フットワークが卓球で重要なことは言を俟たない。
全てのレベル、あらゆる戦型で重要とは言えないかもしれないが、多くのレベル、多くの戦型で極めて重要と言えるだろう。

フットワークと言えば、例の反復横跳びを連想する人が多いのではないだろうか。

sakamoto

私も中学時代は部活の練習でよく反復横跳びをしたものだが、私は先日の練習で確信した。
左右のフットワークよりも、前後のフットワークのほうが(私のレベルでは)大切だということを。

先日の練習で初級者の人と練習する機会があった。その人を仮にNさんとしよう。Nさんはフォア打ちをすると、フォア打ちにもかかわらず、思い切りドライブをかけてくるのだ。そのドライブはスピードはあまりなく、ループ気味のドライブなのだが、困ったことに台のエンドから10センチぐらいの深いボールが何本も入る。

「打ちにくいなぁ…」

私は台のエンドから30センチほどの距離でじっと動かずフォア打ちをしていたのだが、ときどきつまらされる。振り遅れる感じがする。回転がかなりかかっているので、バウンド直後ではなく、少しバウンドが高くなってからの打球点で打つのだが、非常に打ちにくい。そのとき閃いた。

「もしかして、台との距離が近すぎるのではないか?」

10年以上卓球をしてきてこんな初歩的なことに気づかなかったなんて…。

台との適切な距離は戦型や人によって違うし、前陣の人なら、たいていのボールは台から50センチ以内で処理するのかもしれないが、少なくとも私にとっては台のエンドギリギリのボールは30センチの距離ではうまく打てない。50センチほど離れてみたが、それでも心もとない。80センチほど離れてみて、ようやくしっかり打てる気がした(ここらへんの数値は測ったわけではないので正確ではないかもしれない)。別にNさんとフォア打ちするときだけでなく、試合などで台のエンドギリギリのボールはよく飛んでくる。それを私は今まで台との距離を調節することもなく、30~50センチほどの距離で対応していたのだ。ミスが多いわけだ。

となると、自陣の真ん中ぐらいでバウンドする打ちやすいボールなら台から50センチほどの距離でも大丈夫だが、台のエンドギリギリに入る深いボールなら打球の落点を予測し、瞬時にもっと下がらなければならないということになる。たしかに台から50センチほどの距離でも深いボールが打てないことはないのである。これまでは打ちにくさを感じながらも、なんとか返球していたのだ(だから今まで台に近すぎることに気づかなかった)。しかし、今ではこんな無理をして懐に入ってくるボールを打つのはバカげたことだと感じている。一歩後ろに下がるだけで、打ちやすさが段違いなのだ。

回り込んで積極的に攻撃する人なら、左右の素早いフットワークが欠かせないものかもしれないが、中年の万年中級者にとっては、左右のフットワークはほどほどでいいだろう。とにかく前後のフットワークを完璧にして、深いボールでも浅いボールでも力のこもった打球ができるようになるのが先決だ。

これは私だけの問題なのだろうか。いや、私の見る限り、ほとんどの初中級者は左右のフットワークには敏感だが、前後のフットワークはあまり気にしていないように見える。距離感が不適切でもなんとか打ててしまうので、気づかないのではないか。

自陣の真ん中ほどでバウンドするボールと、エンドギリギリでバウンドするボールを同じ台からの距離で対応するのでは安定感を損なう。初中級者は左右のフットワークよりも、まず前後のフットワークを身につけることを勧めたい。