最近、WRMの動画を観て、とても参考になった動画を2つ紹介したい。
一つは「ラケットの持ち方から覚える裏面打法の基礎」という動画で、KOTO卓球スタジオの大西コーチという人が教えてくれる。
非常に分かりやすい説明で、裏面が安定せずに悩んでいる人は必見の動画である。
まずラケットの角度を出すというところから始める。相手のボールに軽く合わせて落ちない角度を作らないと、どうしても回転で擦って入れる不安定な裏面になってしまうので、こすらなくても入る角度を作るのだが、従来の日ペンのグリップでは裏面の角度が出ない。そこで人差し指をひっかけず、かなり浅く握る。
ちなみに私のグリップはこうである(表面ショートは捨てている)。
参考までに宋恵佳選手のグリップである。
そしてヘッドの向きは横か、やや下向き。
私も一時はシェークのように斜め上向きの裏面を試したことがあるのだが、あまり安定しなかった(大きなラリーなら上向きでも安定するかもしれない)。
最後に肘ではなく、腕で回すように打つというスイング。
最近、私もこれをうすうす感じていて、前腕(肘支点)で裏面を振ると、ときどき力が入らず、心もとない感じがしていたのだ。この動画を観て意識的に肘を固定して腕全体を回すように振ってみたら、非常に安定した。
そして私の現在の考え方は、バックハンドを振るときは、体の中心に近い部分から振れば振るほど安定するというものである。手首だけでこねる裏面バックハンドは論外で、前腕だけの裏面もときどき不安定になる。上腕を回すように振ってみると安定する。腕の根本よりもさらに中心に近い肩甲骨を引っ張るようにバックハンドを振ると、より安定する気がする。もしかしたら、これが肩甲骨打法というものではないだろうか。
おまけに「悪い例」というのも秀逸である。「裏面あるある」である。大西コーチに裏面を教われば、最短距離で裏面が安定するようになると思われる。
そしてもう一つの動画はぐっちぃ氏の「最強のサーブドライブ戦術50選」である。
非常にさりげない戦術なので、指摘されないと気づかないものばかりだが、言われてみれば、なるほどと納得させられる。
例えばわざと切らないサーブを出すというのは、「サーブというのは切れていればいるほどいい」と考えがちな多くの初中級者にはなかなか思いつかない戦術である。また、「大きなラリーでバックに回転量の多いループを送ると有利になる」。私がもし偶然そんなプレーをして、得点したとしても、そのプレーの有効性に気づかずに「ラッキー」としか思わないだろう。
ぐっちぃ氏の何気ないプレーはこんなにも計算されていたのかと、驚かされる。
ただ、このぐっちぃ氏の動画は返ってきたレシーブを安定して返球できることが前提となっている。だが、初中級者はそもそも返ってくるボールを安定して返球できない人がほとんどなのではないだろうか。こちらが相手の意表を突くサーブを出して、相手があたふたして変な返球をしてきたら、こちらもいつもと違うボールにあたふたしてムチャ打ちをしてしまったりする。
裏面の動画と戦術の動画は、前提と目的が異なっている。
裏面の動画は、技術が安定しないという前提があって、それを安定させるという目的の動画である。
戦術の動画は、技術が安定しているという前提があって、それをいかに有効に使うかという目的の動画である。
前者は初中級者向け、後者は中上級者向けと言えるだろうか。
それがどうした?と読者は思われるだろう。
私は今までこの二つをはっきり分けずに練習してしまっていた。
安定しない技術を安定させる練習(例えば裏面)の中に、それをどんなコースに打ち、どうやってスピードと回転量を両立させれば有効かという練習を混ぜてしまっていたことに気づいた。安定しない段階で質の高いボールを打とうとすれば、ミスを連発するに決まっている。しかし、どうせ裏面の練習をするなら、ついでにボールの質も高めてしまおうというスケベ心が働いて、どっちつかずの中途半端な練習になってしまっていたのではないか。安定させる練習なら、安定性を最優先し、コースを打ち分けたり、強い回転をかけたりするよりも、バック半面にゆるいボールを送ってもらい、それを小さく動きながらほぼミスなく打てるようになったところで、次の段階――ボールの質を向上させるというステップを踏むというやり方のほうが練習効率がいいと思われる。50%ぐらいミスなく打てるようになったところで、つい強いボールを打って練習したくなるが、そうすると、安定性がいつまで経っても身につかない。安定性とボールの質を一つの練習でいっしょにやってしまうのはやめたほうがいいと私の経験が告げている。
