若い頃、バレーボールで全国レベルだった人の話をきいて、いろいろ参考になったので紹介したい。
今年の京都は寒さが厳しいが、その日はとりわけ寒い日で、私とBさんは屋外で話をしていた。
私「最近寒いので、光熱費がとんでもないことになってるんですよ。これじゃいかんと思って部屋の中でできるだけ身体を動かすようにしているんです。身体をちょっと動かすだけで、暖房なんかいらないぐらい身体が温まりますからね。」
B「試合会場でも身体が冷えていると、いいプレーができませんよね。」
私「そうそう、最近毎日ストレッチをするようにしているんですよ。Bさんも現役のときは試合前にストレッチを入念にしたんでしょうね。」
B「いえ、しませんよ。試合前の体育館でストレッチをしている人がときどきいるけれど、私に言わせれば、『なぜここで?』って感じですよ。ストレッチなんて朝起きたときにしておくものですよ。試合会場に来たら、アップしなきゃ。」
Bさんによると、バレーボールでは、試合前にランニング等のウォームアップを行い、いつでも最高のパフォーマンスを出せるように身体を温めておくのだそうだ。あれ?卓球ももしかしたら同じだろうか。私はストレッチさえろくにしないで試合に臨んだりすることもよくあるのだが…。
B「アップもしないでいきなりボールに触るなんて言語道断!なんで試合会場でいきなりボールを使った練習をする人が多いんでしょうね。ボールなんて毎週触っているんだから、感覚がないなんてことはないのに。試合前にはとにかくアップ!」
Bさんは若い頃に鳴らした腕前だから、週に1回の練習で十分なのかもしれないが、ふつうの人は試合前にボールの感覚に慣れておきたいと思うのではないだろうか。Bさんからすると、開会式の前にボールを打ち合って打球感覚を確認している卓球人の行動は理解できないことだろう。
私「バレーボールのアップってどんなことするんですか?回転レシーブの練習とか?」
B「ダッシュとか、フットワークですよ。フットワークは卓球でもするでしょ?」
私「はい。サイドステップで数メートル往復する練習を中学の時よくやりました。」
と身体が冷えてきたので、その場でサイドステップで往復してみる。
私「こうすると、すぐに身体が温まりますよ。」
B「そのフットワークじゃダメでしょ。サイドステップっていうのはこうやるんですよ。」
Bさんがその場でサイドステップを実践してみてくれたのだが、私のサイドステップとぜんぜん違う。
私のサイドステップは上の動画のようにポヨ~ンポヨ~ンと軽くジャンプしながらリラックスして移動するのだが、Bさんのサイドステップはザッザッザッと小刻みで速い。このフットワークをどこかで見たことがある。
Table Tennis - Chinese Footwork
そうだ!この動画だ。私のサイドステップは右足と左足を近づけてのんびりと横移動をするのだが、この中国選手は脚を大きく開いたままで細かく素早く移動する。これぞまさにフットワークである。こういうフットワークを身に付けたい。最近、フォアハンドもバックハンドもかなり安定してきたので、次はフットワークの改善を図ろうと思っていたところなのだ。
うちに帰ってバレーボールのフットワークの動画を探してみたのだが、いいのが見つからなかった。代わりにバドミントンのフットワークの動画を発見した。
「前後左右のフットワークの効率的な練習法はありますか?」
バドミントンのオリンピック日本代表の井川里美氏の指導動画なのだが、私の疑問にちょうど答えてくれるようなくだりがあった。
https://youtu.be/2D7QKKaRySM?t=105
「横に飛ばすサイドステップならいいんですけど」
「上に上がってしまうサイドステップになってしまうと、上がる分がどうしてもロスになってしまう」
説明は下の動画のほうがより詳しい。
「素早く動くための構え方や動き方を教えてください。」
ポイントをまとめると、
・軽い前傾姿勢(猫背はダメ)。
・腰はあまり落とさない。
・ヒザを軽く曲げておく。
・脚の力を抜いておく。
・重心は左右どちらにも動けるように中心に。
・進行方向の反対の足の拇指球でフロアを蹴る(外側に蹴る)ことによって素早く動く
最後のポイント「拇指球でフロアを蹴る」についてだが、補足が必要である。
例えば右利きの人がバック側に回り込むときなら、一度身体をフォア側(右側)に軽く傾けて、体重を右足にしっかりと乗せてから素早く右足で床を蹴って左側に移動するといいらしい。つまり動き出しの時、一瞬、進行方向と反対に動くのだ。素早く動けるかどうかは、右足の蹴りの力が強いかどうかで決まるのだという(左に移動するとき)。
