ショーケンが68歳で亡くなったというニュースが飛び込んできた。
また昭和のアイドルが一人世を去った。
ショーケンという男は人間的にいろいろ問題があったかもしれないが、若いころはとにかくかっこよかった。
傷だらけの天使

破天荒でがむしゃらで、野獣のような奔放さを持つ一方で、しゃれたデザイナーブランドを身にまとい、男の色気とでもいうべきものを放っていた。ドラマ「傷だらけの天使」では探偵オサムを演じ、水谷豊演じるアキラの兄貴分としての役柄はバッチリはまっていた。水谷豊といえば、代表作「相棒」で理知的で上品な紳士というイメージを確立したが、私の中では「あにき~!」といつもオサムを金魚の糞のように慕っているチンピラのヘタレである。水谷の舎弟役も名演だった。「死ぬ前に一度でいいから女を抱いて死にてぇよ~」という名言も忘れられない。
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先日の記事のコメントで読者のMr.Smith氏から興味深い動画をご教示いただいた。


徳島の野球専門トレーニングジム「インディゴ・コンディショニングハウス」で球速150キロの投球を実現するためにアマチュアの野球選手がトレーニングを積むという企画である。

次々と出てくる謎の測定器具やトレーニング器具、あふれる専門用語…トレーナーの殖栗氏の知識の博さには驚くばかりである。
こんな人に指導されたら、誰でも簡単に150キロの速球が出せそうな気がしてくる。
私は野球には全く興味がないが、「体のひねり」「タメ」「下半身の使い方」等、ここで指導されている内容というのが野球のみならず、卓球にも大いに関係しそうなのである。これは見ないわけにはいかない。
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はじめに体力テストが行われる。
「骨盤回転」「バネ右足」「シングルスクワット」「リアクション」等、野球に関するあらゆる身体能力を数値化し、どこが弱いかを把握するのである。

それぞれの値について殖栗氏が野球のどんな部分に役立つかを解説する。手慣れている。
そして一通り体力測定を終えて、弱い部分を矯正していくのだが、内容が濃すぎて、一回で理解するのが難しい。頭で消化して、肚に落ちるまでにはかなりの時間がかかりそうだ。

すべてが競技力に結びついていてスキがない。おかしい…。スポーツの指導ってこんな手の込んだものだったっけ?これではまるで人間ドックではないか。

おそらく昭和の時代にはこういうスタイルの指導はほとんどなかったのではないだろうか。もっと「体力の限界」とか「長時間練習こそ正義」といった雰囲気だったと思う。日本のトップレベルではどうだったのか分からないが、アマチュアレベルで海外の進んだ理論にもとづいて科学的で無駄のないトレーニングを行うというのは平成に入ってからの傾向なのではないかと思う。インターネットが発達し、youtubeで世界中のスポーツ指導が手軽に見られるようになったことがその背景にあるのだろう。

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ショーケンのような危険で歯止めの効かない役者は平成では居場所がない。平成では(舞台の外では)礼儀正しくルールを守り、誰に対してもニコニコしている社交的な役者こそが求められる。

昭和と平成は時代の雰囲気とでもいうべきものがやはり違うなと思う。若い人は昭和の雰囲気を知らない人も多いと思うが、社会は平成になって確実によくなってきたと思う。より公平で、より合理的で、スマートな社会に変わってきた。昭和はもっと暴力的で、権威主義的で、セクハラだらけで、悪いやつらがのさばっていた(古老の話によると、64年の東京オリンピック以前の日本はそれ以後とは全然違って途上国丸出しだったらしい)。そしてときおり突き抜けた(いい意味での)バカが時代を動かしたりできた。平成は違う。そもそもバカが生まれにくくなっている。情報が行き渡っているので、何かを始める前にだいたいの結果が予想できる。今の世の中、海外に渡り、事業で大成功を収めたいと、言葉も通じぬ異国に徒手空拳で渡ろうなどというバカはなかなかいない。だいたいネットで現地の事情を調べてから、相応の準備をして渡航するのがふつうだ。さらに身の丈に合った夢を追い、無理な夢は追い求めない。平成になってバカが少なくなった。合理的思考を身につけた常識人が多い。

そんな昭和と平成の違いに思いをはせる間もなく、あと1か月で平成が終わってしまうなんて…。感慨深い。
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殖栗氏の一連の動画に目を通して頭に残ったのは「固定点」という言葉である。これが今の私に欠けているところだと思うからである。
殖栗氏は選手に肘を曲げるように指示し、選手は言われたとおりに肘を曲げてみる。

「なんでそういう動き(肘を曲げる)が出るかっていうと、ここ(肩)が固定されてるんです。」
「筋肉が収縮する場合って収縮する前に必ず固定点が必要になってくるんです。」

固定点

「バッティングでもピッチングでも大事なのは全部そこですよね。」

言われてみれば当たり前なのだが、どこかを動かすにはどこかが固定されていなければならない。強いショットを打つために「力を抜いて」「体をリラックスさせて」などと言われるが、全身の力を抜いてしまったらいいショットなど打てるはずがない。腕や肩の力を抜くのは、他のどこかに固定されている箇所――力の入っている箇所がなければならない。

固定点からの動き
もうなにがなんだか分からないが、要するにすべての関節の動きには固定点が必要らしい。

固定点を作るには体幹がしっかりできてなければならず、そこから四肢が動き、重心移動が起こるという順番があるらしい。固定点にも複数あり、前後の固定点(腰を曲げる)、左右の固定点、水平面の固定点(上半身の捻り)があるという。すさまじい情報量と説得力である。

在野の指導者がここまでするなんて突き抜けている。もうここまでくると、愛好家レベルの枠を越えてしまっている。平成になって突き抜けた人が少なくなったと思ったのは私の勘違いであり、昭和に数多く存在していた突き抜けたバカが、平成になって進化し、突き抜けたナイスガイになってきたのではないだろうか(殖栗氏は非常に感じのいい人である)

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この動画を卓球にどのように応用すればいいか分からないが、とりあえず私は自分なりに理解した殖栗氏のポイントから、先日の練習では右足の付け根に固定点を作ってフォアドライブを打つようにしてみた。もちろん腕や肩の力は抜いて。すると、コンパクトなフォームでいい感じのドライブが打てた。
さらに動画を見てみると、どうやら足の裏も非常に大切らしい。

足の裏

今度は右足の付け根だけでなく、足の裏にも気をつけようと思う。

【追記】190514
右足の付け根に力を込めてドライブを打っていたところ、股関節が痛くなってきた。
故障しやすい打ち方なのかもしれない。

heika