80年代以前はバックサーブが全盛だった。
back serve

ペンのみならず、シェークの選手でもバックサーブが主体だったと思う。フォアサービスは初心者っぽい感じで私はあまり使わなかった。当時、巻き込みサーブなどはほとんど使われていなかったし、逆振り子サーブなんて見たこともなかった。順横回転サーブを出すためにラケットのヘッドを下にしたフォアサービスを使うこともあったのだが、バックサーブのほうが美しく洗練されているように感じていた。腕が内側から外側に開いていくバックサーブの動きは身体の理にかなっているため、流れるような滑らかさで3球目につながるように思った。

それが2000年代になって卓球を再開してみたら、みんながみんなフォアサービスなので驚いた。あんなに台の端からフォアサービスを出したら、フォア側がガラ空きになるではないか。みんな不安じゃないのだろうか…。

しかし、慣れとは怖いもので、私もすっかりフォアサービス派になってしまった。どうしてバックサーブを使わないのだろうか。

今回、ご寄稿いただいたのは、玄米茶さんで、フォアサービスとバックサービスのメリット・デメリットなどを考察されている。

以下、本文である。

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トップ選手はバックサーブを使わない選手が多いです。
メインで使っているのは男子ではオフチャロフ,サムソノフ,鄭栄植,女子では徐孝元をはじめとするカットマン達くらいではないでしょうか(ごくまれにバックサーブを使う選手はもっと列挙できると思いますが)。

ovcha

9割がたの選手はフォアサーブを主体で戦い,バックサーブは使いません。
使わない理由としては

①インパクトを体で隠せない
②ラケットの面を隠せない
③グリップの問題
の3つが挙げられると思います。

①について
卓球の現行のルール上ハイドサービスは禁止ですが,フォアサーブのインパクトの瞬間が相手にぎりぎり見えるか見えないかというレベルでサーブを出している選手が見られます(右利き対左利きの場合,ほぼ見えていない場合もあるのが実情だと思います)。
審判に注意されないぎりぎりのラインです。
全員が全員ではありませんが、こうした相手にインパクトの情報を与えない工夫をして,サーブの回転を読ませないようにすることでアドバンテージを得ている面があると思います。バックサーブではこれができません。

②について
フォアサーブの場合,インパクトの直前までラケットの面を体の利き腕側に隠して,相手にラケットの面の角度を見せない(相手に情報を与えない)ことができます。それと比較して,バックサーブではラケットの面の角度を、インパクトの前に相手にはっきり見られてしまいます。台の下にラケットを隠す人もいますが、インパクトの前にはどうしても台の上にラケットが出て、相手に面が見られてしまいます。

③について
フォアサーブを打つときには中指・薬指・小指をブレードから外すので手首の自由が利き、順横回転も逆横回転も自由に出せ、フェイクもかけやすいです。しかし、バックサーブは指を外してしまうと打ちにくくなってしまうので指を外さず、結果として順横回転が出しにくくフェイクの多様性も欠けています。バックサーブはそのグリップゆえに、フォアサーブより手首の動きが限定されるという欠点があると思います。

サーブ・レシーブでのわずかなアドバンテージの奪い合いが非常にシビアなトップ選手は,上記の理由でバックサーブをあまり使わないのではないかと思います。

いっぽうで,アマチュア選手にとってバックサーブは

・台に正面に向かって構えてサーブを出すので、フォアサーブよりサーブ後の戻りが楽になる
(フォアサーブのほうが3球目に繋げやすいという人も当然いて、プレースタイル次第だと思います)
・巻き込みやYGが苦手な選手でも逆横回転系サーブのバリエーションを増やせる

といった利点がありますので,十分に使うメリットはあるのではないかと思います。  

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