私の愛用しているラバーはフレクストラとか、オリジナル・エクストラとかタリビットである。あるいは輸入中国ラバーの水星2、キョウヒョウなどである。これらは実売価格2000円以下である。
flextra

OE
tarbit

中国ラバーはともかく、日本のこれらのラバーは安くて、クセがなく、ちゃんと引っかかりもある。何も不満はなかった。あの時までは。

子供の頃少し卓球をやっていたという人(A)と先日卓球をした。Aくんはなかなかアグレッシブな打ち方をする初級者だった。ラケットを持っていないということだったので、私のラケット(フレクストラ付き)を貸してあげた。久しぶりなので、はじめのうちはちっとも入らなかったが、次第に勘を取り戻し、両ハンドでかなり入るようになってきた。

翌週、Aくんは友人(B)を連れてきたので、いっしょに卓球をすることにした。BくんはAくんよりも上手で、威力のあるドライブも打てたし、横回転のかかったサービスをレシーブすることもできた。3人で卓球をしているうちに、Bくんが用事ができてしばらく席を外したので、AくんはBくんの使っていたラケットを使わしてもらうことになった。すると、本人もビックリするぐらい入るようになった。低く、無理な球をバックハンドで強打しても入ってしまう!Aくんの実力からすると、超ファインプレーである。しかも、打ったボールは相手側でグンと伸びる。いったいAくんに何が起こったのか。実はBくんのラケットにはテナジーとブライスが貼ってあったのだ。

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Aくん曰く
「フレクストラは、ボールを強く打ち過ぎるとオーバーするし、スピードが足りないとネットにかかってしまう。しかし
テンションラバーは強く打っても弱く打っても、どんな打ち方でもコートに入ってしまう!」

Bくんのラケットはバタフライの数年前の最安ラインのもの。しかしラバーは両面高級ラバー。ラケットではなく、明らかにラバーの性能のおかげである。Bくんによると、週1時間ぐらい練習し、1年以上張り替えていないらしい。シートの引っ掛かりは私のフレクストラと変わらない、あるいはそれ以下かもしれない。しかしシートのグリップ力云々ではなく、何かが根本的に違う。

テンションラバーは不思議である。威力のないボールに威力を与えるだけなら、単に弾みをよくすればいい。しかしテンションラバーは強く打っても弱く打っても入ってしまうのだ。

私も少し使わせてもらった。どんな打ち方でも入るというのは大げさだが、たしかに「あっミスった!」というボールでも入ることが多い。ズルイ!しかし、使いたい。テンションラバーを使えば、調子の波がかなり小さくなるのではないだろうか。なるほど、テナジーがあんなあり得ない価格にもかかわらず大人気で品薄だというのも分かる気がする。世間の人はこんな反則的に便利なラバーを使っていたのか。とすると、私がよく惜しいところで負けているCさん(エクステンド使用)。もし私がテンションラバーを使うようになったら、Cさんに互角、あるいは少し勝ち越せるかもしれない。

20年前と比べて、ラケットは徐々に進化していると思う。しかしラバーは劇的に進化したのではないだろうか。テンションラバーはまさに画期的な製品だと思う。お金に余裕ができたら、きっとテンションラバーを使ってやるぞ!

【追記】
『卓球レポート』2013年2月号でテナジーの特集があった。その中で、テンションラバーはスポンジに深く食い込ませることによって、ボールの回転や角度を緩和し、ブレードの向いている方向にまっすぐ返球しやすいとあった。これが「どんな打ち方でもコートに入ってしまう」秘密なのかと思った。