはずである。それを待ち構えて、ストップならフォアミドルへ思い切り深くつっついて詰まらせるだろうし、ゆるいツッツキ――ミドルかフォア側に来るだろう――ならフォアドライブが打てそうである。

あるいはバックに横回転気味のツッツキを送ったり、ナックルのような切れていないツッツキを送るかもしれない。そんなボールが急に来たら、相手は驚いて反応が少し遅れる。そしてボールを浮かしやすい。それを待ち構えて回り込んでドライブやスマッシュが打てそうである。

しかし当時の私は愚直にツッツキをツッツキでひたすら低く返すということしか頭になかった。それがいちばんミスしにくかったのである。そしていつか相手がミスしてくれるだろう、甘いボールを返してくれるだろう、という期待が全てだった。こちらから相手の甘いボールを引き出して、次を強打するという考えがなかった。つまり、「仕掛ける」という概念がなかったのである。

仕掛けのない卓球というのは、なんともすさまじい卓球である。仕掛けをしなければ、次にどんなボールが来るかは、相手に打たれてからのお楽しみなので、こちらは全く時間的な余裕がない。不意に予想もしなかったボールを突きつけられるものだから、ミスを連発することになる。

卓球では予測が大切だなどと言われるが、相手が次にどこにどんなボールを打つかなんて超能力者でもない限り分かるはずがない。たしかに相手のサイドを切るボールを送ったら、ストレートには返しにくく、クロスに返ってくるという程度の予測はできるが、それ以上のことは無理だと思っていた。しかし、最近「仕掛け」という要素を組み込めば、予測の幅が広がるということが分かってきた。というか、予測というのは仕掛けとセットで使うものなのではないだろうか。

私は今まで予測というと、漠然とコースのことを思い浮かべていた。「さっきこのコースに打ったから、次はこう返ってくる可能性が高い」のように返球コースを「受動的」に予測していただけなのだが、最近は「こう仕掛けることによって相手から甘いボールを引き出そう」という「能動的」な予測に変わってきた。

予測は自分の打つコースだけではなく、ボールの深さ(ストップや深いツッツキ)、回転(切れているか切れていないか)、球種(フリックとかドライブとか)、スピード(ゆっくり来るか、すぐ来るか)なども影響する。たとえば最近ぐっちぃ氏のブログで陳衛星選手と対戦した印象が紹介されていたが、その中で次のくだりが目を引いた(読みやすいよう適宜改行した)

衝撃だったのが手前に落としたときやツッツキ戦のツッツキがあり得ないくらい深く差し込んでくる!!
ツッツキがめちゃめちゃ低く鋭く入り込んでくるので陣衛星選手がぐっちぃのドライブを狙ってボコスカにしてましたよね?(笑)

あれは

カウンターすげー、攻撃力やべー

ってなりますが実はその前の陣衛星選手のツッツキ!!これに秘密があったんです。
あれが今まで体験したがないくらいの超爆切れ系ツッツキ!!汗
あんな低く深く滑りこまされたらスピードドライブできません汗
もうループドライブをかけるしかない。しかも全然時間がない。
陣衛星選手のスイングスピードが尋常じゃないのかツッツキの鋭さ、ツッツキの高速時間がすごくてもう考える時間ないままでループドライブをかけないといけない汗




陳選手の深くて速いツッツキは、いわば「仕掛け」のような働きをしている。相手が「あっ!」と思った瞬間には、もう選択の自由を奪われていて、ループドライブでなんとか入れるのが精一杯という鋭さのようだ。陳選手はその返球を予測していて、相手のループドライブを待ち構えてカウンタードライブでフィニッシュということになるようだ。

予測は、どちらにボールが返ってくるかというコースよりも、上の陳選手のようにどんな球種のボールが返ってくるかということに重点を置いたほうが有効なのかもしれない。例えば台上で相手のフォアミドル深くにナックル気味のフリックを送れば、相手は詰まって甘い順回転のボールを返すということを予測して、ナックルフリックを送ったらすぐ回り込んでフォアドライブ強打の準備をすれば、試合が有利に進められる。

中学生のころ、緩急や回転量に差をつけて、相手を崩してから攻撃するという発想は私の周りにはなかった。とにかく全力で切って、全力で打つことしか頭になかった。だが相手が打たれないように固く守っているところをあえて強打で打ち抜こうとするのはリスクが高すぎる。イチかバチかの卓球になってしまう。まず台上で相手を崩すところ――仕掛けから始めなければならないということを知らなかったのだ…。

