ここ2~3か月ほど、フットワーク練習ばかりしている。
というのは下の動画で横山友一氏がこんなことを言っていたからである。

「2本1本のフットワークあるじゃん。バック・回り込み・フォア。…あれ、一日5分でいいから、毎日やってみてよ。…(そうすればフットワークが)良くならないわけない。」
yokoyama
【卓球】1ヶ月1日5分間のフットワークを続けたら上達すると思いますか?(中間報告)【検証動画】 - YouTube


「フットワークが良くならないわけがない」!。なんと心強い言葉。

これは私もやってみるしかない。

とはいうものの、練習を毎日やるのは社会人には難しい。週に1~2回ではダメだろうか?5分が7日あれば、35分。週に1回35分のフットワーク練習をまとめてやる(集中学習)というのではやっぱり効果が薄いだろうなぁ(前記事「卓球書代用考(心理学書)」)。短い時間でもいいから、毎日やる(分散学習)のほうが絶対効率がいいはずである。だが、週に1回35分の練習を3か月やったらどうだろうか?これで毎日5分を1か月やるのと同じぐらいの効果にならないだろうか?

そんなことを考えて、だいたい3か月ぐらいフットワーク練習をやってみた、今回はその実践報告である。学生時代にフットワーク練習をさんざんやった人にはおもしろくもなんともない、私の失敗談と「発見」である。これからフットワーク練習をしてみようという初中級者の参考になればと思い、書いてみることにした。

2本・1本のフットワーク、通称ファルケンベリ・フットワーク。バック側に来る1本目のボールをバックハンドで返し(A)、バック側に来る2本目のボールを回り込んでフォアハンドで打ち(B)、フォア側に来る3本目のボールをフォアハンドで飛びついて打つ(C)。次はまたバック側の1本目をバックで(A)…の繰り返し。

Falkenber

「練習事典」(『卓球王国』)より

・1か月目
「よーし始めるぞ!バック側に2本、フォアに1本の繰り返しでお願いします。」
こういう練習でむやみに威力のあるボールを打つ人がいるが、それではラリーが続かない。威力は二の次で、まずはミスなく続けることが大切なのだ。ほわ~んという山なりのボールで十分なのである。

「バックで1本目(A)、回り込み(B)、飛びつ…(C)、あれ?」

3本目のフォアハンドがノータッチで抜かれてしまう。ほわ~んとしたボールのはずなのになぜ?

いろいろ試してみた結果、ほわ~んとしたボールを送ろうとして、スイングもほわ~んとなっているため、時間のロスが甚だしかったのである。ボールは山なりの「ほわ~ん」でもいいと思うが、スイングは切れのある、そこそこ素早いスイングでなければならない。

ポイント1:スイングが遅すぎると間に合わない

そんなことを注意しながらフットワーク練習を続けるのだが、ミスばかり。バック(A)・バック(B)・フォア(C)が1セットだが、2セット続けばいいほうで、たいてい1セット続くか続かないかで終わってしまう。ボールのスピードは大したことはないのである。軽いフォア打ち程度のスピードしか出ていないのに、角ったり、ネットにかけたり、オーバーミスしたりでコントロールが定まらない。これはどうしてだろう?
kadoru
カドってボールを上に飛ばすカドゲン氏。

上の動画のカドゲン氏もカドったりオーバーしたりで、ミスばかりだった。その気持ちが私にもよく分かる。おそらく準備の時間が足りないのである。来るボールに対して「よし、来い!」と待ち構えていればミスなどありえない程度の遅いボールなのに、簡単にミスしてしまうというのは、ボールの来るところまで足を運ぶのが精いっぱいで、心と体勢の準備をする時間がないからなのである。なんとかラケットにボールを当てることはできるものの、コントロールする時間的な余裕がないのである。前の晩に翌日の準備をせず、朝、あわててその日の準備をしたら、忘れ物をしてしまうのと同じである。ボールに間に合ったからといってボールがきちんと打てるわけではない。ボールが到着する時間と、自分がそこに到着する時間が同時ではいけない。ボールが来る前に到達地点で待っていなければならない。

ポイント2:余裕をもって少し早めに到達地点で待っていなければならない。

だが、言うは易しである。到達時間ちょうどにラケットを出すのでは間に合わないとなると、ボールの到達時間よりも少し早く移動しておかなければならないということになる。つまり一連の動きの中でどこかを省略して時間を稼ぐか、足をもっと素早く動かさなければならないのである。

・2か月目
まず実践したのが(A)のバックハンドの振り終わりと、(B)の回り込みをつなげることである。バックハンド(裏面)を左から右に振る動きをフォアハンドのバックスイングとつなげるのである。これで少し時間が節約できる。さらに回り込みの時にしっかり体重移動をして右から左へ体重を移し、その左足でしっかり床を蹴ることで(C)の飛びつきへの移動を速くするという方法である。
この方法で早めに(C)の地点に行ってボールを待ち構えて打つことに成功した。だが、かなり足への負担が大きい。続けていると太ももが熱くなってくる。下半身の筋力が必要なようである。

