『TAMA』という雑誌はおそらく関西以外では流通していないだろう。

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一言でいうと、関西で開催される大会情報が載っている雑誌である。
申し込み締め切り、開催日、開催場所などの情報が細かく載っている。イメージとしてはかつてあったアルバイト情報誌『From A』のような雑誌である。定価は500円。年4回発行。本屋さんではなく、卓球場やネットショップで買える。

こういう雑誌は個人ではふつう買わないだろう。試合に出る人が多い卓球クラブなどで購入するのではないだろうか。私も卓球場などでちょっと目にする程度で、あまり手に取って読もうとは思っていなかった。

先日、時間があったので、この雑誌をはじめてきちんと読んでみた。予想外に楽しめた。

情報誌なので、大会の応募要領などしか載っていないと思っていたのだが、卓球業界の有名人へのロングインタビュー、関西の大会のハイライト、卓球メーカーのお勧め用具の紹介、関西の卓球場紹介、関西の学校の卓球部紹介、技術記事など、大会情報以外にもいろいろなコンテンツがあった(情報量はほどほどであるが、むしろそれがいい)。大会情報も関西だけでなく、日本全国の大会情報(ローカルな小さな大会も含む)が紹介されていた。

注目すべきは関西の大会のハイライトだった。インターハイやインカレ、全日本の結果は『卓球王国』などで大きく取り上げられているが、関西学生(関西学生卓球選手権)、高校や中学の近畿大会の結果がデカデカとカラー写真で紹介されているのはTAMAならではだろう。

そういえば、関西の大学生でどんな選手が活躍しているか全然知らなかった。「関西学生」の結果を見ると、今、男子は関学の高橋和也選手が強いらしい。京都では誰が強いんだ?男子では龍谷大学の留学生、張博良選手がベスト8だ。男子の京都勢は元気がないなぁ。女子はどうだろう?やっぱり関学の向山佳那選手が強いようだ。おっ!同志社の塩見紗希選手が準優勝だ。三位には同志社の橋田菜津子選手、立命館の笹岡柾美選手が入っている。ベスト8には同志社の政本ひかり選手、朝田茉依選手が入っている。女子は京都勢ががんばっているなぁ。そういえば、同志社の成本綾海選手が去年の全日学で優勝したんだっけ。同志社女子卓球部、頼もしいぞ。

高校生はどうだろう?
近畿大会の結果は、男子は大阪桐蔭の菅沼湧輝選手が強いらしい。2位は竹内佑選手、東山だ!3位は大阪桐蔭と上宮の選手か。東山は大阪勢に押され気味だなぁ。女子はどうだ?…四天王寺にベスト4を独占されているし、ベスト8も昇陽が一人入っているだけで、他は四天王寺だ。女子は四天王寺がいるので、京都勢の上位進出は難しいだろうなぁ。
しかし、団体戦は東山が優勝。龍谷大平安が3位。女子は華頂が準優勝。団体では京都勢がなかなかがんばっている。。

中学はどうだ?
ああ、やっぱり大阪勢が強いなぁ。京都の芝優人選手が3位に入っているが、シングルは男女ともに大阪が強いようだ。団体戦は女子で黄檗中学が3位に入っている。なんとか大阪優位の関西卓球界を変えたいものだ。

あれ?なんだか楽しいぞ。
レベル的に見ると、関東の大学や名電、野田学園などの高校のほうが関西の大学、高校よりもレベルが高いが、私は明治大学や専修大学の対決よりも、京都の大学と大阪・兵庫の大学の結果のほうが気になる。もし自転車で行ける範囲で近畿大会が行われていたら、観に行ってしまうかもしれない。全国レベルのようなレベルの高い大会があっても、それほど見に行きたいという気持ちは湧かないだろう。それよりも地元の学生の試合のほうを観戦したい気持ちが強くなってきた。ブレイクする前の歌手を応援する人の気持がわかる。

新体連の近畿大会の結果も載っている。あれ?この人知ってるぞ。へぇ、近畿大会で年代別で3位に入った人だったんだ。道理で強いはずだ。

卓球ショップや卓球場の紹介も、行ったことがあったり、よく耳にするところだったりする。

昔、AKB48が「会いに行けるアイドル」ということで売り出していたが、こういう地元密着型の雑誌を読むと、関西トップ選手の顔と名前が分かり、そうすると、その選手がどのぐらい強いのか、ちょっと試合会場に足を運びたくなってくる。Tリーグプレミアが世間の注目を集めているが、遠い世界の話のような気がする。逆に関西のトップ選手なら、現実世界の試合という気がする。関学の向山佳那選手と同志社の塩見紗希選手の再戦が実現するなら、それを見に関西の大学生の試合を見てみたいという気がする。塩見選手、次はリベンジだ!

