卓球を再開して10年ほどになった。【中略】あと数年すれば、こういう当たり前のことを発見した感動や喜びを忘れてしまうかもしれない。そうなる前に私がこの10年ほどで経験したことを記しておこうと思った。

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相手のツッツキを3球目で上手くドライブした後、相手はそれをブロックで返球し、私が5球目でオーバーミス。

こんなことがよくあった。

その原因に気づいたのは卓球を再開してからだった。中学生のころはその原因に気づかず、フィーリングで3球目や5球目をドライブしていた。

当たり前のことだが、3球目は下回転に対するドライブなので、ボールの後ろを上方向にこすり上げなければならない。しかし5球目は相手にブロックされたボールなので、上回転になっている。3球目と同じスイング方向でこすり上げればオーバーミスになってしまうのは当然である。5球目はボールの上の方をこすって前方向にスイングしなければならない。3球目と5球目はスイングの方向を変えなければならない。

上の例は3球目と5球目の回転の方向が逆なので分かりやすいが、同じ回転のボールをドライブするときでも、上方向と前方向のスイングを区別しなければならない。

たとえば相手の横回転ロングサービスをドライブでレシーブすると想定してみよう。

そのような下回転要素の少ないボールは、ボールが頂点に達するまでは前方向にドライブしても落ちない。逆に頂点を過ぎた後は上方向にドライブしないと落ちてしまう。頂点に達するまではボールに上方向(と前方向)に向かう力が働いているので、スイングを前方向(さすがに水平ではないが)に振っても、ボールはラバーに押し付けられ、しっかりグリップする。逆に頂点を過ぎてボールに下方向の力が働いているときは、下回転がほとんどかかっていなくても、予想以上にボールが落ちる。上方向(さすがに垂直ではないが)に持ち上げなければならない。

上回転のボールでもたぶん同じである。台から離れてドライブの引き合いなどをしているときは、ボールは頂点を過ぎて下方向への力が働いている場合が多い。その場合はかなり上方向にスイングしないとボールがネットを越えない。

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上の図でA打点は、バウンド直後のストップやツッツキを打つときの打点である。低すぎてドライブは打てない。

B打点からC打点にかけてのボールはスイングを前方向ぎみに振らなければオーバーミスになる。
D打点からE打点にかけてのボールはスイングを上方向ぎみに振らなければネットミスになる。
同じ回転のボールでも打点によってスイング方向を変えなければならない。

ボールの打点に応じてスイング方向を変えるというのは、逆に言えば、スイング方向に合わせて打点を変えればいいとも言える。というか、後者の方がむしろ有利かもしれない。

相手がツッツキをしてきた。

「よし、上方向に持ち上げるぞ!」

ではなくて、

「よし、頂点前で前方向にドライブだ!」

のほうがラリーを有利に進められるような気がする。
ドライブが安定するかどうかはボールの回転を読むだけでは足りない。ボールのアスペクト――ボールが跳ね上がってこちらに向かっている途中なのか、はたまた力を失い落ちていく相なのか――を考慮に入れなければならない。

なお、カウンタードライブは早い打点のB打点で打つが、上方向に小さくスイングするといいと言われる。あいにく私はそういう高度なレベルのことは分からない。また、スイングの方向は上方向のまま、5球目はガバッと後ろに下がって、DやEの頂点を過ぎた打点で打つという方法もあるかもしれない。

以上は現時点での私の理解にすぎないので、間違いも多々あると思われる。