卓球の女性比率はいびつである。
社会人のクラブでは男女比率が8:2とか、9:1とか、ひどいときは全員男というところもある。なんとかこの比率を是正したいと常々思っている。

中学の部活のときは、女性比率が極端に低いとは必ずしも言えない。男女比は6:4ぐらいではないだろうか。それが高校・大学と進むにつれて男女比はどんどん開いてゆく。

以下のデータはネットで10分ほど探して見つけたもので、いいかげんなものである。どのような意図でどのような対象に調査したものか、きちんと確認していない。目安程度に考えていただきたい。


H29

運動部活等に関する実態調査報告書」によれば、中学卓球部の男女比は17.5:12.0である。大雑把に言えば5.9:4.1と言えるだろう。それが高校卓球部の男女比になると11.1:5.7となり、その差は広がっている。大雑把に言えば、6.6:3.4。
なお、卓球のライバル、バドミントンでは中学の男女比は14.8:18.3で、高校の男女比は14.3:12.3である。大雑把にいうと、それぞれ4.4:5.4と5.4:4.7である(小数点以下は適当に四捨五入)。

参考までに別のデータ(孫引きだが)にもあたってみた。「にいがたの地域活性化を応援するブログ」によると、H30年の卓球部男女比は
中学で158475人:99677人。大雑把に言うと、6:4
高校で53430人:22680人。大雑把に言うと、7:3

中学6:4 → 高校7:3(あるいは6.6:3.4)

のように男女比の差が広がっている。

大学の卓球部の人数のデータが見つからなかったので、それっぽいデータを挙げてみる。
第72回東北学生卓球選手権大会組み合わせを見ると、男子シングルスのエントリー232名、女子シングルスのエントリーが72名。大雑把に言うと75:25。
全日学(第86回全日本大学総合卓球選手権大会)関西予選のエントリーを見ると、男子シングルス386名、女子シングルス168名となっている。大雑把に言うと、70:30。
関東予選では男子シングルス551名、女子シングルス197名。大雑把に言うと74:26。

高校の部活の男女比率よりもやや進んでいると想像される。

これが社会人になると、20代~30代の女性で卓球をやっている人はガクンと減るように感じる。8:2、あるいは9:1…。どうして女性は卓球から離れていくのか。

職場の女性(中学時代卓球部所属)に話を聞いてみた。

「未経験者は娯楽としてのピンポンでも楽しめるかもしれないけれど、ある程度経験があると、ピンポンでは物足りない。だからといってフットワークを多用するような競技卓球にはついていけない。そこそこラリーが続いて、体を動かしたという達成感が欲しいけれど、社会人の卓球では『身体を動かした』という達成感を得にくい」

という意見だった。この意見がどの程度女性全体の意見を代表しているのか分からないが、テニスやバドミントンと比べて卓球には足をしっかり動かして移動する要素や大きくスイングして上半身を動かす要素が足りないのかもしれない。

いやいや、フォア側、バック側に交互にボールを送ってオールフォアで打球するようなフットワーク練習は、移動要素満載じゃないか、という反論があるかもしれないが、卓球でそれをやると、ボールが早すぎて、全力で走り回らなければならない。スイングを大きくして力いっぱい打てば、なおさら返ってくるボールが早くなる。

喩えて言えば、大人になって、運動不足解消の手段としてジョギングやトレッキングなどに取り組む人は多いが、100m走や400m走は遠慮したいという心理に似ているのではないだろうか。カットマンに憧れる女性が多いのも同じ理由かもしれない。

そういう必死に取り組むスポーツじゃなくて、テニスやバドミントンのように娯楽としてゆっくりしたプレーをする場合でも、そこそこ身体が動かせるというのを若い女性は求めているのだと思われる(もちろん、競技としてのテニスやバドミントンの運動量は卓球にまさるとも劣らないと思うが)

卓球から若い女性が離れていく原因を私なりに推量してみると、卓球はプレーが忙しすぎるという理由ではないかと思う。卓球も、あまりセカセカしないで、身体を動かす達成感が感じられるような工夫が必要だと思われる。せっかくラージボールがあるのだから、若い女性にもっとアピールしてほしいと思う。