中学時代の部活のとき、誰が言い出したのか知らないが、腕立て50回、腹筋50回、反復横飛び台のフォア端からバック端まで10往復というトレーニングを練習の前にすることになっていた。今から考えると、どんな意味があったのか疑問である。腕立てで腕の筋肉を鍛えることで振りが速くなったりするのかもしれないが、その反面、腕力に頼った打ち方になってしまうおそれがある。しっかりした指導者がいて、スイングは体幹で打つものだという指導があれば腕力を鍛える意味もあると思うのだが、指導者どころか上手な先輩もいない、田舎の中学の部活では弊害の方が多かったかもしれない。腹筋は体幹を鍛えられそうだから、専門的にはよく分からないが、意味がありそうだ。反復横飛びはどうだろう?これが一番卓球の練習に直結している気がする。フォア側に飛びつくときも、バック側に回り込むときも、大きなフットワークを使う時は反復横飛びで移動するのだから。
そういう意識があったのだろう、私の回り込みが遅いのは反復横飛びの練習が足りないのだと思い込んでいた。そのことを上級者に相談してみるとこんなことを言われた。
「回り込みの下手な人は横に移動しとる。上手な人はまずフォア側を向いてから後ろに下がるもんや。」
私は回り込みというのは放射状にお尻で円を描くように回り込むものだと思っていた。つまり、反復横飛びを使って横に移動すると同時に体の向きを少しずつ横方向に変えていたのである。しかし、上述のアドバイスを受けて、バック側に突っつかれると察知した瞬間に体を完全に真横(フォア側)に向けてから後ろに下がるような意識で回り込んでみると、明らかに回り込みが早くなっていた。今までだったら詰まっていたボールでも、なんとか詰まらずにフォアドライブにつなげられたのである。
回り込みでは反復横飛びを使わない?
たしかにフォア側に大きく動くときは反復横飛びを使うかもしれないが、回り込みに関して言えば、反復横飛びは役に立たないと感じる。
プロはどのように回り込みを解説しているのだろうか。
バック側に来たサービスをフォアハンドで攻撃できると判断した水谷は、右足をバック側に運んで回り込み、フォアハンドドライブのバックスイングを取った。
特に、参考にしてほしいのが、写真4の体勢だ。このように、台に対して半身になるくらい上体をしっかりひねると、スイングのパワーがたまることに加えて、相手に打球コースを隠すことができる。
特に、参考にしてほしいのが、写真4の体勢だ。このように、台に対して半身になるくらい上体をしっかりひねると、スイングのパワーがたまることに加えて、相手に打球コースを隠すことができる。
「今日の連続写真」(「卓球レポート」)
「写真4」というのは上の写真の左のカットである。
下の動画で戸上隼輔選手は回り込みのコツの一つとして左足を前に出すことを挙げている。これは私の言い方で言うと、真横を向くということである。
私は自分の回り込みを見たことがないので、厳密にいうと私の説明の通りではないかもしれないが、意識としては、まず体の向きを変える(真横を向く)、次に後ろに下がるというのが素早い回り込みを成功させるコツだと思う。
コメント
コメント一覧 (4)
水谷選手の写真にある腰のひねりは、わたしも励行するようにしています。これは、左右の動きをよくするために、左右の足をなるべく相手に向けて水平にした構えを採用したときに必然的にそうなったのですが(以前はフォアハンドを強く打つために右足を下げた位置、ここでいう横向き気味でしょうか、にしていました。昔のフォアの打ち方ですね)、この水平足状態でも、バックに返されたときに、左への足の動きがやや間に合わなくても、上体のひねりを入れてなんとかフォアで打つことができます。ミドルよりのバックであれば動かずに上体のひねりだけでなんとか返せました。(上体だけ横向きという感じですね、おおげさにいうとボディワーク?) ここのお話とはちょっと状況が違うかもしれませんが、わたしは水平足からこのひねりの大事さに気づきました。
シロノ タツミ
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コメントありがとうございます。
片面ペンとのこと、さぞかし回り込みの練習をなさったことでしょうね。
今回の記事では横方向に動かず、後ろ方向に後ずさりするというやりかたなのですが、おっしゃるように相手に対して平行足というポジションでの横方向への移動というのもメリットがいろいろあるんでしょうね。
私は回り込み初心者なので、あまり多くは語れないのが残念です。
シロノ タツミ
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亀レスですみません。
この話は良いことを思い出させていただきました。
以前にも書いたかも(歳なのですぐ忘れる)ですが、河野滿選手に指導を受けた時、「長谷川信彦選手は一っ跳びで回り込みをするが、伊藤繁雄選手は小刻みな足さばきで回り込みをする。自分は伊藤選手のやり方の方が好き」とおっしゃってました。
当時は意味がよくわからず、体重も軽く筋力もあったので、私は長谷川選手流のひとっ跳びで回り込みをしていました。
ですが、しろの様の記事を読んで自分でも試してみましたが、右利きの場合、まず右足を左後ろに送ってから左足を左に移動させると回り込みが楽なことに気づきました。
しかも、両足で跳んでないから頭の上下動も少なく、両足着地の衝撃を受け止めるタイムラグもいらない。
2段階での回り込み足さばきは、実はひとっ跳びより良いのかも。もう老人ですが、次から練習してみます。
シロノ タツミ
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コメントありがとうございます。
回り込みについての詳細な実践報告、とても役に立ちました。
名選手の一言というのは、ずいぶんあとになって合点の行くことが多いですね。
シロノ タツミ
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