私は回り込みの動き出しの時、まず左足を軽く踏み出して、左足で右足を引き寄せるように移動するという、いわゆる「三歩動」で横移動をしていたのだが、他の競技ではこの三歩動という言葉をあまり使っていないようだ。三歩動というのは本当に有効なのだろうか。Bさんや中国選手や井川氏のザッザッザッという小刻みのフットワークは三歩で1セットの動きには見えない。下の吉田選手の動画を見ても、ちゃんと三歩セットで動いているようには見えない。両足を同時に動かしているように見える。そして井川氏が言っていた右足を蹴るかどうかについても言及がない(中国選手の動画ではあまり蹴りを使っているようには見えないが)。
「左右のフットワークの基本」
【卓球ライジング】フットワーク
どうして卓球のフットワークでは三歩動が標準となっているのだろう。バドミントンではそのようなことをあまり言わないようである。
初心者が足の動かし方が分からないというときに、いろいろな「正しい」ステップがあって教えにくいから、とりあえずの標準になるものとして作られたのだろうか(例えば漢字の書き順のように)。上の卓球ライジングの動画(村松選手のステップをみると、バック側へは三歩動っぽい動きをすることが多いが、フォア側へ動くときは両足を同時に動かしているように見える)のように基本練習をしているときは三歩動が適しているのかもしれないが、実戦では三歩動が機能しない場面も多いのではなかろうか。
三歩動がどうして卓球では標準になっているのか私には分からない。ご存じの方がいれば、ご教示いただけるとありがたい。
今年の京都は寒さが厳しいが、その日はとりわけ寒い日で、私とBさんは屋外で話をしていた。
私「最近寒いので、光熱費がとんでもないことになってるんですよ。これじゃいかんと思って部屋の中でできるだけ身体を動かすようにしているんです。身体をちょっと動かすだけで、暖房なんかいらないぐらい身体が温まりますからね。」
B「試合会場でも身体が冷えていると、いいプレーができませんよね。」
私「そうそう、最近毎日ストレッチをするようにしているんですよ。Bさんも現役のときは試合前にストレッチを入念にしたんでしょうね。」
B「いえ、しませんよ。試合前の体育館でストレッチをしている人がときどきいるけれど、私に言わせれば、『なぜここで?』って感じですよ。ストレッチなんて朝起きたときにしておくものですよ。試合会場に来たら、アップしなきゃ。」
Bさんによると、バレーボールでは、試合前にランニング等のウォームアップを行い、いつでも最高のパフォーマンスを出せるように身体を温めておくのだそうだ。あれ?卓球ももしかしたら同じだろうか。私はストレッチさえろくにしないで試合に臨んだりすることもよくあるのだが…。
B「アップもしないでいきなりボールに触るなんて言語道断!なんで試合会場でいきなりボールを使った練習をする人が多いんでしょうね。ボールなんて毎週触っているんだから、感覚がないなんてことはないのに。試合前にはとにかくアップ!」
Bさんは若い頃に鳴らした腕前だから、週に1回の練習で十分なのかもしれないが、ふつうの人は試合前にボールの感覚に慣れておきたいと思うのではないだろうか。Bさんからすると、開会式の前にボールを打ち合って打球感覚を確認している卓球人の行動は理解できないことだろう。
私「バレーボールのアップってどんなことするんですか?回転レシーブの練習とか?」
B「ダッシュとか、フットワークですよ。フットワークは卓球でもするでしょ?」
私「はい。サイドステップで数メートル往復する練習を中学の時よくやりました。」
と身体が冷えてきたので、その場でサイドステップで往復してみる。
私「こうすると、すぐに身体が温まりますよ。」
B「そのフットワークじゃダメでしょ。サイドステップっていうのはこうやるんですよ。」
Bさんがその場でサイドステップを実践してみてくれたのだが、私のサイドステップとぜんぜん違う。
私のサイドステップは上の動画のようにポヨ~ンポヨ~ンと軽くジャンプしながらリラックスして移動するのだが、Bさんのサイドステップはザッザッザッと小刻みで速い。このフットワークをどこかで見たことがある。
Table Tennis - Chinese Footwork
そうだ!この動画だ。私のサイドステップは右足と左足を近づけてのんびりと横移動をするのだが、この中国選手は脚を大きく開いたままで細かく素早く移動する。これぞまさにフットワークである。こういうフットワークを身に付けたい。最近、フォアハンドもバックハンドもかなり安定してきたので、次はフットワークの改善を図ろうと思っていたところなのだ。
うちに帰ってバレーボールのフットワークの動画を探してみたのだが、いいのが見つからなかった。代わりにバドミントンのフットワークの動画を発見した。
