いつもどおり、10分ずつ、時間で区切って相方と課題練習をすることにした。
私はもちろんフットワーク練習をするつもりである。
フットワーク練習が一番楽しく効率的にボールが打てると信じているので、体力さえ持てば私の持ち時間の約1時間をすべてフットワーク練習にあててもいいぐらいだ(前記事「踊るように 歌うように」)。
相方はどんな練習だろう?ツッツキからの下回転打ちの練習とかかな。
「そちらから、お先にどうぞ。何をしますか?」
「う~ん…じゃあ多球をやってもらおうかな。」
なんと!まさかの多球練習。
多球練習というのは、基礎の固まっていない、レベルの低い子供とかに正しい打ち方を教えるための練習というのが私の中での多球練習の位置づけである。もちろん全国レベルの選手とか、中国選手とかも多球練習をしているのは知っている。

それは練習時間が有り余っており、対人練習では難しい、コースの厳しいシステム練習などが必要な人の高度な練習であり、練習時間の限られた、一般の社会人には多球練習なんて縁のないものだと思っていた。たとえばフォア、バックの切り替えといった単純な練習なら、多球よりも、こちらがブロックしてラリーを続けたほうがずっと効率的にボールが打てるからである。こちらがブロックするたぐいの練習なら、私もブロックの練習ができる。多球練習では、送球者は練習ができないし、ラリーにならないからつまらない。
私たちが練習していた卓球場にはたまたま集球ネットと山盛りのボールが用意されていた。
「ループドライブをカウンターする練習がしたいので、お願いします。」
私の送球するループドライブなど大して回転もかかっていないだろうし、あまり満足の行く練習ができるとも思えないのだが…。
子供相手に多球をやっていたことがあるので、軽い下回転とか、ロングボールぐらいなら問題なく出せるのだが、ループドライブはどうだろう?やったことがない。手探りで球出しをしてみたところ…果たして私のループドライブの送球はおそろしく質が高かった。
「これ、これ!こういうのをカウンターしたかったんですよ!」
台から1メートルぐらい離れて、台よりやや低い位置からフォアドライブを出してみる。以前、子供相手に多球をしていた経験から、コツはなんとなくわかっていた。腕はほとんど使わず、膝の屈伸を中心にループドライブを打つのである。
よく考えてみたら、送球というのもいい練習になるよなぁ。下半身をしっかり使ってドライブを打たないと非常に疲れるし、良いボールが行かない。
次にスピードドライブもまぜて打ってみる。自分で言うのもなんだが、スピードもそこそこあり、回転もよくかかっている。これも申し分なしのいいドライブである。ループドライブの時と同じ立ち位置で台よりやや高い位置からヒョイっとトスして、空中でやや斜め上方向にドライブする。もちろん下半身と腰をしっかり使ってである。
「いやぁ、いい練習させてもらいました!カウンターのコツがおぼろげながら分かってきました。」
私もけっこういい練習ができたかな。フォアドライブでいちばん威力の出るポイント(身体との位置関係)が分かったので。実戦でもこの送球時の感覚を忘れないで打てば、コンパクトなスイングで安定したフォアドライブが打てそうである。
「そちらは何にします?」
「じゃあ、私も多球でお願いします。裏面ドライブの下回転打ちに不安があるので、ひたすらバック側に下回転をお願いします。」
だが、相方は、なんと送球の経験がないらしかったのだ!私のドライブの多球を見て、台にバウンドさせずにダイレクトに下回転を送ろうとしている。
「いや、そうじゃなくて、台の上でワンバウンドさせてから、つっつけばいいんですよ。あ~そうじゃなくて、頂点前でつっつくんですよ、ボールの上がってくる力を利用して切るんです!」
初めての経験なので、コントロールがひどく、来るコースは台のバック半面である(切るときに手首を使ったらダメでしょ)。オーバーミスや高いバウンドの下回転ボール、台から出るか出ないかの微妙な長さの下回転ボール、ときどき変な横回転が混ざっていたり…
しかし、こういう汚いボールでも安定してバックドライブできるようにならなければならない。いや、むしろ汚いボールのほうが自分のバックドライブの欠点がよく見えるのかもしれない。
