「しろのさんの世代は、バックハンドを使ったら怒られたでしょう?」
そんなことを知人に言われた。しかし、現実にはそんなことは全くなかった。
たしかに当時、世間ではそういう風潮だったらしいことを中年になって知ったのだが、当時の私は卓球後進地域の、指導者も誰もいない中学校で卓球をしていたので、「バックを使うな!」と怒られたこともないし、フットワーク練習もしたことがなかった。フォア打ち、バック打ち、オール練習だけしかしていなかった。バック側に来たボールはバック側で打つのが当たり前だった。といっても、当時はバックハンドが自在に振れる人は周りにほとんどいなかったが。
だから?私は回り込みが苦手だった。
現代でもオールフォアとは言わないものの、ある程度は回り込んでフォアを使うことが推奨されているが、私は全くと言っていいほど回り込まなかった、いや回り込めなかった。
相手の返球がミドルからバックの範囲に来るだろうと予測して回り込んでみるのだが、たいてい詰まって、ぎこちない姿勢で返球するのがやっと。そこで強打を打てることはほとんどなかった。
しかし、バッククロスへのワンコース切り替え練習を続けた結果、ついに回り込みのコツを会得したのである。といっても、発信するのがためらわれるほど当たり前のことであることを事前にお断りしておきたい。私のようなレベルの低いプレーヤーの何らかの参考になれば幸いである。
そのコツとは、ボールの軌道に対して垂直に移動することと、横を向いて打つことである。
おそらく大半の読者は卓球を始めてまもなくこのコツを会得していたと思われるが、私はこれを最近まで知らなかったのである。説明するのもバカバカしいが、念のため説明しておこう。
今までの私の回り込みは、台のエンドに対して平行に移動しようとしていたのである。これでは回り込みが間に合うはずがない。
これをボールの軌道を横切るように垂直に移動し、横を向いてボールを打つ(いわゆる懐を作る)ようにすると、速いツッツキを打たれても間に合う。
さらにボールの軌道に対して垂直ではなく、台の左側面に沿うように移動した場合、さらに早く回り込めるのである。
なるほど。昔の片面ペンの人はこういう回り込みをしていたからオールフォアができたのか。
台のエンドに対して平行に移動するのは危険だということをそのときやっと悟った(遅すぎる…)。
これでこの記事を終わりにするのはあまりにも内容がないので、最近公開された戸上隼輔選手の「電光石火の回り込みフォアハンドドライブ」という動画と比較して、上級者の回り込みのポイントを確認してみよう。
私の回り込みのコツは
・横を向いて打つ
・ボールの軌道に対して垂直に移動する
という2点だけだったが、戸上選手の回り込みのコツはさすがに細かい。
1.回り込みの瞬間にすぐ左足を前にして素早く体重移動する。できれば左足のつま先に。
これはつまり私の言う「横を向いて打つ」ということだと思う。
2.回り込みのバックスイングは小さく、体重移動の反動で打つ。
上の写真のように体側を超える大きなバックスイングは禁物
3.打球は右足の強い蹴りを使って打つ。蹴り終わった際、右足のシューズの裏が完全に見えるようにする。
4.さらにヒジを前に突き出すようにすると威力が出る。
週末の練習で戸上選手の回り込みを試してみたところ…できない。
一度に多くのことを気をつけながら打つのは非常に難易度が高いということがわかった。
そして中高年が回り込みを多用すると、腰が痛くなるということもわかった。
習得までにまだまだ時間がかかりそうである。
さわやかイケメンの戸上選手。これは女性に人気が出るにちがいない。
コメント
コメント一覧 (2)
氏の回り込みは一般の人が真似できそうもない非常に細かい「たったったっ!」という回り込みで、つい最近まで普通だと思っていました。
それを、普通じゃないんだ!と思わせてくれたのは、LILI卓球フットワーク関連の動画でした。今まで信じていた3歩動も感覚的には二歩動だと言うのは目からウロコでした。
中々回り込みが上手くいかない私にとって正に「目からウロコ」でした。
戸上選手のFWをやってみて出来ない事!よくわかります。
私も柳承敏のDVDを観て左右のFWをやってみるのですが、見た目狭く感じる移動距離が物凄く広くて とほほ
シロノ タツミ
がしました
コメントありがとうございます。
Liliの動画、私も見ましたが、とても参考になりますね。
フットワークという分野は、上級者が当たり前のように知っていて、初中級者が知らないことがたくさんあるように感じます。
シロノ タツミ
がしました