「前後左右のフットワークの効率的な練習法はありますか?」
バドミントンのオリンピック日本代表の井川里美氏の指導動画なのだが、私の疑問にちょうど答えてくれるようなくだりがあった。
https://youtu.be/2D7QKKaRySM?t=105
「横に飛ばすサイドステップならいいんですけど」
「上に上がってしまうサイドステップになってしまうと、上がる分がどうしてもロスになってしまう」
説明は下の動画のほうがより詳しい。
「素早く動くための構え方や動き方を教えてください。」
ポイントをまとめると、
・軽い前傾姿勢(猫背はダメ)。
・腰はあまり落とさない。
・ヒザを軽く曲げておく。
・脚の力を抜いておく。
・重心は左右どちらにも動けるように中心に。
・進行方向の反対の足の拇指球でフロアを蹴る(外側に蹴る)ことによって素早く動く
最後のポイント「拇指球でフロアを蹴る」についてだが、補足が必要である。
例えば右利きの人がバック側に回り込むときなら、一度身体をフォア側(右側)に軽く傾けて、体重を右足にしっかりと乗せてから素早く右足で床を蹴って左側に移動するといいらしい。つまり動き出しの時、一瞬、進行方向と反対に動くのだ。素早く動けるかどうかは、右足の蹴りの力が強いかどうかで決まるのだという(左に移動するとき)。
私は回り込みの動き出しの時、まず左足を軽く踏み出して、左足で右足を引き寄せるように移動するという、いわゆる「三歩動」で横移動をしていたのだが、他の競技ではこの三歩動という言葉をあまり使っていないようだ。三歩動というのは本当に有効なのだろうか。Bさんや中国選手や井川氏のザッザッザッという小刻みのフットワークは三歩で1セットの動きには見えない。下の吉田選手の動画を見ても、ちゃんと三歩セットで動いているようには見えない。両足を同時に動かしているように見える。そして井川氏が言っていた右足を蹴るかどうかについても言及がない(中国選手の動画ではあまり蹴りを使っているようには見えないが)。
「左右のフットワークの基本」
【卓球ライジング】フットワーク
どうして卓球のフットワークでは三歩動が標準となっているのだろう。バドミントンではそのようなことをあまり言わないようである。
初心者が足の動かし方が分からないというときに、いろいろな「正しい」ステップがあって教えにくいから、とりあえずの標準になるものとして作られたのだろうか(例えば漢字の書き順のように)。上の卓球ライジングの動画(村松選手のステップをみると、バック側へは三歩動っぽい動きをすることが多いが、フォア側へ動くときは両足を同時に動かしているように見える)のように基本練習をしているときは三歩動が適しているのかもしれないが、実戦では三歩動が機能しない場面も多いのではなかろうか。
三歩動がどうして卓球では標準になっているのか私には分からない。ご存じの方がいれば、ご教示いただけるとありがたい。
コメント
コメント一覧 (4)
3歩動は初心者が行うような遅いラリーの中で使われるには良い基本ですね。
そういうレベルの低い卓球なら、全体のフットワークの9割くらい(※)が
この3歩動でまかなえると思います。
しかしレベルが上がるに連れて、全体のフットワークの8割くらい(※)を
平行移動のフットワークが占めるようになるんじゃないかな、と私は考えます。
(※)なおこの2つの割合は私の体感です。
コメントありがとうございます。
なるほど。三歩動はゆっくりしたラリーのためのステップなんですね。
私のフットワークが悪いのは、早いラリーでも三歩動を使おうとしてしまったところに原因があるのかもしれません。
中国選手のフットワーク(以下FW)も踵を着けて打ち、踵を床に押す様にして動いてます。小さいですが、上下の動きです。バドミントン選手の「膝カックン」てすが、これは「膝抜き」と言われる身体操作法です。動き出しに有効です。
母指球で蹴ると解説に有りましたが、踵から着地して母指球に力が抜ける動きです。歩く動作で踵から着地する様にすると感覚が掴めます。膝は勝手に曲がります。
踵を着けて良いというのは日本の現NTでも認知されてる動きです。
何故、3歩動?ですが、フォアハンドの攻撃率を高める為に大きい動きをオールフォアで打つ為の歩法と推測します。両ハンドが標準の現代卓球は2歩動が主であり、間に合わない時は飛び付きます。足は移動、打つのは腕と分業して考えると整理しやすいですよ。
詳細な補足、ありがとうございます。
猫のように爪先立ちが早く動けるイメージがありますが、卓球ではかかとをつけて移動する方が一般的なんですね。三歩動はフォア主体の動き方とのこと。なるほどそうだったんですね。小さいステップには三歩動は向いていないみたいですね。