ポイント3:バックとフォアのスイングをつなげる
ポイント4:左足でしっかりと床を蹴る

余裕をもって(C)まで行くのには成功したのがだが、こんどは(C)での打球が安定しない。ストレートに打てず、相手のミドル気味に打ってしまうのである。しかも腕に力がこもらず、手打ちである。おそらく体の向きがおかしいのであろう。(C)で正面を向かず、やや右を向きながら打球したら、ミドルへボールが行かないのではないか?
打球時の体の向きを右気味にして打球すると、あまりミドルのほうへボールが行かなくなった。だが、手打ちの違和感は変わらない。

・3か月目
手打ちの違和感を解消するためにいろいろ試した結果、左肩をしっかり入れるのが効果があるように感じた。(B)から(C)に移るとき、私はどうやら体を開いてしまっていたために(C)で手打ちをせざるを得なかったようだ。そこで(C)でバックスイングをとるときに左肩をしっかり入れて、体が開かないようにして打つと、腕に頼らず打てるようになったかなと思う。

ポイント5:バックスイングの時に体を開かないようにする

なんとか(A)から(C)までしっかり打てることが多くなってきた。が、まだまだ安定しているとは言えない。相手のブロック力に大きく左右されるのである。ブロックが上手な人に回してもらえば、(A)から(C)まで3セット、4セットと続くが、ブロックが下手な人に回してもらうと、1セットぐらいしか続かない。ブロックではなく、ドライブをかけてくる人や、プッシュ気味の人だとうまくリズムがとれなかったり、間に合わなかったりするのである。

しかし、そういう人を相手にしても続けられるようにならないと、この練習ができるようになったとは言えない。あちらが調整できないのなら、こちらが調整してラリーを続けるしかない。その調整法であるが、(C)はストレートにボールが来るはずだが、フォアサイドを切って返球してくる人がいる。私がペンなので、フォアに少し横回転が入っているのかもしれない。そこで(B)でフォアを打つとき、ややシュート気味に、ボールを左側を触って打球してみる。すると、うまくいけば相手のブロックがストレートよりもややミドル寄りに返ってくるので、(C)が打ちやすくなる。フォアサイドを切られることが少なくなった。

ポイント6:回り込みでシュート気味に打つと、次が楽

全体的にもっと移動のスピードを上げられないものか?ガバっと足を開き、膝を十分曲げ、あばら骨を台に引っかけるような低姿勢での移動を試みてみた。スピードが上がったかどうか分からないが、ボールを下から見るようになったため、打球が安定した。ただし、脚の筋肉への負担は倍増した。

ポイント7:ボールを下から見るような低姿勢にすると、打球が安定する。

さらなるスピードアップのために脇を締め、腕が伸びないようにして、スイングをコンパクトにしてみる。極端に言うと、フォアを打つとき、ラケットのヘッドを4時の位置にして、3時の位置まで上げる、このわずか1時間の差だけで打球するようにしてみる。

現在、こんな感じでやっているが、ブロックの上手い人に回してもらえば、3~4セット、ミスなく続くが、そうでない人が相手なら2セットぐらいしか続かない。さらなる改善の余地があると思われるが、とりあえず形にはなってきたと思う。

2本1本という練習ができるようになるために練習が必要というのは、なんだか本末転倒な感じがするが、この練習は私にとってそのぐらい難しい練習だった。

で、肝心の効果はあったのだろうか?

働き者のお母さんはジッと座っていられない。
うちの年老いた母もそうである。
「ゆっくり休んでて。自分のことは自分でやるから。」
などといっても、玄関の靴が乱れていればきれいに揃えるし、取り込んだ洗濯物が目に入ればきれいに畳んでいく。家族のために何かしてあげたいという気持ちももちろんあるのだと思うが、それだけでなくジッとしているのが何か落ち着かないらしい。

そういう境地に達したら、人の何倍も効率的に働けるようになる。

フットワーク練習の最大のメリットは、そういう癖のようなものが身につくことではないだろうか。私はフットワーク練習をすれば中陣から縦横無尽に動き回り、豪快なラリーができるようになるのだと思っていたが、そうではなく、打球ポイントへの移動が容易になり、詰まったり、ノータッチで抜かれたりということが少なくなるというのがフットワーク練習の効果なのではあるまいか。ボールに対する反応が早くなるのである。

以前はボールを打った後、その場にじっと動かず、次のボールがどこへ来るのかを観察していたものだが、最近は打球後にとにかくチョコチョコ動かないと落ち着かない。おかげで以前なら簡単に抜かれていたボールになんとか手が届くようになってきた。相手の返球を見て「このボール、回り込めるんじゃないか?」などと思えるようになってきた。それが現時点での効果である。

おそらくさらにフットワーク練習をつづければ、移動スピードも速くなり、豪快な卓球ができるようになるのではないかと思われる。が、オジサンの体力ではそこまで期待しないほうがいいかもしれない。