練習の前提と目的を理解し、安定しない技術でボールの質を高めようとするのは練習効率が悪い。私なりの練習に対する態度である。
一つは「ラケットの持ち方から覚える裏面打法の基礎」という動画で、KOTO卓球スタジオの大西コーチという人が教えてくれる。
非常に分かりやすい説明で、裏面が安定せずに悩んでいる人は必見の動画である。
まずラケットの角度を出すというところから始める。相手のボールに軽く合わせて落ちない角度を作らないと、どうしても回転で擦って入れる不安定な裏面になってしまうので、こすらなくても入る角度を作るのだが、従来の日ペンのグリップでは裏面の角度が出ない。そこで人差し指をひっかけず、かなり浅く握る。
ちなみに私のグリップはこうである(表面ショートは捨てている)。
参考までに宋恵佳選手のグリップである。
そしてヘッドの向きは横か、やや下向き。
私も一時はシェークのように斜め上向きの裏面を試したことがあるのだが、あまり安定しなかった(大きなラリーなら上向きでも安定するかもしれない)。
最後に肘ではなく、腕で回すように打つというスイング。
最近、私もこれをうすうす感じていて、前腕(肘支点)で裏面を振ると、ときどき力が入らず、心もとない感じがしていたのだ。この動画を観て意識的に肘を固定して腕全体を回すように振ってみたら、非常に安定した。
そして私の現在の考え方は、バックハンドを振るときは、体の中心に近い部分から振れば振るほど安定するというものである。手首だけでこねる裏面バックハンドは論外で、前腕だけの裏面もときどき不安定になる。上腕を回すように振ってみると安定する。腕の根本よりもさらに中心に近い肩甲骨を引っ張るようにバックハンドを振ると、より安定する気がする。もしかしたら、これが肩甲骨打法というものではないだろうか。
おまけに「悪い例」というのも秀逸である。「裏面あるある」である。大西コーチに裏面を教われば、最短距離で裏面が安定するようになると思われる。
そしてもう一つの動画はぐっちぃ氏の「最強のサーブドライブ戦術50選」である。
非常にさりげない戦術なので、指摘されないと気づかないものばかりだが、言われてみれば、なるほどと納得させられる。
例えばわざと切らないサーブを出すというのは、「サーブというのは切れていればいるほどいい」と考えがちな多くの初中級者にはなかなか思いつかない戦術である。また、「大きなラリーでバックに回転量の多いループを送ると有利になる」。私がもし偶然そんなプレーをして、得点したとしても、そのプレーの有効性に気づかずに「ラッキー」としか思わないだろう。
ぐっちぃ氏の何気ないプレーはこんなにも計算されていたのかと、驚かされる。
ただ、このぐっちぃ氏の動画は返ってきたレシーブを安定して返球できることが前提となっている。だが、初中級者はそもそも返ってくるボールを安定して返球できない人がほとんどなのではないだろうか。こちらが相手の意表を突くサーブを出して、相手があたふたして変な返球をしてきたら、こちらもいつもと違うボールにあたふたしてムチャ打ちをしてしまったりする。
裏面の動画と戦術の動画は、前提と目的が異なっている。
裏面の動画は、技術が安定しないという前提があって、それを安定させるという目的の動画である。
戦術の動画は、技術が安定しているという前提があって、それをいかに有効に使うかという目的の動画である。
前者は初中級者向け、後者は中上級者向けと言えるだろうか。
それがどうした?と読者は思われるだろう。
私は今までこの二つをはっきり分けずに練習してしまっていた。
安定しない技術を安定させる練習(例えば裏面)の中に、それをどんなコースに打ち、どうやってスピードと回転量を両立させれば有効かという練習を混ぜてしまっていたことに気づいた。安定しない段階で質の高いボールを打とうとすれば、ミスを連発するに決まっている。しかし、どうせ裏面の練習をするなら、ついでにボールの質も高めてしまおうというスケベ心が働いて、どっちつかずの中途半端な練習になってしまっていたのではないか。安定させる練習なら、安定性を最優先し、コースを打ち分けたり、強い回転をかけたりするよりも、バック半面にゆるいボールを送ってもらい、それを小さく動きながらほぼミスなく打てるようになったところで、次の段階――ボールの質を向上させるというステップを踏むというやり方のほうが練習効率がいいと思われる。50%ぐらいミスなく打てるようになったところで、つい強いボールを打って練習したくなるが、そうすると、安定性がいつまで経っても身につかない。安定性とボールの質を一つの練習でいっしょにやってしまうのはやめたほうがいいと私の経験が告げている。
