私がいろいろな仕事で接してきた「できる人」に共通している特徴は、「自分の能力特性の分析」がうまいということだ。
まず、自分は何が得意で、何が不得意なのかを分かっている。もちろんオールマイティにあらゆる仕事をこなすエリートもいるのだろうが、たいていの人は、「仕事の得手、不得手」を持っている。そのうえで、得意な仕事を積極的にこなし、「不得意な仕事」からは上手に逃げている人が、実は「仕事ができる人」と評価されるのだ。(和田秀樹『頭をよくする ちょっとした「習慣術」』)


卓球にも同じことが言えるだろう。
「強い人」に共通している特徴は「自分の能力特性の分析」がうまく、苦手な展開を避け、得意な展開でいつも勝負している…。

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先日、横浜を訪れたとき(前記事「夏休み 横須賀・横浜散歩」)、ホテルに滞在したのだが、そこで初めて「卓球ジャパン」というテレビ番組を見た(私はふだんテレビを見ない)。そのときのゲストは加藤美優選手だったのだが、この番組は卓球選手をゲストに招いて、自身の試合を解説してもらうという番組のようだ。これは前記事「本人による解説」で私が望んでいたとおりの番組内容ではないか!すごい、すごすぎる!試合をした本人がどんなことを考え、どんな狙いでプレーしていたかを試合のビデオを見ながら明かしてくれるのだから。

卓球ジャパン

司会の武井壮氏が番組中でこんなことも言っていた。
曰く、人の身体には「ドミナント」というものがあり、手の平、手の甲のどちらかに感覚が偏っているものだと。

「ドミナント」ってなんだ?

辞書で調べてみると、dominant armは「利き腕」の意味、dominant dialectは「優勢な方言」、dominant factionは「主流派」、dominantだけで「顕性遺伝子」という意味があるらしい。「ドミナント」というのがなんとなく分かってきた。

つまり複数のものがせめぎ合っている中で、任意の一つが他のものより優勢に働くということだろう。武井氏はこれが人によって異なっているというのだ。手のひらよりも、手の甲の感覚が発達している人は、加藤選手のようにバックハンドが得意であり、つま先よりも踵のほうがドミナントになっている人は後ろ回し蹴りが上手いということになる。

後ろ回し蹴り
後ろ回し蹴り

こう考えていくと、身体の様々な部位にドミナントを想定することができ、そのドミナントを上手に結び付けてプレーができれば、自分の最大限のパフォーマンスが発揮できると言えそうである。

身体の部位だけでなく、卓球の技術にもドミナントはあるだろう。上回転のラリーよりも下回転のラリーがドミナントになっている人はカットマンに向いているわけだし、前陣よりも中陣のほうがドミナントの人もいる。下半身よりも上半身がドミナントならば、前陣であまり動かない卓球をしたほうがいい? いや、逆に前陣に貼りついていると、ボールが早く返ってくるので、細かいフットワークがより大切になるということもありうる。ドライブよりもミート打ちのほうがドミナントの人もいれば、ブロックやツッツキがドミナントの人もいる。ちっとも上達しないドライブ型の選手がペン粒に転向したとたん、急に頭角を現したなんてこともあるかもしれない。

このように身体の部位だけでなく、卓球のさまざまな打法、技術のドミナントでも「自分の能力特性の分析」をし、自分の特性に応じた卓球をすれば、自分の能力を最大限に発揮できるにちがいない。

瞬撮アクションポーズ