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以前「ラケットは特に弾んだり、特に弾まなかったりしない、中庸なものなら、どれも大して変わらないのではないか。実売1万円以上する高級ラケットと、実売5千円程度のラケットには実質的な違いはなく、結局ラバーの質によって性能が決まるのではないか」という仮説を提出したのだが、その直後に購入したニッタクのクラウト clout で認識を改めた。打った感覚が明らかに違うのだ。なんだかよく弾むような気がする。カタログデータでは

スピード「ミッドスロー」
打球感「ミドル」

となっているのでたぶん客観的な弾みはそれほどでもないのだろうが、感覚的に弾む感じがする。振動が少ないのだろう、打っていて心地よい。新井卓将さんもビデオで「しばらくこれを使ってみる」と言っていたのでクラウトを買ったのだが、思った以上に良い買い物だった。さらにそのあと、バタフライのアリレートを使った高級ラケットも購入してみたのだが、クラウトのほうがずっといい感じだった。卓球のラケットは必ずしも値段に比例するわけではないのだと思った。

ラケットがどのように作られるのか、興味があって『勝利のラケット』(ポプラ社)という本を読んでみた。

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しかし大半がテニスラケットのガット張り職人の紹介に費やされており、卓球のラケットの方はほんの付け足しだった。子供向けなのか文字が大きく卓球部分は1時間ほどで読んでしまった。卓球のラケットはタマスの特注ラケット工房の職人、金井さんの紹介である。自作ラケットづくりが高じてタマスに入社し、意地悪なラケットづくりの「名人」にいじめられながら一人前になった、というようなことしか記憶にない。残念ながらあまり興味深い内容ではなかった。もっと木材の説明や加工の種類、ラケットの特性などについて説明があればよかったのだが。おそらく筆者はテニスの人で、あまり卓球には興味がなかったのだろう。