練習の前提と目的を理解し、安定しない技術でボールの質を高めようとするのは練習効率が悪い。私なりの練習に対する態度である。
コメント
コメント一覧 (6)
WRMの布袋先生の動画を拝見してから古武術卓球について興味を持つようになり、肩甲骨について調べるようになりました。
ぐだぐだと説明してもしょうがないので、結論だけ申しますと、YouTubeの卓球動画で、裏面打法やシェークのバックハンドを振り回しているスーパーマンたちは、肩甲骨主導でスイングしています。
…ですが、彼ら彼女ら超人たちは「肩甲骨を使っている」という感覚(下手すればその存在までも)を持っていないため、そのことには触れていません。
それが悪いことではなく、それだけ自然に行えているために、何も考えることなく、人間を卓越したことを行えるのでしょうけど。。。
その超人たちの動きに近付くアプローチ方法が、古武術卓球だと思っています。
古武術の本などでは、肩甲骨を使うための意識として「鎖骨辺りから長い腕が生えている」と思いながら動作を行うことを推奨されています。超人たちは、無意識にその感覚を持っています。
…が、私のような凡人は、腕を「肩の先にだけ存在する」と思っているために、腕から先の動作しか行えず、ヘロヘロ球しか打てません。
私たちのような輩には、シェークハンズの平岡さんのように「肩甲骨使ってスイングしましょう」というアプローチ方法が最適であり、バックハンドを振るための本質として肩甲骨を使う感覚を養うことが正しいと私は思っていますが、
超人さんたちは肩甲骨を使っている意識がないために、ラケットの角度だったり、スイングの軌道だったりと、肩甲骨とかけ離れた説明をします。卓球レポートでは「肘から先を支点に…」という説明もありました。
(肩甲骨で引っ張った後に、腕のしなりで打球するという意味合いでは間違いないのですが。。。)
このように、凡人と超人で「身体操作の感覚」に隔たりがあるために、超人の説明の通りやれば上手くなれるわけではないんだなぁと思いました。
この記事で紹介されている動画も、もしかしたら彼らにとっては肩甲骨を使えるようにする狙いがあるのかもしれませんが、凡人にとっては「肩甲骨の存在」そのものを知らない限りは、あの動画見ても腕先でしか振らないと思います。
超人のように、何も考えることなく効率の良い動きを身につけている人が、世に言う「運動神経の良い人」なのだと、私は思います。
※古武術卓球では、肩甲骨や骨盤を使えればOKということではなく、人間の何百ある骨・関節・筋肉を総動員させて、大きな爆発力を生み出すというイメージです。
ですので、古武術卓球を理解されている方からしますと、私のバックハンド肩甲骨理論も誤りなのでしょう。
失礼しました。
興味深い情報、ありがとうございます。
上級者が名指導者とは必ずしもならないこと、おっしゃる通りですね。
上級者が上級者に教える場合はいい指導ができるかもしれませんが、初級者に教えるのはかえって難しそうです。英会話教室のうたい文句「先生は全員ネイティブ」を思い出しました。ネイティブの先生が日本人をうまく教えるのは非常にむずかしいと思います。古武術というのはよく耳にしますが、きっと非常に奥が深く、有益な知恵がたくさん含まれているんでしょうね。それらをコンパクトに分かりやすくまとめてくれる布袋先生のような人がもっと出てきてほしいです。たぶん古武術の知恵(関節全てを使う?)を身につけるには最低でも十年以上の時間がかかるでしょうから、私には時間がありません。私は私なりに肩甲骨がどのように動くといいボールが打てるのか、これからじっくり観察していきたいと思います。ところでどうして「古」武術なんでしょうね。何か理由があって廃れていったものが、長い年月を経て再発見されたような命名ですね。どうして現代の武術にはこれらの知恵が採用されなかったのか。廃れた理由というのも興味あるところです。
本記事でしろのさんのグリップが拝見できてとても勉強になりました。
載せて頂いて、ありがとうございました。
またの機会に裏面のグリップを拝見できると嬉しく思います。
コメントありがとうございます。
私のグリップなど、お見せするようなものでは…。
人差し指と中指の先端(側面ではなく)を面に付けていると思います。
>人差し指と中指の先端(側面ではなく)を面に付けていると思います。
なるほど、その握りも興味深いですね。
参考にさせていただきます。教えて頂き、ありがとうございました。