今日は卓球ができないので、しかたなくうちで試合の鑑賞である。
香港オープンで連日熱戦が繰り広げられているが、その感想などを書いてみたいと思う。
単なるおしゃべりであり、技術的なものでもなく、オチもないことを予め断っておく。
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昨日の女子準決勝の伊藤美誠選手とワン・マンユ選手の試合がすごかった。
伊藤選手はフォア面でのスマッシュ、バック表のドライブ、チキータ、フォアサイドからのバックフリックなど多彩なプレーを披露してくれた。表でドライブをかけるというプレーが多くの表ソフトユーザーに希望を与えたのではないかと思う。
前半はワン選手が伊藤選手のプレーに全く対応できず、一方的な試合になるかと思ったらワン選手が盛り返し、最終ゲームへ。
苦しい場面でもコーチとのアイコンタクトで笑顔を見せる伊藤美誠選手
残念ながらゲームオール、デュースで伊藤選手は敗れてしまったが、先月は劉詩文選手を破り、昨日は若手筆頭のワン選手をここまで追い詰めるとはすごいの一言に尽きる。伊藤選手の強さはいまや中国の一軍を脅かすほどになっているのだろうか。
そして男子でも意外な展開になった。
張継科選手と吉村真晴選手との試合である。いくら衰えたとはいえ、セルボール時代には圧倒的な強さを誇った元世界チャンピオンである。先の世界卓球で代表落ちした真晴選手に勝機はあるのか?
という予想を覆し、吉村選手は強かった。大きなラリーでも張選手に打ち負けていない。中・後陣からのボールのスピードや安定感が張選手と比べても遜色なかった。
真晴選手はなんとか張選手を下し、準決勝へ。2年前のリオ・オリンピックの頃なら考えられなかったことだ。
しかし、準決勝で韓国のチョ・スンミン選手にあと一歩のところで敗れてしまう。このチョ選手というのはいろいろな大会で日本代表を苦しめている実力者である。いいところまでは行くのだが、ワールドツアーで優勝を飾ったという記憶はない。今大会ではもしかしたら優勝しそうな勢いである。
そして反対の山では吉村和弘選手が兄と同様韓国のイム・ジョンフン選手と対戦する。
和弘選手はバックハンドが強い。身体の外側に外れたボール?でもバックハンドで強く返球できる。
こんなボールに対してもバックハンドが安定している
バックハンドにロングボールを打たれて、バックハンドドライブで強打しようという場面で、ボールが目測よりも10センチほど外側に来てしまった場合、急に力が入らなくなるのは私だけだろうか。
フォアハンドなら、予想よりも10センチほど外側に逸れたボールは、少し腕を伸ばしてそこそこの力で打つことができるのだが、バックハンドではそうはいかない。振って当てるのが精いっぱいで、下手をすると振ることすらできない。体幹の幅から10センチほどインパクトの位置がバック側に出てしまうと、バックハンドが強く打てなくなってしまう。和弘選手のプレーを観て、バックハンドでしっかり打つためにはポジショニングをしっかりして、体幹の幅からインパクト位置が出ないようにしなければならないと思った。
そしてしっかりした体勢で打ったバックハンドはもちろん威力抜群である。
フルゲームジュースに及んだこの死闘を制したのは和弘選手だった。
いよいよ決勝である。
兄、真晴選手のかたき討ちである。
ところでこのイム選手のコーチはなんとも憎めない人で、実況やカメラも気になってしかたがなかったようだ。
顔がイム選手とよく似ているので親子かもと思った
緊迫した場面でもリラックス
逆転されて「あらら」とばかりに笑顔
こんな様子を放映されて、「緊張感が足りん!」と協会の偉い人から叱られなければいいのだが。
そして決勝戦。
両選手ともに過度に緊張していて反応が遅れたり、凡ミスを連発したりしている。
チョ選手は弱気を振り払うかのように積極的に攻め、和弘選手は後手に回ることが多かった。
威力のあるドライブを打つチョ選手
和弘選手は自分が攻めるよりも、できるだけミスをしない卓球でチョ選手に挑んだようだ。
相手に先に攻撃させる消極的な卓球ではサンドバックになってしまいそうだが、和弘選手は単に相手に先手を取らせたのではなく、相手の打ちにくいところに鋭いツッツキを送ったり、エンドラインぎりぎりの深いボールを返球したりしてチョ選手のミスを誘ったようだ。
私も草卓球レベルで経験があるが、こういう緊張する場面ではいつもどおりのショットが全く打てない。それどころか手が震えてサーブ・レシーブも満足にできなくなったことがある。ジリ貧なので強気に無理に攻めようとしても、ミスを連発してしまう。こういうときには和弘選手がやったように、強気に攻める卓球ではなく、ミスをしない卓球をするという戦術がいいのかもしれないと思った。安定して低いツッツキやストップ、コースを突いたフリックなどが打てるように練習しなければなぁと思った。
禍福はあざなえる縄のごとし。
今大会で勝利の美酒に酔った選手が安心して伸び悩んでしまったり、勝利を逃した選手が臥薪嘗胆をした結果、東京オリンピックで好成績を残せるということもあるかもしれない。
絶好球をミスして天を仰ぐチョ選手
コメント
コメント一覧 (6)
真晴選手は、動きすぎなんだと思います。それで空振りが多い。ここぞというときだけフットワークを使って、普段はもっとフォア・バックハンドで対応する方がいいと思います。
コメントありがとうございます。
卓球では足を使えば使うほど褒められるという風潮がありますが、足の使用を制限するという視点、とても斬新に思えました。なるほどですね。
「足が動いてない!」
という注意はよく聞きますが、これからは
「足を動かしすぎだ!」
という注意を聞くようになるのかもしれませんね。
動きながら打つとどうしても誤差が生じるので、馬龍クラスと当たると空振り多いのでしょう。
コメントありがとうございます。
吉村選手レベルの技術に関する内容だと…私にはコメントできません。
あしからず。