久しぶりに卓球台の前に立ち、気心の知れた相手とボールを打ち始めるとき。
相手と近況や世間話をしながら徐にボールを打ち始める。
といっても試合の前の3本の練習のようにガシガシと打つのではなく、じゃれ合っているようなボールである。親しい相手なので、私はフォア打ちもせず、いきなり短い逆振り子サーブを出してみる。ボールの軌道は高く、ポテンポテンと弾んでいく。相手はバックハンドでパシンと払うこともできるのだが、あえて角度を合わせただけの返球をする。返るボールはふわーッと高い。私はゆっくりと回り込んで、おどけた大げさな大きなフォームで軽くバック側へループドライブ。相手はブロックでフォア側へ。私はそれをまたゆるいループで返球すると、今度は「これはどうかな?」とばかりに私のバック側へブロックを送る…。
練習でらしい練習が始まる前のこういうゆるいラリーが好きだ。こういうラリーは延々といつまでも続けることができる。
音楽にたとえれば、R&Bというのだろうか、ユニクロなんかで流れている、落ち着いた曲のイメージである。こういうときは身体全体の力が抜けている。足取りが軽い。普段の私はフロアに根が生えたように足が動かないのに、こういうときは自ずと足が動き出す。練習って本来こういうふうにやるのではないだろうか。
「フォア前にショートサービスをください。それをフリックでフォア側に払いますから、そこから全面で」
などとコースをある程度指定して練習するときにはフリックから0.1秒でも早く後方に移動して、厳しいボールを打とうと必死になってしまい、足がなかなか動かない。
ラケットは前に振らない、横か上に振る。
これが私が最近心がけていることである。こうするとボールが飛ばず、ボールがラバーに引っかかって安定するし、ボールのスピードも遅いから足も動きやすい。速いボールでの練習は足が動くようになってからでいい。
ただ、こういう練習は同じ意識の人でないと成り立たない。私はゆっくりしたラリーが練習になると思っているけれど、相手によっては速いボールでパシパシ打ち合うことこそが練習になると思っているかもしれないからだ。
いろいろなタイプの人と打つと練習になるというのも真理だと思うが、気心の知れた同士でじゃれ合うような練習をするのもいい練習だと思う。
コメント
コメント一覧 (2)
私も今回ご紹介されているような練習を上手な方からも紹介され、試してみましたが、非常に効果的だと感じています
その時紹介してもらったやりかたはオール形式の練習ですが、絶対ミスしないことを最優先にし、次に足を使って打ちやすい位置で打つのを優先させ、最後は得点することを考えます。スマッシュやドライブも打っていいけど必ず入れることが条件の練習でした
ミスしないことを第一に考えると玉をよく見て判断するようになり、ドライブやスマッシュでは必ず入るのはどのくらいの力加減か考えて打つようになり、選球眼を養えます。
またラリーが続くため、どうやって相手を崩すか、自分が崩されないようにするかが大事になり結果相手を見て予測するようになったり、打球後の戻りを意識するようになったりと非常に充実した練習でした
反射神経や動体視力を鍛えるために速いボールを打つ練習も必要ですが、ゆっくりと、だけど基本を総動員するような練習も大事だと私も思いました
シロノ タツミ
がしました
コメントありがとうございました。
私の卓球のレベルは低いですが、上手な人も上手な人なりにゆっくりしたボールでいろいろな感覚を働かせながら練習すると、きっといい練習になるのでしょうね。
早いスイングのドライブではあまり感じられない、ラバーにコツッと引っかかるような感触が心地良いです。おっしゃるように足を使って最も打ちやすい位置まで移動することを心がければ、フットワークもより効率のよいものになるのかもしれませんね。
食べ物を少しずつゆっくり食べることによって今まで気づかなかったような味が感じられるという体験に似ているような気がします。
シロノ タツミ
がしました