調子が悪い時というのは、がんばっても安定しない、入らない。
それでもっと強く、スイングスピードを速くしようとして、ますます不安定になるスパイラルである。

こういう場合に強く打とうとすると、身体のバランスも崩れ、手打ちになってしまい、かえってうまくいかないのは経験的に分かっている。

私の卓球は相手に合わせるか、決めに行くかのどちらからしい。

「しろのさんは、軽く当てるだけの合わせる打ち方か、全力の強打しかないから、その中間ぐらいをふだんづかいにしたほうがいいですよ。」

というアドバイスをもらったことがある。

簡単に言うと、私のショットは弱・強の2つしかないらしい。上級者は力の入れ具合も細かく段階があるのだと思うが、私もせめて「中」を身につけて3段階のショットを使い分けたいものだ。

力の入れ具合を

10~30%:弱
40~60%:中
70~90%:強

のように3段階持っていて、場面によって使い分けることができれば、ずいぶんとミスも減ることだろう。

男子中学生に「僕にテナジー05特厚はまだ早いですか? 扱いきれませんか?」などと質問されることがある(私に質問するぐらいだから、その子の卓球レベルは推して知るべしである)。私は用具のことはよく分からないが、その中学生にとって弾みすぎるのなら、単に力の入れ具合を「弱」とか「中」にすればいいだけの話で、絶好球以外は「強」で振らなければぶっ飛びラバーでも何でもいいんじゃないかなと思う。若いんだし、ラバーに合わせて自分の打ち方を決めていけばいいと思う。

あ、でも、力の入れ具合ではなく、当ての厚さで調整したほうがいいかもしれない。強く振ってもいいけれど、当てを薄くして、シートの表面だけでボールを飛ばせば、弾むラバーでも台に収まるようなボールが打てるかもしれない。

となると、単純に力の入れ具合の3段階だけで全てが割り切れるわけではないということになる。

つまり

力の入れ具合「弱」「中」「強」だけでなく、
当ての厚さ「薄」「中」「厚」というのも考えられるし、
スイングの大きさ「小」「中」「大」というのも考えられる。

フォアドライブを例にとって考えてみると、

力の入れ具合は「弱」、当ての厚さは「中」、スイングの大きさは「大」



力の入れ具合は「中」、当ての厚さは「厚」、スイングの大きさは「小」

というのはだいたい同じものなのだろうか?

…同じじゃない気がする。ショットの軌道も違うだろうから、回転や台との距離によって一方はきれいに入るけれど、他方はミスしてしまうということもありそうだ。また、相手が受けるボールの印象も違うだろう。同じようなスピードのボールだが、あるショットは軽くて回転がかかっておらず、あるショットは思ったより回転がかかっているということもありそうだ。

当初私はショットを力の入れ具合によって3段階に分けて、事足れりと思っていたが、当ての厚さとスイングの大きさという要素を入れると

弱・薄・小 
弱・薄・中 
弱・薄・大

弱・中・小
弱・中・中
弱・中・大

弱・厚・小
弱・厚・中
弱・厚・大

中・薄・小
中・薄・中
中・薄・大

中・中・小
中・中・中
中・中・大

中・厚・小
中・厚・中
中・厚・大

強・薄・小
強・薄・中
強・薄・大

強・中・小
強・中・中
強・中・大

強・厚・小
強・厚・中
強・厚・大

27通りのショットを使い分けるということになる。

さらに打点の早さ(遅・中・早)とか、スイング方向(前・中・上)とかの要素を入れるととんでもないバリエーションになってしまう。

なんという複雑さ。全ての要素を3段階に分けるとするならば、場面に応じて数十、数百ものショットを使い分けなければならないのである。

おおざっぱに考えれば、私は実際にはこのうちの10種類程度のショットしかを打ち分けていないということになるだろうか。ふつうの人は潜在能力として打ち分けられるショットの1/3程度しか使えていないのではあるまいか、そうだとすると、残りの17種類のショットは手つかずで残っているということになる。

30percent

この使えていない17種類のショットの一部でも自分の卓球に取り込むことができれば、緩急をつけることもでき、自分の卓球の幅も広がるのではなかろうか。

卓球ができない期間は、卓球についてこのようにいろいろなことを考えて楽しむのもいいかなと思う。