「現代卓球はバックハンドのラリーを起点にして展開し、フォアハンドで決めるのが主流だ」

などと言われる(おそらくかなり高いレベルの話だと思うが)。ということは、いくらフォアハンドを磨いても、バックハンドの質が低ければ、攻めさせてもらえず、フォアハンドの出る幕がないということになる。フォアハンドを磨くよりも、バックハンドを磨くほうが先決であるにちがいない。
しかし、卓球はバックハンドに至る前にサーブやレシーブの段階があり、そこの質が低ければ、こちらのサーブは一発で打ち抜かれてしまうし、こちらのレシーブは3球目攻撃の絶好のチャンスとなってしまう。私のようなレベルでは、バックハンドを磨く前にまずサーブとレシーブを磨かなければならない。

まずはサーブである。こちらのサーブに対して相手が少し迷ってくれたり、攻撃的なレシーブができなかったりすれば、試合はかなり優位になる。まずはサーブを磨かなければならない。

その場面で、どんな狙いで、どんなサービスを出すのか、フォームやコース、長さなど、こと細かに想像して練習すれば、30分練習したとして出せるサービスはせいぜい数十球だと思います。しかし、そこまでイメージして取り組んだのなら、10球に1球でも自分で納得の行くサービスが出せれば、何も考えずに何百球もサービスを出すよりもはるかに効果があります。
「幻惑の縦回転SV〈後編〉」『卓球王国』2019-10

そうだよなぁ…。単にたくさんサーブ練習するだけじゃダメだよなぁ。

私は食べ放題とかが大好きだが、女性は少量で手のこんだ料理を好む傾向が強い。多少雑に作られた料理でも、お腹が一杯になるならそれで私は満足である。いくら凝った料理でも、少量で同じ値段なら願い下げである。

という延長で上の楊氏の説明を読むと、がむしゃらに練習するよりも、少しだけ練習するほうがいいと誤解してしまいがちだが、楊氏が言っているのは「こと細かに想像して練習」することなのである。単に練習量を減らせと言っているわけではない。果たして私は練習時にイメージを持って練習しているだろうか。おそらくほとんどできていない。ボールを打つこと自体が楽しくて、イメージなど脳裏から消え去っている。たとえばワンコースでドライブを打つ練習にしても、ただ打つだけでなく、理想のイメージを持って練習しなければ意味がないということなのである。

上手な人の切れているサーブは「オレにさわるとヤケドするぜ」的な雰囲気をもってグングン迫ってくる。それでも台から出るサーブなら、ドライブすればそこそこのボールを返球できそうだが、上手なサーブはコースや軌道もちょうど台に収まるように低く迫ってくる。それでしかたなくツッツキなどをすると、相手にドカンと打たれてしまうわけだ。私だってよく「サーブが切れている」と言われるので、回転量ならそこそこあると自負しているが、高さや速さ、軌道となると、全く無頓着である。こういう細かいことまで気をつかって練習しないと、いつまでたっても上達しない。

今までサーブ練習は、何も考えず5秒に1本ぐらいのピッチで出していたが、これからはサーブの長さや軌道などをイメージして30秒に1本ぐらいのピッチで出してみようと思う。

Liam SVpractice
もしかしたらサーブのイメージを補強するために台の上に何か置いたほうがいいのかもしれない。

一方で、平野友樹選手のサーブ練習は「切り方や感覚をつかむため」だけの練習だったという。
コントロールや軌道のイメージなどは、対人でないと効果が薄いという考え方のようである。

https://www.youtube.com/watch?v=s8miK5UogTA