【ケース1】
地域のクラブで小学生の相手をしなければならないとき、どんな練習をしてあげればいいのだろうか。

指導者でもないので、下手に指導などできないから、とりあえずロングボールでずっとブロックしてあげるという練習で私はお茶を濁すことにしている。

こちらがブロックで打ちやすいボールを送ってあげると、子供は元気よくフォア・バックで強打を連打して満足そうだ。

しかし、こんなこと(ある程度安定してできること)ばかりやっていても、子供のためにはならないのではないだろうか?実際の試合(もちろん、県大会以下の大会)で勝つためには下回転からの展開をもっとよく練習しておいたほうがいいのではないだろうか?

「今度はツッツキからドライブ打ってみようか?」

下回転サーブから、ツッツキのラリーをし、2~3回ツッツキをしたところでドライブからのラリーというのを想定していたのだが、その子はツッツキ打ちがほとんどできなかった。対上回転の角度(つまり面を寝かせて)でドライブをかけるので、ほとんどのショットがネット直撃なのである。といっても、全部が全部ミスというわけではなく、たまに早い打球点でタイミングよく打てた場合は速くて低いドライブが入る。せいぜい5~6本に1本程度だが。

「下回転のボールを前に振ってたら、安定しないよ。ゆっくりした山ボールでいいから、とりあえず上方向に振って相手コートに入れてから、次に速いボールを打てばいいよ。」

とアドバイスしてみたのだが、子供はそんなゆるいボールは打ちたくないとばかりに頑なに速いドライブを打とうとしてはミスしている。

この子のレベルで下回転のボールをいきなりスピードドライブで打ち抜こうだなんてムチャな話だ。まずはツッツキの下回転をループドライブなどで上回転に変換してしまえば、打ち慣れた上回転のラリーになるので、ミスも減り、質のいい練習ができるのに…。

でもこれは子供のプレーに限ったことだろうか?

例えば私が横系の思い切り切ったショートサーブをフォア前に出して、相手の短い返球を待っていたところ、相手は深くつっつこうとして、誤って少し浮いたチャンスボールを返してきたとする。

レシーブ

私はどうするか?
複雑な横回転もかかっているし、自分の位置もボールから近すぎる。にもかかわらず私は一も二もなくその浮いたボールをドライブ強打で打ち抜こうとするだろう。そしてたいていミスするのである。私のレベルでどんな回転がかかっているかも分からないボールを、姿勢も崩れている状態でとっさに強打するなんてムチャな話である。無理をしないで、まずはゆるいループドライブとかチョリドラとかで1本つないでブロックさせて、すなおな上回転に変えてから、自分の姿勢も整え、万全の体勢から全力強打で攻めていけばいいのである。

この「調整のために間に1本入れる」というのは、難しいことではないはずだが、子供・大人を問わず、レベルの低いプレーヤーにとってはなかなかできないことだと思われる。もっとレベルの高いプレーヤーなら、難しいボールと判断したら、無理せず安全に行って、ちゃんと打てるボール・体勢にしてから全力強打を打っているのではないだろうか(レベルによって「難しいボール」は違ってくるが)

ラリーが得意な選手はこの「調整打」というものを上手に使っているのではないだろうか。
最近見た、わった氏の動画でも「難しい」ボールを無理に決めに行かないプレーが目立った。
watta

最強の中国式ペンホルダー 伴選手と対戦!
https://www.youtube.com/watch?v=cQ3LYthSQ8E

と、ここまで書いてきて、これは以前書いた内容だと気付いた(前記事「それってyoutubeの見過ぎだよ」)。頭がぼけてきたので、同じことを何度も繰り返してしまうのである。

そこで、もう一つの例を挙げてみたい。

【ケース2】
Nさんは、いつもサーブ研究に余念がない。複雑なモーションを組み込んだ、上か下かよく分からない横系のサーブを出してくる。そしてこちらがレシーブを入れに行くのを待ち構えていて、両ハンドで全力強打をしてくるのである。若くて、ラバーも高価で回転のかかるものを使っているので、タイミングが合ったら、とんでもないボールを打たれてしまう。
こちらもそれに負けないよう、レシーブで先手を取らなければならないと、チキータだの、フリックだので台上から攻撃していくのだが、サーブの回転がよく分からないのでどうしても全力では打てず、安定性を重視したレシーブになってしまう。すると、半分ぐらいの確率でNさんの3球目一発強打の餌食になってしまう。打たせまいとストップレシーブに切り替えても、少し浮いてしまったり、台から出てしまって、Nさんの強打を防ぐには心もとない。

Nさんの3球目をしっかり止められるブロック力があれば…。

いろいろ試してみて、私のレベルでNさんの分かりにくいサーブからの3球目を防ぐ方法は、切ったツッツキしかないという結論に至った。

Nさんの分かりにくいサーブをとりあえず、下回転のボールに変換することによって、Nさんに一発で打ち抜かれることは少なくなった。深く低くつっつくことができれば、Nさんもループ気味に返球してくるので、こちらから攻撃するチャンスも生まれる。

この切ったツッツキというのは、相手の複雑な回転を単純な下回転(気味)のボールに変換できるし、ラリーのスピードを一時的に遅くすることもできるので、こちらが体勢を整える時間的余裕も生まれる。これも「調整打」と言えるだろう。

ツッツキの重要性

「ツッツキの重要性を理解すれば試合で負けにくくなる!」
https://www.youtube.com/watch?v=tffGuv6jZ_4&t=27s

さきほどのループドライブも、ツッツキも、あまり攻撃的な技術ではない。強い相手と試合をするときは、こういう非攻撃的な技術を使うと、相手に一発で抜かれてしまいそうで怖いが、勇気をもって調整的な打法を間に入れて体勢を整えたほうが、かえって相手の攻撃を防ぐことになるのだと思う。

と、ここまで書いている途中で、この内容は前記事「ツッツキは大切ですか」との重なりが大きいということに気づいた。

自分の脳がどんどん衰えていくのが怖い。

まぁ、こういう時こそ「調整記事」として、過去記事を振り返ってみるというのもいいのかなと前向きに考えてみようと思う。