普段私たちは、何気なくコップや鉛筆を持っていますが、それらは全身の筋肉の微妙な力加減を経験からくる予測によって成立させています。
紙コップは強く持ちすぎたら潰れてしまうし、鉛筆も折れてしまいますよね。〈中略〉
人間は何か物を動かそうとするとき、その対象物の重さを予測して、その物を動かすのに最適な体の状態を作って準備しています。
考えてみると、私たちは日常のあらゆる動作に予測を用いている。予測がなければ日常の基本的な動作さえおぼつかなくなる。本を読みながら階段を降りていて、うっかり最後の一段を見誤って転びそうになった経験は誰にでもあるだろう。次は平らなフロアだと予測していたのに、もう一段、下があったために姿勢が崩れてしまったわけだ。そのような予測がなく、階段の上り下りを「この階段は私の体重に耐えられるか」などといちいち確認していたら、おそろしく時間がかかってしまう。
卓球でも同様に「このボールはこの辺に飛んでくるから、このぐらいの力で打とう」などと予測しながら打っているからラリーが続くのであって、このような予測がなかったら1球も打てないことになる。
卓球の予測というと、普通は次に来るボールの軌道やコース、球質などをイメージするが、どのぐらいの力加減で打てばいいかという予測も大切である。そうしないと、ボールが到達する位置やスピードは正しく予測できていても、ホームランを打ってしまったり、ネットにかけてしまったりすることになる。
しかし、こんな基本的な予測ができないということがあるのだろうか。コースや球質が予測できないということはよくあるかもしれないが、飛んできたボールに対してどのような力加減で打つべきかを予測できないということが卓球を何年もやってきた人に起こりうるのだろうか。
私はそういうことがよくある。たとえば想像以上に相手のドライブが伸びてきたときや、相手のサーブが想像以上に短かった場合などである。こういうときはパニックになって、どのぐらいの力加減で打てばいいか分からなくなってしまう。力加減の予測をまったくせずにボールを打ってしまってボールをオーバーさせたり、ネットに掛けたりしてしまう。調子が悪いときはそのような症状が進行し、相手のなんてことないドライブもうまくブロックできなくなってしまう。
ふだん打ち慣れている人ならこういうことは起こりにくいが、初見の相手の場合、ボールが合わないせいか、力加減の調整に時間がかかる。そういうときはたいてい力加減の予測をする時間的な余裕がない場合が多い。
「どうして振り遅れてしまうんだろう?」
そうやって自分の動作がワンテンポ遅れる原因を考えてみると、相手のボールがどのぐらいのスピードで自分の打てる位置に飛んでくるかの判断が遅れている、あるいは予測よりも早くボールがこちらに到達するせいだと分かった。そして興味深いことにこのような場合はたいてい足裏のかかとのほうに重心が乗っているということが分かった。
「すわ!ボールがくるぞ」というときに後ろに重心が乗っていると、力加減の予測がうまく働かず、強く打ちすぎたり、弱く打ちすぎたりする。逆にきちんとどのぐらいの力加減で打つか予測できて「よし!来い」というときは、足裏の重心が前に乗っている(別につま先立ちをする必要はない)。
私の体は逃げ腰になっているときは力加減の予測が働かず、やや前のめりになっているときはその予測が働くようだ。だとすると、とにかくボールが来たら、足裏の重心を前方に置いてみたら、自動的に力加減の予測も働くようになるのではないか。と思って、ボールが来たら、適当な位置に移動し終わった瞬間、すぐに重心を前にかけてみると、不思議なことに力加減を大きく間違えることは少なくなった。打つ寸前に重心を前に移すことによって自然と反応が良くなり、どのぐらいの強さで打つかの予測が働くようになったのである。
力加減という手先の感覚をコントロールするのに、足裏という、そこから最も離れた部分の調整が大いに関係するというのは興味深い現象である。
紙コップは強く持ちすぎたら潰れてしまうし、鉛筆も折れてしまいますよね。〈中略〉
人間は何か物を動かそうとするとき、その対象物の重さを予測して、その物を動かすのに最適な体の状態を作って準備しています。
『ヒモトレ革命』
考えてみると、私たちは日常のあらゆる動作に予測を用いている。予測がなければ日常の基本的な動作さえおぼつかなくなる。本を読みながら階段を降りていて、うっかり最後の一段を見誤って転びそうになった経験は誰にでもあるだろう。次は平らなフロアだと予測していたのに、もう一段、下があったために姿勢が崩れてしまったわけだ。そのような予測がなく、階段の上り下りを「この階段は私の体重に耐えられるか」などといちいち確認していたら、おそろしく時間がかかってしまう。
