全日本2021が開催されている。
インターネットやテレビでベスト8、ベスト4決定戦を見たが、さまざまなドラマがあった。
解説を聞きながら見ていると、選手たちが相手の待ちを外すために様々な工夫を凝らしているのが分かる。日本代表が高校生や大学生に負けているのを見て、全日本ランカーともなると、実力的には大差なく、駆け引きやメンタルの強さが勝敗に大きく影響するということが分かった。そう考えると10年以上決勝に進出しつづけた水谷選手のすごさがよく分かる。

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以前、出張でドイツに行ったことがあった(前記事「ES WAR TRAUMHAFT」)が、出張中、英語が話せる自信が全くない(ドイツでは農村でもない限り英語が通じる)。行く前に少しでも英会話の勉強をしておこうと思って、こんな本を買った。

英会話

今では絶版のようだが、要するにセットフレーズが160集めてあるだけの本である。長い期間、地道に勉強するのがイヤで、とにかく即効性を求める人におすすめである。

英語でしっかりと自分の要求や疑問を説明するためには、英文法に基づいて正攻法で文を作らなければならないが、こうすると文ができるまでに時間がかかるし、頭を使うので、疲れる。

一方、簡単な日常会話なら、セットフレーズを適当にちりばめておけば、サッと表現できて省エネである。

たとえば「May I ask you a favor?:お願いがあるんですが」とか、「You can count on me.:任せてください」とか。

こんなフレーズをたくさん覚えておいて、会話中にドンピシャのシチュエーションがめぐってきて「おっ、ここだ!」と思ったときに使うと、なんだか英語がうまくなったような気になってくる。おかげで出張中、必要以上にお願いや安請け合いをしてしまった気がする。

こういうことは卓球でも有効だろう。

プレー中によくあるラリーのパターンをいくつか練習しておいて「おっ、ここだ!」というときに適当にそれを使えばまるで上級者のように流れるプレーができるにちがいない。いわゆる「システム練習」というヤツである。

たとえば

相手が自分のフォア前にショートサーブ
→相手のバック前にストップ
→相手が自分のバック深くにツッツキ
→自分がバックドライブ

私はこういう練習があまり好きではなかった。

「そんなうまい具合に相手がこちらが待っているところに返球してくれるはずがない。こんな練習をするよりも、どんなコースに返球されても対応できるように地道に練習をすべきだ」

そうやってコースを限定しない練習ばかりした結果、返球がどこに来るか予測しないでプレーする習慣が身についてしまった。まったく「待ち」ができず、反射神経に頼ってばかりのプレースタイルなのである。これはまるで学校文法でなんとか英文をひねりだそうとする、非効率的なスタイルと同じとは言えまいか。

上級者ともなると、定石的なラリーを避けて、意外性のあるコースにボールを送ってくるのかもしれないが、初中級者相手なら、そこまで定石から外れるコースには打たれないのではなかろうか。ずっと定石どおりには返球してくれないと思うが、ときどき定石どおりにドンピシャの返球をしてくれた時は、「おっ、ここだ!」とこちらから決めに行ける。

また、戦術を考えるときも、定石という基礎があって、それとの比較で「相手はこちらからバッククロスにドライブを打つと、ストレートに返球してくる傾向がある」のように相手の特徴が見えてくるのではないだろうか。定石が身についていないと、比較の材料がないので、相手のコース取りが頭に入ってこない。

というわけで、最近は定石どおりの練習を飽きるほどやってみたいと思っている。