中学時代にどうしてあんな卓球しかできなかったのだろうと、悔やまれてならない。

卓球香港オープン2018を見た感想など

今日は卓球ができないので、しかたなくうちで試合の鑑賞である。
香港オープンで連日熱戦が繰り広げられているが、その感想などを書いてみたいと思う。
単なるおしゃべりであり、技術的なものでもなく、オチもないことを予め断っておく。

***************
昨日の女子準決勝の伊藤美誠選手とワン・マンユ選手の試合がすごかった。
伊藤選手はフォア面でのスマッシュ、バック表のドライブ、チキータ、フォアサイドからのバックフリックなど多彩なプレーを披露してくれた。表でドライブをかけるというプレーが多くの表ソフトユーザーに希望を与えたのではないかと思う。

前半はワン選手が伊藤選手のプレーに全く対応できず、一方的な試合になるかと思ったらワン選手が盛り返し、最終ゲームへ。

mima smiling
苦しい場面でもコーチとのアイコンタクトで笑顔を見せる伊藤美誠選手

残念ながらゲームオール、デュースで伊藤選手は敗れてしまったが、先月は劉詩文選手を破り、昨日は若手筆頭のワン選手をここまで追い詰めるとはすごいの一言に尽きる。伊藤選手の強さはいまや中国の一軍を脅かすほどになっているのだろうか。

そして男子でも意外な展開になった。
張継科選手と吉村真晴選手との試合である。いくら衰えたとはいえ、セルボール時代には圧倒的な強さを誇った元世界チャンピオンである。先の世界卓球で代表落ちした真晴選手に勝機はあるのか?

という予想を覆し、吉村選手は強かった。大きなラリーでも張選手に打ち負けていない。中・後陣からのボールのスピードや安定感が張選手と比べても遜色なかった。

真晴選手はなんとか張選手を下し、準決勝へ。2年前のリオ・オリンピックの頃なら考えられなかったことだ。

しかし、準決勝で韓国のチョ・スンミン選手にあと一歩のところで敗れてしまう。このチョ選手というのはいろいろな大会で日本代表を苦しめている実力者である。いいところまでは行くのだが、ワールドツアーで優勝を飾ったという記憶はない。今大会ではもしかしたら優勝しそうな勢いである。

そして反対の山では吉村和弘選手が兄と同様韓国のイム・ジョンフン選手と対戦する。
和弘選手はバックハンドが強い。身体の外側に外れたボール?でもバックハンドで強く返球できる。

backside外側
こんなボールに対してもバックハンドが安定している

外側2
このバックハンドも苦しい体勢ながらよく返球した

バックハンドにロングボールを打たれて、バックハンドドライブで強打しようという場面で、ボールが目測よりも10センチほど外側に来てしまった場合、急に力が入らなくなるのは私だけだろうか。
フォアハンドなら、予想よりも10センチほど外側に逸れたボールは、少し腕を伸ばしてそこそこの力で打つことができるのだが、バックハンドではそうはいかない。振って当てるのが精いっぱいで、下手をすると振ることすらできない。体幹の幅から10センチほどインパクトの位置がバック側に出てしまうと、バックハンドが強く打てなくなってしまう。和弘選手のプレーを観て、バックハンドでしっかり打つためにはポジショニングをしっかりして、体幹の幅からインパクト位置が出ないようにしなければならないと思った。

そしてしっかりした体勢で打ったバックハンドはもちろん威力抜群である。
バック強打



フルゲームジュースに及んだこの死闘を制したのは和弘選手だった。

いよいよ決勝である。

兄、真晴選手のかたき討ちである。

ところでこのイム選手のコーチはなんとも憎めない人で、実況やカメラも気になってしかたがなかったようだ。
親子?
顔がイム選手とよく似ているので親子かもと思った

ゆらゆら
ずっとイスを前後にゆ~らゆら

ゆらゆら2
緊迫した場面でもリラックス

逆転されて
逆転されて「あらら」とばかりに笑顔

こんな様子を放映されて、「緊張感が足りん!」と協会の偉い人から叱られなければいいのだが。

そして決勝戦。

両選手ともに過度に緊張していて反応が遅れたり、凡ミスを連発したりしている。
チョ選手は弱気を振り払うかのように積極的に攻め、和弘選手は後手に回ることが多かった。

強烈なフォアドライブ
威力のあるドライブを打つチョ選手

和弘選手は自分が攻めるよりも、できるだけミスをしない卓球でチョ選手に挑んだようだ。
相手に先に攻撃させる消極的な卓球ではサンドバックになってしまいそうだが、和弘選手は単に相手に先手を取らせたのではなく、相手の打ちにくいところに鋭いツッツキを送ったり、エンドラインぎりぎりの深いボールを返球したりしてチョ選手のミスを誘ったようだ。