約3秒ごとにいろいろな種類の下回転ボールが飛んでくる。それをあれこれ試しながらバックドライブを打ってみる。
「体の真正面でインパクトするのと、ちょっと外側でインパクトするのと、どっちが安定するだろうか?」
「当てが薄いのと厚いのではどっちがいいだろう?」
「左足前か?並行足か?」
「手首を使うのと使わないのではどっちがいいか?」
「腰をひねるのと、前に突き出すのと、どっちが安定するか?」
など、日ごろ疑問に思っていたことをすべて試してみた。なにしろたった5分間で100球以上打てるのである。
その結果、ラケットのヘッドを真下に向けておいて、身体の正面で、薄く、手首を思いきり回して打つ打ち方が最も安定することが分かった(私にとっての感覚なので、万人に当てはまるとは思えない)。

バックドライブする時ここだけは抑えておけ!人気コーチである伴コーチに教えてもらおう!【卓球動画LiliTV】
以前、伴氏がラケットの先端を自分のほうに向けるようにして手首をひねって思いきり裏面ドライブをかけるという打ち方を紹介していたが、私はそのときは、手首を使う打ち方に違和感を感じて自分の打ち方としては採用しなかったのだ。しかし、そのときから8か月ほどたった現在、伴氏の打ち方がしっくりくるようになったのだ。
以前「眼光紙背に徹す」で『本を読む本』を取り上げたが、読書で最も大切なことが、その本の構造を把握することであるように、卓球でも自分のプレーがどのような要素から成り立っているかを分析する必要がある。多球練習は自分が無意識に行っている一連の動作がどのような要素から成り立っているかを分析するのに有効だと思う。そしてそれらのパラメータを少しずつ変えてみると、自分のプレーの問題点を知ることができるのである。私の裏面ドライブで言うと、手首を使うかどうかというパラメータが最も重要なポイントだったと思う。
このように多球練習は初心者や全国レベルの選手だけでなく、一般層にも有益な練習であった。また送球も意識次第で良い練習になると思われる。
私はもちろんフットワーク練習をするつもりである。
フットワーク練習が一番楽しく効率的にボールが打てると信じているので、体力さえ持てば私の持ち時間の約1時間をすべてフットワーク練習にあててもいいぐらいだ(前記事「踊るように 歌うように」)。
相方はどんな練習だろう?ツッツキからの下回転打ちの練習とかかな。
「そちらから、お先にどうぞ。何をしますか?」
「う~ん…じゃあ多球をやってもらおうかな。」
なんと!まさかの多球練習。
多球練習というのは、基礎の固まっていない、レベルの低い子供とかに正しい打ち方を教えるための練習というのが私の中での多球練習の位置づけである。もちろん全国レベルの選手とか、中国選手とかも多球練習をしているのは知っている。

それは練習時間が有り余っており、対人練習では難しい、コースの厳しいシステム練習などが必要な人の高度な練習であり、練習時間の限られた、一般の社会人には多球練習なんて縁のないものだと思っていた。たとえばフォア、バックの切り替えといった単純な練習なら、多球よりも、こちらがブロックしてラリーを続けたほうがずっと効率的にボールが打てるからである。こちらがブロックするたぐいの練習なら、私もブロックの練習ができる。多球練習では、送球者は練習ができないし、ラリーにならないからつまらない。
私たちが練習していた卓球場にはたまたま集球ネットと山盛りのボールが用意されていた。
「ループドライブをカウンターする練習がしたいので、お願いします。」
私の送球するループドライブなど大して回転もかかっていないだろうし、あまり満足の行く練習ができるとも思えないのだが…。
子供相手に多球をやっていたことがあるので、軽い下回転とか、ロングボールぐらいなら問題なく出せるのだが、ループドライブはどうだろう?やったことがない。手探りで球出しをしてみたところ…果たして私のループドライブの送球はおそろしく質が高かった。
「これ、これ!こういうのをカウンターしたかったんですよ!」
