試合での一コマ。

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相手の横下回転ロングサーブを回り込んでドライブしたが、持ち上がらない。

「たぶん手打ち気味だったので、スイングスピードが遅くて持ち上がらなかったんだろう。次こそは!」

今度もまた横下ロングサーブ。今度は万全の態勢で回り込んで、渾身の力でガッと思い切りフォアドライブ!
明らかにさっきよりも力がこもっているはず…なのにネットをかすめてギリギリイン。

「ネットを越えたのはよかったけれど…。なぜだ?あれだけ力を込めてドライブしたのに。スイングスピードだって前のドライブよりも速かったはず。練習の時ならあのぐらいのロングサービスは簡単に持ち上がるのに、どうして試合になると持ち上がらないんだ?」

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youtubeでなんとなく卓球動画を見ているとき、「アープ卓球通信」のプロモーションビデオが目に留まった。なんとなく見てみたら、腑に落ちたので紹介したい。


実戦に強くなる!

「レシーブしたら、早く戻らなきゃいけないっていうのが常識的に言われてたんですが、実際にゲームになったら、それはできません。」
「ほんとに基本的なラリーは(フリックを)打ったら、飛んでくるボール(相手の返球)に合わせてもう一回タッチするんです。そのときボディーワークで身体がついてくる。」
「レシーブしたら、相手のボールが返ってくる。返ってくるのを見ながら、タッチして、そこから全身を特に足の運動をつけていってあげると、間違いなくタッチで打てちゃう。」
「ボディーワークも無理にガッと構えてないから力が入らない。流れてる。ボールに乗っかってくような感じで打ってけるでしょ。」

arp
このように次球に備えてガッと身構えると、ミスするのだという。

前記事「ARP理論」で山中氏の卓球理論を紹介したが、あのときはただ「リラックスしてて楽しそうだなぁ」程度にしか考えていなかったのだが、今なら山中氏の言わんとすることが理解できるような気がする。なお、私はARPのDVDを見たこともないし、講習会に参加したこともないので、山中氏の理論を正確に理解しているわけではない。あくまでも私なりの理解であることをお断りしておきたい。

山中氏は力を抜いて打つということを勧めているのだと思うが、「タッチして」から「全身」の動きを伴わせると流れるように、楽に打てるのだという。

そういえば、前記事「ボールをいたわってあげなされ」で羽佳純子氏の講習会のエピソードを紹介したが、羽佳氏も「ボールとケンカしちゃダメ」と言っていた。これも山中氏の主張に通じるものがあるのではないだろうか。つまりボールに触れる瞬間はやさしく「タッチ」するように触れるのがいいということである。

バルサミコ氏の提唱する3hit理論というのも、これに近いものかと思う。3hit理論というのを私が正しく理解しているのか怪しいが、氏の言葉を借りれば「ボールとラケットの距離が3cmになるまで待つ」「しっかり待ってちょっと振る」ということである。

相手の下回転のボールが飛んできた。それを頂点をちょっと過ぎたあたりの打球点でドライブしようとタイミングを測るのだが、ボールから30センチ、いや40センチ以上離れた距離からガッと力を込めてしまうと、ボールを弾き飛ばして、あるいはボールが滑ってしまう。

そうではなく、ボールがラケットに触れるか触れないかの瞬間にスイングを加速させると、不思議とボールは落ちない。当て方によってはインパクトの音もピシィと鋭い音がする。このような感覚を喩えて言うなら、「しっとりした打球」である。ボールがラケット面に貼りついて飛ばされていくように感じるからである。逆にボールと離れたところから加速を始め、ボールと「ケンカ」してしまう状態は言わば「乾いた打球」である。力を入れてもボールが落ちるからである。

ARP理論でいう「タッチ」してから「全身」を伴わせるというのは、言い方を変えれば、「当たってから全身で打つ」ということではないだろうか。ただ「足の運動をつけていってあげる」というくだりは何を指すのかよく分からない。


ARP理論についての記事を書いたのが2013年。
そしてそこで言われていることが最近になってようやく理解できたように思う(たぶん)。あのときと比べると、私の卓球の実力も近所の中学生レベルから近所の高校生レベルぐらいには進化したと思う。しかし、上級者への道はまだまだ遠い。