私も草卓球レベルで経験があるが、こういう緊張する場面ではいつもどおりのショットが全く打てない。それどころか手が震えてサーブ・レシーブも満足にできなくなったことがある。ジリ貧なので強気に無理に攻めようとしても、ミスを連発してしまう。こういうときには和弘選手がやったように、強気に攻める卓球ではなく、ミスをしない卓球をするという戦術がいいのかもしれないと思った。安定して低いツッツキやストップ、コースを突いたフリックなどが打てるように練習しなければなぁと思った。



禍福はあざなえる縄のごとし。
今大会で勝利の美酒に酔った選手が安心して伸び悩んでしまったり、勝利を逃した選手が臥薪嘗胆をした結果、東京オリンピックで好成績を残せるということもあるかもしれない。


嘆き
絶好球をミスして天を仰ぐチョ選手

動いて、考えて、また動く――自分だけの打ち方

運動でも勉強でも、「まず動く、そして考える」ことが大切です。そうして何度も成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねると、きっと、自分にとって最高のものを実現できます。

勉強で「まず動く」というのが何を指すのかはっきり分からないが、運動に関しては「まず動く」というのは大切だと思われる。というのは、最近は卓球の情報が非常に多いので、動く前に考えてしまうことが多いからだ。

「考えてから動いてもいいじゃないか」

という意見もあろうかと思われるが、私も「動いてから考える」のほうがいいと思う。というのは、「動いて」の後なら疑問が生じやすいからである。初めから「正解」を知ってしまっていて、疑問がない状態で考えると、なんというか、考える幅が狭くなってしまう。

わたしが走り方を工夫し始めたきっかけは、高校生のとき、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じたことでした。それは、「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」、つまり大きな動作で走るというものです。そうすれば、速く走れるといわれていたのです。

カール・ルイス

といっても、何もない、まっさらな状態から考えるのも難しい。考える「たたき台」のようなものがあると、考えやすくなる。ここの「大きな動作で走る」というのを「大きな振りでスイングする」に置き換えれば、卓球にも通じる問題になりそうだ。

あるとき、「ひざを高く上げるような大きな動作をせずに走ったらどうなるのか。」と思いつきました。

たしかにひざを高く上げることは必要です。でも、それは地面をより強くふむために必要なのであり、ただ高く上げることに意味があるわけではないのです。同じひざを高く上げる動作でも、地面を強くふむことを意識して行うことが大切なのだと気がつきました。

卓球で小さなスイングで振ったらどうなるのだろうか。やはり威力のあるショットにはならないのだろうか。大きなスイングはボールをより強く打つために必要なのであり、ただスイングを大きくすることに意味があるわけではない。そうではなくて小さなスイングでインパクトを強くする方法があるのではないか?インパクトを強くするために本当に必要なことは何なのか。

このように、いろいろためしながら、自分に合ったあしの動かし方やうでのふり方を考えました。そうすることによって、自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がします。人によって、ほねの長さや筋肉のつき方はちがいます。ですから、習ったことをなぞるだけでは、自分に合った走り方を身につけることはできません。何がむだか、そうでないかは自分で動いてみて発見するしかないのです。(高野進「動いて,考えて,また動く」より)

人によって体の作りが違うのだから、理論先行で、自分の体を理論に合わせるというのでは本末転倒である。自分の体に合った打ち方、自分だけにしかできない打ち方を、時には理論の助けを借りて、模索するというのでなければならない。
最近は情報が氾濫していて、自分の体がどうなっているのか、自分にとって打ちやすい打ち方は何かということをつい後回しにして、安易に理論に従ってしまいがちである。

人間は,自分の手を動かし,頬に風が当たっていろんな感じを受け,それで脳が刺激されて進化してきたんだと思います。脳が先に進化して,それからいろんなことができるようになったわけではありませんからね。(「「動いて,考えて,また動く」で伝えたいこと」)

卓球で言えば、ボールを打った感覚を確かめ、それに刺激されて考えるというプロセスが大切なのではないだろうか。一度、理論などは全て忘れ、一番自分に合った打ち方を虚心に自分の体に聞いてみたほうがいいのかなと最近思っている。
最新記事
記事検索
プロフィール

シロノ タツミ

カテゴリ別アーカイブ