地域のクラブに来ている小学生の女の子に卓球の「指導(っぽいこと)」をときどきするのだが、なかなかうまくいかない。どうしてうまくいかないのか、私は指導者ではないので分からないが、おそらく教える順番が悪いのかなと思われる。

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青春・自然・全力愛を旗印に活動するアイドルユニット「Ru:Run」に著名な卓球指導者の平岡義博氏が卓球を指導するという企画の動画を見た。平岡氏といえば、今を時めく全日本チャンピオン宇田幸矢選手を育てた指導者である。完全な初心者が一流の指導者の手でどのように成長していくのか興味深く視聴した。


平岡氏は自身の卓球理論に基づいた指導で、効率的な体の使い方を基礎から丁寧に指導する。こんなぜいたくな指導で卓球がうまくならないほうがおかしい。上達しないはずがないのである…

平岡指導

平岡指導2

が、そのまさかが起こってしまった。彼女たちは一向に上手にならなかったのだ。

平岡氏「今、すごい短期間の間に実はいろんな要素を入れてやってみた。だからそんなに簡単にできるわけないと思う。これができなきゃダメだよってほどじゃないことなんだけど、今、やってみたら、『この人のこういうところがうまくいかないな』っていうのが分かりました。…それぞれ得手・不得手があって、それを今度は各々に合った感じでやっていきます。」

平岡指導3

平岡指導4

彼女たちの「運動神経」は想定外だったようで、さすがの平岡氏もお手上げだったのである。平岡氏は指導方針の大幅な変更を余儀なくされた。

私が小学生に「指導」するときも、こんなことがよくある。

「手を使って打たないで、胴体を捻るようにしてスイングしなさい。手の力はできるだけ抜いて。」
「遠いボールは手を伸ばして打たないで、足で近づいて打ちなさい。」

などと言って、多球練習などをさせてみるのだが、ちょっとは形になって来たかなと思って自由に打たせるとそれまでの「指導」が全く定着していない。手打ち丸出しのメチャクチャな卓球に逆戻りである。

次のエピソードでは、ここまでの練習の成果を試す課題「フォアハンドでのラリー往復10回」に挑戦する。



おそらく撮影はわずか数時間だったのだろう、平岡氏の指導はほぼ定着していない。子供たちと同じように、指導前の状態に逆戻りしているように見える。しかし、我流の卓球でミスせずラリーを続け、なんとか課題をクリアしていくメンバーもいる。これを見て思ったのは、完全な初心者にまず教えることは、フォームや体の使い方ではなく、打球タイミングではないかということである。

打球タイミングさえ正しければ、そして押しすぎなければ、とりあえずボールが入る。これからは私も小学生を「指導」するときにまず打球タイミングを教えてみようと思う。たとえフォームが変でも、打球タイミングが合って、ラリーが続くようになったら楽しいだろうし、そこからフォームや身体の使い方を一つづつゆっくり教えてみたら、上手になるかもしれない。
しかし、打球タイミングってどうやって教えたらいいのだろうか。参考になる動画を探してみたのだが、案外見つからないものである。

卓球三昧の藤井貴文氏の以下の動画が見つかった。



氏のブログにこんな解説がある。
卓球においてリズムは二拍です。よく、ためてから打ちなさいと言いますが、「ため」と「打ち」の二拍はとても重要です。相手の打球した瞬間に「ため」、そして自分の台にボールがバウンドしてからスイングを始めてボールを「打ち」ます。ボールが自分の台にバウンドしてからスイングを始めると振り遅れるのではないかと思われる方は多くいるかもしれませんが、それくらいの方がタイミングが取れます。

「相手の打球の瞬間」と「自分のタメ(腹をへこます)」

が同時で、

「自コートにバウンドした瞬間」と「自分のスイングのスタート」

が同時になるようにするというのがいいらしい。それをやや強調して示したのが上の動画のようだ。

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自分の打球タイミングを反省してみると、私は次のようにタイミングを取っていると思われる。

バウンドの軌道
上のような軌道のボールを打つタイミングを取るために以下のようにイメージしてみる。

バウンドの軌道3
ボールが自コートでバウンドすると、現実のボールは台の上に跳ね上がるが、そのボールが台をすり抜けて下に潜り、それから重力に反して上に「落ちていく」と考えるのである。中年にはグラディウス4面の逆火山をイメージしてもらえると分かりやすいかもしれない。


当時、復活不可能と言われた3周目以降の逆火山の復活パターン


バウンドの軌道2
その台をすり抜けてボールが上に「落ちていく」軌道にラケットを合わせて、弧を描いてラケットを振り上げ、台上のボールと出会うところが打球タイミングと考えると伝えやすいと思う。


こちらはタイミングの取り方というより、ボールと身体の位置関係を教えてくれる

このようにタイミングを取れば、ある程度までのスピード・回転のボールには対応できると思われる。