5往復にも及ぶ激しいラリーを制し、ようやく1点とったかと思うと、次のポイントは、わずか2球目でこちらのレシーブミス。

なんだかむなしくなってくる。さっきの目の覚めるようなラリーで獲った1点は一体何だったんだ…。それも相手のサーブの質が高かったわけでもない。単純な下回転サーブだったのだが、私が想定したよりも少しだけ回転量が多かったためにツッツキをネットにひっかけてしまったのである。

こういう経験から、ツッツキの安定性について考えるようになった。いくら切れていても、安定しなければツッツキの意味がない。ある程度の回転量の幅があっても、そこそこの低さで安定して返せるツッツキというのはないものだろうか。



やっすん氏はツッツキには2つの感覚があるという。一つは前に押す速いツッツキ、一つは上に飛ばす遅いツッツキ。

前者は低く鋭くなるが、ミスが多くなる。逆に後者は時にはかなり浮いてしまうが安定性が高い。ツッツキは後者の感覚で打つのがいいのかもしれない。

また、次のような考え方もある。

下の動画はカットの安定性を高めることを解説した動画だが、ツッツキとカットには共通点が多い。カットが安定するなら、ツッツキも安定するはずである。



上の動画でオカピー氏は次のように説く。

(カットせず)ただ当てるだけでもボールは入る。だから、ボールを飛ばすことは考えず、回転のことだけに集中すれば安定するのだと。

当てたら入る

前に飛ばさない

つまり、オカピー氏の言いたいことはこうである。

「カットが安定しないのは、前へ飛ばそうとする意識と、回転をかけようとする意識の、2つの意識でカットするためだ」と。

2つの意識を持ちながら打球すれば、どちらもおろそかになる。ある程度角度を合わせて当てれば、それだけで入るのだから、前へ飛ばそうする意識は捨てて、回転のコントロールだけに集中すべきだと。

そのためには厚く当てるということが前提条件となってくる。厚くしっかり当てて、とりあえずそのままでも入るという状態を作っておいて、回転をコントロールするという作業に集中するわけである。

私もツッツキの際、つい低く鋭く返そうとして、薄く切りがちである。そうではなく、とりあえず厚く当てておき、ネットにかからないような角度を作ることだけに集中し、余裕があれば少し回転もかけてみる。そのようにすれば、ミスが減るのではないか。

最近見たアジア選手権2019での許昕選手のプレー。

決勝から。

掘るツッツキ1

掘るツッツキ2

掘るツッツキ3
 
許昕選手はラケットをシャベル(関西ならスコップ)のように使って、ボールの底のほうをこすっているように見える。



3ゲーム目後半からの連続写真。
掘る

掘る4

掘る3

掘る4
ちょっと分かりにくいが下から上にラケットを持ち上げている。

全てのツッツキがこのようにしゃくりあげるようなスイングというわけではない。
張本選手の下回転サーブは相当切れているはずだが、全くミスなくつっつけるのは、もしかしたらこの「しゃくる」ようなスイングが効いているのかもしれない。

あまりまとまらなかったが、上の3つの考え方をいろいろ試していけば、安定したツッツキにたどり着けるかもしれない。