平成がついに終わる。
ニュースによると、平成は30年までで、再来年に皇太子が天皇に即位するのだという。
昭和の人間としては感慨深い。
今まで昭和生まれということで、今の若い人とは価値観や考え方が違うと言われてきたが、今の若者もいずれ「平成の人間だから」などと言われるようになるのだろうか。

先週、京都新聞で田阪一族の記事を目にする機会があった。
田阪(京都新聞)

田阪常雄氏は桂(西大路御池という話もある。詳細は不明)で卓球場を営み、日本代表の監督を務めたこともある人だという。その四男の田阪登紀夫氏は69年の世界選手権でシングルスで3位に入賞している。
田阪氏

60年~70年代は(も?)男子は中国が圧倒的に強かった時代だが、それでも日本は健闘し、中国が文化大革命で不参加だった67年、69年の世界選手権では個人・団体ともに優勝している。この時代の卓球というのはどういうものだったのか。古老に聞いてみた。

私は前々から大関行江選手に興味があった(前記事「ツッツキ主戦型」)ので、この選手がどういう戦い方をするのか尋ねてみた。

それによると、大関選手は四天王寺高校で頭角を現し、チームメイトの小野(前陣速攻)、大村(ドライブ型)両選手とともに非常に強かったのだという。小野選手は当時は珍しい、中国的なスタイルで、前陣でバンバン打っていくタイプ。大村選手も女子としては珍しくドライブで攻撃するスタイル。ドライブで攻撃なんて当たり前だと思われるかもしれないが、当時はマークVなどの性能のいい裏ソフトはまだ発売されておらず、ふつうの非力な女子選手はループで持ち上げるドライブしかできなかったのだという。

大関選手はツッツキ主戦型と言われるだけあって、ツッツキが優れていた。もちろんツッツキだけで勝てるわけはないから、ツッツキとスマッシュの組み合わせで勝つというスタイルだったのだという。

大関選手のツッツキは、頂点を振り下ろすように切る、今のカットマンのようなツッツキで、バックのツッツキはフリスビーを投げるように腕を折りたたんで手首を利かせてガツンと切るためにとんでもなく切れている。もし、こんな低くて速い、切れたツッツキを相手に打たれたら、どうすればいいだろうか。ドライブで持ち上げるしかない。といっても当時のラバーは低性能だったため、なかなか持ち上がらず、ネットにかけてしまう。がんばってループドライブで持ち上げてきたところを待ち構えていて、上からスマッシュをお見舞いするというスタイルだったらしい。

「そういう持ち上げてきたドライブをスマッシュする練習ばっかりやってたんやろな」

スマッシュの精度は非常に高かったのだという。

「でも、そんなにツッツキが上手いなら、ツッツキさせないように相手は横回転ロングサーブとかナックルとかを出したらいいんじゃないですか?あるいはツッツキに対してフリックしたりとか。」

「いや、それがロング戦も上手なんや。バックのブロックが固くて、相手が打ってきても全部止めよる。チャンスがあれば、フォアでバシンや。」

「じゃあ、鋭いツッツキを打たれたら、持ち上げずにツッツキで返したらいいんじゃないですか?」

「大関さんはツッツキが武器なんや。ツッツキ合戦になったらジリ貧やで。」

なるほど。隙がない戦型だったんだなぁ。4回も全日本で優勝するわけだ。

「ツッツキといえば、長谷川さんのツッツキも切れとったでぇ。ドライブやロビングが有名やけど、ガツンと切るツッツキはなかなか持ち上がらんかった。」

「ストップは鍵本(肇)さんが抜群にうまかったなぁ。鍵本さんと河野さんは他の人とは別格やった。伊藤さんとか長谷川さんとかとやるときは、ちょっとは卓球の形になるんやけど、鍵本さんと河野さんとやると、もう、卓球をさせてもらえんかった。コースは全部ストレート。速いナックルで返ってくる。」

ガツンとツッツキを打つスタイルというのは現代ではあまり聞いたことがない。もちろん、全国レベルの卓球ではなく、草の根レベルの話である。こういうツッツキを身につけたら、私ももっと試合で勝てるようになるかもしれない。ストップが上手いという人も私の周りでは聞いたことがない。ドライブが速いとか、サーブが切れているとか、そういう人はよくいるが、実はツッツキとかストップといった守備技術を磨くのが上達の早道なのではなかろうか。

「私もガツンとツッツキを切りたいんですが、そういう鋭いツッツキは、ネットにかけたり、オーバーしたりで、難しいですよね。どうやれば安定するんでしょうか? 私は頂点前でツッツキすると安定すると思うんですが、鋭いツッツキは頂点前では打てませんよね?」

「当たり前や。頂点前でインパクトして、深い鋭いツッツキが打てるかいな。頂点か、頂点を少し過ぎたぐらいや。」

「じゃあ、頂点でインパクトするとして、どうやったら深くて鋭いツッツキが安定するんでしょうか?」

「そら、練習の積み重ねやろな。」

ツッツキ技術は一朝一夕に身につくものではないらしい。