「インスタ映え」という言葉が流行っているらしい。
私もときどきこの言葉を耳にする。

「あの店、すごい人気だね」
「やっぱ、インスタ映えするしね」

なんだろうとは思うものの、しょせん流行語にすぎないのだから、どういう使い方をするのか詳しく調べてみようという気さえ起こらない。
たぶん、「インスタグラム」という写真をアップロードしてみんなに閲覧させるサービスがあるのだと思うが、そのときにみんなの興味を惹きつけるような写真が撮れるのを「インスタ映えする」というのだろう。

先日、女友達Mさんが京都に来ることになって、1年ぶりぐらいに会ったのだが、そのとき、どこで会うか私なりに調べてみた。

京都の繁華街、四条通あたりで会おうかということになったのだが、めったに会う機会がないのだから、ドトール・コーヒーとか、サンマルク・カフェというのも味気なかろう。もう少し特徴のある店のほうが喜ぶに違いない。私はおしゃれなカフェとかいうのはすごく苦手である。どんな店があるか全く知らない。ネットで調べてみると、

「エンガワカフェ」

というのがよさそうだ。
https://retty.me/area/PRE26/ARE108/SUB10901/100000697399/map/

古い町家(伝統的な京都の家屋)を改装した店で、麩を使ったスイーツが売りなんだとか。
engawa

烏丸駅でMさんを迎え、どこに行くか相談したところ、ドトールかスタバのほうが安くていいということだったので、ドトールで小2時間ほど雑談に興じた。

そのときに「インスタ映え」という言葉の意味を詳しく教わったのだ。

M「ふつうの女性は友達と会うときにドトールだの、マクドだの、そういう店に行くのはいやがるのよ」

し「やっぱり女性は舌が肥えているから、おいしいものを食べたいんですよね?」

M「そういうのもあるけど、やっぱり安い店に行くと、自分がみじめになるっていうのが大きいと思う。」

し「ドトールに行くと、みじめな気分になるんですか!?」

M「そうねぇ…。やっぱりどうせ喫茶店に行くなら、一流ホテルの喫茶店とか、話題のおしゃれな店に行った方が『インスタ映え』するじゃない?」

し「その『インスタ映え』ってどういう意味なんですか?つまり、美しい夕日をバックに自分を写した写真を撮るとか、トリックアートの写真を撮るとか、そういうことですか?」

M「そうじゃなくて、高級店に行って『私ってこんなぜいたくなことをふだんからしてるのよ』って見せびらかすことよ。女はそういうことを友達に見せつけたいっていう気持ちがあるのよ。そうすることによって友達の間での自分の地位が守れるのよ。」

し「とすると、外食はガストとか吉野家が多いなんて友達に言うと、仲間内であなどられるってことですか?」

M「うん。そんな感じ。『かわいそ~』って目で見られて、一段下だと思われる。夫は医者とか大学教授で、自分は有閑マダムで生活に余裕があって、夏は毎年ハワイに行って…とかいう自分を演じるのが女は好きなのよ。私はそういうのはどうでもいいけどね。」

なるほど。「インスタ映え」というのはそういう意味だったのか。
ちなみにMさんは代々医者の家系である。

女性の考え方というのはおもしろいなぁ。私ならスタバは高いから、コンビニのイートイン・コーナーでおしゃべりしたらどうかなどと提案しそうなのに、「スタバではぜいたくさが足りないから、高級ホテルの喫茶店にしよう」だなんて発想はなかった。

どうでもいいことだが、京都の一流ホテルというと、市役所の隣の京都ホテルオークラと、蹴上のウェスティン都ホテルが有名だが、京都ホテルの喫茶室で一度コーヒーを飲んだことがある。1杯800円だった。コーヒーが800円!昼ごはんが食べられるじゃないか!でも、お代わりが自由で、長居ができるので、使いようによってはお得だと思う。

こういう観点からすると、女性にとって卓球はどういう位置づけなのだろうか。
「卓球が趣味なんて貧乏くさ~」とか言われないだろうか。
おそらく卓球よりもテニスとかサーフィンをやっていると言ったほうが「インスタ映え」するのだろう。しかし、サーフィンは言うに及ばず、テニスというのも練習場所が限られているから、手軽にとりくみにくい趣味である。用具も卓球より高めだ。そこでジョギングとかヨガという趣味が女性に人気なのだろう。ジョギングなんて20~30年前はほとんど人気がない趣味だったと思う。体重を気にしている女性が鉢巻をして必死に走っている姿が目に浮かぶ。ヨガにいたっては「ちょっと変わった人の趣味」と思われていたと思う。しかし、今はどちらも「インスタ映え」する趣味になっている。なぜか?アメリカのセレブの間で流行っているからである。それなら卓球にも希望がある。アメリカのスポーツ選手や金持ちの間で卓球の人気が上がっているからだ(前記事「アメニティー卓球」)。日本で卓球が「インスタ映え」する趣味になるにはどうしてもアメリカ卓球にがんばってもらわなければならない。日本卓球協会も卓球の普及にがんばっているが、アメリカ卓球に働きかけるという戦略も、普及には効果的にちがいない。

この記事を書くことによって私もやっと「インスタ映え」という単語が正しく使えるようになったと感じた。