そして特筆すべきは「基礎の鬼」という技術指導ページである。
「全日本で光った技術」とか「世界の技」とかではなく、初中級者向けの非常に役に立つ情報が書いてあった。白黒の記事で、一つの技術につき、1ページで簡潔にまとめてある。書いているのは卓球教室の指導者で、とても分かりやすい。おお!ペン表のストップの指導記事にKotoの大西コーチが…。ストップは大西コーチの得意技なのかもしれない。

以上、TAMAをじっくり読んでみた感想である。すべてにおいて地に足がついている気がする。全日本選手権ともなると、さすがに結果が気になるが、それ以外の中学や高校の全国大会の結果というのは私にとっては「ベラルーシの年間降雨量」のような話かもしれない。

セトウツミ

TAMAのような地域密着の雑誌が全国的に増えれば、草の根レベルで卓球が盛り上がり、卓球観戦も盛んになるのではないだろうか。

【付記】京都の卓球事情
地域によって社会人が参加できる大会が違い、他地域の人は京都の卓球事情を知りたいかもしれない。もし京都に引っ越してくる卓球人がいれば、参考になるかと思い、京都で社会人が出場できる一般的な大会を紹介したい。

京都には協会(京都卓球協会)と新体連(新日本スポーツ連盟 )という二つの大きな団体があり、数多くの大会を開催している。私の周りの人は月に1~2回はどちらかの団体の試合に出ている人が多い。試合が好きでたまらない人は大阪や神戸、あるいは滋賀まで遠征に行って毎週末試合をしている。

「協会」開催の大会は本格派の若い選手が参加する大会が多く(全中とかインターハイの予選を行っている)、「新体連」の大会は社会人の趣味の大会が多い。京都の社会人のレベルはそれほど高くなく、大阪や神戸のほうが高いようだ。また、京都市内ではラージボールがほとんど行われていない。ラージが盛んなのは京都南部の城陽市や宇治市である。

私のような社会人に身近な試合には「協会」開催の社会人リーグと「新体連」開催の年齢別、クラス別の大会がある。

社会人リーグ
は「協会」開催で、年に4回開催される4S1Wの団体戦。大きく3つのレベルに分かれている(女子のほうはよく知らないので男子の紹介のみ)。1部につき8チームぐらいいて、リーグ戦を行い、上位2チームが昇格。下位2チームが降格。昇格や降格がかかっているので、真剣勝負。チームでユニフォームを揃えないと失格→自動的に降格。厳しい。

・トップリーグ(1~5部) 一番上の1部や2部は東山高校や平安高校の卒業生などが混じっているので、非常にレベルが高い。私のようなオジサンには場違いのリーグ。
・レギュラーリーグ(1~5部) ふつうじゃないほど卓球好きのオジサンたちがいるリーグ。
・チャレンジリーグ(1~10部) ふつうの卓球好きのオジサンたちのリーグ。


年齢別
は新体連開催で、一般、40代、50代…と年代に分かれている個人戦。実力がまちまちの人を年齢でくくっているので、とんでもなく強い人や弱い人と当たる可能性がある。年に1~2回?、近畿大会や全国大会に進める大会もある。そのときだけ出場者のレベルがグッと上がる。

クラス別
は新体連開催で、レベルによってA~Eに分かれて行われる個人リーグ戦。Eは初心者、Aは昔、近畿大会や全国大会に出場したようなかなり上手なオジサンのレベル。自分のレベルに合わせて出場できるので人気がある。そのレベルで優勝した人は、一つ上のレベルに上がらなければならない。

他にも協会が開催する個人戦や、市や府が開催するオープン戦がいくつもあるが、私はよく知らない。