「スッキリ」というテレビ番組で早田ひな選手が取り上げられていた。


選手のボールコントロールの良さを試す、お約束のコーナー、台上の小さな的にスマッシュでボールを当てるというコーナーがあった。

スマッシュで的当てをしながらアナウンサーがインタビューをする。

「今のはどこを狙ってる感じなんですか?」
「すべてをぼんやり見ながら打ってる…」
「割と全体でとらえて…」
「全体で。」

(実は相手とラリーしているときに見ているのは…)
「ボールは見えないので、相手のラケットの面の角度でだいたいでもう…」

ボールは見えない

ラリー中にボールを見ていない!?
しかし、考えてみると、私も台上のゆっくりした展開ではボールを見ているが、ラリー中はほとんど見ていないということに気づいた。ボールが相手のエンド(陣地)にあるときと、自分のインパクトの寸前に一瞬ボールのだいたいの位置を確認するが、それ以外はボールを見ていない…と言いたいところだが、未熟な私はついつい自分のエンドにボールがあるときでも、ボールを見てしまうことがしばしばである。プレーが順調に行っているときは、ほとんどボールを見ないでプレーしているのだが、うっかりボールを浮かせてしまうといったイレギュラーなことが起こったり、難しいボールに対する返球に自信がないときなどにはボールをじっくり見てしまい、戻りが遅れ、相手に得点されてしまう。

人間の感覚のうち、最も大きなウェイトを占めているのが視覚である。そしてその視覚が開いていることによって他の感覚が鈍くなってしまうと思われる。卓球のプレー中に視覚を完全に閉じてしまったら、プレーなどできないが、ある程度視覚の精度を低めることによって他の感覚がより開かれるのではないかと思う。

左肩痛で2軍調整中の中日・バルデスが19日、ブルペンで驚きのピッチングを披露した。 39球を投げた後に、ビックリのリクエスト。「目をつぶって投げるから」。なんと、助っ人は両目を閉じて捕手に向かって投げ始めた。「キューバで20歳ぐらいのときにコーチから習ったんだ。6、7年ぶりにやったけどね」。だが、これがストライクゾーンに面白いほど吸い込まれる。「目を閉じると、感覚が研ぎ澄まされて、フォームのチェックポイントの修正ができるんだ」。(SANSUPO.COM 16.4.19より)


「手を直接見ながら」、手を「グーパーグーパー」の要領で開いたり閉じたりしてみてください。
「いつ」「どのくらいの力で」「どれくらい」指を動かしているかを、感じてください。

次に「目を閉じて」、同じように手をグーパーしてみてください。

いかがでしょうか?
目を閉じたときの方が、筋感覚をはっきりと意識できたと思います。

視覚を使うと視覚が優先され、筋感覚は弱ってしまうのです。
言い換えると、筋感覚は普段あまり使っていない感覚なのです。

(TS.VOCAL SCHOOL「筋感覚」を体験してみよう より)


上の二つの例は「筋感覚」が鋭くなる例である。視覚を閉じることによって体の内側から体を感じることができるようになるのだと思う。卓球でも「すべてをぼんやり」見ることによって自分が体をどのように動かしているかに敏感になるのではないかと思われる。腰を回すタイミングとか、姿勢、どの筋肉に力が入っているかなどが把握でき、フォームが修正できるようになれば、上達も早まるだろう。

私の場合、視覚に充てていたリソースを一部解放したら、聴覚が敏感になった気がする。相手の打球音、バウンドする音がよく聞こえるようになった結果、打球のリズムが安定し、ミスが減ったような気がした。

視覚ばかりに頼らず、他の感覚も利用してみると、今まで気づかなかったことに気づくことが期待できる。