台から1メートルぐらい離れて、台よりやや低い位置からフォアドライブを出してみる。以前、子供相手に多球をしていた経験から、コツはなんとなくわかっていた。腕はほとんど使わず、膝の屈伸を中心にループドライブを打つのである。
よく考えてみたら、送球というのもいい練習になるよなぁ。下半身をしっかり使ってドライブを打たないと非常に疲れるし、良いボールが行かない。
次にスピードドライブもまぜて打ってみる。自分で言うのもなんだが、スピードもそこそこあり、回転もよくかかっている。これも申し分なしのいいドライブである。ループドライブの時と同じ立ち位置で台よりやや高い位置からヒョイっとトスして、空中でやや斜め上方向にドライブする。もちろん下半身と腰をしっかり使ってである。
「いやぁ、いい練習させてもらいました!カウンターのコツがおぼろげながら分かってきました。」
私もけっこういい練習ができたかな。フォアドライブでいちばん威力の出るポイント(身体との位置関係)が分かったので。実戦でもこの送球時の感覚を忘れないで打てば、コンパクトなスイングで安定したフォアドライブが打てそうである。
「そちらは何にします?」
「じゃあ、私も多球でお願いします。裏面ドライブの下回転打ちに不安があるので、ひたすらバック側に下回転をお願いします。」
だが、相方は、なんと送球の経験がないらしかったのだ!私のドライブの多球を見て、台にバウンドさせずにダイレクトに下回転を送ろうとしている。
「いや、そうじゃなくて、台の上でワンバウンドさせてから、つっつけばいいんですよ。あ~そうじゃなくて、頂点前でつっつくんですよ、ボールの上がってくる力を利用して切るんです!」
初めての経験なので、コントロールがひどく、来るコースは台のバック半面である(切るときに手首を使ったらダメでしょ)。オーバーミスや高いバウンドの下回転ボール、台から出るか出ないかの微妙な長さの下回転ボール、ときどき変な横回転が混ざっていたり…
しかし、こういう汚いボールでも安定してバックドライブできるようにならなければならない。いや、むしろ汚いボールのほうが自分のバックドライブの欠点がよく見えるのかもしれない。
約3秒ごとにいろいろな種類の下回転ボールが飛んでくる。それをあれこれ試しながらバックドライブを打ってみる。
「体の真正面でインパクトするのと、ちょっと外側でインパクトするのと、どっちが安定するだろうか?」
「当てが薄いのと厚いのではどっちがいいだろう?」
「左足前か?並行足か?」
「手首を使うのと使わないのではどっちがいいか?」
「腰をひねるのと、前に突き出すのと、どっちが安定するか?」
など、日ごろ疑問に思っていたことをすべて試してみた。なにしろたった5分間で100球以上打てるのである。
その結果、ラケットのヘッドを真下に向けておいて、身体の正面で、薄く、手首を思いきり回して打つ打ち方が最も安定することが分かった(私にとっての感覚なので、万人に当てはまるとは思えない)。

バックドライブする時ここだけは抑えておけ!人気コーチである伴コーチに教えてもらおう!【卓球動画LiliTV】
以前、伴氏がラケットの先端を自分のほうに向けるようにして手首をひねって思いきり裏面ドライブをかけるという打ち方を紹介していたが、私はそのときは、手首を使う打ち方に違和感を感じて自分の打ち方としては採用しなかったのだ。しかし、そのときから8か月ほどたった現在、伴氏の打ち方がしっくりくるようになったのだ。
以前「眼光紙背に徹す」で『本を読む本』を取り上げたが、読書で最も大切なことが、その本の構造を把握することであるように、卓球でも自分のプレーがどのような要素から成り立っているかを分析する必要がある。多球練習は自分が無意識に行っている一連の動作がどのような要素から成り立っているかを分析するのに有効だと思う。そしてそれらのパラメータを少しずつ変えてみると、自分のプレーの問題点を知ることができるのである。私の裏面ドライブで言うと、手首を使うかどうかというパラメータが最も重要なポイントだったと思う。
このように多球練習は初心者や全国レベルの選手だけでなく、一般層にも有益な練習であった。また送球も意識次第で良い練習になると思われる。