卓球でも同様に「このボールはこの辺に飛んでくるから、このぐらいの力で打とう」などと予測しながら打っているからラリーが続くのであって、このような予測がなかったら1球も打てないことになる。
卓球の予測というと、普通は次に来るボールの軌道やコース、球質などをイメージするが、どのぐらいの力加減で打てばいいかという予測も大切である。そうしないと、ボールが到達する位置やスピードは正しく予測できていても、ホームランを打ってしまったり、ネットにかけてしまったりすることになる。
しかし、こんな基本的な予測ができないということがあるのだろうか。コースや球質が予測できないということはよくあるかもしれないが、飛んできたボールに対してどのような力加減で打つべきかを予測できないということが卓球を何年もやってきた人に起こりうるのだろうか。
私はそういうことがよくある。たとえば想像以上に相手のドライブが伸びてきたときや、相手のサーブが想像以上に短かった場合などである。こういうときはパニックになって、どのぐらいの力加減で打てばいいか分からなくなってしまう。力加減の予測をまったくせずにボールを打ってしまってボールをオーバーさせたり、ネットに掛けたりしてしまう。調子が悪いときはそのような症状が進行し、相手のなんてことないドライブもうまくブロックできなくなってしまう。
ふだん打ち慣れている人ならこういうことは起こりにくいが、初見の相手の場合、ボールが合わないせいか、力加減の調整に時間がかかる。そういうときはたいてい力加減の予測をする時間的な余裕がない場合が多い。
「どうして振り遅れてしまうんだろう?」
そうやって自分の動作がワンテンポ遅れる原因を考えてみると、相手のボールがどのぐらいのスピードで自分の打てる位置に飛んでくるかの判断が遅れている、あるいは予測よりも早くボールがこちらに到達するせいだと分かった。そして興味深いことにこのような場合はたいてい足裏のかかとのほうに重心が乗っているということが分かった。
「すわ!ボールがくるぞ」というときに後ろに重心が乗っていると、力加減の予測がうまく働かず、強く打ちすぎたり、弱く打ちすぎたりする。逆にきちんとどのぐらいの力加減で打つか予測できて「よし!来い」というときは、足裏の重心が前に乗っている(別につま先立ちをする必要はない)。
私の体は逃げ腰になっているときは力加減の予測が働かず、やや前のめりになっているときはその予測が働くようだ。だとすると、とにかくボールが来たら、足裏の重心を前方に置いてみたら、自動的に力加減の予測も働くようになるのではないか。と思って、ボールが来たら、適当な位置に移動し終わった瞬間、すぐに重心を前にかけてみると、不思議なことに力加減を大きく間違えることは少なくなった。打つ寸前に重心を前に移すことによって自然と反応が良くなり、どのぐらいの強さで打つかの予測が働くようになったのである。
力加減という手先の感覚をコントロールするのに、足裏という、そこから最も離れた部分の調整が大いに関係するというのは興味深い現象である。
コメント
コメント一覧 (2)
自分の手先の力加減が、足裏の体重を乗せる位置に関係していたなんて
とても興味深いです!!
ちょうど卓球三昧のコーチのブログで
「調子が良い時は骨盤が立っている。→
緊張してしまう場面で骨盤を立ててみる。→
あたかも緊張していないかのようなプレーが出来る」
といった内容が載っていました。
私は調子が良い時は、ただただ「楽しい~なんか全部入る~♪♪」だけになってしまうので^^;
今度調子のよい時に、体重がどこに乗っているか、骨盤がどうなっているか
観察したいと思います。
最近ようやく少しだけ
相手のラケット角度や体の位置が見えるようになってきましたが(遅!)
自分の事はまだまだ客観的に理解できません^^;
ビデオ撮影でもすれば良いかもと思うのですが
色々な意味で見るのも恐くて実行できていません(笑)
シロノ タツミ
がしました
コメントありがとうございます。
足裏の重心と手先の関係というのは、あくまでも私の場合なので、みなさんに当てはまるかは疑問です。卓球三昧のコーチはプロですから、そちらの意見を念頭に置いたほうがきっといいプレーができるはずです。骨盤の情報、ありがとうございました。
身体の使い方というのをあれこれ試していると、私の場合、毎月なにかしら発見があります。それが「やっぱり思い違いだった」という場合もあるのですが、私の卓球の進歩に役立つ場合が多く、それを探すのがとても楽しいです。
身体の向きというのは自分のイメージと実際が違っていることが何度もありました。今はとりあえず相手に正対するように向いていればいいのかなと思っています。ラケットの面の角度も自分では正面を向けているつもりでも、ずれていることが何度もありました。面の角度を考えるよりも、ボールのどのあたりを触るかで考えたほうがいいかもしれませんね。
シロノ タツミ
がしました