卓球大好きな読者の皆さんはすでに「むらじの部屋」(松平賢二選手との対談)全4回をご覧になったかと思う。

 
https://www.youtube.com/watch?v=RDecMXT2w00

これですよ! これこそ私が求めていたトップ選手による情報発信である。
前記事「送り手と受け手のギャップ」でトップ選手ならではの卓球観を発信してほしいと主張したが、賢二選手の動画にはそのような情報が溢れている。どういう練習をしてきたか、転機となったのはどんなできごとか、ライバル選手の強さの秘密、卓球の難しさ等など。

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単に情報の価値が高いというだけでなく、賢二選手は話がうまい。頭もいい。それは聞き手の村田氏にも言えることだが、この二人の対談を多くの卓球人が待ち望んでいたのは動画のコメント欄からもうかがえる。なんならTリーグに村田氏をゲストで呼んで、「むらじの部屋」をTリーグ会場でやってもらえれば、試合に花を添えることになるのではないだろうか。こんなおもしろい対談をyoutubeで無料で配信するのは、ありがたいが、ちょっともったいない気がする。

それはさておき、内容についてであるが、私の心に突き刺さるようなすばらしい言葉がたくさんあった。そのうちのいくつかを紹介したい。

「フットワークはいつの時代も必要な練習」
「大切なのはサーブとフットワーク練習」

やっぱりフットワーク練習は大切なんだなぁ。「フットワーク練習は自己満足に過ぎない」などという意見も聞いたことがあるが、そう言う人はおそらくフットワーク練習をやり尽くして、もう練習の必要のないぐらい極めてしまった人なのだろう。賢二選手がやりこんだ練習はフットワークとサーブだという。いくらフットワークがよくても、最初のサーブがまずくて相手に主導権を握られてしまうなら、フットワークを生かすこともままならないということなのだろう。そういえば先月号の『卓球王国』で水谷選手も基本的なフットワーク練習を勧めていたっけ。

また、賢二選手はロングボールから始めてフットワーク練習をするのではなく、レシーブや3球目から始めてフットワークにつなげる練習がより効果的だと述べている。私もいつか「吐くぐらい」フットワーク練習をしてみたいものだ。

「ブロックできたらレシーブもうまくなる」
「そんな厳しいレシーブしなくてもいいという安心感が生まれると、変なミスが減る」

レシーブが下手な人はブロックに自信がない人が多く、3球目を相手に打たれるのを過度に恐れているためレシーブを厳しく返そうとしてミスしてしまうのだという。逆にブロックが上手なら、相手のサーブをとりあえず入れておけば、次でブロックできると思えるので、プレッシャーのない、力の抜けたいいレシーブができるのだという。
これはツッツキにも言えることだろう。ツッツキというのもブロックとセットなのだと最近よく思う。ツッツキはどうしても打たれてしまうので怖いと以前は考えていて、台上ではツッツキを避けてストップやフリックばかり使っていたのだが、ブロックがきちんとできればツッツキを送るのはそれほど怖くないということが分かってきた。ツッツキが深く、速ければ、あるいはコースがよければ、そんなに厳しく打たれることはまずないからである(私のレベルでは)。そう考えると肩の力が抜けて、リラックスしてツッツキができる。そうするとツッツキの質も高くなり、相手に厳しいドライブを打たれることも減る。相乗効果である。


「今の時代ストップ・ツッツキが大事」

ふつうの人のストップは入れるだけなのであまり切れていないが、馬龍選手のストップは非常に切れているので、それをネットにかけまいとこちらがちょっと余裕を持って面を開け気味にして返すと、回転のかかり具合によっては、ほんのちょっと浮かせてしまう時がある。それを一発で持って行かれるのだという。先手を取るというのはこういうことなのだと気づかされた。相手の台上が上手く、なかなか先手を取らせてもらえないとき、相手のちょっと浮いたボールを台上でドライブできるというのは私のレベルでも練習する必要があるかもしれない。
馬龍選手はチキータやフリックをあまりせず、ストップやツッツキでオーソドックスな卓球をするので隙がないのだという。まず相手に軽く打たせて、それを待ち構えて強打でしとめるらしい。こんな卓球を私もやってみたいが、そのためにはストップとツッツキの質を高めなければならない。

他にも岸川選手の天才的なボールタッチや中国選手の用具の「仕上がり」、「ボールを食ってる感覚」など、興味深い話題がいくつもある。まだ見ていない人にはぜひ視聴をおすすめしたい。