中学生や高校生の頃、「かっこいい」ファッションというのがよく分からなかった。
今から考えると、訳も分からず非常にダサい服装をしていたと思う。
こういう地味な色のチェック柄のシャツをよく着ていた気がする
「服装がダサいと女にモテないらしい」
という話を聞いて、なんとかしようと思っても、何がかっこいいファッションか分からないのだから、どうしようもない。男性向けファッション雑誌を買って参考にしてみたが、やはりよく分からなかった。それで母親が買ってきた訳の分からない英語の書いてあるTシャツを着ていたりしていた。
「なぜ私のTシャツにはデカデカと "New York" って書いてあるんだろう?ここはアメリカではないし、ニューヨークが好きなわけでも、行ったこともないのだが…」
学校でカッコいいのは、学年でトップの成績をとればいい。とても分かりやすい。
スポーツでカッコいいのは、地区の大会で優勝すればいい。明快だ。
だが、ファッションのかっこよさというのは…分からない。
そんな私も中年になると、何がかっこよくて、何がダサいのかが自分の中ではっきりしてきた。もちろん私のかっこいいファッションと、他の人のそれとが一致するかどうか分からないが、とにかく私の中でかっこよさの基準というものができたのである。
かっこいいファッションの条件というのは、周りとの比較という要素が大きいと思う。いくらカッコいい服でも、周りに同じような服装の人が何人もいると、あまりカッコいいと思えなくなってくる。他の人と違う、自分というものを打ち出せるファッションが本当の意味でのかっこよさだと思う。といってもあまりにも常識とかけ離れたファッションは、ただのおかしな人になってしまうから、バランス感覚も大切だ。
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さて、話を卓球に戻すと、卓球のかっこよさというのは二つの方向性があると思う。
一つは強さである。これは分かりやすい。地区の大会で優勝し、県大会でも上位進出。全国大会出場。こんなかっこいい卓球はないだろう。そのためには最も勝ちやすいスタイルを追求しなければならない。男子で勝つためならシェーク裏裏で両ハンドドライブをガンガン振る卓球一択である。
一つは個性である。シェーク裏裏をあえて避けて、バック表とか、ペンとか、カットマンとか、そういう自分のこだわりのスタイルを追求するというのもある意味カッコいいと思う。こういうスタイルを選ぶ人は全国大会を目指している人でない場合が多いかもしれない。勝つのは二の次で、自分のスタイルを極めたいという意識のほうが強いのかもしれない。
強さを求める卓球は、試合で個性的な卓球を圧倒することが多いが、その代わりシェーク裏裏同士の競争が激しく、なかなか上に上がれない。強いシェーク裏裏の人が大学に入ったと同時に卓球をやめてしまったりするのは、上には上がいることが分かり、強さの追求をあきらめてしまうからだろうか。
もし、シェーク裏裏同士が熾烈な競争を繰り広げているところに個性的な卓球で挑んでみごと勝利してしまったら、どうだろう? 強さにおいても、個性においても、カッコいい卓球というのがあれば、最強のかっこよさである。
今日は職場に行って開口一番「みまちゃんすごい!」と会う人ごとに伊藤美誠選手のかっこよさについて語ってしまった。そういうのは興味がない人にとっては迷惑なだけだというのは分かっているのだが、それでも語らずにはいられなかったのである。
いうまでもなく、先週末のスウェーデンオープンの話である。
いつも質の高い編集をしてくださるGambaru Kattoman氏に感謝!
劉詩文が外国選手に負けるって、ここ数年なかったのではないだろうか、今年4月に伊藤美誠選手に敗れた時を除けば。それが今回も手ごわい劉選手をみごとに破り、実績ナンバーワンの丁寧選手を破り、次代のエースつゆりんを破って、中国最強の3人を連続撃破したなんて、去年の4月の平野美宇選手のアジア選手権優勝と並んで日本卓球の歴史に残る偉業ではないだろうか。惜しむらくはもう少し大きな舞台で優勝してほしかった。
劉詩文選手の異常なピッチの速さを緩急とボールの変化で攻略し、丁寧選手の恐ろしい威力のドライブをバチバチ弾きまくり、つゆりんに至っては何もさせなかった。
バック表でスマッシュ主体という個性的なスタイルでシェーク裏裏の最高峰を総なめにした伊藤美誠選手の卓球こそ、今最も輝いていてかっこいい卓球だと思う。
コメント
コメント一覧 (8)
ドライブ全盛の時代にフォアのスマッシュを武器に中国に勝ってるんですからね!
体格的に劣る日本人は世界で勝つにはドライブではなくスマッシュを取り入れろとは何年も前から理論的には言われてましたが誰もやらない(目立つ成果を出せない)でしたし。
自分も下がらないとドライブ連打できないから前陣でスマッシュも練習しようかな!
シロノ タツミ
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伊藤選手、進化してましたね〜。フォアハンドみまパンチが合わせるだけじゃなくて、スマッシュ連打。バックハンドドライブも何種類かあって、高い軌道のは相手のリターンも高くなるのですかさずバックハンドスマッシュ。予想外に返球されてもそれに追いつく反応速度。サービスも中国選手が2球目でネットやオーバーする素晴らしさ。
恐れ入りました。あんなゲームが見られて、生きててよかった。
シロノ タツミ
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コメントありがとうございます。
ドライブ全盛のときにスマッシュ、時代の一歩先を行っていますよね。
伊藤選手の背の低さもスマッシュの打ちやすさに役立っているんでしょうかね。
中国選手がドライブをスマッシュされたときのビックリした反応が痛快でした。
シロノ タツミ
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中国の主力を日本選手が撃破するという夢がこんなに早く実現したことに驚きです。
本当にいろいろなショットがありますよね。
世界レベルで勝つには他の人と違う卓球をするというのが、近道なのではないかと思わされる内容でした。サービス、聞いていましたね。なんてことない伊藤選手の返球を中国選手がネットに掛けたりしていたのは、受けた本人にしか分からない、ボールの変化があったのでしょうか。
次は中国選手も対応してくると思いますが、その対応を寄せ付けない進化を続けてほしいものです。
シロノ タツミ
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シロノ タツミ
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おひさしぶりです。
コメントありがとうございました。
伊藤選手の身体の動きまでよく見ていないのですが、決勝のときはまったく危なげなかったですね。対劉詩文選手のときは「もうダメだ」と諦めかけていましたが、試合が進むに連れて調子も上がってきたように感じました。
伊藤選手のプレーの身体の使い方にも注目してみたいと思います。
シロノ タツミ
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シロノ タツミ
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シロノ タツミ
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