大人になると、実利のことばかり考えて行動するようになる。

「それをやったら金になるのか」
「自分の影響力を高めるにはどうすればいいのか」

そんなことばかり考えてしまう。実に夢がないと感じる。若いころは「楽しいから」とか「やってみたいから」という理由だけで自分の時間や労力を惜しみなく費やしていたのに、大人になると、そういう純粋さを忘れてしまう。

実は私が何の得にもならないブログを続けているのは、このような大人の考え方を戒めるためなのである。

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最近よく見る動画に鹿南8の神山氏の動画がある。

その中で衝撃的な発言があり、私は一気に悟ってしまった。

「ループドライブを打つべきシンプルな理由」

神山氏は言う。決めに行くドライブ強打は原則として一般層の卓球では必要ないのだと。

「地区・県レベルであればループドライブで十分だと思いますし、…下回転(に対するドライブが)1本入ってしまえば、だいたい点数になってしまうっていうのがこの競技レベルでは現実的なところなのかなと思います。」

「私の経験上ですけど、…中学生・高校生ぐらいで全国大会に出るところですね、出て1回戦、2回戦ぐらいまでのレベルは正直…例えばサーブ3球目を打つときとか、レシーブ4球目を打つときに、強ドライブ…を多用していくよりも、ループドライブをしたほうがはっきり言って勝てるかなと思ったんです。」

「もっと言えばですね、ループドライブを打つ必要すらないことも多いと思うんですよ。下回転のボールはつっついたほうがいい」

神山

神山氏は愛工大名電から筑波大に進んだ、卓球のエリートである。そして現在は、小中学生の指導に携わっているようだ。その氏が「中高の全国大会1~2回戦までは下回転に対するドライブ強打は必要ない」というのである。

中高生の地区大会のレベルと、社会人の地区大会のレベルというのはあまり変わらないだろう。ということは、私のレベルにもこの考え方は当てはまるということなのである。

たしかに相手のツッツキを一発強打で打ち抜く卓球は爽快である。いかにも「卓球している」という感じがする。しかし、その一発強打のために平均して2発の強打ミスが伴うのだとしたら、どうだろう?打ちたいだけ強ドライブを打つ卓球をすれば、自分の実力は出し切ったという達成感はあるかもしれないが、試合には負ける可能性が高い。
逆に下回転のボールを打点をやや落として常にスピードの遅いループ気味のドライブで返球したらどうか?たしかに時にはそれを相手にスマッシュや、カウンタードライブで迎撃されてしまうこともあるだろう。だが、その相手の強打も1発につき、平均して2発の打ちミスが伴うというのも現実には起こりうるのである。

私の周りの上手な人のプレーを振り返ってみると、昔、全国大会に出たことがあるという若い人は、たしかにガンガンドライブ強打を打っているが、そうではなくて、私とさほど年齢も、レベルも違わないけれど、なぜか勝てないという人は、ツッツキやブロックで手堅く試合を進め、浮いたチャンスボールだけを強打するというプレーが多いような気がする。

ここから分かることは、試合で負けるというのは、相手に負ける以前に自分のミスに負けている、あるいは自分の実力に対する認識の甘さに負けているということである。大人の視点で見れば、強ドライブを打って負けるよりも、ツッツキやループドライブで、できるだけ自分のミスを抑えるという姿勢が望ましいということになる。なぜなら、勝利という実利にかかわってくるからである。

もちろん「試合の勝敗には頓着しない。格上に対して自分の全力をぶつけたい!」という人は強ドライブをガンガン打てばいいのだが、試合に勝つという目的だけなら、大人の卓球でプレーしたほうが有利である。ただ、大人の卓球で勝利するには、前提として、相手が気持ちよく強打を打ってミスを量産してくれる必要がある。もし相手も大人の卓球をしてきたら、大人の卓球対大人の卓球ということになり、また戦術を変えなければならないかもしれない。

私も「卓球は勝敗じゃない!」と言いたいところだが、大人になると、つい勝敗にこだわってつまらない卓球をしてしまう。